2019年09月05日

Caesar Frazier『Hail Caesar!/'75』

レア・グルーヴ人気作の2in1CD☆Caesar Frazier『Hail Caesar!/'75』
caesar frazier hail caesar 75,jpg.jpg
発表年:1972/1975年
ez的ジャンル:レア・グルーヴ系ジャズ・ファンク/ソウル・ジャズ
気分は... :2in1全面解禁!

今回はレア・グルーヴ人気作の2in1CDCaesar Frazier『Hail Caesar!/'75』(1972/1975年)です。

2in1CDの紹介は、あまり好きではありませんが、2in1でしか入手できない作品が多数あるのも事実です。2in1CDが手元にあるものの、単独CD化が実現したらエントリーしようと思っていたら、10年以上経過しているパターンも数多くあります。

本作『Hail Caesar/'75』(1972/1975年)もそんな1枚です。

Caesar Frazierはフロリダ出身のオルガン/キーボード奏者。

Westbound Recordsから『Hail Caesar!』(1972年)、『'75』(1975年)、『Another Life』(1978年)といったアルバムをリリースしています。

特にBob Porterがプロデュースした『Hail Caesar!』(1972年)、『'75』(1975年)の2枚は、レア・グルーヴ方面で再評価の高い2枚です。

『Hail Caesar!』(1972年)はソウル・ジャズ的、『'75』(1975年)はジャズ・ファンク的な内容です。よりレア・グルーヴ的なのは『'75』の方だと思います。

『Hail Caesar!』(1972年)には、Ceasar Frazier(org)以下、Melvin Sparks(g)、Gordon Edwards(b)、Idris Muhammad(ds)、Buddy Caldwell(congas)、Cecil Bridgewater(tp)、Houston Person(ts)といったミュージシャンが参加しています。

『'75』(1975年)には、Ceasar Frazier(org、el-p、clavinet、key)以下、Cornell Dupree(g)、David Spinoza(g)、John Tropea(g)、Richie Resnikoff(g)、Wilbur Bascomb(b)、Bernard Purdie(ds)、Jimmy Young(ds)、Buddy Caldwell(congas)、Joe Venuto(tambourine)、Joe Shepley(tp)、Jon Faddis(tp)、Garnett Brown(tb)、Charlie Brown(ts)といったミュージシャンが参加しています。

『Hail Caesar!』ならば、「Hicky-Burr」がハイライトだと思います。Melvin Sparks作のタイトル曲「Hail Ceasar!」Sly & The Family Stoneのカヴァー「Runnin' Away」もおススメです。

『'75』ならば、サンプリング・ソースとしても人気のスロウ・ファンク「Funk It Down」がハイライトだと思います。それ以外にも、オープニングのジャズ・ファンク「Mighty Mouse」、Seals & Croftの好カヴァー「Summer Breeze」、メロウ・エレピ・グルーヴ「Sweet Children」Stevie Wonderのカヴァー「Living For The City」、哀愁モードの都会的ファンキー・グルーヴ「Walking On The Side」と全曲充実しています。

お得な2in1でレア・グルーヴ人気作を堪能しましょう。

全曲紹介しときやす。

『Hail Caesar』(1972年)

「Hicky-Burr」
Bill Cosby/Quincy Jones作。偉大な黒人コメディアンBill Cosbyがホストを務めた「The Bill Cosby Show」のテーマ曲「Hikky Burr」をカヴァー(本作では"Hicky"の表記になっています)。オリジナルはQuincy Jones『Smackwater Jack』(1971年)に収録されています。『Hail Caesar』では、このオープニングがハイライトなのでは?ファンキーなオルガン・ソウル・ジャズですが、Melvin Sparksのワウ・ギターも効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=SEQigDr1V1s

「Ellie's Love Theme」
Isaac Hayesのカヴァー。オリジナルは『Shaft』(1971年)に収録されています。抑えたトーンのオルガン・ミディアム・バラード
https://www.youtube.com/watch?v=d9iTr63EcgY

「See-F」
Caesar Frazier作。少し気だるいホーン・サウンドが印象的なミディアム・グルーヴ。コンガのパーカッシヴ感もいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=d9ZP__MwKJk

「Hail Ceasar!」
Melvin Sparks作。タイトル曲はグルーヴィーなソウル・ジャズですが適度にユルい感じがいいですね。作者Melvin Sparksのギター・ソロもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=Y30Mvzbwpuk

「Make It With You」
David Gates作。Breadの大ヒット・シングル「二人の架け橋」をカヴァー。オリジナルは『On The Waters』(1970年)に収録されています。当ブログではPaige ClaireCountry Comfortのカヴァーを紹介済みです。ここでは寛いだ雰囲気のオルガン・ソウル・ジャズで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=0vEedCLKYeo

「Runnin' Away」
Sly & The Family Stoneのシングル曲をカヴァー(Sly Stone作)。ここではオルガンが映えるグルーヴィー・ジャズで聴かせてくれます。インストで聴く「Runnin' Away」も悪くありません。
https://www.youtube.com/watch?v=xYiHe8MDjlE

『'75』(1975年)

「Mighty Mouse」
Caesar Frazier作。鮮やかなホーン・サウンドが牽引するジャズ・ファンク。このオープニングを聴けば、本作がレア・グルーヴ人気作であることが一発でわかります。主役Frazierもグルーヴィー・オルガンで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=IabuRVBg0bA

「Summer Breeze」
Seals & Croft、1972年の大ヒット曲をカヴァー(Jim Seals/Dash Crofts作)。Isley Brothersのカヴァーでもお馴染みの曲ですね。当ブログでは、そのIsleysヴァージョンをはじめ、FingazzStylusThe Main IngredientRobert Glasper ExperimentGabor Szaboのカヴァーを紹介済みです。ここではこの名曲の魅力を見事に引き出した味わいのあるオルガン・バラードで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=lsZeT7dlQjg

Arrested Development「Ease My Mind (Premier's Remix)」、J.R. & PH7 feat. Torae「Do It for You」、MOB79「Seguir So」、Makalister feat. Reis Do Nada, Jovem Esco and Luccas Carlos「Bobby James」のサンプリング・ソースとなっています。
Arrested Development「Ease My Mind (Premier's Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=DRNBCS1YgKU
J.R. & PH7 feat. Torae「Do It for You」
 https://www.youtube.com/watch?v=jlT5QQHnmEc
MOB79「Seguir So」
 https://www.youtube.com/watch?v=0BmlaYbvDd0
Makalister feat. Reis Do Nada, Jovem Esco and Luccas Carlos「Bobby James」
 https://www.youtube.com/watch?v=NSr3tO9TUvk

「Sweet Children」
Caesar Frazier作。ここでのFrazierがエレピをプレイ。メロウ・エレピとホーン・サウンドのの映える都会的メロウ・グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=WqnDr6NQ5UY

Common「Real People」のサンプリング・ソースとなっています。
Common「Real People」
 https://www.youtube.com/watch?v=unpXPAdfwas

「Funk It Down」
Caesar Frazier作。このファットなスロウ・ファンクが『'75』のハイライトかもしれませんね。印象的なホーン・アンサンブルもたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=n658t-2U-Sk

Gang Starr「Ex Girl to Next Girl」Gang Starr feat. Jeru the Damaja & Lil' Dap「Speak Ya Clout」Common「Food for Funk」 、La Hawha Band「Desde Las Alturas」等のサンプリング・ソースとなっています。
Gang Starr「Ex Girl to Next Girl」
 https://www.youtube.com/watch?v=CwSXfocnt48
Common「Food for Funk」
 https://www.youtube.com/watch?v=59GuN9coIwk
La Hawha Band「Desde Las Alturas」
 https://www.youtube.com/watch?v=T_CRKkj9LHs

「Living For The City」
Stevie Wonderのヒット・シングル・カヴァー。オリジナルは『Innervisions』(1973年)に収録されています。ここではニューソウル的オルガン・ファンクを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=NPwGsL_eyb4

「Walking On The Side」
Caesar Frazier作。個人的にはコレが一番のお気に入り。哀愁モードで疾走する都会的なファンキー・グルーヴ。男の黄昏感があっていいですね。Johnson&Jonson「That's That Jam」のサンプリング・ソースとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=liY96DCND3I

『Another Life』(1978年)
Another Life...Plus by Caesar Frazier (1999-11-29)

『Instinct』(2018年)
INSTINCT

『Closer to the Truth』(2019年)
Closer to the Truth
posted by ez at 03:40| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月04日

Bill Evans Trio Featuring Scott La Faro『Sunday At The Village』

究極のピアノ・トリオによる名盤☆Bill Evans Trio Featuring Scott La Faro『Sunday At The Village』
サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード+5
録音年:1961年
ez的ジャンル:究極のピアノ・トリオ
気分は... :古典を侮るなかれ!

偉大なジャズ・ピアニストBill EvansScott LaFaro(b)、Paul Motian(ds)との最強トリオを組んでいたときの名盤『Sunday At The Village』(1961年)です。

当ブログではこれまで紹介したBill Evans(1929-1980年)作品は以下の9枚。

 『Portrait In Jazz』(1959年)
 『Explorations』(1961年)
 『Waltz For Debby』(1961年) 
 『Undercurrent』(1962年) ※Jim Hallとの共演
 『Waltz For Debby』(1964年) ※Monica Zetterlundとの共演
 『Alone』(1968年)
 『I Will Say Goodbye』(1977年)
 『You Must Believe In Spring』(1977年)
 『New Conversations』(1978年)

Scott LaFaro(b)、Paul Motian(ds)とのトリオでRiversideに残した『Portrait In Jazz』(1959年)、『Explorations』(1961年)、『Sunday At The Village』(1961年)、『Waltz For Debby』(1961年)という4枚は、今でも語り継がれる究極のピアノ・トリオ作品ですね。

ご存知の通り、本作『Sunday At The Village』『Waltz For Debby』と同じく、1961年6月25日ニューヨークの名門ジャズクラブVillage Vanguardにおけるライブ録音です。そして、翌月の7月6日にトリオの盟友Scott LaFaroが交通事故で逝去してしまったことで、この最強トリオに突然の終止符が打たれました。

最近の僕は本作のようなド定番の作品を聴く機会がすっかり少なくなってしまいましたが、Scott LaFaroとの四部作のうち、本作が未エントリーなのに気づき、今回取り上げることにしました。久々に聴きましたが、改めて素晴らしいピアノ・トリオ作品である再認識しています。

LaFaroの死後リリースされた本作はLaFaroをフィーチャリングする作品となっており、オープニングとエンディングはLaFaroのオリジナル曲が配置されています。

『Waltz For Debby』同様に、全編が最強トリオの美学で貫かれた演奏となっています。特に、EvansのピアノとLaFaroのベースのバランスが絶妙です。僕の好きな日本的美意識に通じるBill Evansワールドを堪能できます。

個人的には人気のスタンダード・カヴァー「Alice In Wonderland」、LaFaroのオリジナル「Gloria's Step」「Jade Visions」の3曲がお気に入りです。勿論、残るGershwinカヴァー「My Man's Gone Now」Miles Davisカヴァー「Solar」、Cole Porterカヴァー「All Of You 」も素晴らしい演奏です。

最近、古典的名著や名著を再評価する書籍を好んで読み直し、気づき、学びを得ることが多くなっています。ジャズも同じで昔の定番作品を聴き直すのって大事かもしれませんね。

全曲紹介しときやす。

「Gloria's Step (Take 2)」
Scott LaFaro作。Bill Evans作品を聴くと、非対称、未完成、儚いなものに美を見出す日本的美意識に通じるものを感じますが、この演奏なんか正にそうですね。予定調和ではない不安定な美学が貫かれた演奏に惹かれてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=rARGPAkIcw4

「Gloria's Step (Take 3)」
CDボーナス・トラック。「Gloria's Step」の別テイクです。LaFaroのプレイを堪能できる演奏ですが、演奏全体としてはオリジナルのテイク2に分がありますね。
https://www.youtube.com/watch?v=9VJa_xHyetw

「My Man's Gone Now」
George Gershwin作。オペラ『Porgy and Bess』の中の1曲。哀愁バラードをしっとりと聴かせます。哀しみのその先に見えてくる美しさのような演奏がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=R5rF1rAOY2w

「Solar」
Miles Davisのカヴァー。オリジナルは『Walkin'』(1954年)に収録されています。本作の中で一番アップテンポの演奏です。静寂の中で繰り広げられる三者のバトルのような緊張感のある演奏が印象的です。特にLaFaroのベースにフォーカスして聴いているとシビれますね。
https://www.youtube.com/watch?v=A6g1FrlC0ok

「Alice In Wonderland (Take 2)」
映画『Alice in Wonderland』(1951年)のテーマ曲(Sammy Fain作)をカヴァー。名曲をこのトリオらしい美学で聴かせてくれるロマンティックな演奏です。美しいEvansのピアノと、それを引き立てるLaFaroのベースの組み合わせがサイコーです。初心者から上級者まで満足させる至極のバラードですね。
https://www.youtube.com/watch?v=HgwPvFeBRIw

「Alice In Wonderland (Take 1)」
CDボーナス・トラック。「Alice In Wonderland」の別テイクです。2テイク連続で聴くと、テイク1を踏まえてのテイク2って感じが伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=6XrdE7bpHL4

「All Of You (Take 2)」
Cole Porter作のスタンダードをカヴァー。スタンダードをEvans流ジャズへと大胆に変貌させています。EvansのピアノとLaFaroのベースの対比を追って聴いていると楽しいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=GCQJX3Cx8g8

「All Of You (Take 3)」
CDボーナス・トラック。「All Of You」の別テイクです。テイク2とは異なる聴きやすさがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=HOAEn5gHNiY

「Jade Visions (Take 2)」
Scott LaFaro作。ラストはLaFaroのオリジナルで締め括ってくれます。わび・さびを感じるBill Evans作品らしい余計なものをそぎ落とした演奏がたまりません。LaFaroのベースの一音一音が瞑想モードへ誘ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=RSu22VYKXFY

「Jade Visions (Take 1)」
CDボーナス・トラック。「Jade Visions」の別テイクです。

Bill Evansの過去記事もご参照下さい。

『Portrait In Jazz』(1959年)
ポートレイト・イン・ジャズ+1

『Explorations』(1961年)
エクスプロレイションズ(紙ジャケット仕様)

『Waltz For Debby』(1961年)
ワルツ・フォー・デビイ+4
 
『Undercurrent』(1962年) ※Jim Hallとの共演
アンダーカレント

『Waltz For Debby』(1964年) ※Monica Zetterlundとの共演
ワルツ・フォー・デビー+6 [SHM-CD]

『Alone』(1968年)
ALONE

『I Will Say Goodbye』(1977年)
アイ・ウィル・セイ・グッドバイ+2

『You Must Believe In Spring』(1977年)
You Must Believe in Spring by Bill Evans (2013-06-26)

『New Conversations』(1978年)
未知との対話-独白・対話・そして鼎談(ていだん)
posted by ez at 01:08| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月03日

Phyllis St. James『Ain't No Turnin' Back』

実力派黒人女性シンガー唯一のアルバム☆Phyllis St. James『Ain't No Turnin' Back』
エイント・ノー・ターニング・バック
発表年:1984年
ez的ジャンル:実力派シンガー系ソウル/ファンク
気分は... :アーバンギャルド!

今回はセッション・シンガーとして活躍した女性シンガーPhyllis St. James唯一のアルバム『Ain't No Turnin' Back』(1984年)です。

Phyllis St. Jamesは1949年カリフォルニア州オークランド生まれ。

1970年代半ばよりセッション・シンガーとして活躍し始め、ソウル系作品を中心に数々のレコーディングに参加しています。

そんな人気セッション・シンガー唯一のアルバムが本作『Ain't No Turnin' Back』(1984年)です。名門Motownからのリリースです。

ちょうど僕が大学生になり、渋谷のタワレコで輸入盤を漁るようになった時期にリリースされた作品であり、中身以上にジャケが印象に残っています。

レコーディングにはCharles Fearing(g)、David Williams(g)、Gordon Banks(g)、Ray Fuller,(g)、Steve Watson(g)、Velton Ray Bunch(prog、el-p)、John Bokowski(p、el-p)、William Bryant II(p、syn)、Bill Cuomo(syn)、Pete Robinson(syn)、Bruce Frazier(syn)、Wayne Vaughn(syn)、Rhett Lawrence(syn)、Cornelius Mims(b)、"Ready" Freddie Washington(b)、Gerald Albright(b)、James Jamerson Jr.(b)、Marty Tryon(b)、Michael White(ds)、Ricky Lawson(ds)、Billy Thomas(ds、back vo)、Louis Conte(per)、Paulinho DaCosta(per)、Alfie Silas(back vo)、Billie Barnum(back vo)、Geoff Koch(back vo)、Howard Smith(back vo)、Kristle Murden(back vo)、Linda McCrary(back vo)、Maxi Anderson(back vo)、Tommy Funderburk(back vo)等のミュージシャンが参加しています。

プロデュースはVelton Ray Bunch

シングルにもなった「Candlelight Afternoon」をはじめ、「Ain't No Turnin' Back」「Phonemate」といったダンサブルなモダン・ファンクがアルバムの目玉です。

アルバム全体としては少しムラもありますが、前述の3曲に魅せられてしまう1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Candlelight Afternoon」
シングルにもなったオープニング。ガラージ・ファンからも人気の高いファンク・グルーヴ。ブラコン好きの人であれば気に入るであろうダンサブル・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=KES_lZoStkM

「Ain't No Turnin' Back」
タイトル曲も軽快なダンサブル・チューン。艶やかなPhyllisのヴォーカルが映えるキャッチーなモダン・ファンクです。昨今のディスコ/ブギー・ブームの流れで聴いてもフィットする1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=7eL2ZGLxKuk

「Ruler Of The Hunt」
当時らしいエレポップ調のダンサブル・チューン。いかにも80年代なダンス・チューンですが、僕の趣味ではありません。
https://www.youtube.com/watch?v=9uG0NWKTgxs

「Phonemate」
この曲も再評価が高いのでは?軽快なギター・カッティングと共にスタートする爽快アーバン・ファンク。都会の夜を疾走する感じが心地好いです。
https://www.youtube.com/watch?v=gisY7e1ru9Q

「This Time」
ストリングスを配したオーセンティックなバラードをしっとりと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=qVs74Le0BOQ

「If You Believe」
この時代らしいシンセ・ファンク。Phyllisの力強いヴォーカルとサウンドがフィットしているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=m2nCTt1tlZQ

「Livin On The Border」
軽快なポップ・ダンス。「Ruler Of The Hunt」と同じく、いかにも80年代なダンス・チューンですが、僕の趣味ではありません。
https://www.youtube.com/watch?v=X_tYZsAUsJ0

「Sweet Rhythm」
ラテン・フレイヴァーの効いたポップなシンセ・ファンク。少しチープな感じが目立ちますが、そのあたりも含めて80年代らしいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=tHdFEOz7yOk

「Back In The Race」
ラストは素敵なバラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=aQgjbJu8zT0

実力派シンガーなので、「Back In The Race」のようなオーセンティック・バラードがあと1、2曲欲しかったかな・・・
posted by ez at 01:33| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月02日

Joan Armatrading『Joan Armatrading』

UKブラック・フォーキーの名作☆Joan Armatrading『Joan Armatrading』
ジョーン・アーマトレイディング
発表年:1976年
ez的ジャンル:UKブラック・フォーキー
気分は... :我と汝!

今回はUKブラックによるフォーキー作品、Joan Armatrading『Joan Armatrading』(1976年)です

Joan Armatradingは1950年、カリブ海の英連邦王国セントクリストファー ネイビス生まれの女性シンガー・ソングライター。

1968年にミュージカル『Hair』へ出演し、この時に出会った作詞家Pam Nestorと一緒に活動するようになります。そして、実質的に2人のコラボ作品であるアルバム『Whatever's for Us』(1972年)をレコーディングしますが、レコード会社の意向でJoan Armatrading単独名義の作品としてリリースしたため、このコンビは解消となります。

その後、JoanはA&Mと契約を結び、3rdアルバムとなる本作『Joan Armatrading』(1976年)からは彼女キャリアで唯一のUKチャートTOP10シングル「Love and Affection」が生まれ、アルバム自体もゴールド・ディスクに輝きました。

それ以降もコンスタントにアルバムをリリースし、ゴールド・ディスク4枚、シルバー・ディスク3枚を獲得しています。

このように本作『Joan Armatrading』(1976年)は彼女の運命を切り拓いた代表作です。

プロデュースはGlyn Johns

レコーディングにはJoan Armatrading(vo、g)以下、Jerry Donahue(g)、Bryn Haworth(slide g、mandolin)、Jimmy Jewell(sax)、Dave Markee(b)、B.J. Cole(slide g)、Graham Lyle(g)、Dave Mattacks(ds)、Peter Wood(org、p)、Kenney Jones(ds)、Leroy Champaign(back vo)、Clarke Peters(back vo)等のミュージシャンが参加しています。

プロデューサー、参加ミュージシャンの顔ぶれからイメージできるかもしれませんが、フォーキーな楽曲のみならず、アーシー&ファンキーなUS志向のロック・サウンドを聴ける楽曲があります。

前述の彼女の最大のヒット・シングル「Love and Affection」、シングルにもなったオープニング「Down to Zero」といったフォーキー・バラードでしみじみ聴くのもいいですが、個人的には「Like Fire」「Join the Boys」といったファンキー&ブルージーな楽曲がおススメです。彼女のソウル魂を感じる「Tall in the Saddle」もいいですね。

UKブラックによるフォーキー作品ということで、Linda Lewisに近いイメージを抱く方もいるかもしれませんが、個人的にはJoni MitchellEllen McIlwaineなんかと一緒に聴きたくなる1枚です。

楽曲はすべてJoan Armatradingのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Down to Zero」
シングルにもなったオープニング。ヒットはしませんでしたが、Joan Armatradingというアーティストの魅力が伝わってくるフォーキー・バラード。淡々とした歌い回しですが、しみじみとした感じがいいですね。B. J. Coleによるペダル・スティール、当時のFacesのKenney Jonesによるドラムといったバッキングもいい感じです。Bettye LaVetteがカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=7147pAjGbpU

「Help Yourself」
前半は静かなフォーキー・チューンですが、中盤はアーシーなロック・サウンドへ変貌し、最後は再び静かなフォーキーへ・・・
https://www.youtube.com/watch?v=Z1cWohuZjRs

「Water With the Wine」
爽快フォーキー・ロック。軽やかなにアーシーなのが本作らしいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=PmFY3Kv_uY0

「Love and Affection」
UKシングル・チャート第10位となったヒット・シングル。派手さはありませんが、ジワジワと胸に染み入るフォーキー・バラード。Sheena Easton、Martha Davis & Sly Stone、Sinitta、Kate Ceberano、Daley等がカヴァーしている名曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=sBohO1zr7jw

「Save Me」
ストリングスを配した哀愁バラード。彼女の心の叫びが聞こえてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=UoOdRrVwRiA

「Join the Boys」
「Like Fire」と並んで再評価の高い1曲。ファンキー&アーシー・サウンドがたまらないフォーキー・ソウル。Ellen McIlwaineあたりとセットで聴きたい1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=HGZY2ZfexYk

「People」
軽快なロック・チューン。US志向のUKミュージシャンによるバッキングの特徴がよく出たサウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=gtIT2RITCsE

「Somebody Who Loves You」
繊細なヴォーカルが印象的なメロウ・フォーキー。聴く者に寄り添うようなヴォーカルがいいですね。マンドリンの音色が効果的です。
https://www.youtube.com/watch?v=2nGpO7CooX0

「Like Fire」
フリーソウル界隈で再評価の高い1曲。USテイストのアーシー・サウンドが印象的なファンキー・フォーキー。スライド・ギターはBettye LaVetteがカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=VswSw_nQyTU

「Tall in the Saddle」
ラストはブルージーなフォーキー・バラード。彼女のソウル魂を感じるヴォーカルを堪能してアルバムは幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=I2SHosPSARM

Joan Armatradingの他の初期作品もチェックを!

『Whatever's for Us』(1972年)
Whatever's for Us

『Back to the Night』(1975年)
Back To The Night - Matt Sleeve

『Show Some Emotion』(1977年)
Show Some Emotion

『To the Limit』(1978年)
トゥ・ザ・リミット

『Me Myself I』(1980年)
Me Myself I

『Walk Under Ladders』(1981年)
WALK UNDER LADDERS

『The Key』(1983年)
The Key
posted by ez at 00:30| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月01日

Cykada『Cykada』

新世代UKジャズ・ユニットのデビュー作☆Cykada『Cykada』
Cykada
発表年:2019年
ez的ジャンル:新世代UKジャズ・ユニット
気分は... :新結合!

新作から新世代UKジャズ・ミュージシャンが集結したユニットCykadaのデビュー・アルバム『Cykada』です。

Cykadaは、Don KipperJamie Benzies(b)、MaishaDon KipperTim Doyle(ds)、Javi Perez(g)、Tile Gichigi Lipere(electronics)、James Mollison(ts)、Axel Kaner-Lindstrom(tp)という6名の新世代UKジャズ・ミュージシャンによるユニット。

CDショップで試聴し、これぞ新世代UKジャズといった演奏に一発で気に入りました。

アフロ・ジャズのエッセンスを取り入れた生音×エレクトロニクスのハイブリッド・ジャズというのが全体の印象です。ギター、エレクトロニクスによるハイブリッド感と適度なダンサブル感が僕好みです。

アフロ・ジャズ色の強い「Creation」、フューチャリスティックな「Dimnsion Stepper」、エキサイティングな「Ophelia's Message」、新世代UKジャズならではの現行ジャズ「Realise」、コズミック&エクスペリメンタルな「Third Eye Thunder」という充実の全5曲です。

全曲紹介しときやす。

「Creation」
アフロ・ジャズ色が印象的なオープニング。ギターやエレクトロニクスによるハイブリッド感もグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=3plQGl3Ykyk

「Dimnsion Stepper」
僕の一番のお気に入り、フューチャリスティックな生音×エレクトロニクスのハイブリッド・ジャズで疾走します。UKクロスオーヴァー/クラブミュージック好きの人も気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=dEX2RZVgPaU

「Ophelia's Message」
エチオ・ジャズを新世代UKジャズの感性でアップデートさせたような演奏です。特にエキサイティングな後半はエチオ・ジャズ×ジャズ・ロックといった雰囲気がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=a-Pz1ugW6Ig

「Realise」
幻想的なホーン・アンサンブルと共に始まる現行ジャズらしい演奏を楽しめます。現行ジャズに新世代UKジャズならではのハイブリッド感が加味されている感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=qbNvMo38_NA

「Third Eye Thunder」
ラストは10分超の長尺です。アフロ・ジャズのエッセンスを取り入れつつ、コズミックな雰囲気もあって広大なジャズ・ワールドを展開してくれます。ラストはエクスペリメンタルなトリップ・モードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=1qzurPFHYq4

やはり新世代UKジャズは面白い!
posted by ez at 00:46| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする