発表年:1976年
ez的ジャンル:UKブラック・フォーキー
気分は... :我と汝!
今回はUKブラックによるフォーキー作品、Joan Armatrading『Joan Armatrading』(1976年)です
Joan Armatradingは1950年、カリブ海の英連邦王国セントクリストファー ネイビス生まれの女性シンガー・ソングライター。
1968年にミュージカル『Hair』へ出演し、この時に出会った作詞家Pam Nestorと一緒に活動するようになります。そして、実質的に2人のコラボ作品であるアルバム『Whatever's for Us』(1972年)をレコーディングしますが、レコード会社の意向でJoan Armatrading単独名義の作品としてリリースしたため、このコンビは解消となります。
その後、JoanはA&Mと契約を結び、3rdアルバムとなる本作『Joan Armatrading』(1976年)からは彼女キャリアで唯一のUKチャートTOP10シングル「Love and Affection」が生まれ、アルバム自体もゴールド・ディスクに輝きました。
それ以降もコンスタントにアルバムをリリースし、ゴールド・ディスク4枚、シルバー・ディスク3枚を獲得しています。
このように本作『Joan Armatrading』(1976年)は彼女の運命を切り拓いた代表作です。
プロデュースはGlyn Johns。
レコーディングにはJoan Armatrading(vo、g)以下、Jerry Donahue(g)、Bryn Haworth(slide g、mandolin)、Jimmy Jewell(sax)、Dave Markee(b)、B.J. Cole(slide g)、Graham Lyle(g)、Dave Mattacks(ds)、Peter Wood(org、p)、Kenney Jones(ds)、Leroy Champaign(back vo)、Clarke Peters(back vo)等のミュージシャンが参加しています。
プロデューサー、参加ミュージシャンの顔ぶれからイメージできるかもしれませんが、フォーキーな楽曲のみならず、アーシー&ファンキーなUS志向のロック・サウンドを聴ける楽曲があります。
前述の彼女の最大のヒット・シングル「Love and Affection」、シングルにもなったオープニング「Down to Zero」といったフォーキー・バラードでしみじみ聴くのもいいですが、個人的には「Like Fire」、「Join the Boys」といったファンキー&ブルージーな楽曲がおススメです。彼女のソウル魂を感じる「Tall in the Saddle」もいいですね。
UKブラックによるフォーキー作品ということで、Linda Lewisに近いイメージを抱く方もいるかもしれませんが、個人的にはJoni MitchellやEllen McIlwaineなんかと一緒に聴きたくなる1枚です。
楽曲はすべてJoan Armatradingのオリジナルです。
全曲紹介しときやす。
「Down to Zero」
シングルにもなったオープニング。ヒットはしませんでしたが、Joan Armatradingというアーティストの魅力が伝わってくるフォーキー・バラード。淡々とした歌い回しですが、しみじみとした感じがいいですね。B. J. Coleによるペダル・スティール、当時のFacesのKenney Jonesによるドラムといったバッキングもいい感じです。Bettye LaVetteがカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=7147pAjGbpU
「Help Yourself」
前半は静かなフォーキー・チューンですが、中盤はアーシーなロック・サウンドへ変貌し、最後は再び静かなフォーキーへ・・・
https://www.youtube.com/watch?v=Z1cWohuZjRs
「Water With the Wine」
爽快フォーキー・ロック。軽やかなにアーシーなのが本作らしいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=PmFY3Kv_uY0
「Love and Affection」
UKシングル・チャート第10位となったヒット・シングル。派手さはありませんが、ジワジワと胸に染み入るフォーキー・バラード。Sheena Easton、Martha Davis & Sly Stone、Sinitta、Kate Ceberano、Daley等がカヴァーしている名曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=sBohO1zr7jw
「Save Me」
ストリングスを配した哀愁バラード。彼女の心の叫びが聞こえてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=UoOdRrVwRiA
「Join the Boys」
「Like Fire」と並んで再評価の高い1曲。ファンキー&アーシー・サウンドがたまらないフォーキー・ソウル。Ellen McIlwaineあたりとセットで聴きたい1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=HGZY2ZfexYk
「People」
軽快なロック・チューン。US志向のUKミュージシャンによるバッキングの特徴がよく出たサウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=gtIT2RITCsE
「Somebody Who Loves You」
繊細なヴォーカルが印象的なメロウ・フォーキー。聴く者に寄り添うようなヴォーカルがいいですね。マンドリンの音色が効果的です。
https://www.youtube.com/watch?v=2nGpO7CooX0
「Like Fire」
フリーソウル界隈で再評価の高い1曲。USテイストのアーシー・サウンドが印象的なファンキー・フォーキー。スライド・ギターはBettye LaVetteがカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=VswSw_nQyTU
「Tall in the Saddle」
ラストはブルージーなフォーキー・バラード。彼女のソウル魂を感じるヴォーカルを堪能してアルバムは幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=I2SHosPSARM
Joan Armatradingの他の初期作品もチェックを!
『Whatever's for Us』(1972年)
『Back to the Night』(1975年)
『Show Some Emotion』(1977年)
『To the Limit』(1978年)
『Me Myself I』(1980年)
『Walk Under Ladders』(1981年)
『The Key』(1983年)