2019年10月22日

Gil Scott-Heron『Free Will』

ヴォーカル、ポエトリー・リーディング共に好調☆Gil Scott-Heron『Free Will』
フリー・ウィル +11  (日本独自企画盤、解説、歌詞、ボーナストラック付き)
発表年:1972年
ez的ジャンル:黒人吟遊詩人ソウル/ポエトリー・リーディング
気分は... :2つの顔を持つ男・・・

今回は黒人吟遊詩人Gil Scott-Heron(1949-2011年)の『Free Will』(1972年)です。

これまで当ブログで紹介したGil Scott-Heron作品(Brian Jacksonとの連名作を含む)は以下の9枚。

 『Pieces Of A Man』(1971年)
 『Winter In America』(1974年)
 『The First Minute Of A New Day』(1975年)
 『It's Your World』(1976年)
 『Bridges』(1977年)
 『Secrets』(1978年)
 『1980』(1980年)
 『Real Eyes』(1980年)
 『Reflections』(1981年)

『Small Talk At 125th And Lenox』(1970年)、『Pieces Of A Man』(1971年)に続く3rdアルバムとなる本作『Free Will』(1972年)は、オリジナルLPのA面がヴォーカル、B面がポエトリー・リーディングというように、2つのスタイルが対比されています。

プロデュースはBob Thiele

Gil Scott-Heron(vo)以下、Brian Jackson(p、el-p、vo、fl、bells)、Gerald Jemmott(b)、Bernard Purdie(ds)、David Spinozza(g)、Hubert Laws(fl)、Eddie Knowles(per)、Charles Saunders(per)といったミュージシャンがレコーディングに参加しています。

ヴォーカル曲が並ぶA面はBrian JacksonBernard PurdieDavid SpinozzaHubert Lawsらの好バッキングを得て、スリリングなジャジー・ソウルやしみじみとしたソウル・バラードを聴かせてくれます。

一方、ポエトリー・リーディング・パートのB面では、パーカッションとフルートのみをバックに、ポエトリー・リーディングというよりもラップに近いスタイルで扇動的にメッセージを発します。

また、定番「Did You Hear What They Said?」をはじめ、サンプリング・ソースとなっている楽曲も多数収録されているので、そうした観点からチェックするのも楽しいと思います。

Flying Dutchmanからのリリースです。

黒人吟遊詩人の2つの側面を両方楽しめる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Free Will」
オープニングを飾るタイトル曲がアルバムで最もキャッチーな仕上がり。スリリングでジャジーな疾走感が格好良いです。Brian Jacksonのピアノもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=czLfZC2ZE4w

「The Middle Of Your Day」
哀愁メロウなミディアム・バラード。Hubert Lawsのフルートの音色がフィットするセピア色感覚の仕上がりがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=yfZa3kSwkYw

「The Get Out Of The Ghetto Blues」
タイトルの通り、ゲットー感覚のブルースです。David Spinozzaのギター・プレイが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=j33VsAn0VtU

「Speed Kills」
Brian Jacksonのエレピをバックに、GilとBrianがヴォーカルをとるバラード。2人のしみじみとしたヴォーカルが沁みてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=5hQ_oTvfMoY

DJ Kid Stress「Burn (Instrumental)」、Smif-N-Wessun「One Time」のサンプリング・ソースとなっています。
DJ Kid Stress「Burn (Instrumental)」
 https://www.youtube.com/watch?v=7fyjUPDeUf8
Smif-N-Wessun「One Time」
 https://www.youtube.com/watch?v=shBAHpuOErs

「Did You Hear What They Said?」
イントロのHubert Lawsの哀愁フルートが印象的なバラード。聴く者に語りかけるようなGilの語り口にグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=VzlGzAAF1jY

DJ Honda feat. Rawcotiks「For Every Day That Goes By」、Salif「O...O」、Freeway feat. Marsha Ambrosius「This Can't Be Real」、Myalansky「City Lights」、Myke Forte「Dreamy」、Gran Rah feat. DJ Fuzz「Biografia」、Guizmo「Guizmo」、Mr. Muthafuckin' eXquire「I Should Be Sleepin'」、Marcus D「Nowhere to Go」、Charmingly Ghetto feat. Ralphie O'Hare「Follow Me」、Charles Ans「No Hay Palabras Bonitas」等のサンプリング・ソースとなっています。
DJ Honda feat. Rawcotiks「For Every Day That Goes By」
 https://www.youtube.com/watch?v=xp7ZlLNVbZg
Salif「O...O」
 https://www.youtube.com/watch?v=Us8At-FVZk0
Freeway feat. Marsha Ambrosius「This Can't Be Real」
 https://www.youtube.com/watch?v=GcFovflhEIE
Myalansky「City Lights」
 https://www.youtube.com/watch?v=QOlDnX0bSSo
Gran Rah feat. DJ Fuzz「Biografia」
 https://www.youtube.com/watch?v=MvvYC5AGBf8
Guizmo「Guizmo」
 https://www.youtube.com/watch?v=0qC8AxuCUjk
Mr. Muthafuckin' eXquire「I Should Be Sleepin'」
 https://www.youtube.com/watch?v=b8pEMMaDFFg
Marcus D「Nowhere to Go」
 https://www.youtube.com/watch?v=NlY4QpTIZ6w
Charmingly Ghetto feat. Ralphie O'Hare「Follow Me」
 https://www.youtube.com/watch?v=bQ8MEuzz4oY
Charles Ans「No Hay Palabras Bonitas
 https://www.youtube.com/watch?v=mtXiQutfRy8

「The King Alfred Plan」
ここからはポエトリー・リーディング・パートとなります。パーカッション&フルートをバックに扇動的にGilが語りかけます。普通にラップ感覚で聴いても格好良いと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=k4DTsAqr4qI

「No Knock」
パーカッション&フルートをバックに警察の権力濫用に警鐘を鳴らします。コレも先入観なしで聴けばポエトリー・リーディングというより、Gil Scott-Heron節のフロウが映えるHip-Hopですね。
https://www.youtube.com/watch?v=hjMyNCGHlN8

Common feat. Pharrell Williams「Universal Mind Control」でフレーズが引用されています。
また、Spec Boogie「No Knock」のサンプリング・ソースとなっています。
Common feat. Pharrell Williams「Universal Mind Control」
 https://www.youtube.com/watch?v=EC4hkYgdikI
Spec Boogie「No Knock」
 https://www.youtube.com/watch?v=D--UTPlMuko

「Wiggy」
日本の俳句を意識したポエトリー・リーディング。俳句を意識するとコンガが鼓に、フルートが尺八のように聴こえるかも(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=aS1tGrXoMlQ

「Ain't No New Thing」
ここでもパーカッション&フルートをバックに扇動的にGilが捲し立てます。さまざまなミュージシャンの名が連呼されるので、それを聴きとるのも楽しいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=az3NAoVInQQ

「Billy Green Is Dead」
パーカッションのみバッキングがGilのポエトリーを際立たせます。
https://www.youtube.com/watch?v=mhih1t-sfDw

Wbeeza「Billy Green Is Ded」のサンプリング・ソースとなっています。
Wbeeza「Billy Green Is Ded」
 https://www.youtube.com/watch?v=1feynTN89S8

「Sex Education: Ghetto Style」
1分に満たない曲ですが、ゲットー・スタイルの性教育を語ります。
https://www.youtube.com/watch?v=OmASdfunJCI

Bangladesh feat. Trinidad Jame$「My Girl Pu$$y」のサンプリング・ソースとなっています。
Bangladesh feat. Trinidad Jame$「My Girl Pu$$y」
 https://www.youtube.com/watch?v=gl5Pqn2J1PI

「... And Then He Wrote Meditations」
ラストはジャズ・ジャイアントJohn Coltraneに捧げられたポエトリーで締め括ります。
https://www.youtube.com/watch?v=G_bXonAxIF8

Gil Scott-Heronの過去記事もご参照下さい。

『Pieces Of A Man』(1971年)
Pieces of a Man

『Winter In America』(1974年)
Winter in America

『The First Minute Of A New Day』(1975年)
MIDNIGHT BAND: THE FIRST MINUTE OF A NEW DAY

『It's Your World』(1976年)
イッツ・ユア・ワールド

『Bridges』(1977年)
Bridges by Gil Scott Heron (2009-12-08)

『Secrets』(1978年)
シークレッツ(紙ジャケット仕様)

『1980』(1980年)
1980(直輸入盤・帯・ライナー付き)

『Real Eyes』(1980年)
REAL EYES

『Reflections』(1981年)
Reflection
posted by ez at 02:08| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする