発表年:1989年
ez的ジャンル:Go-Goバンド系R&B
気分は... :ゴー!ゴー!
今回はChuck Brown & The Soul Searchers、Trouble Funkと並ぶGo-GoバンドE.U.の『Livin' Large』(1989年)です。
当ブログでは前身グループであるExperience Unlimited時代のExperience Unlimited『Experience Unlimited』(1976年)を紹介済みです。
70年代後半にChuck Brown & The Soul SearchersやTrouble Funkによって確立されたワシントンD.C.生まれのブラック・ミュージックGo-Go。Trouble Funk「Pump Me Up」(1982年)あたりで注目を浴びるようになります。
そんな流れの中でE.U.も80年代にGo-Goバンドとして再スタートし、Spike Lee監督の映画『School Daze』(1988年)の主題歌となった「Da Butt」がR&BチャートNo.1になるなど3曲のR&BチャートTop10ヒットを生み出しました。
Go-Goバンドとしてのプリミティヴな魅力を満喫するのであれば、初期作品なのかもしれませんが、基本はローカルなダンス・ミュージックであり、決して一般向けではないと思います。
その点、4曲(客演曲、リミックス含む)のR&BチャートTop10ヒットが収録された本作『Livin' Large』(1989年)が最も聴きやすいE.U.作品なのではないかと思います。
僕もリアルタイムでE.U.作品を聴いたのは本作が最初でした。
本作におけるメンバーはGregory "Sugar Bear" Elliot(vo、b)、 Ivan Goff(key)、William "Ju Ju" House(ds)、Genairo "Foxxy" Brown Foxx(congas)、Timothy "Shorty Tim" Glover(per)、Valentino "Tino" Jackson(g)、Darryel "Tidy Boy" Hayes(tp)、Michael "Go Go Mike" Taylor(tb)、Kent Wood(key)、Edward "Junie" Henderson(vo)という10名。
メンバーによるプロデュース以外に、Raymond Jones、Larry Robinson、Hurby Luv Bug、Marvin Ennis、Marcus Millerといったプロデューサーが起用されています。
また、当時僕が好きだった男性R&BシンガーKipper Jonesの名がソングライティングで数曲クレジットされています。
「Buck Wild」 、「Taste of Your Love」というUS R&BチャートTop10入りのヒット・シングル2曲、ヒット・シングルのリミックス「Da Butt 89」、E.U.が客演したSalt-N-Pepaのヒット・シングル「Shake Your Thang」あたりが目玉だと思います。
それ以外にBlack Ivoryのカヴァー「Don't Turn Around」、
E.U.流のファンクネスを楽しめる「Livin' Large」や「Shake It Like a White Girl」、Marcus Millerプロデュースの「Come To the Go-Go」なども楽しめます。
今となってはあまり話題になりませんが、なかなか楽しい1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Buck Wild」
William "Ju Ju" House/Kent Wood/Raymond Jonesプロデュース。アルバムからの1stシングルとしてUS R&Bチャート第8位のヒットとなりました。Go-GoをR&B/Hip-Hopテイストでまとめたダンサブル・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=iNXtQDi6gCM
「Livin' Large」
Larry Robinsonプロデュース。タイトル曲はアルバムからの2ndシングルにもなりました。Kipper Jonesがソングライティングで関与しています。Go-Goを意識せずR&B/ファンクとして楽しめると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=Vw6xcj4Jodw
「Shake Your Thang」
Salt-N-Pepaをフィーチャー。前年にE.U.が客演したSalt-N-PepaのシングルとしてUS R&Bチャート第4位となったヒット曲。The Isley Brothers「It's Your Thing」、James Brown「Funky President (People It's Bad)」をサンプリング。Hurby Luv Bugプロデュース。キャッチー&キュートなHip-Hopチューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=aYtY7VaF85s
「Taste of Your Love」
Marvin Ennisプロデュース。アルバムからの3rdシングルとしてUS R&Bチャート第4位のヒットとなりました。個人的には昔も今も一番のお気に入りはコレ。至極のメロウ・バラードです。本来のE.U.の姿とは全く異なる1曲ですが、この素敵なメロウ・ワールドには抗えません。
https://www.youtube.com/watch?v=m81pcg5e61U
「Shaka Zulu」
Ivan Goffプロデュース。Go-Go×Hip-Hop×アフリカ音楽といった雰囲気の1曲。きっとこの手の曲はスタジオ作よりライブで聴いた方がハマるんでしょうね。
「Come To the Go-Go」
Marcus Millerプロデュース。Marcus MillerがGo-Goを調理するとどうなるのか?という観点で聴くと楽しめると思います。Kipper Jonesがソングライティングで関与しています。
「Shake It Like a White Girl」
Larry Robinsonプロデュース。Kipper Jonesがソングライティングで関与しています。この時代らしいファンク・チューンですが、E.U.らしい肉感のあるゴリゴリした雰囲気は伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=mCZtLl6zv3s
「Da Butt 89」
Ivan Goff/Kent Woodプロデュース。ヒット・シングル「Da Butt」のリミックス。大胆なリミックスではないので、ヒット・シングルをアルバムでも楽しめるといった気分でしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=UqEXNWRA-Rg
Spike Leeも登場するオリジナルのPVもチェックを!
「Da Butt」
https://www.youtube.com/watch?v=FShE0VifCYs
「Don't Turn Around」
男性ソウル・グループBlack Ivoryのカヴァー(Patrick Adams作)。オリジナルはアルバム『Don't Turn Around』(1971年)収録。Raymond Jonesプロデュース。「Taste of Your Love」と本曲という2曲のバラードが本作の魅力を高めるのに大きく貢献しています。
https://www.youtube.com/watch?v=FY-Jl_Eu-pE
「Express」
William "Ju Ju" House/Kent Woodプロデュース。ラストはこのグループらしいノリ一発のダンサブルなインスト・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=neC2BprRYjE
E.U.の他作品もチェックを!
Experience Unlimited『Experience Unlimited』(1976年)
『Rock Yuh Butt』(1988年)
『Cold Kickin' It』(1990年)