発表年:2009年
ez的ジャンル:カリスマMPB系オルタナティヴ・ロック
気分は... :老いては益々壮んなるべし!
ブラジル音楽界の牽引者Caetano Velosoが2009年にリリースした『Zii E Zie』です。
これまで当ブログで紹介したCaetano Veloso関連作品は以下の10枚。
『Tropicalia:Ou Panis Et Circencis』(1968年)
『Caetano Veloso』(1969年)
『Caetano Veloso』(1971年)
『Araca Azul』(1973年)
『Joia』(1975年)
『Qualquer Coisa』(1975年)
『Outras Palavras』(1981年)
『Cores, Nomes』(1982年)
『Caetano Veloso (1986)』(1986年)
『Caetano』(1987年)
2000年代以降のCaetano Veloso作品を紹介するのは初めてです。
60年代から活動するCaetanoのキャリアを考えれば、67歳でリリースした本作『Zii E Zie』は、"円熟味が増した"といった形容をイメージしがちですが、反対にオルタナティヴ・ロックを介して年齢と逆行するような新しい感性のMPBを提示しています。
基本的には前作『Ce』(2006年)の延長線上にある作品であり、Caetano Veloso(vo、g)、Pedro Sa(g、back vo)、Ricardo Dias Gomes (b、back vo)、Marcelo Callado(ds、back vo)という前作と同じ4人組バンド体制によるレコーディングです。
プロデュースも前作と同じくCaetanoの長男Moreno VelosoとPedro Sa。
息子Moreno Velosoと同世代のブラジル新世代ミュージシャンの感性をCaetanoが吸収し、それをCaetanoの個性に調和させている点が素晴らしいですね。
『ローリング・ストーン・ブラジル』誌が選出した「2009年の最も優れた25曲(国内部門)」にランク・インしたポスト・ロック的な「Incompatibilidade De Genios」(Joao Boscoのカヴァー)をはじめ、ボサノヴァ・ロックな「Perdeu」、ミクスチャー・ロック的な「Lobao Tem Razao」、格好良さでいえばアルバム一番の「A Cor Amarela」、ブラジル新世代のエッセンスを巧みに取り入れた「Falso Leblon」、オルタナティヴ・ロックによるサンバ・カヴァー「Ingenuidade」、ポスト・ロックな魅力がある「Lapa」あたりが僕のおススメです。
Caetano Velosoも含めて、ブラジル人ミュージシャンは年齢を重ねても創造意欲に満ちた人が多いですね。憧れます。
全曲紹介しときやす。
「Perdeu」
Caetano Veloso作。ボサノヴァ・ロックとでも呼びたくなるオープニング。Caetano Veloso節とオルタナティヴなサウンドの面白さが巧く調和しています。
https://www.youtube.com/watch?v=MvxrvKKyOP0
「Sem Cais」
Caetano Veloso/Pedro Sa作。さり気ないですがブラジル新世代ならではのロック・サウンドをCaetanoが見事に吸収しています。
https://www.youtube.com/watch?v=QrvNOIASC8g
「Por Quem?」
Caetano Veloso作。線の細いCaetanの弱々しい歌声が良くも悪くも印象的です。
「Lobao Tem Razao」
Caetano Veloso作。バッキングのミクスチャー・ロック的な面白さに惹かれてしまう1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=Y4ZT7orqTWY
「A Cor Amarela」
Caetano Veloso作。アーバン×ブラジリアン・リズム×オルタナティヴ・ロックの融合が素晴らしい1曲。格好良さでいえばアルバムで一番です。
https://www.youtube.com/watch?v=sXoE9pVoPm8
「A Base De Guantanamo」
Caetano Veloso作。キューバにある悪名高い米軍グァンタナモ基地秘密収容所をタイトルに冠した曲。ヴォーカル&演奏もクセが強いです。
https://www.youtube.com/watch?v=bo_9S5bDPGI
「Falso Leblon」
Caetano Veloso作。Caetano Velosoの個性と息子Moreno Velosoらブラジル新世代の感性が見事に一体化しています。
https://www.youtube.com/watch?v=1u4s2vJ4Xbs
「Incompatibilidade De Genios」
Joao Bosco/Aldir Blanc作。Joao Boscoのオリジナルはアルバム『Galos de Briga』(1976年)収録。ポスト・ロック的な感性の本カヴァーは『ローリング・ストーン・ブラジル』誌が選出した「2009年の最も優れた25曲(国内部門)」で13位にランク・インしました。
https://www.youtube.com/watch?v=wMfY7gX1q_I
「Tarado Ni Voce」
Caetano Veloso作。息の合ったバンド・サウンドを楽しめます。特にPedro Saのギターが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=KeI66d6V_eM
「Menina De Ria」
Caetano Veloso作。スピード感のある演奏ながらも何処となくユーモラスな雰囲気も漂います。
https://www.youtube.com/watch?v=vi3gRo5WaZo
「Ingenuidade」
Serafim Adriano Da Silva作。オルタナティヴ・ロック・サウンドによるサンバ・カヴァー。ロッキンながらもしっかりサンバしています。
https://www.youtube.com/watch?v=Ul_nhXKouKQ
「Lapa」
Caetano Veloso作。曲自体はいつものCaetano節全開ですが、それをポスト・ロック的に聴かせるのが本作らしい魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=EpicGPKXEiI
「Diferentemente」
Caetano Veloso作。ラストはメロウに締め括ってくれます。オルタナなメロウ・サウンドも魅力的です。
https://www.youtube.com/watch?v=nhr5KBcEk4s
Caetano Velosoの過去記事もご参照下さい。
『Tropicalia:Ou Panis Et Circencis』(1968年)
『Caetano Veloso』(1969年)
『Caetano Veloso』(1971年)
『Araca Azul』(1973年)
『Joia』(1975年)
『Qualquer Coisa』(1975年)
『Outras Palavras』(1981年)
『Cores, Nomes』(1982年)
『Caetano Veloso (1986)』(1986年)
『Caetano』(1987年)