2019年12月06日

Maria Bethania『Maria』

円熟を増した演劇的な歌世界☆Maria Bethania『Maria』

発表年:1988年
ez的ジャンル:円熟系女性MPB
気分は... :セピア色の美学!

今回はCaetano Velosoの妹にしてブラジルを代表する女性シンガーMaria Bethania『Maria』(1988年)です。

これまで当ブログで紹介したMaria Bethania作品は以下の6枚。

 『Edu E Bethania』(1967年) 
 ※Edu Loboとの共演作
 『Recital Na Boite Barroco』(1968年)
 『Maria Bethania (1969)』(1969年)
 『Passaro Proibido』(1976年)
 『Alibi』(1978年)
 『Ciclo』(1983年)

僕が最初に聴いたMaria Bethania作品が本作『Maria』(1988年)でした。

1988年当時のワールド・ミュージック・ブームの流れで本作に興味を持ったのが聴いたきっかけです。当時はブラジル音楽の知識も乏しく、聴いてもピンと来ない部分もありました。内容よりもジャケのインパクトの方が大きかったかもしれません(笑)

しかしながら、改めて作品を眺めてみると、Maria Bethaniaらしい演劇的なヴォーカルを満喫できる楽曲メインで、バイーア出身らしいアフロ・ブラジリアン色の強い楽曲、ワールド・ミュージック的な楽曲、ヨーロピアン・モードの楽曲がアクセント的に配置されている構成が見事な1枚だと思います。

南アフリカの黒人男性コーラス・グループLady Smith Black Mambazoのフィーチャーした「A Terra Tremeu/Ofa」Gal Costaとの共演曲「O Ciume」、フランスを代表する女優Jeanne Moreauによる詩の朗読をフィーチャーした「Poema dos Olhos da Amada」Joyce作の「Mulheres do Brasil」、そして兄Caetano Veloso作品の4曲など聴き所が多くあります。

個人的にはJaime Alem(元Jaime & Nair)作の「Verdades e Mentiras」が一番のおススメです。ちなみにJaime Alemは一部でアレンジも手掛け、本作のコンテンポラリーな魅力にも大きく寄与しています。

円熟を増したMaria Bethaniaワールドを楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「A Terra Tremeu/Ofa」
Roberto Mendes/J. Velloso作。南アフリカの黒人男性コーラス・グループLady Smith Black Mambazoをフィーチャーしたア・カペラがオープニング。ワールド・ミュージックの流れを敏感にキャッチしているMariaのアンテナが素晴らしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=gYy1280xoz4

「Recado Falado」
Alceu Valenca作。作者Andar Andarヴァージョンはアルバム『Andar Andar』(1990年)に収録されています。コンテンポラリー感のあるサウンドをバックに、Mariaがしみじみと歌います。
https://www.youtube.com/watch?v=UEwir5eaXTY

「Verdades e Mentiras」
Jaime Alem(元Jaime & Nair)作。真実の愛を実直に歌い上げる感動の仕上がり。ブラジルを代表するチェロ奏者Jaques Morelenbaumの美しい弦の響きにも魅了されます。
https://www.youtube.com/watch?v=2ow32yS3v0A

「Mulheres do Brasil」
Joyce作。Joyce本人ヴァージョンは『Revendo Amigos』(1994年)に収録されています。生命の鼓動を感じる僕好みのブラジリアン・グルーヴ。Joyce作品とMariaのヴォーカルが見事に調和しています。
https://www.youtube.com/watch?v=mh9KnGYGzd0
Joyce「Mulheres do Brasil」
 https://www.youtube.com/watch?v=_vEduiIK7ZY

「Poema dos Olhos da Amada」
Vinicius de Moraes/Paulo Soledade作。フランスを代表する女優Jeanne Moreauが詩を朗読します。フランス/ヨーロピアン・モードのセピア色の哀愁チューンに仕上がっています。本曲について、当ブログではBaden Powellのカヴァーも紹介済みです。
https://www.youtube.com/watch?v=sz8CrFTgHLs

「Ta Combinado」
Caetano Veloso作品その1。コンテンポラリーなアレンジと演劇的なMariaのヴォーカルがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=s9gJq3Lqb9A

「Eu e Agua」
Caetano Veloso作品その2。アフロ・ブラジリアンなパーカッシヴ・サウンドはジャケのイメージにピッタリです。大自然の息吹を感じる1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=50WTAVAHRrM

「O Que os Olhos Nao Veem/Eu Sou a Outra」
Luis Bandeira作「O Que os Olhos Nao Veem」とRicardo Galeno作「Eu Sou a Outra」のメドレー。コンテンポラリー・ボッサな「O Que os Olhos Nao Veem」に続き、ピアノをバックに演劇的なヴォーカルを聴かせてくれる「Eu Sou a Outra」へ展開します。
https://www.youtube.com/watch?v=nOLfLerty5A

「Onde Andaras」
Caetano Veloso作品その3(Caetano Veloso/Ferreira Gullar作)。Caetanoのオリジナルは『Caetano Veloso』(1968年)に収録されています。Mariaならではの表現力を存分に堪能できるセピア色の寂しげなバラードがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=pGNADA5NgLE

「O Ciume」
Caetano Veloso作品その4。Caetanoのオリジナルは『Caetano』(1987年)に収録されています。Gal Costaとの共演というファンには嬉しい1曲です。大物2人の堂々とした歌いっぷりに圧倒されます。
https://www.youtube.com/watch?v=m0NU3-mdORY

「Noite de Cristal/Bandeira Branca」
Caetano Veloso作品その5。ラストはCaetano Veloso作「Noite de Cristal」とMax Nunes / Laercio Alves作「Bandeira Branca」のメドレー。バイーアの風を感じるアフロ・ブラジリアンなアコースティック・チューン&ア・カペラのメドレーです。
https://www.youtube.com/watch?v=3z9r-uCrJM4

僕が保有するCDはオリジナルの11曲のみですが、最近のCDにはボーナス・トラックが4曲追加収録されています。

Maria Bethaniaの他作品もチェックを!

『Maria Bethania』(1965年)
Maria Bethania

Edu Lobo & Maria Bethania『Edu E Bethania』(1967年)
エドゥ・ロボ&マリア・ベターニア

『Recital Na Boite Barroco』(1968年)
Recital Na Boite Barroco (Dig)

『Maria Bethania (1969)』(1969年)
Maria Bethania

『A Tua Presenca...』(1971年)
Tua Presenca

『Rosa dos Ventos』(1971年)
Rosa Dos Ventos

『Drama 3o Ato』(1973年)
Drama 3? Ato

『A Cena Muda』(1974年)
Cena Muda

Chico Buarque & Maria Bethania『Chico Buarque & Maria Bethania Ao Vivo』(1975年)
Chico Buarque & Maria Bethania

『Passaro Proibido』(1976年)
Passaro Proibido

『Passaro Da Manha』(1977年)
Passaro Da Manha

『Alibi』(1978年)
アリバイ

『Mel』(1979年)
Mel

『Talisma』(1980年)
Talisma

『Alteza』(1981年)
Alteza

『Ciclo』(1983年)
Ciclo
posted by ez at 02:01| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする