発表年:1988年
ez的ジャンル:円熟系女性MPB
気分は... :セピア色の美学!
今回はCaetano Velosoの妹にしてブラジルを代表する女性シンガーMaria Bethaniaの『Maria』(1988年)です。
これまで当ブログで紹介したMaria Bethania作品は以下の6枚。
『Edu E Bethania』(1967年)
※Edu Loboとの共演作
『Recital Na Boite Barroco』(1968年)
『Maria Bethania (1969)』(1969年)
『Passaro Proibido』(1976年)
『Alibi』(1978年)
『Ciclo』(1983年)
僕が最初に聴いたMaria Bethania作品が本作『Maria』(1988年)でした。
1988年当時のワールド・ミュージック・ブームの流れで本作に興味を持ったのが聴いたきっかけです。当時はブラジル音楽の知識も乏しく、聴いてもピンと来ない部分もありました。内容よりもジャケのインパクトの方が大きかったかもしれません(笑)
しかしながら、改めて作品を眺めてみると、Maria Bethaniaらしい演劇的なヴォーカルを満喫できる楽曲メインで、バイーア出身らしいアフロ・ブラジリアン色の強い楽曲、ワールド・ミュージック的な楽曲、ヨーロピアン・モードの楽曲がアクセント的に配置されている構成が見事な1枚だと思います。
南アフリカの黒人男性コーラス・グループLady Smith Black Mambazoのフィーチャーした「A Terra Tremeu/Ofa」、Gal Costaとの共演曲「O Ciume」、フランスを代表する女優Jeanne Moreauによる詩の朗読をフィーチャーした「Poema dos Olhos da Amada」、Joyce作の「Mulheres do Brasil」、そして兄Caetano Veloso作品の4曲など聴き所が多くあります。
個人的にはJaime Alem(元Jaime & Nair)作の「Verdades e Mentiras」が一番のおススメです。ちなみにJaime Alemは一部でアレンジも手掛け、本作のコンテンポラリーな魅力にも大きく寄与しています。
円熟を増したMaria Bethaniaワールドを楽しめる1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「A Terra Tremeu/Ofa」
Roberto Mendes/J. Velloso作。南アフリカの黒人男性コーラス・グループLady Smith Black Mambazoをフィーチャーしたア・カペラがオープニング。ワールド・ミュージックの流れを敏感にキャッチしているMariaのアンテナが素晴らしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=gYy1280xoz4
「Recado Falado」
Alceu Valenca作。作者Andar Andarヴァージョンはアルバム『Andar Andar』(1990年)に収録されています。コンテンポラリー感のあるサウンドをバックに、Mariaがしみじみと歌います。
https://www.youtube.com/watch?v=UEwir5eaXTY
「Verdades e Mentiras」
Jaime Alem(元Jaime & Nair)作。真実の愛を実直に歌い上げる感動の仕上がり。ブラジルを代表するチェロ奏者Jaques Morelenbaumの美しい弦の響きにも魅了されます。
https://www.youtube.com/watch?v=2ow32yS3v0A
「Mulheres do Brasil」
Joyce作。Joyce本人ヴァージョンは『Revendo Amigos』(1994年)に収録されています。生命の鼓動を感じる僕好みのブラジリアン・グルーヴ。Joyce作品とMariaのヴォーカルが見事に調和しています。
https://www.youtube.com/watch?v=mh9KnGYGzd0
Joyce「Mulheres do Brasil」
https://www.youtube.com/watch?v=_vEduiIK7ZY
「Poema dos Olhos da Amada」
Vinicius de Moraes/Paulo Soledade作。フランスを代表する女優Jeanne Moreauが詩を朗読します。フランス/ヨーロピアン・モードのセピア色の哀愁チューンに仕上がっています。本曲について、当ブログではBaden Powellのカヴァーも紹介済みです。
https://www.youtube.com/watch?v=sz8CrFTgHLs
「Ta Combinado」
Caetano Veloso作品その1。コンテンポラリーなアレンジと演劇的なMariaのヴォーカルがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=s9gJq3Lqb9A
「Eu e Agua」
Caetano Veloso作品その2。アフロ・ブラジリアンなパーカッシヴ・サウンドはジャケのイメージにピッタリです。大自然の息吹を感じる1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=50WTAVAHRrM
「O Que os Olhos Nao Veem/Eu Sou a Outra」
Luis Bandeira作「O Que os Olhos Nao Veem」とRicardo Galeno作「Eu Sou a Outra」のメドレー。コンテンポラリー・ボッサな「O Que os Olhos Nao Veem」に続き、ピアノをバックに演劇的なヴォーカルを聴かせてくれる「Eu Sou a Outra」へ展開します。
https://www.youtube.com/watch?v=nOLfLerty5A
「Onde Andaras」
Caetano Veloso作品その3(Caetano Veloso/Ferreira Gullar作)。Caetanoのオリジナルは『Caetano Veloso』(1968年)に収録されています。Mariaならではの表現力を存分に堪能できるセピア色の寂しげなバラードがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=pGNADA5NgLE
「O Ciume」
Caetano Veloso作品その4。Caetanoのオリジナルは『Caetano』(1987年)に収録されています。Gal Costaとの共演というファンには嬉しい1曲です。大物2人の堂々とした歌いっぷりに圧倒されます。
https://www.youtube.com/watch?v=m0NU3-mdORY
「Noite de Cristal/Bandeira Branca」
Caetano Veloso作品その5。ラストはCaetano Veloso作「Noite de Cristal」とMax Nunes / Laercio Alves作「Bandeira Branca」のメドレー。バイーアの風を感じるアフロ・ブラジリアンなアコースティック・チューン&ア・カペラのメドレーです。
https://www.youtube.com/watch?v=3z9r-uCrJM4
僕が保有するCDはオリジナルの11曲のみですが、最近のCDにはボーナス・トラックが4曲追加収録されています。
Maria Bethaniaの他作品もチェックを!
『Maria Bethania』(1965年)
Edu Lobo & Maria Bethania『Edu E Bethania』(1967年)
『Recital Na Boite Barroco』(1968年)
『Maria Bethania (1969)』(1969年)
『A Tua Presenca...』(1971年)
『Rosa dos Ventos』(1971年)
『Drama 3o Ato』(1973年)
『A Cena Muda』(1974年)
Chico Buarque & Maria Bethania『Chico Buarque & Maria Bethania Ao Vivo』(1975年)
『Passaro Proibido』(1976年)
『Passaro Da Manha』(1977年)
『Alibi』(1978年)
『Mel』(1979年)
『Talisma』(1980年)
『Alteza』(1981年)
『Ciclo』(1983年)