2020年01月26日

Sandro Haick『Universal』

Hermeto Pascoalを継承する音楽ワールド☆Sandro Haick『Universal』
ユニバーサル
発表年:2019年
ez的ジャンル:ブラジル産ユニバーサル・ミュージック
気分は... :万華鏡のように・・・

今回は新作ブラジルものからSandro Haick『Universal』(2019年)です。

Sandro Haickは1971年ブラジル、サンパウロ生まれのマルチ・インストゥルメンタリスト/コンポーザー/アレンジャー。

1983年にアイドル・グループBom Bomのメンバーとして12歳にしてレコード・デビュー。

その後もライヴやレコーディングにおいて、マルチ・プレイヤー/コンポーザー/アレンジャー/プロデューサーとして活躍し、自身名義のアルバムもリリースしています。

最新作となる本作『Universal』(2019年)は、ブラジル音楽界の異才Hermeto Pascoal(1936〜)を意識したアルバムに仕上がっています。

アルバム・タイトルも自らの音楽を"Musica Universal"を称してきたHermeto Pascoalの音楽哲学を継承しようとする意志が伝わってくるものです。

Hermeto Pascoal本人が参加し、Pascoalを支えてきた右腕Itibere ZwargSandro Haickと共同プロデュースを務め、Pascoal系ミュージシャンが多数参加しています。

レコーディングにはSandro Haick(ds、per、b、g、sitar、p、el-p、key、tp、vo、 etc.)以下、Itibere Zwarg(b、key、el-p、tuba、per、vo)、Hermeto Pascoal(melodica、per、voice)、Fabio Pascoal(pandeiro)、Raul De Souza(tb)、Carol Panesi(violin)、Gustavo Bugni(p、el-p、key)、Jota P.(ss、ts、as、bs)、Mestrinho(acordeon)、Mariana Zwarg(fl、piccolo)、Diego Garbin(tp、flh)、Paulo Rosane(vo)、Felipe Pedrosa(vo)、Guilherme Rutzen(vo)、Carol D'Avila(vo)等のミュージシャンが名を連ねます。

さまざまな楽器を駆使したハイブリッドな音世界を満喫できます。1曲1曲の音作りのユニークさに惹き込まれます。

万華鏡のようなユニバーサル・ミュージックを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Esperanca」
Sandro Haick作。寛いだ雰囲気の中にもスケールの大きな音世界を感じるオープニング。1曲の中にストーリーを感じます。まさにユニバーサル・ミュージックといった雰囲気です。

「Cara, Coracao e Coragem」
Itibere Zwarg作。Jota P.、Diego Garbinの素敵なサックス、フルートとSandroのギターとの絡みが美しい透明感のある演奏です。

「Compartihando o Forro」
Itibere Zwarg作。Diego Garbinのフルートが大活躍の1曲。Itibere Zwargのベースも目立っています。また、Mestrinhoのアコーディオンがいいアクセントになっています。

「Meu Querido Itibere」
Sandro Haick作。Sandroのマルチ・プレイヤーぶりを満喫できる演奏です。特にドラマーとしてのプレイに注目!フュージョン/ジャズ・ロック的なサウンドのなかにもエクスペリメンタルな雰囲気があるのがいいですね。

「Perdao」
Sandro Haick作。素敵なヴァイオリンと共に始まるビューティフルな演奏です。Pedro Aznarの天使の歌声をフィーチャーしたPat Metheny Group作品のような雰囲気がサイコーです。

「Como Vai」
Itibere Zwarg作。Hermeto Pascoal参加曲。彼のメロディカと共に始まります。メリハリの効いたリズミックな演奏で楽しませてくれます。Itibere Zwargのチューバがいい隠し味になっています。

「Duguiduguiando」
Hermeto Pascoal作。Sandroがシタール、ウード、中国琴、ウクレレなど多様な楽器を奏でる摩訶不思議な演奏です。

「Chorando no Brejo da Madre de Deus」
Sandro Haick作。ショーロ風の演奏ですが、美しいストリングスやItibere Zwargのチューバが加わり、Sandroの美意識を強く感じる演奏になっています。

「Do Rio a Sampa」
Itibere Zwarg作。SandroのギターとItibere Zwargのチューバの組み合わせがいい味を出しています。

「1966」
Itibere Zwarg作。Raul De Souza参加曲。彼のトロンボーンが演奏を牽引します。全体的には穏やかなブラジリアン・ジャズといった雰囲気です。

「Parente do Ze」
Itibere Zwarg作。Carol D'Avilaの女声スキャット・ヴォーカルをフィーチャーした爽快ブラジリアン・ジャズといった趣の演奏です。

「Que Alegria Voltar pra Casa」
Sandro Haick作。ユニバーサル・ミュージックらしいスケールの大きな演奏を楽しめます。Mariana Zwargのピッコロがいい味を出しています。

「Trenzinho do Caipira」
ラストはHeitor Villa-Lobos作品のカヴァー。当ブログではViva Vozのカヴァーも紹介済みです。前半はサウダージな展開ですが、後半は雰囲気が一変し、リズミックな展開でフィナーレを迎えます。

Sandro Haickの作品で他に入手できるCDは『Forro do Haick Vol 1』(2016年)位のようですが、ご興味がある方はチェックを!

『Forro do Haick Vol 1』(2016年)
Caminhando
posted by ez at 01:35| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする