2020年02月10日

DKD『Future Rage』

西ロンドンの最強トリオ☆DKD『Future Rage』
Future Rage
発表年:2003年
ez的ジャンル:西ロンドン系フューチャー・ソウル/ブギー/ブロークンビーツ
気分は... :センスメイキングが大事!

2000年代西ロンドンのクラブ・ミュージック/ブラック・ミュージックを隆盛を象徴する1枚、DKD『Future Rage』(2003年)です。

DKDは、4Heroでの活動を皮切りに、ロンドンの音楽シーンにインパクトを与えてきたDegoDennis McFarlane)、Bugz In The Atticの活動に加え、Degoとのタッグでもお馴染みのKaidi Tatham、同じくBugz In The AtticDaz-I-KueDarren Benjamin)によるユニット。

ユニット名はメンバー3名の頭文字です。

結局、DKD名義の作品は本作『Future Rage』(2003年)のみでしたが、西ロンドンの強力トリオによるフューチャー・ソウル/ブギー/ブロークンビーツは、今聴いて魅力的です。

プロデュースはDKD

アルバムにはLady AlmaBembe Segueといった西ロンドンの歌姫、4HeroMondo Grosso作品への参加で日本でもお馴染みの女性シンガーFaceRasiyahTammariah LewisMotet、さらにはUS男性ネオソウル・シンガーDonnieといったシンガーがフィーチャリングされています。

フューチャリスティックなブギーの「Future Rage」、Lady Almaをフィーチャーしたアーバン・フューチャー・ファンク「Getaway」、Bembe Segueをフィーチャーしたアーバン・メロウ「You Know It」、Degoらしさ全開のダンサブル・チューン「Super Amazing」、フューチャリスティックなアフロビート「Breakers Yard」Donnieをフィーチャーしたフューチャー・ソウル「We Can Make It」あたりが僕のおススメです。

2000年代西ロンドンの勢いを感じたい方はぜひ!

全曲紹介しときやす。

「Getaway」
Lady Almaをフィーチャー。ブロークンビーツなフューチャー・ファンク。アーバンな雰囲気がLady Almaの艶やかなヴォーカルともフィットしています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZNEdtjqlZXc

「Brighter Day」
Rasiyah/Tammariah Lewisをフィーチャー。80年代エレクトリック・ファンクを2003年西ロンドン仕様にアップデートした仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=p_Fj1o4WDks

「You Know It」
Bembe Segueをフィーチャー。アーバン・メロウなフューチャー・ソウル。薄っすらとしたブラジリアン・フレイヴァーがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=hsLR70Pw6t4

「No Time」
コズミック・ジャズ・ファンク調のインスト。70年代ジャズ・ファンクを西ロンドン仕様にしたような仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=V9CTJQKhSOQ

「Interlude: The Gravitational Pull Of Her (X3)」
インタールード。

「Future Rage」
タイトル曲はブロークンビーツなフューチャー・ブギー。ヴォーカルはFace、Dego、Kaidi Tatham。フューチャリスティックなファンキー・サウンドがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=fVS09se27Is

「Natty Head」
Rasiyahのヴォーカルをフィーチャー。印象的なビートのダンサブル・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=tTnaO1aiedI

「Super Amazing」
ヴォーカルはFace、D.T.X.(Dego)。今聴くとDegoらしさ全開のダンサブル・チューン。西ロンドンならではのフューチャー・ブギーといった趣です。
https://www.youtube.com/watch?v=_THq28PSM5I

「Breakers Yard」
フューチャリスティックなアフロビートといった雰囲気のインスト・チューン。近未来的なトライバル・サウンドは刺激的です。

「Look Who's Talking」
本編ラストはMotetをフィーチャー。Adam Rockのスクラッチ入りのサウンド・システム的な仕上がりです。

「We Can Make It」
国内盤ボーナス・トラック。この曲のみBugz In The AtticのOrin Waltersとの共同プロデュース。US男性ネオソウル・シンガーDonnieをフィーチャー。ミッドナイトな疾走感がたまらないフューチャー・ソウル。
https://www.youtube.com/watch?v=yzjyEJ2AEBY

DegoKaidi Tatham関連の過去記事もご参照ください。

4Hero『Parallel Universe』(1994年)
Parallel Universe

Tek 9『Simply』(1999年)
Simply (+ Bonus Tracks)

Neon Phusion『The Future Ain't the Same as It Used 2 B』(1999年)
The Future Ain't the Same as It Used 2 B

4Hero『Creating Patterns』(2001年)
Creating Patterns

Silhouette Brown『Silhouette Brown』(2004年)
シルエット・ブラウン

Bugz In The Attic『Back In The Doghouse』>(2006年)
Back in the Doghouse

4Hero『Play with the Changes』(2007年)
Play With the Changes (Dig)

2000Black『A Next Set A Rockers』(2008年)
ア・ネクスト・セット・ア・ロッカーズ

Dego『A Wha' Him Deh Pon?』(2011年)
A Wha Him Deh Pon ?

Dego『The More Things Stay The Same』(2015年)
The More Things Stay The Same (ザ・モア・シングズ・ステイ・ザ・セイム)

Dego & Kaidi『A So We Gwarn』(2017年)
ソー・ウィー・グワン (SO WE GWARN)

Kaidi Tatham『It's A World Before You』(2018年)
イッツ・ア・ワールド・ビフォア・ユー

Dego『Too Much』(2019年)
トゥー・マッチ
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2020年02月09日

Jose James『No Beginning No End 2』

Blue Noteから独立!『No Beginning No End』の第2弾☆Jose James『No Beginning No End 2』
ノー・ビギニング・ノー・エンド 2
発表年:2020年
ez的ジャンル:新世代男性ジャズ・シンガー
気分は... :2020年カテゴリー新設

遂に当ブログで10年ぶりの新カテゴリー"2020年代"を設けました。

まさか2020年代カテゴリーを作るまでブログを続けているとは思っていなかったので感慨深いものがあります。

その2020年代カテゴリーの1枚目となる作品は、新世代ジャズを代表する男性ジャズ・シンガーJose Jamesの最新作『No Beginning No End 2』です。

1978年ミネアポリス生まれの男性ジャズ・シンガーJose Jamesについて、これまで当ブログで紹介した作品は以下の7枚。

 『The Dreamer』(2007年)
 『Blackmagic』(2010年)
 『No Beginning No End』(2013年)
 『While You Were Sleeping』(2014年)
 『Yesterday I Had The Blues』(2015年)
 『Love In A Time Of Madness』(2017年)
 『Lean On Me』(2018年)

本作『No Beginning No End 2』は、Jose Jamesの人気を決定づけたBlue Note移籍第一弾アルバム『No Beginning No End』(2013年)の続編アルバムとなります。

ジャズとソウルを融合させた『No Beginning No End』の音世界は、D'Angelo『Voodoo』(2000年)を聴いたときのようなインパクトを僕に与えました。

『No Beginning No End』(2013年)
ノー・ビギニング・ノー・エンド

その後Blue Noteを代表する男性ジャズ・シンガーとして4枚のリーダー作をリリースしてきたJoseですが、本作はそのBlue Noteを放て、新たに立ち上げた自身のレーベルRainbow Blondeからのリリースとなります。

Joseと並ぶBlue Noteの看板アーティストだったRobert Glasperも昨年Blue Noteを離れ、ジャズ界の大きさサイクルに1つの区切りがついた印象を受けますね。

このJoseの心機一転に影響を与えているのはイスラエルをルーツに持つ女性シンガー・ソングライターTaali(Talia Billig)

彼女は過去にもJose James作品に参加していましたが、先に述べたJoseが立ち上げたレーベルRainbow Blondeの第一弾アーティストとして初ソロ・アルバムTaali『I Am Here』を2019年3月にリリースします。さらに2019年5月にJoseとTaaliは結婚します。

Taali『I Am Here』(2019年)
アイ・アム・ヒア

このタイミングで新レーベルを立ち上げ、『No Beginning No End』のパート2を制作したのは、Joseにとって大きな意味を持つものなのでしょうね。

その最新作『No Beginning No End 2』は、パート1と同じくジャズの枠に囚われないJose Jamesらしい1枚に仕上がっています。

プロデュースはJose JamesBrian Bender

公私のパートナーとなったTaali(Talia Billig)(vo)をはじめ、当ブログでお馴染みの女性ネオソウル・シンガーLedisi(vo)、現在進行形ジャズを牽引するジャズ・トランぺッターChristian Scott aTunde Adjuah(tp)、ワシントンD.C.出身の新進女性シンガーCecily(vo)、アングラHip-HopユニットEmanonのメンバーから人気男性R&Bシンガーへと飛躍したAloe Blaccブルックリンを拠点とする男性シンガーJ. Hoard(Jonathan Hoard)(vo)、独自のヴォーカルワークで人気のUK黒人女性シンガー・ソングライターLaura Mvula(vo)、現在進行形ジャズを代表する黒人ジャズ・ピアニストKris Bowers(key)、既に6枚のリーダー・アルバムをリリースしている黒人女性ジャズ・シンガーLizz Wright(vo)、ブルース/ロック系作品に参加してきた黒人ギタリストMarcus Machado(g)、モロッコ生まれ、パリ育ちの女性シンガー・ソングライターHindi Zahra(vo)、スイス出身のフランス人ジャズ・トランぺッターErik Truffaz(tp)といった多彩なアーティストがフィーチャリングされています。

それ以外の主要レコーディング・メンバーはBrett Williams(key)、Takeshi Ohbayashi(大林武司)(key)、Alan Hampton(g)、Brian Bender(g)、Ben Williams(b)、Jamire Williams(ds)、Justin Tyson(ds)、Alberto Lopez (Quetzal)(per)。

Alan HamptonBen WilliamsJamire WilliamsJustin TysonはJazz The New Chapter好きの人であれば、お馴染みのミュージシャンですね。

アルバム全体はハッピー&ポジティヴな雰囲気に包まれています。JoseとTaaliの愛を感じる曲が多いのも印象的です。

いわゆるオーセンティックなジャズは1曲のみで、それ以外はR&B/ソウル寄りの楽曲が多いですね。

"ジャズ"という形容での説明不要なアーティストであることを改めて示してくれたJose Jamesの現在地をそのままパッケージングした1枚だと思います。

パート1に引けを取らない名盤だと思います。

全曲紹介しときやす。

「I Need Your Love」
LedisiChristian Scott aTunde Adjuahをフィーチャー。JoseとLedisiの共作です。
Jose自身の味のあるアコギをバックに、Joseのファルセット・ヴォーカルとLedisiの艶やかなヴォーカルが映える哀愁ネオソウルに仕上がっています。Christian Scott aTunde Adjuahがオトナの哀愁ムードを演出します。
https://www.youtube.com/watch?v=ux5efB3tpvQ

「You Know What it Do」
Jose James/Taali/Scott Jacoby作。札幌出身の女性シンガー・ソングライターRihwa(リファ)による♪いち、に♪いち、に、さん、し♪という日本語カウントで始まる軽快なロックンロール。実にリラックスした楽しげな演奏です。

「Feels So Good」
Cecilyをフィーチャー。Jose James/Taali/Scott Jacoby作。Marcus Machadoの軽快なギター・カッティングが牽引する爽快メロウ・ダンサー。Minnie Ripertonを思わせるCecilyの透明感のある天使の歌声とサウンドがよくマッチしています。

「Turn Me Up」
Aloe Blaccをフィーチャー。Jose、Aloe Blacc、Taali、Scott Jacoby、Kris BowersBen WilliamsJamire WilliamsさらにはPino Palladinoとの共作。開放的なファンキー・グルーヴ。演奏全体に漲るポジティヴ・モードがJoseの現在そのもののようです。
https://www.youtube.com/watch?v=hJfz0ypikxg

「Just The Way You Are」
本作唯一のカヴァーはBilly Joelの名曲「素顔のままで」。オリジナルは『The Stranger』(1977年)収録。意外なセレクトにも思えますが、愛するTaaliへの思いを込めたカヴァーと考えれば至極当然のカヴァー・セレクトといえるでしょう。JoseのTaaliへの素直な思いを込めたヴォーカルが心に沁みてきます。Marcus Machadoのギター・ソロもグッド!

永遠の名曲「Just The Way You Are」に関して、当ブログではMeta Roos & Nippe Sylwens BandTill BronnerDardanellesGenaiのカヴァーも紹介済みです。

「Baby Don't Cry」
J. Hoardをフィーチャー。Jose James/Taali/Scott Jacoby作。これはMarvin Gayeを意識した雰囲気のセクシー&メロウなソウル・グルーヴはソウル/R&Bファンならば気に入るはず。Brett Williamsのメロウ・エレピも印象的です。

「Nobody Knows My Name」
Laura MvulaKris Bowersをフィーチャー。曲もJoseとKris Bowersの共作。アルバムでは唯一のオーセンティックなジャズ演奏を聴くことができます。Bowersを中心としたピアノ・トリオのバッキングのみならず、ア・カペラ・パートも含めてJoseとMvulaが素晴らしいヴォーカルを披露してくれます。

「Take Me Home」
Lizz Wrightをフィーチャー。Jose James作。ブルージーなソウル・チューンをJoseとLizzがデュエットします。現代ジャズらしいアーシー・サウンドがいい味わいです。

「I Found a Love」
愛妻Taaliをフィーチャー。曲も2人の共作です。Brett Williamsのウーリッツァー・ピアノをバックにJoseとTaaliが二人が見つけた愛を歌い上げる感動バラード。Stevie Wonderの名バラードに通じる感動があります。

「Saint James」
この曲もJoseとTaaliの共作。シンガー・ソングライター的な雰囲気のアコースティック・バラード。優しさと寂しさが同居する本作には珍しい哀愁チューンです。

「Miss Me When I’m Gone」
Marcus Machadoのギターをフィーチャー。Jose James作。Machadoのギターが映える味わい深いブルージー・バラード。Alan Hamptonのアコギもさり気ないですがいい味出しています。

「Oracle (高尾山)」
Hindi ZahraのヴォーカルとErik Truffazのトランペットをフィーチャー。Jose James/Taali/Scott Jacoby作。実際に高尾山に登り、パワースポットから何を感じた体験が詞になっています。そのせいもあってスピリチャルな雰囲気を帯びた深淵バラードに仕上がっています。

「You Know What It Do (Scott Jacoby Version)」
国内盤ボーナス・トラック。「You Know What It Do」の別ヴァージョンです。こちらのカウントは♪One,two♪One,two,three,four♪です(笑)。

Jose Jamesの他作品もチェックを!

『The Dreamer』(2007年)
The Dreamer [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック3曲収録 / 国内盤] (BRC369)

『Blackmagic』(2010年)
Blackmagic [帯解説・ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] 期間限定廉価盤 (BRC246Z)

Jose James & Jef Neve『For All We Know』(2010年)
For All We Know

『No Beginning No End』(2013年)
ノー・ビギニング・ノー・エンド

『While You Were Sleeping』(2014年)
While You Were Sleeping

『Yesterday I Had The Blues』(2015年)
イエスタデイ・アイ・ハド・ザ・ブルース

『Love In A Time Of Madness』(2017年)
ラヴ・イン・ア・タイム・オブ・マッドネス

『Lean On Me』(2018年)
リーン・オン・ミー
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2020年02月07日

Santana『Welcome』

新メンバーによるスピリチュアルな1枚☆Santana『Welcome』
ウェルカム
発表年:1973年
ez的ジャンル:スピリチュアル系ジャズ/フュージョン
気分は... :物質、精神の向こうに霊性がある・・・

ラテン・ロックの雄として人気を博したSantanaが新機軸を推し進めた『Welcome』(1973年)です。

Carlos Santana率いるSantanaに関して、これまで当ブログで紹介したのは以下の4枚。

 『Santana』(1969年)
 『Santana III』(1971年)
 『Borboletta』(1974年)
 『Festival』(1976年)

さらにCarlos SantanaMahavishnu OrchestraJohn McLaughlinの共演アルバム『Love Devotion Surrender』(1973年)も紹介済みです。

前作『Caravanserai』(1972年)でラテン・ロック・バンドからの変貌を遂げ、スピリチュアルな方向性を示したSantanaですが、音楽性の違いからGregg Rolie(key)、Neal Schon(g)といった主要メンバーが脱退してしまいます(2人はJourneyを結成)。

そのため、Tom Coster(key)、Richard Kermode(key)、Leon Thomas(vo)といった新メンバーを迎えてレコーディングされたアルバムが本作『Welcome』(1973年)です。

実際には『Caravanserai』(1972年)と『Welcome』(1973年)の間には、前述のCarlos SantanaJohn McLaughlinの共演アルバム『Love Devotion Surrender』(1973年)があります。

『Love Devotion Surrender』は、東洋思想に傾倒した2人が音楽を通して、自己の内面と向き合ったアルバムであり、その象徴としてJohn Coltraneの名曲を2曲カヴァーしています。

本作『Welcome』にも『Love Devotion Surrender』の影響が色濃く反映されています。

タイトル曲はJohn Coltraneのカヴァーですし、John McLaughlin(g)やJohn Coltraneの未亡人Alice Coltrane(p、org)がレコーディングに参加しています。

アルバム全体としてはスピリチュアルなジャズ/フュージョン作品に仕上がっています。ラテン、ブラジル、アフロなエッセンスを取り入れた演奏もありますが、ラテン・ロックではなく、あくまでジャズの流れでそれらを消化しています。

プロデュースはCarlos SantanaMike ShrieveTom Coster

本作におけるバンド・メンバーはCarlos Santana(g、b、kalimba、per、vo)、Tom Coster(org、p、el-p、marimba、per)、Richard Kermode(org、p、el-p、marimba、per)、Douglas Rauch(b)、Michael Shrieve(ds)、Jose "Chepito" Areas(per、congas、timbales)、Armando Peraza(per、congas、bongos、cabasa)、Leon Thomas(vo、whistling)。

やはり、レア・グルーヴ方面でも人気の男性ジャズ・シンガーLeon Thomasの参加が目を引きます。

また、John McLaughlinAlice Coltrane以外に、Wendy Haas(vo)、Flora Purim(vo)、Joe Farrell(fl)、Mel Martin(fl)、Douglas Rodriguez(g)、Tony Smith(ds)、Jules Broussard(ss)、Greg Adams(strings arr)がゲスト参加しています。

酷評されることも多いアルバムですが、スピリチュアル・ジャズもそれなりに好きな僕にはフィットする1枚です。

John Coltraneのカヴァーである美しく崇高なタイトル曲「Welcome」Leon ThomasとWendy Haasのヴォーカルが映えるスピリチュアル&ソウルフル&グルーヴィーな「Love, Devotion & Surrender」、トライバルな「Samba de Sausalito」「Mother Africa」Leon Thomasの個性的ヴォーカルを楽しめる「When I Look into Your Eyes」Flora Purimをフィーチャーしたブラジリアン・ジャズ調の「Yours Is the Light」あたりが僕のおススメです。

Carlos Santanaのギターを存分に満喫できるのは「Flame-Sky」くらいですが、それでも随所に聴き所のある1枚だと思います。

ラテン・ロックのイメージは捨てて、スピリチュアルなThe New Santana Bandを楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Going Home」
お馴染みドヴォルザーク「家路」をSantanaとAlice Coltraneがアレンジしたオープニング。スピリチュアル&コズミックな音の"新世界"を聴かせてくれます。The New Santana Bandの幕開けがCarlos Santanaのギターなしという点も興味深いです。
https://www.youtube.com/watch?v=Ko36L5hfiFU

「Love, Devotion & Surrender」
Carlos Santana/Richard Kermode作。アルバム『Love Devotion Surrender』のタイトルをそのまま冠した曲。Leon ThomasとWendy Haasのヴォーカルが映えるスピリチュアル&ソウルフル&グルーヴィーな僕好みの1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=qp3jDl2t1kw

「Samba de Sausalito」
Jose "Chepito" Areas作。アフロ・サンバ調のトライバルな演奏が印象的なインスト。作者Jose "Chepito" Areasらが叩き出すトライバル・リズムに乗った新メンバーTom Costerのエレピ、Richard Kermodeのハモンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=sRtHt-CSrwQ

「When I Look into Your Eyes」
Michael Shrieve/Tom Coster作。Leon Thomasの個性的なコーラスと甘美なリードのコントラストが印象的なメロウ&ソウルフルなフュージョン・ソウル。Joe Farrellのフルート・ソロも絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=jrtY2Yk6Oss

「Yours Is the Light」
Michael Shrieve/Richard Kermode作。Flora Purimのヴォーカルをフィーチャーしたブラジリアン・ジャズ調の仕上がり。ここでようやくCarlos Santanaが彼らしいギター・ソロを聴かせてくれます。Flora Purim好きの人であれば気に入る1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=_3DnCzrfLhI

「Mother Africa」
Herbie Mannの楽曲をベースにCarlos Santana/Tom Costerが共作。カリンバ、マリンバ、コンガらによるアフリカン・サウンドにティンバレスによるラテンのアクセントが加わるトライバル・フュージョン。Jules Broussardのサックス・ソロも盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=3yeb3TSoLaM

「Light of Life」
Carlos Santana/Richard Kermode/Tom Coster作。美しいストリングス入りのスピリチュアル・ジャズ。Leon Thomasのヴォーカルはこういう曲にもフィットします。Carlos Santanaのギターも控えめですが、いい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=Bq-eny1vesI

「Flame-Sky」
Doug Rauch/Carlos Santana/John McLaughlin作。Carlos SantanaとJohn McLaughlinのギター共演を満喫する1曲。『Love Devotion Surrender』での内面的な音世界の探求を再現しています。
https://www.youtube.com/watch?v=7BcNy3oe1QU

「Welcome」
ラストはJohn Coltraneのカヴァーとなるタイトル曲。オリジナルは『Kulu Se Mama』(1965年)に収録されています。ひたすら美しく崇高なスピリチュアル・サウンドで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=CVvSE6hgPh0

Santana関連の過去記事もご参照下さい。

『Santana』(1969年)
Santana

『Santana III』(1971年)
Santana III

Carlos Santana & John McLaughlin『Love Devotion Surrender』(1973年)
魂の兄弟たち(期間生産限定盤)

『Borboletta』(1974年)
不死蝶(期間生産限定盤)

『Festival』(1976年)
Festival
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2020年02月06日

Tavares『Loveline』

Kashif作品を取り上げたアーバンな1枚☆Tavares『Loveline』
ラブライン
発表年:1981年
ez的ジャンル:兄弟グループ系アーバン・ソウル
気分は... :今夜はコの字で・・・

70〜80年代に活躍したソウル/ディスコ・グループTavaresが1981年にリリースした『Loveline』です。

マサチューセッツ州出身のRalphPoochChubbyButch Tiny というTavares兄弟によって結成されたグループTavaresの紹介は、『New Directions』(1982年)、『Supercharged』(1980年)に続き3回目となります。

本作『Loveline』はアーバン・ソウルな魅力と当時新進気鋭のクリエイターであったKashif作品が印象的な1枚に仕上がっています。

プロデュースはAlan Abrahams

レコーディングにはRaydio Charles Fearing(g)、Paul Jackson Jr.(g)、Elliott Randall(g)、Buzzy Feiten(g)、Nathan East(b)、Kenny Elliot(ds)、Laythan Armor (key)、Kashif(syn)、William Michael Lewis(syn)、Ernie Watts(sax)等が参加しています。

アルバムのハイライトはダンス・クラシックのモダン・ブギー「Loveline」、エレガント・ファンク「Keep On」、メロウ・フローター「Right On Time」という3曲のKashif作品です。

個人的には「God Bless You」「Don't Want To Fool You」というBrenda Russell作の2曲もお気に入り。

また、シングルにもなった「Turn Out The Nightlight」やアーバン・メロウな「Right Back In Your Arms Again」もおススメです。

アーバンなTavaresを聴きたい方や、初期Kashifの仕事ぶりを知りたい方におススメの1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Keep On」
Kashif/Paul Lawrence Jones III作。リード・ヴォーカルはChubbyとTiny。本作のハイライトの1つといえるエレガント・ファンク。Kashifの勢いを感じるオープニングです。
https://www.youtube.com/watch?v=HEpJOZcdn2c

Bobby Mardisがカヴァーしています。こちらも要チェック!
Bobby Mardis「Keep On」
 https://www.youtube.com/watch?v=hdDSNpuq3ek

「Turn Out The Nightlight」
Andrew Woolfolk/Bunny Hull作。リード・ヴォーカルはButch。シングルにもなったアーバン・メロウなラブ・バラード。Ernie Wattsのサックスがロマンティック・ムードを盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=OVHHiqUFOLA

「Better Love」
Charles Fearing/Laythan Armor作。リード・ヴォーカルはChubby。軽快なアーバン・ファンク。終盤はElliott Randallが流石のギター・ソロで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=iamnGcQhGw0

「God Bless You」
Brenda Russell作。リード・ヴォーカルはButch、Pooch、Ralph。ヴォーカル・グループらしい感動的なバラードで魅せてくれます。Brenda Russellのソングライティングの才を再認識できます。Ernie Wattsのサックス・ソロもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=UVlaEZed5As

「Touche」
Alan Abrahams /Charles Fearing/Laythan Armor作。リード・ヴォーカルはTiny。スピード感のあるディスコ・ファンク。Buzzy Feitenが格好良いギター・ソロでキメてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=dtnNEEM9dbI

「Loveline」
Kashif/Paul Lawrence Jones III作。リード・ヴォーカルはButch。ダンス・クラシックとして人気のモダン・ブギー。シングルにもなりました。Kashifの本領発揮といったところですね。ダンクラの風格が漂います!
https://www.youtube.com/watch?v=B0jZka4I-dY

Shawne Jacksonがカヴァーしています。
Shawne Jackson「Loveline」
 https://www.youtube.com/watch?v=7i-Mxr4n3OY

「Don't Want To Fool You」
Brenda Russell作。リード・ヴォーカルはChubbyとTiny。開放的なカッティング・ギターが心地好いアーバン・ミディアム。Elliott Randallのセンス抜群のギター・ソロもいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=BLEfMNUCZCg

「House Of Music」
Doug James/Sandy Linzer作。リード・ヴォーカルはTiny。T.S. Monkのカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『House Of Music』(1980年)収録。軽快なディスコ・ファンクで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=gsc8yyM58Ko

「Right Back In Your Arms Again」
Al Jarreau/Patrick Henderson作。リード・ヴォーカルはPooch。ソウル・ヴォーカル・グループとしての魅力とこの時代らしいアーバン・サウンドがマッチした素敵なバラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=gV85y-7FGcc

「Right On Time」
Kashif作。リード・ヴォーカルはButch。僕の一番のお気に入りのメロウ・フローター。シンセの爽快な響きがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=3NuHAYpWdVk

Tavaresの他作品もチェックを!

『Check It Out』(1974年)
チェック・イット・アウト

『Hard Core Poetry』(1974年)
Hard Core Poetry - Expanded Edition

『In the City』(1975年)
愛のディスコティック

『Sky High!』(1976年)
スカイ・ハイ

『Love Storm』(1977年)
Love Storm

『Future Bound』(1978年)
Future Bond

『Madam Butterfly』(1979年)
Madam Butterfly

『Supercharged』(1980年)
スーパーチャージド

『Love Uprising』(1980年)
Love Uprising - Expanded Edition

『New Directions』(1982年)
ニュー・ダイレクションズ(期間生産限定盤)

『Words and Music』(1983年)
ワーズ&ミュージック(期間生産限定盤)
posted by ez at 04:40| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月05日

Joyce『Language And Love』

N.Y.レコーディング第二弾☆Joyce『Language And Love』
joyce language and love.jpg
発表年:1991年
ez的ジャンル:ブラジル人女性SSW
気分は... :星屑ロンリネス・・・

人気ブラジル人女性シンガー・ソングライターJoyce(Joyce Moreno)が1991年にリリースした『Language And Love』です。

これまで当ブログで紹介したJoyce作品は以下の10枚。

 『Feminina』(1980年)
 『Agua e Luz』(1981年)
 『Tardes Cariocas』(1983年)
 『Music Inside』(1990年)
 『Ilha Brasil』(1996年)
 『Hard Bossa』(1999年)
 『Gafieira Moderna』(2001年)
 Joyce & Banda Maluca『Just A Little Bit Crazy』(2003年)
 『Bossa Duets』(2003年)
 『Tudo』(2012年)

本作『Language And Love』は、『Music Inside』(1990年)に続く、アメリカ進出第二弾アルバムであり、N.Y.で制作されたアルバムです。

本国ブラジルでは『Linguas & Amores』のタイトルでリリースされています。

プロデュースはJoyceTony Battaglia

Joyce(vo、g)、夫のTutty Moreno(ds)をはじめ、Rodrigo Campello(g)、Gil Goldstein(key、accordion)、Haroldo Mauro(p)、Kenny Werner(p)、David Williams(b)、Paul Socolow(b)、Bill Stewart(ds)、Ricky Sebastian(ds)、Bobby Mintzer(ts、fl、b clarinet)等のミュージシャンがレコーディングに参加しています。

全体的にジャジーな雰囲気でブラジリアン・モードを少し抑え気味のため、好き/嫌いが分かれるかもしれませんね。ある程度Joyceを聴いている人であれば、こういうJoyceもアリと思えるのでは?

瑞々しいJoyceのスキャット&ギターの「Caymmis」、4か国語を駆使したタイトル曲「Language And Love」Jon Hendricksとの軽快なデュエット「Taxi Driver」、N.Y.レコーディングらしい「Na Casa Do Campeao (Champion's Place)」、しっとりとした「Bailarina」、Carmen Mirandaが歌ったスタンダードの弾き語りカヴァー「Chica-Chica-Boom-Chic」あたりが僕のおススメです。

ジャジーなJoyceワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Caymmis」
Joyce作。瑞々しいJoyceのスキャット&アコースティック・ギターが心を浄化してくれるJoyceファンなら気に入ること間違いなしのオープニング。Bobby Mintzerの爽快フルートもいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Qlat_IfFUkA

「Language And Love」
Joyce作。タイトル曲は英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語を駆使したジャジーなラブ・バラード。Kenny Wernerの美しいピアノ、Gil Goldsteinのアコーディオンも素敵です。
https://www.youtube.com/watch?v=JKDbHToCE_Y

「Taxi Driver」
Jon Hendricksとのデュエット。楽曲も二人の共作です。N.Y.のタクシー・ドライバーをテーマにしたN.Y.制作らしい1曲です。軽快な二人の語り口が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=VZny1t3Gg6s

「Chansong」
Antonio Carlos Jobim作。Jobim作品をしっとりとしたジャジー・バラードで聴かせてくれます。Bobby Mintzerのムーディーなサックス・ソロが盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=j1BukiAZb7Q

「Two Or Three Things (Duas Ou Tres Coisas)」
Joyce作。『Tardes Cariocas』(1983年)収録曲の英語ヴァージョンのリメイク。オトナなバラードをしみじみと歌い上げます。Rodrigo Campelloが素敵なギター・ソロを聴かせてくれます。

「Na Casa Do Campeao (Champion's Place)」
Joyce作。JoyceらしさとN.Y.レコーディングならではの空気感がうまく融合した1曲。実に洗練されていると思います。

「Bailarina」
Joyce作。Kenny Wernerを中心としたピアノ・トリオの美しい演奏をバックにJoyceらしいスキャットを聴かせてくれます。シンプルですが素敵な1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=37hXpU9yq88

「Desafinada」
Mario Adnet/Joyce/Claudio Nucci作。ブラジル人ギタリストMario Adnetの楽曲にJoyceが英詞をつけたもの。ストリングス入りのジャジー・バラードを丁寧に歌い上げます。

「Chica-Chica-Boom-Chic」
Carmen Mirandaが映画『That Night in Rio』(1941年)で歌ったスタンダードをカヴァー(Harry Warren/Mack Gordon作)。Joyceのヴォーカル&ギターのみですが、Joyceらしさを存分に満喫できる1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=RNTtp5VtMXE

「Arrebenta (Bursting)」
Joyce作。ラストは土着的リズムのバイーアらしい雰囲気のサウンドで締め括ってくれます。

Joyceの過去記事もご参照下さい。

『Feminina』(1980年)
フェミニーナ、そして水と光

『Agua e Luz』(1981年)
水と光

『Tardes Cariocas』(1983年)
Tardes Cariocas

『Music Inside』(1990年)
ミュージック・インサイド

『Ilha Brasil』(1996年)
イーリャ・ブラジル

『Hard Bossa』(1999年)
Hard Bossa

『Gafieira Moderna』(2001年)
Gafieira Moderna

Joyce & Banda Maluca『Just A Little Bit Crazy』(2003年)
ジャスト・ア・リトル・ビット・クレイジー(2003年作)

『Bossa Duets』(2003年)
ボッサ・デュエッツ

『Tudo』(2012年)
トゥード
posted by ez at 00:28| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする