2020年03月19日

Tamba Trio『Tamba Trio』

新生Tamba Trioの第二弾☆Tamba Trio『Tamba Trio』
タンバ・トリオ 1968年
発表年:1968年
ez的ジャンル:最高峰ジャズ・サンバ・トリオ
気分は... :レッセフェール・・・

ブラジルの最高峰ジャズ・サンバ・トリオTamba Trioのリリースした『Tamba Trio』(1968年)です。

これまで当ブログで紹介したTamba Trio、Tamba 4作品は以下の6枚。

 Tamba Trio『Tamba Trio』(1962年)
 Tamba Trio『Avanco』(1963年)
 Tamba 4『We And The Sea』(1967年)
 Tamba 4『Samba Blim』(1968年)
 Luiz Eca/Bebeto/Helcio Milito『Tamba』(1974年)
 Tamba Trio『Tamba Trio』(1975年)

『Tamba Trio』(1968年)は、ドラマーがHelcio MilitoからOhanaに代わり、Luiz Eca(p)、Bebeto(b、fl)、Ohana(ds)というラインナップとなった新生Tamba Trioとしての第2弾アルバムとなります。

新生Tamba Trioの第1弾アルバム『Tamba Trio』(1966年)は、クラシックの影響を色濃く反映した内容でしたが、第2弾となる本作はジャズ・サンバ・トリオとしてスケール・アップした会心作に仕上がっています。

ジャズ・サンバをベースに、クラシック、ジャズを織り交ぜた変幻自在の演奏&ヴォーカルワークで聴く者を魅了します。ブラジル有名曲のカヴァーで占められており、新生Tamba Trio流の調理方法の鮮やかさが際立つ構成となっています。

トリオのスケール・アップは、「So Danco Samba」「Garota De Ipanema」といった『Avanco』(1963年)収録曲の再録音を聴けばよく分かります。

また、Tamba 4名義の初アルバム『We And The Sea』(1967年)にも収録されている「Consolacao」を聴くと、新生Tamba TrioからTamba 4への発展を紐解けそうです。

オリジナルTamba TrioTamba 4作品を聴いた後に聴くと、その素晴らしさがより実感できるのでは?

謎も多いアルバムですが、Tamba Trio好きであれば外せない1枚なのでは?

全曲紹介しときやす。

「So Danco Samba」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius De Moraes作のボサノヴァ名曲をカヴァー。『Avanco』(1963年)でも取り上げていた楽曲の再演です。『Avanco』ヴァージョン以上に軽快かつ変幻自在な印象を受けます。

本曲に関して、当ブログではSergio Mendes & Brasil'66Wanda Sa(Wanda De Sah)Roberto MenescalGimmicksJazzlife SextetStan Getz & Luiz BonfaPeter FesslerTill BronnerA TresCharlie ByrdSergio Mendesのカヴァーを紹介済みです。

「Garota De Ipanema」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius De Moraes作のボサノヴァ名曲「イパネマの娘(「The Girl From Ipanema」)」をカヴァー。この曲も『Avanco』(1963年)でも取り上げていた楽曲の再演です。素敵なヴォーカルワークで魅せてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=sfULTxsmhtE

本曲について、当ブログではAgustin Pereyra LucenaDiane Denoir/Eduardo MateoRoberto MenescalBossacucanova & Roberto MenescalSheila Landis/Rick MatlePapikTrio 3DFreddie McCoyLaurindo AlmeidaCharlie ByrdSirius BSergio Mendesのカヴァーも紹介済みです。

「Agua De Beber」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作の名曲カヴァー。実に良くコントロールされたヴォーカルワークがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=PD_LLBGb3PA

本曲について、当ブログでは、Sergio Mendes & Brasil'66Wanda Sa(Wanda De Sah)Diane Denoir/Eduardo MateoAl JarreauBossacucanova & Roberto MenescalSheila Landis/Rick MatleAquarius Y Luiz AntonioSebastiao Tapajos/Maria Nazareth/Arnaldo HenriquesVida Novaのカヴァーを紹介済みです。

「O Samba Da Minha Terra」
Orlandivo/Durval Ferreira作品のカヴァー。イントロは少しアヴァンギャルドな雰囲気ですが、本編は実にエレガントです。
https://www.youtube.com/watch?v=BtAr-DeCsbg

当ブログではOrlandivo自身のヴァージョンに加え、Rosalia De SouzaBossacucanovaのカヴァーを紹介済みです。

「Reza」
Edu Lobo/Ruy Guerra作。Loboのオリジナルは『A Musica De Edu Lobo Por Edu Lobo』(1965年)に収録されています。新生Tamba Trioのカラーと本曲の持つ雰囲気が実にマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=pTf4WQg9TSs

本曲について、当ブログではSergio Mendes & Brasil '66Wanda de Sah featuring The Sergio Mendes Trio Lennie Dale & Sambalanco TrioTamba 4The CarnivalDorothy AshbyThe Girls From BahiaJongo Trioのカヴァーも紹介済みです。

「O Morro Nao Tem Vez」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作の名曲カヴァー。8分近い長尺です。他の演奏とは一線を画すクラシック×フリー・ジャズな演奏で驚かされます。

本曲について、当ブログではSambalanco TrioWanda de Sah featuring The Sergio Mendes Trio With Rosinha De ValencaSimone MorenoSirius BSergio Mendesのカヴァーを紹介済みです。

「Berimbau」
Baden Powell/Vinicius de Moraes作の名曲カヴァー。お馴染みのブラジル名曲ですが、新生Tamba Trioのカラーで見事にこのトリオでしか出来ない「Berimbau」に昇華させています。お見事!

本曲について、当ブログではLennie DaleDiane Denoir/Eduardo MateoAgustin Pereyra LucenaSambalanco TrioNara LeaoFelicidade A BrasilGary McFarlandKenny RankinLe Trio CamaraTrio 3DWanda de Sah featuring The Sergio Mendes Trio With Rosinha De Valenca Giulio Camarca & TrinidadThe Girls From BahiaVida Novaのカヴァーも紹介済みです。ご興味がある方はそちらの記事もご参照下さい。

「Corcovado」
Antonio Carlos Jobim作品のカヴァー。本作で唯一のインストです。Luiz Ecaのピアノ以上にOhanaのドラムが目立っています(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=l--PbiMHtA0

本曲について、当ブログではJoanie SommersCannonball AdderleyWanda Sa(Wanda De Sah)Mario Castro-Neves & Samba S.A.Diane Denoir/Eduardo MateoEarl OkinDardanellesCassandra WilsonO QuartetoJon HendricksGenaiTilleryLaurindo AlmeidaCharlie Byrdのカヴァーも紹介済みです。

「Desafinado」
Newton Mendonca/Antonio Carlos Jobim作のボサノヴァ名曲をカヴァー。新生Tamba Trioらしい変幻自在の緩急で素晴らしい>「Desafinado」に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=DoOnoXgWmks

本曲について、当ブログではこれまでNara LeaoRoberto MenescalGary McFarlandTania MariaOs 3 MoraisO QuartetoGal CostaJoao GilbertoNico Gomez & His OrchestraLaurindo Almeida & The Bossa Nova Allstarsのヴァージョンも紹介済みです。

「Consolacao」
Baden Powell/Vinicius de Moraes作。Tamba 4『We And The Sea』(1967年)で披露したヴァージョンのプロトタイプ的な長尺演奏です。壮大なドラマのようなスケールの大きな演奏で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=73batYWPZaI

本曲について、当ブログではTenorio Jr.Celso FonsecaA Bossa EletricaAgustin Pereyra LucenaSambalanco TrioSirius BNara LeaoTrio 3DWanda de Sah featuring The Sergio Mendes Trio With Rosinha De Valencaのカヴァーを紹介済みです。

Tamba Trio、Tamba 4の過去記事もご参照ください。

Tamba Trio『Tamba Trio』(1962年)
デビュー

Tamba Trio『Avanco』(1963年)
アヴァンソ

Tamba 4『We And The Sea』(1967年)
二人と海

Tamba 4『Samba Blim』(1968年)
サンバ・ブリン(紙ジャケット仕様)

Luiz Eca/Bebeto/Helcio Milito『Tamba』(1974年)
タンバ(期間生産限定盤)

Tamba Trio『Tamba Trio』(1975年)
タンバ・トリオ(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 01:19| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月18日

Tease『Remember...』

Kipper Jonesを擁したグループの3rd☆Tease『Remember...』
Remember
amazon.com/images/I/51n4YDMudyL._SL160_.jpg" alt="Ordinary Story" border="0" />
発表年:1988年
ez的ジャンル:男性R&B/ファンク・グループ
気分は... :環世界を作る・・・

今回は80年代後半のR&B/ファンク作品からTease『Remember...』(1988年)です。

Teaseは1979年にカリフォルニアで結成された男性R&B/ファンク・グループ。

結成時のメンバーはKipper Jones(vo)、Thomas Organ(g)、Derek Organ(ds)、Rex Salas(key)、Cornelius Mims(b)、Josef Parson(g)という6名。

『Tease』(1983年)、『Tease』(1986年)、『Remember...』(1988年)という3枚のアルバムをリリースしますが、商業的な成功を収めることなくグループは解散します。

そんな不遇のグループでしたが、後にソロ・アーティストとして活動するKipper Jonesが在籍していたこともあり、評論家や音楽ファンからは高い評価を得ていたグループでした。

特にグループのラスト・アルバムとなる本作『Remember...』(1988年)は人気の1枚だと思います。

僕も本作『Remember...』で彼らを知り、その流れで当ブログでも紹介したKipper Jonesのソロ・アルバム『Ordinary Story』(1990年)を愛聴していました。

本作におけるグループのメンバーは、Kipper Jones(vo)、Thomas Organ(g)、Derek Organ(ds)、Jay Shanklin(b)の4名。

さらに前作『Tease』(1986年)にも参加していたChuckii Booker(key)が準メンバー的な位置づけで参加しています。Chuckii Bookerは、その後ソロ・アーティスト/プロデューサーとして活躍します。僕も1stソロ・アルバム『Chuckii』(1989年)はよく聴きました。

話を『Remember...』に戻すと、メイン・プロデューサーはJames Mtume

それ以外にTeaseKipper JonesWinston Johnsonもプロデュースに関与しています。

アルバムは80年代後半らしいダンサブル・チューンとKipper Jonesのヴォーカルが映えるバラード系から構成されています。

James Mtumeプロデュースという点に期待するのであれば、アーバン・ファンクな「Tingle」、ヘヴィ・ファンク「Kick」、アーバン・ミディアム「Let's Stop Pretending」あたりがおススメです。

Kipper Jonesのヴォーカルを満喫したいのであれば、シングルにもなったオーセンティック・バラード「Somewhere, Somebody」、タイトル曲「Remember」「With All My Love」といったバラードがおススメです。

それ以外に「I Can't Stand The Rain」Ann Peebles)、「Hangin' On」(Al Green)、「A Love Of Your Own」Average White Band、Ned Doheny)といった名曲カヴァーも楽しめます。

粗もありますが、色々楽しめるバラエティに富んだ1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Tingle」
James Mtume/Teaseプロデュース。J.Hoo/Rex Salas/K. Colbert作。ダンサブル・チューンではこのオープニングの出来がダントツかも?ブラコン好きも気に入るであろうアーバン・ファンクに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=EAnNi-XYygA

「I Can't Stand The Rain」
James Mtumeプロデュース。Ann Peeblesの名曲カヴァー(Don Bryant/Bernard "Bernie" Miller/Ann Peebles作)。Tawatha Ageeもバック・コーラスで参加しています。良くも悪くも80年代後半のダンサブル・サウンドです。シングルにもなりました。
https://www.youtube.com/watch?v=D2d1UVQZsXY

「Kick」
James Mtume/Teaseプロデュース。J.Hoo/Derek Organ/ Thomas Organ/R. Colhoun作。このグループのファンク・グループとしての一面を満喫できるヘヴィ・ファンク。
https://www.youtube.com/watch?v=Xjofl-kVyic

「Somewhere, Somebody」
James Mtume/Kipper Jonesプロデュース。Andrew Kastner/Larry John McNally/Max Gronenthal作。シングルにもなったオーセンティックなソウル・バラード。これまでの流れとは異なるTeaseのもう一つ顔を実感できます。クレジットをよく見るとキーボードでSly Stoneの名がクレジットされています。
https://www.youtube.com/watch?v=19C9dvSU7Vw

「Remember」
James Mtumeプロデュース。J.Hoo/Rex Salas作。タイトル曲もオーセンティックなバラード。Kipper Jonesのヴォーカルの魅力を満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=f4zrnOUOF4o

「Bad Reputation (U're Ruinin My)」
James Mtume/Teaseプロデュース。Z.Z. Hillヴァージョンで知られるDenise LaSalle作品をカヴァー。酒場モードのブルージーな雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=i_SfdzzK7Kw

「Hangin' On」
James Mtumeプロデュース。Al Greenのカヴァー(Michael Allen/Al Green作)。オリジナルはアルバム『Explores Your Mind』収録。今聴くとサウンドは陳腐ですが、Kipper Jonesのヴォーカルは流石です。

「Let's Stop Pretending」
James Mtume/Teaseプロデュース。J.Hoo/Chuckii Booker/Cornelius Mims作。80年代後半らしいアーバン感覚にグッとくる僕好みのミディアム・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=q9FtdCNbPJQ

「With All My Love」
Winston Johnson/Teaseプロデュース。P. Henderson作。リアルタイムで聴いていたとき、大好きだったバラード。今回聴いていたら、セットでCarl Anderson feat. Brenda Russell「Baby My Heart」が聴きたくなりました。
https://www.youtube.com/watch?v=DB9Z6EgeW_I

Carl Anderson feat. Brenda Russell「Baby My Heart」(1990年)
 https://www.youtube.com/watch?v=xx0ExbaCNdc

「A Love Of Your Own」
James Mtumeプロデュース。Average White BandやNed Dohenyでお馴染みの名バラードをカヴァー(Hamish Stuart/Ned Doheny作)。黒人グループがブルーアイド・ソウル名曲をカヴァーしている点が興味深いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=qHNnV9zRL1g

『Tease』(1983年)
Tease (Expanded Edition) by Tease

『Tease』(1986年)
Tease

Kipper Jones『Ordinary Story』(1990年)
Ordinary Story
posted by ez at 03:00| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月16日

Clarence Reid『On The Job』

やはりBlowfly名義より本人名義の方がいい!☆Clarence Reid『On The Job』
オン・ザ・ジョブ
発表年:1976年
ez的ジャンル:マイアミ・ソウル
気分は... :カシュー×フランボワーズ!

今回はマイアミ・ソウルの重要ミュージシャンClarence Reid『On The Job』(1976年)です。

1939年ジョージア州コクラン生まれのミュージシャン、ソングライター、プロデューサーClarence Reidの紹介は、『Running Water』(1973年)に続き2回目となります。

本作『On The Job』(1976年)は、『Running Water』(1973年)に続く4枚目のClarence Reid名義のアルバムです。

プロデュースはSteve Alaimo

アルバム全体としてはグルーヴィーな楽曲が魅力のマイアミ・ソウル作品に仕上がっています。

個人的には「Caution ! Love Ahead」「Sleep With Me」といったマイアミ・ソウルらしいメロウ・グルーヴがお気に入り。歌詞はエロいですがメロウ・バラードも「Come On With It」も好きです。

ディスコ・チューン「Baptize Me」、軽快なファンク「Down Where The Love Is」、Blowflyの顔も覗かせるダンサブル・チューン、Wilson Pickettへの提供曲のセルフ・カヴァー「The Best Part Of A Man」あたりもおススメです。

結局、Clarence Reid名義でのアルバムは本作で最後になってしまいましたが、もっとBlowflyではないClarence Reidのアルバムを聴きたかったですね。

マイアミ・ソウル好きは気に入るであろう1枚です。

全曲紹介しときやす。

「The Best Part Of A Man」
Clarence Reid/Willie Clarke作。Wilson Pickettが1975年にシングル・リリースした楽曲(US R&Bチャート第26位)のセルフ・カヴァーがオープニング。マイアミ・ソウルらしい開放的な雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=WyQd80GN0XE

「Mr. Smith's Wife」
Clarence Reid作。Billy Paulの大ヒット曲「Me And Mrs. Jones」を意識したような不倫ソング。そんな不倫ラブ・バラードを切々と歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=i0DpJGWSXHQ

「Come On With It」
Clarence Reid作。僕好みのメロウ・フィーリングにグッとくるラブソング。バラード系ではコレが一番好き!
https://www.youtube.com/watch?v=RSs_v1NfRzE

「The Only Times She Loves Me」
Clarence Reid作。歌詞内容は妻との愛を繋ぎとめるためにノー残業を上司に乞うという風変わりなラブソング。
https://www.youtube.com/watch?v=ledVTD-4b3A

「Baptize Me」
Clarence Reid/Steve Alaimo作。軽快なギター・カッティングにピアノ、ストリングスが絡むディスコ・チューン。ゴスペル・フィーリングも効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=uhx0oSC46pg

「Caution ! Love Ahead」
Clarence Reid作。僕の一番のお気に入り!Johnny Bristolあたりと一緒に聴きたくなるメロウ・グルーヴです。
https://www.youtube.com/watch?v=z8WtCOvKDxU

「Down Where The Love Is」
Clarence Reid/George "Chocolate" Perry/Steve Alaimo作。ホーン隊も加わった軽快なファンク・チューン。あくまでもライト感覚なのがマイアミ・ソウルらしいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=9X6ZL4mCm4M

「Sleep With Me」
Clarence Reid作。爽快なギター・カッティングが心地好いマイアミ・ソウルらしいメロウ・グルーヴ。「Caution ! Love Ahead」と並ぶ僕のお気に入りです。
https://www.youtube.com/watch?v=oPl2woORAYk

「Nappy-Haired Cowboy」
Clarence Reid/Steve Alaimo作。Blowflyが少しだけ顔を覗かせるダンサブル・チューンで締め括ってくれます。セクシーな女性コーラスも加わった能天気なサウンドですが歌詞の内容は黒人差別をテーマにした辛辣な内容です。
https://www.youtube.com/watch?v=_74cZzUtJNQ

Clarence Reid名義の他作品もチェックを!

『Nobody But You Babe』(1969年)
NOBODY BUT YOU BABE

『Dancin' With Nobody But You Babe』(1969年)
ダンシン・ウィズ・ノーバディ・バット・ユー・ベイブ

『Running Water』(1973年)
Running Water

ご興味がある方はBlowfly名義の作品もチェックを!

『Butterfly』(1973年)
Blowfly Butterfly

『The Weird World of Blowfly』(1973年)
The Weird World of Blowfly

『At The Movies』(1973年)
At The Movies

『On Tour』(1974年)
Blowfly on Tour

『Blowfly On TV』(1974年)
On TV

『Zodiac』(1975年)
Zodiac

『Oldies But Goodies』(1976年)
Oldies But Goodies

『Disco』(1977年)
Blowfly's Disco

『Zodiac Party』(1978年)
Zodiac Party

『Blowfly's Party』(1980年)
Blowfly's Party

『Rappin', Dancin', And Laughin'』(1980年)
Rappin', Dancin', and Laughin' by Blowfly (2012-05-03)

『Porno Freak』(1981年)
Porno Freak
posted by ez at 01:37| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月15日

Ben Williams『I Am A Man』

新世代ジャズ・ベーシストの最新作は社会派ネオソウルBen Williams『I Am A Man』
アイ・アム・ア・マン
発表年:2020年
ez的ジャンル:新世代ジャズ・ベーシスト系ネオソウル
気分は... :ズシリと重い・・・

今回は新世代ジャズ・ベーシストBen Williamsの最新作『I Am A Man』です。

1984年ワシントンDC生まれ。ジュリアード音楽院で学び、2009年にはThelonious Monk International Jazz Bass Competitionで優勝し、一躍注目のジャズ・ベーシストとなったBen Williamsの紹介は、初のリーダー作『State Of Art』(2011年)に続き2回目となります。

自身のグループSound Effectを率いたり、Pat MethenyのグループUnity Bandへ参加などでも知られるBen Williams

Jazz The New Chapterブームのなかで、Jamire WilliamsKris BowersMatthew StevensGerald ClaytonChristian Scott aTunde Adjuahらによる若手ジャズメンのオールスター・ユニットNEXT Collectiveのメンバーとして注目を浴び、初リーダー作『State Of Art』(2011年)にもスポットが当てられました。

『State Of Art』は、Go-Go調、ジャズ・ラップ調、ブラジル調、アフリカ調、ブルース調とバラエティに富んだ演奏で、トータルなサウンドにこだわった僕好みの1枚でした。

その『State Of Art』(2011年)、『Coming Of Age』(2015年)に続く、3枚目のソロ・アルバムとなるのが本作『I Am A Man』(2020年)です。

Jose Jamesが立ち上げたレーベルRainbow Blondeからのリリースです。

そのレーベル主宰者Jose Jamesの最新作『No Beginning No End 2』(2020年)と呼応するように、本作『I Am A Man』(2020年)もネオソウル的アプローチが強調された1枚に仕上がっています。Ben自身もヴォーカルに挑戦しています。

"I Am A Man"というアルバム・タイトルは1968年の衛生労働者のストライキのとき、黒人労働者が首から下げていたプラカードに由来するものです。それ以外にもキング牧師の死の前日のスピーチに由来する「Promised Land」、黒人差別の象徴であるエメット・ティル事件(1955年)を綴ったBob Dylanの初期作品カヴァー「The Death Of Emmett Till」、黒人公民権運動で歌われていたLouise Shropshire作の賛美歌「We Shall Overcome」など黒人公民権運動をテーマにした楽曲がズラリと並ぶ社会派作品という印象も強いです。

「The Death Of Emmett Till」「We Shall Overcome」以外はBen Williamsおよび参加メンバーのオリジナルです。

レコーディング・メンバーはBen Williams(b、vo、syn)、Kris Bowers(key、p)、David Rosenthal(g)、Marcus Strickland(ss、ts、bass clarinet)、Bendji Allonce(per)、Kenyon Harrold(tp)、Anne Drummond(fl)、Jamire Williams(ds)、Justin Brown(ds)、Brian Bender(prog)、Justina Sullivan(cello)、Celia Hatton(viola)、Maria Im(violin)、Chiara Fasi(violin)等。

また、Kendra FosterMuhsinahWes FeltonNilesがフィーチャリングされています。

ジャズ・ミュージシャンである以前に、黒人ミュージシャンとしてのアイデンティティを表明した1枚、その重みをしっかり受け止めて聴きましょう。

『I Am A Man』preview
https://www.youtube.com/watch?v=CzPkS6A1n14

全曲紹介しときやす。

「Intro: I Am A Man」
Ben自身のヴォーカルがエコーのように響き渡る深遠なオープニング。

「If You Hear Me」
本作らしいネオソウルなメロウ・グルーヴ。Jamire Williamsが叩くビートと美しいストリングスをバックに、Ben自身が雰囲気のあるジェントル・ヴォーカルを披露してくれます。Kenyon Harroldがトランペット・ソロで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=yjXi820_fd4

「March On」
Wes Feltonのラップをフィーチャー。J Dilla調ビートとロッキン・ビートが交錯するメリハリ感がいいですね。ジャズの枠に囚われないRainbow Blondeらしいカラーの1曲に仕上がっているのでは?

「Promised Land」
Kendra Fosterの女性ヴォーカルをフィーチャー。タイトルは(多分)キング牧師が暗殺される前日に行った"私たちは必ず「約束の地」へたどり着く"というスピーチに因んだものだと思います。美しくもダークな雰囲気に包まれた演奏です。そんな中でMarcus Stricklandのバス・クラリネットが一筋の光明のように聞こえてきます。

「High Road」
Muhsinahの女性ヴォーカルをフィーチャー。ゆっくりと場面が転換していくような雰囲気のある音作りが印象的な哀愁チューン。聴き重ねるほどに味わいが増してきます。

「Take It From Me」
Nilesのラップをフィーチャー。ダークなトーンが支配する1曲に仕上がっています。黒人公民権運動をテーマにした映画のサントラのようです。

「Come Home」
Kendra Fosterの女性ヴォーカルをフィーチャー。ロックした力強いサウンドを聴かせてくれます。

「The Death Of Emmett Till」
Bob Dylanの初期作品のカヴァー。この曲は白人女性に向かって口笛を吹いただけで14歳の黒人少年が残虐に殺害されたエメット・ティル事件をテーマにした作品です。Dylanのオリジナルの公式リリースが『The Witmark Demos: 1962-1964』(2010年)であったため、あまり知られていない曲ですがDylanの鋭いメッセージが綴られています。BenのヴォーカルもDylan調です。Kris Bowersの美しいピアノとDavid Rosenthalのハードなロッキン・ギターとのコントラストが印象的です。

「High Road Part 2」
アルバムで最もジャズ・フィーリングのある生演奏ジャジーHip-Hop調の仕上がり。Al Green「Love And Happiness」も引用したKenyon Harroldによるホーン・アレンジも印象的です。

「We Shall Overcome」
Louise Shropshire作の賛美歌をカヴァー。黒人公民権運動の象徴する1曲として知られています。浮遊感漂う音空間のなかで勝利を望み、恐れを捨てて突き進もう!というメッセージが揺らめきます。
https://www.youtube.com/watch?v=YOSOFyF2aaw

Ben Williamsの他作品もチェックを!

『State Of Art』(2011年)
State of Art

『Coming Of Age』(2015年)
カミング・オブ・エイジ
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2020年03月13日

Lenine『Labiata』

独得の音世界は健在☆Lenine『Labiata』
Labiata by Lenine (2009-03-17)
発表年:2008年
ez的ジャンル:異才ブラジリアン・ロック
気分は... :クセになる音世界・・・

今回はブラジル音楽シーンの異才Lenine『Labiata』(2008年)です。

これまで当ブログで紹介したLenine作品は以下の4枚。

 Lenine & Suzano『Olho De Peixe』(1993年)
 『O Dia Em Que Faremos Contato』(1997年)
 『Na Pressao』(1999年)
 『Falange Canibal』(2002年)

オリジナル・スタジオ作としては、『Falange Canibal』(2002年)以来の新作となるのは本作『Labiata』(2008年)です。

メイン・プロデュースはLenineJR Tostoi

それ以外にKassinRodrigo Campelloが共同プロデュースで加わっている曲もあります。

ミクスチャー感覚のサウンドやパーカッシヴなギターによるLenine独得の音世界は健在です。

ラテン・グラミー賞「ベスト・ブラジルソング」受賞の「Martelo Bigorna」、ミステリアスな「Magra」、故hico Scienceとの共作「Samba E Leveza」、ホーン隊も加わった「E Fogo」、ハイパーな「Ciranda Praieira」あたりはLenineワールドを存分に楽しめます。

さらに元TitasのメンバーArnaldo Antunesとの共演「O Ceu E Muito」などハードなロック・サウンドが強調された楽曲も印象的です。

いつ聴いてもクセになるLenineワールド・・・

全曲紹介しときやす。

「Martelo Bigorna」
Lenine作。ラテン・グラミー賞「ベスト・ブラジルソング」を受賞したオープニング。Lenineらしい独得のサウンドにストリングスも加わった完成度の高い1曲で楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=OSDZh5OXx5w

「Magra」
Lenine/Ivan Santos作。決して派手な曲ではありませんが、ギター、パーカッション、ハンドクラップらが織り成すミステリアスな音世界にグイグイ引き込まれていきます。
https://www.youtube.com/watch?v=KvHSOygIweo

「Samba E Leveza」
Lenine/Chico Science作。Nacao Zumbiのフロントマンであった故hico Scienceとの共作。Kassinもプロデューサー/キーボードでクレジットされています。Lenine流ハイブリッド・サンバといった趣の1曲に仕上がっています。無機質な質感が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=iUjblUHqBTE

「A Mancha」
Lenine/Lula Queiroga作。哀愁モードで疾走するロック・チューン。Lenineらしいギター・ワークが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=fUeWw-K1xXs

「La Vem A Cidade」
Lenine/Braulio Tavares作。Lenine独得の音世界を楽しめる哀愁チューン。スクラッチ、エフェクトのアクセントも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=l7tbgGaNeYI

「O Ceu E Muito」
Lenine/Arnaldo Antunes作。ブラジリアン・ロック・バンドTitasのメンバーであったArnaldo Antunesとの共演・共作。ここではヘヴィなロック・サウンドで突き進みます。
https://www.youtube.com/watch?v=KW2fkGujyyA

「E Fogo」
Lenine/Carlos Renno作。コレもLenineらしいリズミックな仕上がりの1曲。ホーン隊も加わり、メリハリの効いたサウンドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=MmZHXhMXhBY

「E O Que Me Interessa」
Lenine/Dudu Falcao作。しみじみと歌い上げる弾き語り風の仕上がり。ヴァイヴの音色のアクセントがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=8e_hDxWkNQQ

「Ciranda Praieira」
Lenine/Paulo Cesar Pinheiro作。Rodrigo Campelloもプロデュースに加わっています。哀愁モードのイントロからLenine流ハイパー・サウンドへ突入します。
https://www.youtube.com/watch?v=TjlKvyt6Vog

「Excesso Exceto」
Lenine/Arnaldo Antunes作。China(Flavio Augusto)がヴォーカルで参加しています。ハードなブラジリアン・ロックで攻めています。
https://www.youtube.com/watch?v=2fUFKpoaZmY

「Continuacao」
Lenine作。ラストも摩訶不思議な雰囲気のハイパー・フォーキーで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=TqUn217_Szc

Lenineの他作品もチェックを!

Lenine & Suzano『Olho De Peixe』(1993年)
魚眼

『O Dia Em Que Faremos Contato』(1997年)
O Dia Em Que Faremos Contato

『Na Pressao』(1999年)
アンダー・プレッシャー

『Falange Canibal』(2002年)
FALANGE CANIBAL

『In Cite』(2004年)
In Cite

『Chao』(2012年)
Chao

『Carbono』(2015年)
lenine carbono.jpg
posted by ez at 03:48| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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