2020年04月07日

Nick DeCaro『Italian Graffiti』

プレAORな名盤☆Nick DeCaro『Italian Graffiti』
イタリアン・グラフィティ
発表年:1974年
ez的ジャンル:プレAOR/シティ・ミュージック
気分は... :覚悟を決めて巣籠りモード!

いよいよ緊急事態宣言が発動しますね。

昨日は慌てて、宣言後は少し行きづらくなる美容室でヘアカットし、全面休館になる前に区立図書館で取り置きしてもらっていた書籍を受け取りにいくなどバタバタな1日でした。

Amazonでも書籍を何冊かまとめ買いし、緊急事態宣言中の仕事以外の時間は、ひたすら読書することに決めました。読み応えのある名著や、こういう社会情勢だからこそ読むべき本など、貪欲に知の吸収に努めたく思います。

一方、音楽については大好きなCDショップ巡りがしばらく出来そうもないのでストレスが溜まります。そんなこともありブログもなかなか気乗りしないのですが、自分を鼓舞して更新したく思います。

今回はプレAOR/シティ・ミュージック名盤Nick DeCaro『Italian Graffiti』(1974年)です。

AOR/シティ・ミュージック好きにとっては、ド定番な1枚ですね。
こういう定番作品が後回しになっているのが当ブログらしいところ(笑)

名アレンジャー/プロデューサーといて名高いNick DeCaro(1938-1992年)は、オハイオ州クリーブランド出身。

本作でも共同プロデュースを手掛ける名プロデューサーTommy LiPumaとは、ハイスクール時代からの友人です。A&Mのスタッフ・プロデューサーとなったLiPumaがプロデュースした作品でNick DeCaroがアレンジを手掛け、アレンジャーとしての評価を高めていきます。

1969年にはNick De Caro And Orchestra名義でイージーリスニング的な1stアルバム『Happy Hear』をリリースしています。

その後も売れっ子アレンジャー/プロデューサーとして活躍していたNick DeCaroが、当時のTommy LiPumaの主戦場であったBlue Thumbからリリースしたアルバムが本作『Italian Graffiti』(1974年)です。

プロデュースはTommy LiPumaNick DeCaro
またAl Schmittがエンジニア、ミックスを担当しています。

レコーディングにはNick DeCaro(vo、key、arr)以下、Arthur Adams(g)、David T. Walker(g)、Wilton Felder(b)、Harvey Mason(ds)、Paul Humphrey(ds)、Bud Shank(as、fl)、Plas Johnson(as)、Max Bennett(b)、Jim Hughart(b)、Tony Ortega(ts)といったミュージシャンが参加しています。

全曲カヴァー/ソングライターの作品ですが、この選曲の良さ、名アレンジャーならではの素敵なサウンド、ソフトリーなヴォーカル、緻密なコーラス・ワークの組み合わせが本作の魅力です。

名アレンジャー故に、どうしてもサウンドに耳がいきがちですが、ヴォーカル&コーラスの素晴らしさが本作を名盤と呼ばせる大きな要因となっていますね。

全曲おススメですが、個人的にはLea Kunkel/Stephen Bishop作の「Under The Jamaican Moon」「Happier Than The Morning Sun」「Angie Girl」というStevie Wonderカヴァー2曲、Joni Mitchellのカヴァー「All I Want」、Dan Hicks & His Hot Licksのカヴァー「Canned Music」に惹かれます。

時代を超えたプレAOR/シティ・ミュージック名盤を楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Under The Jamaican Moon」
Lea Kunkel/Stephen Bishop作。本作のハイライトと呼びたくなるプレAORなメロウ・チューンがオープニング。DeCaroの雰囲気のあるハイトーン・ヴォーカルとメロウ・サウンドがよくマッチしています。David T. Walkerの雰囲気のあるギターもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=l86G34G6Mwk

後にLea Kunkelが自身のアルバム『Lea Kunkel』(1979年)でセルフ・カヴァーしています。同じ1979年に信田かずお/松下 誠による日本のユニット、ミルキー・ウェイもカヴァーしています。このミルキー・ウェイのカヴァーが実にいいんです!
Lea Kunkel「Under The Jamaican Moon」
 https://www.youtube.com/watch?v=wIMYQreG8v0
ミルキー・ウェイ「ジャマイカ・ムーン」
 https://www.youtube.com/watch?v=H58CcrmXHL4

「Happier Than The Morning Sun」
『Music Of My Mind』(1972年)収録のStevie Wonder作品をカヴァー。Bud Shankの涼しげなフルートと共に始まります。DeCaroのソフトリー・ヴォーカル&コーラス・ワークとメロウ・エレピの組み合わせが絶妙な好カヴァーですね。
https://www.youtube.com/watch?v=GF-Usd8gOy0

「Tea For Two」
Irving Caesar/Vincent Youmans作。1924年のミュージカル『No, No, Nanette』のために書かれたポピュラー・スタンダードをカヴァー。素敵なヴォーカル・ワークが映えるジャジー・ポップ。
https://www.youtube.com/watch?v=rKqjfSIigEI

「All I Want」
Joni Mitchell作品をカヴァー。オリジナルは『Blue』(1971年)収録。このカヴァーはDeCaroのアレンジャーとしての才を存分に楽しめます。セピアなイメージがあるオリジナルに対して、明るくカラフルな「All I Want」を聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=JyerdOrU7po

「Wailing Wall」
Todd Rundgren作品をカヴァー。オリジナルは『Runt:The Ballad Of Todd Rundgren』(1971年)収録。"嘆きの壁"をモチーフにした名バラードですが、この曲をセレクトしたセンスにグッときます。素晴らしすぎるToddのオリジナルには及びませんが、素敵なヴォーカル・ワークで魅せてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=YszChT0zg1s

「Angie Girl」
Henry Cosby/Stevie Wonder/Sylvia Moy作。オリジナルは『My Cherie Amour』(1969年)収録。このカヴァーも大好き。Stevie作品をSSW的なメロウ・ポップに変貌させています。Bud Shankのサックス・ソロがムードを盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=mwjfzMQ1T-g

「Getting Mighty Crowded」
R&BシンガーBetty Everett、1964年のシングル曲をカヴァー(Van McCoy作)。60年代R&Bの雰囲気を残しつつ、70年代らしいポップに昇華させているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=7rRkLiKqqBQ

「While The City Sleeps」
Randy Newman作品。ひと癖あるRandy Newman作品をストリングス入りの素敵なメロウ・バラードで聴かせてしまう手腕に脱帽です。
https://www.youtube.com/watch?v=gy48c8bzYbc

「Canned Music」
Dan Hicks & His Hot Licksのカヴァー(Dan Hicks作)。オリジナルは『Original Recordings』(1969年)収録。ブルージーなのに実にポップ!これもDeCaroマジックと呼びたくなるサウンドの妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=aPENcSyWKoU

「Tapestry」
Gunston & Dove(Carolin Gunston/Peter James Wilson)作。Carole Kingの曲のカヴァーをイメージしてしまいますが同名異曲です。効果的なストリングスが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=OHiacyaOZ0I

ご興味がある方はNick DeCaroの他作品もチェックを!

Nick De Caro And Orchestra『Happy Hear』(1969年)
ハッピー・ハート(紙ジャケット仕様)

『Love Storm』(1990年)
ラブ・ストーム(紙ジャケット仕様)

『Private Ocean』(1991年)
プライベイト・オーシャン(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 03:18| Comment(2) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする