発表年:1977年
ez的ジャンル:N.Y.サルサ
気分は... :歴史に学ぶ!
N.Y.サルサを代表する名ピアニストLarry Harlow率いるOrchestra Harlowが1977年にリリースした『La Raza Latina - A Salsa Suit』です。
1939年N.Y.ブルックリン生まれのピアニストLarry Harlow率いるOrchestra Harlowに関して、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。
『El Exigente』(1967年)
『Orchestra Harlow Presenta A Ismael Miranda』(1969年)
『Abran Paso!』(1971年)
本作『La Raza Latina - A Salsa Suit』は全6曲中5曲が、アフリカの音楽がカリブの国々に伝播してラテン・ミュージックとなり、そのラテン・ミュージックがN.Y.が伝わってN.Y.ラテン/サルサへと発展してきた歴史を音に託した組曲「Salsa Suite」という構成になっています。
本作においてOrchestra Harlowとしてクレジットされているのは、Larry Harlow(p、per、vo)、Lewis Kahn(tb、violin)、Sam Burtis(tb)、Ralph Castrello(tp)、Pete Nater(tp)、Charlie Miller(tp)、Julio Romero(b)、Pablo Rosario(bongo、paila、guiro)、Tony Jimenez (timbales、bata、per)、Frankie Rodriguez(congas、quinto、per、vo)、Nestor Sanchez(vo、maracas)という面々。
また、ヴォーカル隊として、Ruben Blades、Adalberto Santiago、Nancy O'Neill、Ada Chabrier、Rosa Soyといった名がクレジットされています。
上記以外にJon Faddis(tp)、Louis Ortiz(tp)、Steve Berrios(ds、per)、Elliott Randall(g)、Nelson Gonzalez(tres)、Harry Viggiano(tres)、Bobby Porcelli(as、bs)、John Clarke(french horn)、Jimmy Buffington(french horn)、Arty Webb(fl)、Tom Malone(tuba)、Eddie "Gua Gua" Rivera(el-b)、Harry Max(violin)、Pupi Legarreta(violin)、Sanford Allen(violin)等が参加しています。
プロデュースはLarry Harlow自身。
アレンジはEddie Martinez、Larry Harlow、Louis Ortiz、Marty Shellerの4名が手掛けています。
個々の曲というよりもオープニングの「La Raza Latina」も含めて、組曲「Salsa Suite」の流れを楽しむアルバムだと思います。
Ruben Blades好きの僕としては、彼のヴォーカルが目立っているのがいいですね。関係ないですが、昨晩の深夜にWOWOWで放送していた映画『プレデター2』でRuben Bladesの姿を目にしたばかりだったので、その流れで本作を聴き一人でニンマリしていました。
外出自粛モードの中、最近は社会学史、哲学史、日本の文化史など歴史に関する書籍ばかり読んでいるので、そんな歴史モードの僕にとって、サルサの歴史を音で表現した本作はうってつけの1枚だったかも?
壮大なラテン/サルサ絵巻をご堪能あれ!
全曲紹介しときやす。
「La Raza Latina」
Johnny Ortiz作。Harlowのドラマチックなピアノと共に始まるオープニング。Ruben Bladesのヴォーカルが映える汎ラテン・アメリカ・マインドのサルサ・チューンです。Ruben Blades好きの人であれば、彼のソロ・アルバムを聴いているような気分になる曲調です。Eddie Martinezによるアレンジもお見事。
https://www.youtube.com/watch?v=yseinkO_Os8
「Salsa Suite - Pt. 1 Africa」
Frankie Rodriguez/Larry Harlow作。ここから組曲「Salsa Suite」がスタート。パート1のテーマはサルサの源流であるアフリカ。アフリカン・ドラムをイメージしたコンガとトレスによるシンプルな演奏と少し憂いを帯びたスパニッシュ・ヴォーカルが展開されます。終盤はRuben Bladesがヴォーカルをとり、ヴァイオリンの音色が印象的なモダンなN.Y.サルサが演奏されます。
https://www.youtube.com/watch?v=N0fTF3YWw1k
「Salsa Suite - Pt. 2 Caribbean」
Larry Harlow/Rudy Calzado作。パート2はカリビアン。男女混成コーラス入りのサルサ・チューンですが、ストリングス&ホーン・アレンジが少し汎カリブ的な感じかも?Arty Webbのフルートが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=hwyBb-ZPqqo
「Salsa Suite - Pt. 2 Caribbean (Continued)」
Larry Harlow/Rudy Calzado作。パート2の続き。前曲の流れでスタートしますが、Elliott Randallのロッキン・ギターが加わると景色は一変し、一瞬ジャズ・ロック/クロスオーヴァーな雰囲気になるのが面白いです。中盤以降はトランペットをフーチャーしたデスカルガ調のアッパーなラテン・グルーヴが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=ygViGeqXzvo
「Salsa Suite - Pt. 3 New York 1950's & 1960's」
Larry Harlow/Rudy Calzado/Tito Puente作。パート3は1950〜60年代のN.Y.。サルサ誕生前夜のN.Y.ラテンですね。序盤はラテン調Frank Sinatraとでも呼びたくなるかしこまった雰囲気ですが、そこから一気に解放されてストリート感覚のN.Y.ラテン・グルーヴが展開されます。終盤のエキサイティングな演奏は格別です。
https://www.youtube.com/watch?v=RKPgyhpczTU
「Salsa Suite - Pt. 4 Futuro」
Larry Harlow/Rudy Calzado作。パート4のテーマは未来。ラストはモダンでアッパーでダイナミックでパンチの効いたN.Y.ラテン/サルサで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=agXGcqISE_M
Orchestra Harlowの他作品もチェックを!
『Heavy Smokin'』(1966年)
『Gettin' Off (Bajandote)』(1967年)
『El Exigente』(1967年)
『Orchestra Harlow Presenta A Ismael Miranda』(1969年)
『Electric Harlow』(1970年)
『Tribute to Arsenio Rodriguez』(1971年)
Ismael Miranda Con Orchestra Harlow『Abran Paso!』(1971年)
『Harlow's Harem』(1972年)
Ismael Miranda Con Orchestra Harlow『Oportunidad』(1972年)
『Hommy a Latin Opera』(1973年)
『Live In Quad』(1974年)