2020年05月25日

Syl Johnson『Uptown Shakedown』

Hi Recordsでのラスト作は西海岸レコーディング☆Syl Johnson『Uptown Shakedown』

発表年:1979年
ez的ジャンル:西海岸男性ソウル
気分は... :変わることを恐れず・・・

今回はシカゴのファンキー・ソウル・マン、そしてハイ・レコード(Hi Records)の有力男性ソウル・シンガーとして知られるSyl Johnson『Uptown Shakedown』(1979年)です。

Syl Johnsonは1936年ミシシッピ州ホリースプリングス生まれの男性ソウル・シンガー/ギタリスト/ハーピスト/プロデューサー。

1950年代後半からシカゴ・ブルースのバック・ミュージシャンとして活動するようになり、1960年代半ばにはシカゴのTwinight Recordsと契約し、『Dresses Too Short』(1968年)、『Is It Because I'm Black』(1970年)という2枚のアルバムをリリースしています。

その後、Willie Mitchellに導かれ、メンフィスの名門Hi Recordsと契約。『Back for a Taste of Your Love』(1973年)、『Diamond in the Rough』(1974年)、『Total Explosion』(1976年)、『Uptown Shakedown』(1979年)という4枚のアルバムをHiに残しています。

80年代半ばからは活動のペースを落としますが、90年代に入ると復活し、2000年代初めまでに精力的にアルバムをリリースしています。

当ブログでは娘のSyleena Johnsonのアルバムは4枚紹介してきましたが、父Syl Johnsonの紹介は初めてとなります。

Syl Johnsonのアルバムといえば、人気サンプリング・ソース「Different Strokes」収録の『Dresses Too Short』(1968年)と『Is It Because I'm Black』(1970年)というTwinight時代の2枚がレア・グルーヴ方面で再評価が高くなっています。

また、ソウル・ファンからはHi Records時代の最初の3枚、『Back for a Taste of Your Love』(1973年)、『Diamond in the Rough』(1974年)、『Total Explosion』(1976年)の評価が高いのではないかと思います。

その点、Hi Recordsでのラスト作となる本作『Uptown Shakedown』(1979年)は、彼の代表作とは言い難いアルバムかもしれません。失敗作の烙印を押すソウル・ファンもいるかもしれませんね。

(メンフィス録音ではなく)ハリウッド録音で、ディスコ路線の楽曲があるなどHi作品でありながら、おおよそHi作品らしくないという点が辛口評価の理由だと思います。

個人的には、Syl Johnsonのそれまでのキャリアを取っ払って、先入観なしに聴けば、十分に楽しめる西海岸ソウル作品に仕上がっていると思います。

プロデュースはHal WinnJerry BarnesMark GibbonsMark Gibbonsはアレンジも手掛けています。

レコーディングにはJames Gadson(ds)、Eddie Watkins(b)、George Doering(g)、Greg Poree(g)、Mark Gibbons(key)、Patrick Moten(key)、Melvin Webb(per)、Harry Kim(flh)、Joel Peskin(sax)、Maxine Willard Waters(back vo)、Bob Mack(back vo)、Judi Brown(back vo)、Roger Henerly-Saint(back vo)、Stephanie Spruill(back vo)といったミュージシャンが参加しています。

個人的にはAORファンも楽しめる「Who's Gonna Love You」、ライト・メロウな「Let's Dance For Love」、爽快ファンキー・メロウ「You're The Star Of The Show」、メロウ・ディスコ「Mystery Lady」がおススメです。

レゲエ調の「Gimme Little Sign」、じっくり聴かせるソウル・バラード「Blue Water」、ディスコ調のOtisメドレー「Otis Redding Medley」も楽しめます。

おおよそHi作品らしくないライト・メロウなアルバムですが、それこそが本作の魅力だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Mystery Lady」
Hal Winn/Mark Gibbons作。ストリンスを配した爽快メロウ・ディスコがオープニング。西海岸レコーディングらしい開放的な空気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=i3NeD6335uM

「Let's Dance For Love」
Johnny Moore 作。メロウ・エレピと軽やかなギターが心地好いミディアム・グルーヴ。本作らしいライト・メロウ・サウンドに合わせて、Sylのヴォーカルも実に晴れやかです。
https://www.youtube.com/watch?v=WLIEjJjmrLY

「Gimme Little Sign」
Brenton Wood、1967年全米Top10ヒット曲のカヴァー(Brenton Wood/Hal Winn/Joseph Hooven作)。当ブログではBirgit Lystagerのカヴァーも紹介済みです。ここではレゲエ調のカヴァーで聴かせるのが面白いですね。これが悪くないんです!
https://www.youtube.com/watch?v=IQ8T2qIIn9A

「You're The Star Of The Show」
Johnny Moore/Syl Johnson作。西海岸らしいファンキー・メロウ・サウンドが心地好いミディアム・グルーヴ。ポジティブなヴァイヴに溢れているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=hU28qxBEup0

「Blue Water」
Mark James作。じっくり聴かせるソウル・バラード。ジワジワと胸に染み入る感じがたまりません。George Doeringのギター・ソロ、Joel Peskinのサックス・ソロも盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=oMo-Hr76Sc4

「Who's Gonna Love You」
Clayton Ivey/Tommy Brasfield作。AORファンも気に入りそうなアーバンなメロウ・ソウル。僕の一番のお気に入りもコレ。こういったライト・メロウな楽曲でSylの新たな魅力を発見できるのでは?Harry Kimの素敵なフリューゲルホーン・ソロも盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=tZcQqm21bBQ

「Otis Redding Medley」
ラストは「Respect」、「Wholesale Love」、「Snatch A Little Piece」、「I Can't Turn You Loose」、「Fa-Fa-Fa-Fa-Fa (Sad Song)」、「(Sittin' On) The Dock Of The Bay」という9分超のOtis Reddingメドレーで締め括ってくれます。このメドレーをディスコ調でやってしまうあたりが本作らしいのでは?本曲にダメ出しするソウル・ファンも多いのかもしれませんが、固いこと言わずに楽しましょう!
https://www.youtube.com/watch?v=63tyLdawfTE

Syl Johnsonの他作品もチェックを!

『Dresses Too Short/Is It Because I'm Black』(1968/1970年) ※2in1CD


『Back for a Taste of Your Love』(1973年)


『Diamond in the Rough』(1974年)


『Total Explosion』(1976年)


『Ms. Fine Brown Frame』(1982年)
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2020年05月24日

Adam Dunning『The Return』

オージー・メロウ・ボッサ、8年ぶりの新作☆Adam Dunning『The Return』

発表年:2020年
ez的ジャンル:オージー系メロウ・ボサノヴァ
気分は... :ストラクチャル・ホール・・・

新作からオーストラリア・メルボルン出身の男性シンガー・ソングライターAdam Dunningの最新3rdアルバム『The Return』です。

1971年オーストラリア・メルボルン出身の男性SSW、Adam Dunningの紹介は、『Sunset Monkeys』(2011年)、『Glass Bottom Boat』(2012年)に続き2回目となります。

前作『Glass Bottom Boat』(2012年)から約8年の歳月を経て、ようやく3rdアルバム『The Return』が届けられました。

過去2作は英語で歌われる極上のメロウ・ボッサで日本でも話題となりましたが、本作でもその基本路線は変わりません。

レコーディングは、ブラジルのリオデジャネイロ、トルコのイスタンブール、そして母国オーストラリアで行われました。

メイン・プロデュースはブラジルの新世代ボサノヴァ・ユニットBossacucanovaのメンバーAlex Moreira

それ以外に『Sunset Monkeys』(2011年)でAdamと共同プロデュースを務めたRonaldo Cotrimが2曲、Cagri Kodamanglu(トルコ語を無理矢理、英語綴りにしています)、Greg J Walkerが各1曲でプロデュースを務めています。

アルバムにはオーストラリア人女性シンガーTash Parker、トルコ人女性シンガーChanCeがフィーチャリングされています。

この新作のために新たに曲を書き下ろしたのではなく、以前から書き溜めていた楽曲をレコーディングしたといった感じみたいですね。

オーストラリアの真っ青な空と海、太陽の眩しさをイメージさせるメロウ・ボッサ・ワールドを存分に楽しめます。また、オリエンタル・ムードの楽曲や、ウクレレでハワイアンをイメージさせる楽曲などのアクセントも効いています。

オーストラリア人アーティストならではのボッサ・ワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Rains Of Montmartre」
ストリングスを配したスタンダード・カヴァーのようなイントロで始まるロマンティック・ボッサがオープニング。ノスタルジックな映画のテーマ曲のような雰囲気です。Alex Moreiraプロデュース。

「The Path」
Ronaldo Cotrimプロデュース。過去2作のファンが歓喜しそうメロウ・ボッサ。オージーの真っ青な海が似合う1曲ですね。

「The Ocean」
ノスタルジック・ムードの哀愁ボッサ。素敵なストリングス&ホーン・アレンジが盛り上げてくれます。

「Shades」
Tash Parkerをフィーチャー。Adamのウクレレの音色が少しハワイアンも感じさせるアコースティック・メロウ。時間の流れを忘れさせてくれる澄み切った美しさがあります。Alex Moreiraプロデュース。

「E Lala Lay-E (They're Singing)」
Joao Donatoの楽曲にAdamが英語詞をつけたもの。Alex Moreiraプロデュース。このメロウ・フィーリングはAOR好きの人も気に入るのでは?

「The Return」
Alex Moreiraプロデュース。Flavio Mendesのギター、そのFlavioのアレンジによるストリングスが秀逸なビューティフル・ボッサ。聴いているだけで心が浄化されます。

「Ordinary」
トルコ人女性シンガーChanCeをフィーチャー(二人は2015年にもデジタル配信曲で共演)。Cagri Kodamangluプロデュース。独特のオリエンタル・ムードが漂うサウンドは本作の中でも異色の1曲に仕上がっています。

「True Lies」
この曲もJoao Donatoの楽曲にAdamが英語詞をつけたもの。Alex Moreiraプロデュース。サウダージ・ムードたっぷりのロマンティックな哀愁ボッサ。

「Holiday」
Tash Parkerをフィーチャー。2013年にデジタル配信していた楽曲です。ワルツ調のアコースティック・メロウ。2人だけのホリデーといったロマンティック・ムードが漂います。Greg J Walkerプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=hXW4FjzqR6w

「Beautiful Goodbye」
Ronaldo Cotrimプロデュース。ビター・スウィートなオトナのボッサ・チューン。愛しき日々を懐かしむようなAdamのヴォーカルがいいですね。

「Higher」
本編ラストはジャジー・ポップにボッサが入り混じった楽しげな1曲で締め括ってくれます。
Alex Moreiraプロデュース。

「The World I Want For You」
国内盤ボーナストラック。ピアノ、フルートをバックに切々と歌い上げるバラードです。

Adam Dunningの過去記事もご参照ください。

『Sunset Monkeys』(2011年)
サンセット・モンキーズ

『Glass Bottom Boat』(2012年)
グラス・ボトム・ボート
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2020年05月23日

The Floacist『Floetry Re:Birth』

Floetryの元メンバーによるUKネオソウル☆The Floacist『Floetry Re:Birth』

発表年:2012年
ez的ジャンル:UK産女性ネオソウル
気分は... :境界を超えて!

今回は女性R&BデュオFloetryの元メンバーThe Floacistの2ndソロ・アルバム『Floetry Re:Birth』(2012年)です。

The FloacistことNatalie Stewartは1979年ドイツ生まれ、ロンドン育ちの女性R&Bシンガー/ラッパー/詩人。

1999年にMarsha Ambrosiusと女性R&BデュオFloetryをロンドンで結成。2000年にアメリカ、フィラデルフィアに拠点を移し、Jazzy Jeff率いるプロダクションA Touch Of Jazz(ATOJ)の一員に加わります。

Floetryはネオ・フィリーを担うアーティストとして、『Floetic』(2002年)、『Flo'Ology』(2005年)という2枚のアルバムをリリースしています。2枚共に当ブログでも紹介済みです。

その後、二人はそれぞれソロ・アーティストの道を歩み始め、NatalieThe Floacist名義で『Floetic Soul』(2010年)、『Floetry Re:Birth』(2012年)、『Rise of the Phoenix Mermaid』(2014年)という3枚のアルバムをリリースしています。

2ndソロ・アルバムとなる本作『Floetry Re:Birth』(2012年)は、タイトルからしてFloetry再興への思いが込められていますね。

プロデュースはThe Floacist自身と当時の彼女の公私のパートナーであったUkのプロデューサー/ドラマーNolan Weekes。ロンドンでのレコーディングです。

前作にも参加していたUS男性R&BシンガーRaheem DeVaughn、南アフリカのユニットBongo Maffinのメンバーである女性ヴォーカリストThandiswa Mazwaiがフィーチャリングされています。

元々ラップ/ポエトリーリーディング担当であり、実力派シンガーという訳ではないThe Floacistですが、それを逆手にとって、実に雰囲気のあるヴォーカルで魅せてくれるメロウなUK産ネオソウルに仕上がっていると思います。

Floetryのヒット曲のセルフ・リメイク「Say Yes (10 Year Anniversary Edition)」Raheem DeVaughnをフィーチャーしたMarvin Gaye「I Want You」へのオマージュ「Start Again」の2曲がハイライトだと思います。

それ以外に人力ドラムンベース調の「Children Of The Sun」、自然体のネオソウル「Step Out」、素敵なラブ・バラード「Slow Down」、アコギのメロウ・チューン「Speechless」あたりも僕のおススメです。

Floetryファンは楽しめるであろう1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Start Again」
Raheem DeVaughnをフィーチャー。このオープニングを本作のハイライトに挙げる人も多いのでは?聴けば一発でわかるように、Marvin Gaye「I Want You」へのオマージュです。しっとりとした大人のメロウR&Bグルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=VAQOIMSPSdM

「Children Of The Sun」
しっとりとしたネオソウルと思いきや、いきなり人力ドラムンベース調になるあたりがUK制作らしいですね。この爽快な疾走感は僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=UTY9BVaThZM

「Step Out」
自然体のネオソウルといった趣がいいですね。聴いていると知らぬ間に体を揺らしてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=yngahVMWHIo

「Slow Down」
美しいピアノのイントロが印象的なラブ・バラード。実に雰囲気がいいですね。爽やかな艶やかさがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=5J3dtdGowSI

「Soul」
妖艶なソウル・グルーヴ。しっとりとした中にほんのりと香るセクシーさがグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=VD04GSEvny4

「Say Yes (10 Year Anniversary Edition)」
全米R&Bシングル・チャート第8位のヒットとなったFloetryの代表曲のセルフ・リメイク。寛いだ雰囲気のオトナのジャジー・ソウルに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=NcsqHzUz_EI

オリジナル・ヴァージョンと聴き比べるのも楽しいのでは?
Floetry「Say Yes」
https://www.youtube.com/watch?v=PCCGIXME164

「Could It Be You?」
やさしく語り掛けるような歌声に癒されるビューティフル・バラード。優しい歌声とフルートの音色を聴いていると童心に帰ります。
https://www.youtube.com/watch?v=rPzpIUJqxPA

「Speechless」
アコギの音色が心地よいメロウ・チューン。歌いすぎないThe Floacistのヴォーカル・スタイルと実にマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=qJEq8KwgRmg

「This Love」
哀愁ミディアム。レゲエではありませんが、随所にレゲエの影響を感じるのが面白い演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=5Qdr6ElvdJw

「Roots Of Love」
南アフリカの女性ヴォーカリストThandiswa Mazwaiをフィーチャー。南アフリカの民族色を打ち出したサウンドをバックに、The Floacistがポエトリー・リーディングを披露します。
https://www.youtube.com/watch?v=oM29g1BMUx4

The Floacistの他のソロ・アルバムやFloetryの2枚のアルバムもチェックを!

『Floetic Soul』(2010年)


『Rise of the Phoenix Mermaid』(2014年)


『Floetic』(2002年)


『Flo'Ology』(2005年)

posted by ez at 01:09| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月21日

Dave Pike『Limbo Carnival』

カリプソにアプローチした1枚☆Dave Pike『Limbo Carnival』

発表年:1963年
ez的ジャンル:カリプソ系ジャズ・ヴァイヴ
気分は... :リンボー・ダンス!

ジャズ・ヴァイヴ奏者Dave Pike『Limbo Carnival』(1963年)です。

当ブログでこれまで紹介したDave Pike関連作品は以下の6枚。

 The Dave Pike Quartet『Pike's Peak』(1961年)
 Dave Pike『Bossa Nova Carnival』(1962年)
 Dave Pike And His Orchestra『Manhattan Latin』(1964年)
 The Dave Pike Set『Noisy Silence-Gentle Noise』(1969年)
 The Dave Pike Set『Four Reasons』(1969年)
 The New Dave Pike Set & Grupo Baiafro In Bahia『Salomao』(1972年)

本作『Limbo Carnival』(1963年)は、Pikeがカリプソにアプローチした作品です。アルバム・タイトルにあるリンボ(Limbo)はリンボー・ダンスでお馴染みのカリプソのダンス音楽のことです。

トリニダード・トバゴ起源のスティールパンの代わりに、Pikeがヴァイヴ/マリンバを奏でるといった感じです。

レコーディング・メンバーはDave Pike(vibe、marimba)、Leo Wright(as)、Jimmy Raney(g)、Tommy Flanagan(p)、George Duvivier(b)、Ahmed Abdul-Malik(b)、William Correo(ds)、Ray Barretto(congas)

カリビアンな楽曲のカヴァーが中心です。

ただし、僕のお気に入りはスウィンギーな「Mambo Bounce」「Catin' Latin'」の2曲。

カリプソらしい演奏であれば、Sonny Rollinsの名曲カヴァー「St. Thomas」をはじめ、Chubby Checkerのヒットで知られる「Limbo Rock」、Charlie Parker作品のカヴァー「My Little Suede Shoes」あたりがおススメです。

開放的なカリビアン・ジャズを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「La Bamba」
Ritchie ValensやLos Lobosでお馴染みのメキシカン・トラディショナルをカヴァー。当ブログではWillie Boboのカヴァーも紹介済みです。お馴染みの名曲をカリプソ・テイストで楽しめます。ここでのPikeはマリンバを軽快に奏でます。
https://www.youtube.com/watch?v=Tq_wS05qSwU

「My Little Suede Shoes」
Charlie Parker作品のカヴァー。当ブログではGrant Greenのカヴァーも紹介済みです。軽やかで開放的な疾走感が心地好い演奏です。落ち着いた煌びやかさのあるPikeのヴァイヴが映えます。Flanaganのピアノ・ソロもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=HA2rkIn7-WM

「Matilda」
Norman Span作。Harry Belafonteヴァージョンで知られるカリプソ・ソングをカヴァー。マリンバの音色が似合うトラディショナルで軽快な演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=7mOOD--ScX4

「Mambo Bounce」
Sonny Rollins作品のカヴァー1曲目。冒頭のPikeのヴァイヴとFlanaganのピアノの掛け合いが印象的です。スウィンギーなジャズ演奏にほんのりとカリビアンな隠し味を効かせています。
https://www.youtube.com/watch?v=2nNbNY4MdJQ

「Limbo Rock」
Jon Sheldon/Billy Strange作。Chubby Checkerのヒットで知られる楽曲をカヴァー。オリジナルはThe Champsヴァージョンです。開放的に疾走するカリビアン・ジャズに仕上がっています。スティールパン代わりのPikeのマリンバも実に軽やかです。
https://www.youtube.com/watch?v=hOQYtQaTjzc

「Calypso Blues」
Nat King Coleのカヴァー(Nat King Cole/Don George作)。土着的な演奏ですが、独特なミステリアス感があります。
https://www.youtube.com/watch?v=9S2menfduAs

「Catin' Latin'」
ジャズ・サックス奏者Pony Poindexterの作品をカヴァー。大好きなJohnny Lytle「Selim」あたりに通ずる格好良さがある演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=HQmdGI5ZLPE

「St. Thomas」
Sonny Rollins作品のカヴァー2曲目。当ブログでも紹介した名盤『Saxophone Colossus』(1956年)収録の名曲ですね。ここでは少しアップテンポにして軽快に疾走する演奏で楽しめませてくれます。この曲にはヴァイヴの音色がよく似合いますね。
https://www.youtube.com/watch?v=1uwFEL2RY0s

「Jamaica Farewell」
Harry Belafonteでお馴染みの楽曲をカヴァー(Lord Burgess作)。当ブログではThe Gramophone Allstars Big Bandのカヴァーも紹介済みです。ノスタルジックな雰囲気のカリビアン・ジャズで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=pbM1CmV3Aqs

Dave Pike関連の他作品もチェックを!

Dave Pike『It's Time for Dave Pike』(1961年)
It's Time for Dave Pike

The Dave Pike Quartet『Pike's Peak』(1961年)
PIKE'S PEAK

Dave Pike『Bossa Nova Carnival』(1962年)
ボサ・ノヴァ・カーニヴァル+リンボ・カーニバル

Dave Pike And His Orchestra‎『Manhattan Latin』(1964年)
Manhattan Latin (Dig)

The Dave Pike Set『Got the Feeling』(1968年)
Got the Feeling

The Dave Pike Set『Noisy Silence-Gentle Noise』(1969年)
ノイジー・サイレンス-ジェントル・ノイズ(紙ジャケット仕様)

The Dave Pike Set『Four Reasons』(1969年)
Four Reasons

Dave Pike『The Doors of Perception』(1970年)
Doors of Perception

The Dave Pike Set『Live at the Philharmonie』(1970年)
Live at the Philharmonie (Mlps)

The Dave Pike Set『Infra-Red』(1970年)
Infra-Red

The Dave Pike Set『Album』(1971年)
アルバム

The New Dave Pike Set & Grupo Baiafro In Bahia『Salomao』(1972年)
Salomao
posted by ez at 03:24| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月20日

Salena Jones『Everybody's Talkin' About Salena Jones』

「Am I The Same Girl」の好カヴァー収録☆Salena Jones『Everybody's Talkin' About Salena Jones』
the moment of truth everybody's talkin' about salena jones.jpg
発表年:1970年
ez的ジャンル:黒人女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :阿頼耶識に従う・・・

今回は女性ジャズ・シンガーSalena Jonesの人気作『Everybody's Talkin' About Salena Jones』(1970年)です。

単品では未CD化のため、上記ジャケ(amazonへのリンク)は『The Moment Of Truth/Everybody's Talkin' About Salena Jones』(1969/1970年)の2in1CDです。

実際のジャケはこんな感じです。
『Everybody's Talkin' About Salena Jones』(1970年)
everybody's talkin' about salena jones.jpg

Salena Jones(本名:Joan Elizabeth Shaw)は1938年ヴァージニア州ニューポートニューズ生まれの女性ジャズ・シンガー。

N.Y.ハーレムのアポロ・シアターで行われたタレント・コンテスト優勝を契機に、プロ・シンガーとしての道を歩み始めます。60年代前半にJoan Shaw名義で2枚のアルバムをリリースしています。

60年代半ば後半からはSalena Jones名義で活動するようになり、60年代後半には拠点に英国に移しています。そして、『The Moment Of Truth』(1969年)を皮切りに、2000年代までコンスタントにアルバムをリリースしています。

本作『Everybody's Talkin' About Salena Jones』(1970年)は、『The Moment Of Truth』(1969年)に続くUKレコーディングの第二弾アルバムであり、今日の再評価も高い1枚です。

プロデュースは前作と同じくKeith Mansfield

楽曲はすべて有名ヒット曲やスタンダードを中心としたカヴァーです。

フリーソウル方面でも人気のBarbara Acklinのカヴァー「Am I The Same Girl」Stevie Wonderの名曲カヴァー「My Cherie Amour」Blood, Sweat & Tearsのブラス・ロック名曲カヴァー「Spinning Wheel」Harry Nilsson絡みのカヴァー2曲「Everybody's Talkin'」「Without Him」あたりが目立ちます。

それ以外に「The More I See You」「On A Clear Day You Can See Forever」といったスタンダード・カヴァー、Bacharach作品カヴァーの「I'll Never Fall In Love Again」、カナダ人女性フォーク・シンガーBonnie Dobsonのカヴァー「Morning Dew」あたりも僕好みの仕上がりです。

ジャズ好き以上に、ソウル好き、ポップス好き、フリーソウル好きの人が気に入る1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Am I The Same Girl」
Sonny Sanders/Eugene Record作の名曲カヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介したBarbara Acklinヴァージョン。本曲を有名にしたインスト・ヴァージョンYoung Holt Unlimited「Soulful Strut」やSwing Out Sisterのカヴァーでもお馴染みですね。このSalenaヴァージョンもフリーソウルのコンピに収録されるなど再評価されています。華やかな中にも実力派ジャズ・シンガーらしい余裕があるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=QPZSkz1Ua00

「Everybody's Talkin'」
Fred Neil作。Harry Nilssonのヒットでお馴染み「うわさの男」をカヴァー。当ブログではGary McFarlandのカヴァーも紹介済みです。Nilssonヴァージョンに通じる雰囲気ですが、美しいオーケストレーションがSalenaのヴォーカルを引き立てます。
https://www.youtube.com/watch?v=T5cnI3c15G8

「Without Him」
Harry Nilssonの名曲「Without Her」のカヴァー。Nilsso絡みの楽曲が続きます。Keith Mansfieldによる変幻自在のホーン&ストリングス・アレンジが冴え渡る1曲に仕上がっています。当ブログではTriste Janeroのカヴァーも紹介済みです。
https://www.youtube.com/watch?v=NsAmi_BDPFU

「My Way」
Claude Francois/Jacques Revaux/Paul Anka作。Frank Sinatraで有名な名曲のカヴァー。ポピュラー・スタンダードらしいオーセンティックな仕上がりです。

「Spinning Wheel」
Blood, Sweat & Tearsのブラス・ロック名曲をカヴァー(David Clayton-Thomas作)。この曲らしいブラス・サウンドにグルーヴィーなジャズ・フィーリングが加わった格好良い1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=09ZV2szkns4

本曲に関して、当ブログであFlaming EmberJimmy McGriffBossa Rioのカヴァーも紹介済みです。

「The More I See You」
Mack Gordon作詞、Harry Warren作曲。映画『Diamond Horseshoe』(1945年)のために書かれたスタンダードのカヴァー。当ブログではChet BakerChris Montezのカヴァーも紹介済みです。ここでは僕好みの爽快メロウ・グルーヴで聴かせてくれます。曲良し、歌良し、アレンジ良しの三拍子揃った仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=AKLI_OexpcA

「Morning Dew」
カナダ人女性フォーク・シンガーBonnie Dobsonのカヴァー(Bonnie Dobson/Tim Rose作)。軽快なグルーヴィー・ポップ。ヒップなサウンドとSalenaのヴォーカルがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=8Bi1t4xLRZE

「My Cherie Amour」
Stevie Wonderの名曲をカヴァー(Henry Cosby/Sylvia Moy/Stevie Wonder作)。オリジナルの持つ軽快なソウル・グルーヴを受け継ぎつつ、Salenaならではのジャズ・フィーリングが加味されています。
https://www.youtube.com/watch?v=joNPx1wv-Jo

本曲に関して、当ブログではRoman AndrenQuincy JonesCal TjaderGary McFarlandHeraldo Do MonteGene Russellのカヴァーも紹介済みです。

「Yesterday I Heard The Rain (Esta Tarde Vi Llover)」
Armando Manzanero/Gene Lees作。Tony Bennett、Dionne Warwickヴァージョンなどで知られる楽曲です。美しいストリングスによるスタンダード然としたジャズ・バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=cp8oGoJidfg

「On A Clear Day You Can See Forever」
Alan Jay Lerner/Burton Lane作。ミュージカル『On A Clear Day You Can See Forever』(1929年)のために書かれたスタンダードのカヴァー。当ブログではMario Biondi & The High Five QuintetThe PeddlersFred JohnsonSvante Thuressonのカヴァーも紹介済みです。小粋なスウィンギー・フィーリングにグッとくる1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=NHRMl5zIJGw

「I'll Never Fall In Love Again」
Hal David/Burt Bacharach作。ミュージカル『Promises, Promises』のために書かれた名曲をカヴァー。当ブログではBirgit LystagerGrant GreenBobbi Boyleのカヴァーを紹介済みです。ウォーキング・ベースがナビゲートするオシャレなジャズ・フィーリングをバックに、Salenaがジャズ・シンガーらしい歌いっぷりで魅了します。中盤以降のスリリングなアップテンポがサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=1VpLVsZ7TeQ

「Play It Again, Sam」
Hal Hackady/Larry Grossman作。Tony Bennettヴァージョンで知られる楽曲をカヴァー。ピアノとストリングスのバッキングによるバラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=e3cieidc_V8

Salena Jonesの初期作品もチェックを!

『Alone & Together』(1973年)


『This 'n That』(1974年)


『Love Is in the Air』(1980年)


『My Love』(1981年)

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