2020年05月06日

Melba Moore『Soul Exposed』

ハッシュの看板シンガー、最後の輝き☆Melba Moore『Soul Exposed』

発表年:1990年
ez的ジャンル:Hush系女性R&B
気分は... :名将逝く・・・

我が愛するドルフィンズの全盛期を築き、長いNFLの歴史で唯一、無敗でのスーパーボウル制覇を成し遂げた名将ドン・シュラが逝去しました。

小学生高学年のときに、ドン・シュラ率いるドルフィンズの存在を知り、それ以降NFLにどんどんのめり込んでいきました。そんなNFLの魅力を存分に伝えてくれた名将に感謝するばかりです。ありがとう!ドン・シュラ!安らかにお眠りください。

女性R&BシンガーMelba Mooreが1990年にリリースした『Soul Exposed』です。

1945年N.Y.生まれの女性R&BシンガーMelba Mooreについて、当ブログで紹介したのは以下の5枚。

 『Peach Melba』(1975年)
 『This Is It』(1976年)
 『Melba』(1976年)
 『A Portrait of Melba』(1977年)
 『Closer』(1980年)

昨日『Jazz The New Chapter6』関連の記事をエントリーしましたが、
『Jazz The New Chapter6』内で本作が関連ディスクとして紹介されており、それで自宅CD棚から本作を久々に手に取り、約30年ぶりに聴いてみたら、案外悪くなかったので記事にすることにしました。

本作『Soul Exposed』(1990年)は、US R&Bアルバム・チャートにチャート・インした最後のスタジオ・アルバムとなります。

1970年代初めからコンスタントにアルバムをリリースし、80年代に入ると夫のCharles Hugginsと設立したHush Productionsの隆盛と共に、看板アーティストの一人として活躍してきたMelba Moore。本作以降もアルバムをリリースしていますが、彼女のキャリアの大きな区切りとなるアルバムではないかと思います。

David "Pic" Conley/David TownsendSurface)、Norman ConnorsBeBe WinansDaniel TelefaroLinda VitaliWilliam RhinehartMichael O'HaraSami McKinneyJanice DempseyHoward King(元MtumeRahni SongDean Gantといった多彩なプロデューサー陣が起用されています。

シングルにもなった「Lift Every Voice And Sing」には、Stevie WonderDionne WarwickStephanie MillsJeffrey OsborneAnita BakerHoward HewettBobby BrownTake 6といった豪華メンバーがヴォーカルで参加しています。

レコーディングにはBobby Wooten(p)、Josh Milan(key)、Charles Fearing(元Raydio)(g)Gerald Albright(sax)、Chuckii Booker(syn)、Paul Jackson Jr(g)、Keni Burke(b)、John Robinson(ds)、Freddie Washington(b)、Ben Wright(key)、Bobby Lyle(key)、Paulinho Da Costa(per)等のミュージシャンが参加しています。

また、Gwen GuthriePerriAngie WinansDebra WinansLisa FisherAlex BrownLynn Davis等がバック・コーラスを務めています。

アルバム全体としては、1990年ならではの都会的なR&Bサウンドを聴かせてくれます。

ハイライトは前述の豪華メンバー参加のシングルとしてUS R&Bチャート第9位となった「Lift Every Voice And Sing」。オープニングの「Do You Really Want My Love」もUS R&Bチャート第10位となったシングル曲です。

それ以外に、ダンス系であれば、Frankie Knucklesがリミックスを施した「New Love」、アーバンな「Face To Face」「Too Many Lovers」がおススメです。

ミディアム〜スロウ系であれば、「I Love Being In Love」「Crying In The Night」がおススメです。

改めて聴くと、なかなかいいアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Do You Really Want My Love」
David "Pic" Conley/David TownsendというSurfaceメンバー2人によるプロデュース。Gwen Guthrieがバック・コーラスで参加しています。シングル・カットされ、US R&Bチャート第10位となっています。本作らしいアーバンなダンサブル・チューン。Surfaceコンビが1990年仕様のMelbaの魅力をうまく引き出しているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=_CMKOBUNyDc

「Hold Me」
Daniel Telefaro/Linda Vitaliプロデュース。落ち着いた雰囲気のアーバン・コンテンポラリー感が魅力のミディアム・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=lptIcneNoDg

「New Love」
William Rhinehartプロデュース。さらにFrankie Knucklesがリミックスを施しています。Frankie Knucklesリミックスということで、クラブ仕様の魅力もあるダンサブル・チューン。キーボード・ソロはJosh Milan。
https://www.youtube.com/watch?v=1kBfGXl4PZ8

「I Love Being In Love」
Michael O'Hara/Sami McKinneyプロデュース。僕好みの素敵なラブ・バラード。曲良し、歌良し、サウンド良しの三拍子揃っています。リード・ギターは元RaydioのCharles Fearing、バック・コーラスは当ブログでも紹介した女性R&BグループPerri
https://www.youtube.com/watch?v=AnvgzjPTmbc

「Lift Every Voice And Sing」
本作のハイライト。James Weldon Johnson/John Rosamond Johnson作。奴隷解放戦争である南北戦争時代に書かれ、"Black National Anthem(アメリカ黒人国歌)"とも呼ばれる歌のカヴァー。前述のように、Stevie WonderDionne WarwickStephanie MillsJeffrey OsborneAnita BakerHoward Hewett、Bobby Brown、Take 6といった豪華メンバーがヴォーカルで参加しています。プロデュースはBeBe Winans。Winansファミリーもバック・コーラスで参加しています。ギター・ソロはMichael Wright、サックスはGerald Albright。シングルにもなりUS R&Bチャート第9位となっています。ただし、シングル・ヴァージョンにはJesse Jackson牧師のナレーションが入っています。この歌の意味合い、豪華メンバーのヴォーカル・リレーなど聴きどころ満載ですし、全体もコンテンポラリー・ゴスペル調の感動的な仕上がりになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=YVzmgfBiut8

「Face To Face」
Daniel Telefaro/Linda Vitali/Janice Dempseyプロデュース。アーバンなダンサブル・チューン。クラブ寄りのエッセンスも取り入れたダンサブル・サウンドがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=-5frvzM9a2U

「Crying In The Night」
Howard King(元Mtume)/Rahni Songプロデュース。バック・コーラスでLisa Fisherが参加しています。ブラコン好きの人も気に入りそうなアーバン・ミディアムです。個人的にも気に入りました。
https://www.youtube.com/watch?v=5vuyK4n3Vas

Lil B「Hood Stories」のサンプリング・ソースとなっています。
Lil B「Hood Stories」
 https://www.youtube.com/watch?v=dfVbj2hIVwk

「Don't You Want To Be My Lover」
Dean Gantプロデュース。シンセ・ソロはChuckii Booker、ギターはPaul Jackson Jr.、ベースはKeni Burke。Dean Gantと共にCharlie Singletonがソングライティングを手掛けています。バック・コーラスはAlex Brown、Lynn Davis。1990年らしい雰囲気のダンサブル・サウンドですが、名うてのバック陣のおかげもあって、結構キマっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=rmrZ6fjzh3c

「Too Many Lovers」
再びDavid "Pic" Conley/David TownsendというSurfaceコンビによるプロデュース。バック・コーラスはGwen Guthrie。Surfaceコンビの曲作り、サウンド・センスの良さが光るアーバン・ダンサーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=SyD3bYLW17I

「Stormy Weather」
Norman Connorsプロデュース。ギターはPaul Jackson Jr.、ベースはFreddie Washington、キーボードはBen Wright、Bobby Lyle、パーカッションはPaulinho Da Costa。ラストはスタンダード調のオーセンティックなバラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=IYdj7LwhDUc

CDにはボーナス・トラックとして、「Lift Every Voice And Sing (Long Version)」が追加収録されています。

他のMelba Moore作品もチェックを!

『Peach Melba』(1975年)
Peach Melba

『This Is It』(1976年)
THIS IS IT (EXPANDED EDITION)

『Melba』(1976年)
Melba

『A Portrait of Melba』(1977年)
Portrait of Melba

『Melba '78』(1978年)
Melba

『Closer』(1980年)
CLOSER

『What a Woman Needs』(1981年)
WHAT A WOMAN NEEDS(EXPANDED)

『The Other Side of the Rainbow』(1982年)
OTHER SIDE OF THE RAINBOW

『Never Say Never』(1982年)
NEVER SAY NEVER(PLUS BONUS)

『Read My Lips』(1985年)
READ MY LIPS (EXPANDED)

『A Lot of Love』(1986年)
A LOT OF LOVE (EXPANDED)
posted by ez at 04:29| Comment(2) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月05日

特別企画:『Jazz The New Chapter6』絡みで・・・

話題の"今ジャズ"ムック本の第6弾『Jazz The New Chapter 6』が先々月発売されました。

発売直後に購入したのですが、新型コロナ問題に伴うバタバタでなかなか目を通すことができませんでしたが、このステイホーム週間でようやく簡単に目を通すことができました。

『Jazz The New Chapter 6』


『Jazz The New Chapter』(上段左)
『Jazz The New Chapter 2』(上段右)
『Jazz The New Chapter 3』(中段左)
『Jazz The New Chapter 4』(中段右)
『Jazz The New Chapter 5』(下段)
Jazz The New Chapter~ロバート・グラスパーから広がる現代ジャズの地平 (シンコー・ミュージックMOOK)Jazz The New Chapter 2 (シンコー・ミュージックMOOK)
Jazz The New Chapter 3 (シンコー・ミュージックMOOK)Jazz The New Chapter 4 (シンコー・ミュージックMOOK)
Jazz The New Chapter 5 (シンコー・ミュージックMOOK)

当ブログでは、これまで4回、『Jazz The New Chapter』絡みの記事をエントリーしています。

2014年9月30日
 『Jazz The New Chapter(JTNC)強化月間のおわりに』
2015年9月16日
 特別企画:『Jazz The New Chapter 3』が発売になりました・・・
2017年3月30日
 特別企画:『Jazz The New Chapter 4』掲載ディスクのご紹介
2018年7月9日
 特別企画:『Jazz The New Chapter 5』が発売になりました・・・

僕自身はJazz The New Chapter(JTNC)の熱狂的な信奉者というわけではなく、また意識してJTNC的な作品をフォローしているわけではないので、偉そうにこのムック本をレビューできる立場ではないのですが、過去5冊を扱ってきた行きがかり上、この第6弾についても記事にしました。

前作同様に、注目のミュージシャンへのインタビュー中心の構成が好感持てました。
冒頭に書かれた"直接対話を求めて引き出したアーティストの言葉と、わからなさを何とか言葉にしようとする書き手の言葉が並んでいる"というフレーズに本作の魅力が凝縮されているのでは?

ただし、全体的にはJTNCというマップが大きくなりすぎて、それを全方位でフォローする気にはなれず、読んでいて興味があるパートとそうではないパートの濃淡がより大きくなってきたのは事実です。

Jazz The New Chapter(JTNC)が音楽ファンの間ではかなり定着し、それに伴いJTNC的な作品のリリースも多くなってきました。一方で大袈裟な宣伝文句のわりに、実際聴いてみるとさほどピンと来ない作品も多くなってきました。まぁ、僕自身が好む音楽とJTNCの拡張方向がリンクしているわけではないので、そうなるのは仕方がないことなのですが・・・

『Jazz The New Chapter 6』掲載ディスクの紹介

『Jazz The New Chapter 6』のディスク・セレクションおよび主要記事で扱われていたディスクから、当ブログでもエントリー済みの作品を紹介したいと思います。

Louis Cole『Time』(2018年)
Time [解説・歌詞対訳 / ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC575)
「When You're Ugly」
https://www.youtube.com/watch?v=vS4NxiURhEw

Antonio Loureiro『Livre』(2018年)
Livre リーヴリ
「Meu Filho Nasceu」
https://www.youtube.com/watch?v=Xg4_h_HIes4

Richard Spaven『Real Time』(2018年)
リアル・タイム
「Spin」
https://www.youtube.com/watch?v=mjK2r1sAktw

Theon Cross『Fyah』(2019年)
ファイア
「Panda Village」
https://www.youtube.com/watch?v=S0SY7curw6s

Mark Guiliana『Beat Music! Beat Music! Beat Music!』(2019年)
BEAT MUSIC! BEAT MUSIC! BEAT MUSIC! [日本語解説つき]
「Bud」
https://www.youtube.com/watch?v=x4iDFwLmWS4

Flying Lotus『Flamagra』(2019年)
【メーカー特典あり】Flamagra [初回限定紙ジャケット仕様 / 解説・歌詞対訳 / ボーナストラック収録 / 国内盤] オリジナル肖像画マグネット付 (BRC595)
「Heroes」
https://www.youtube.com/watch?v=aDDvwoABgwE

Dexter Story『Bahir』(2019年)
BAHIR
「Gold」
https://www.youtube.com/watch?v=ZPbIHCYUrZo

Joe Armon-Jones『Turn To Clear View』(2019年)
Turn to Clear View
「You Didn't Care」
https://www.youtube.com/watch?v=fmPo9k1YaBI

Robert Glasper『Fuck Yo Feelings』(2019年)
ファック・ヨ・フィーリングス
「Gone」
https://www.youtube.com/watch?v=W2wTE3D_sGo

Becca Stevens『Wonderbloom』(2020年)
ワンダーブルーム【日本先行発売/CD日本盤のみ/ボーナス・トラック収録】
「I Wish」
https://www.youtube.com/watch?v=0wdpA_mBvEQ

Thundercat『It Is What It Is』(2020年)
It Is What It Is [解説・歌詞対訳 / ボートラ追加収録 / 国内盤] (BRC631)
「Black Qualls」
https://www.youtube.com/watch?v=_p7dXbDAXuQ

Kassa Overall『I Think I'm Good』(2020年)

「I Know You See Me」
https://www.youtube.com/watch?v=zZVx1_BvRZE

このディスク一覧や各ディスクからのピックアップ曲を聴いていただければ分かるように、凡そジャズらしくないアーティスト、演奏が僕にとってのJTNCといったところでしょうか。

独断セレクト!裏『Jazz The New Chapter 6』作品

ここでは『Jazz The New Chapter 6』のディスク・セレクションからは漏れましたが、当ブログのエントリー作品の中からJTNC的と思うディスクを独断でセレクトしました。
※『Jazz The New Chapter 5』発売以降のエントリーに限定しています。

Kamaal Williams『The Return』(2018年)
RETURN
「Catch The Loop」
https://www.youtube.com/watch?v=_AjGzkKn138

Tenderlonious『Shakedown Featuring The 22archestra』(2018年)
SHAKEDOWN FEAT. THE 22
「Expansions」
https://www.youtube.com/watch?v=8NJ6KaopRts

Dwight Trible『Mothership』(2019年)
マザーシップ
「Mothership」
https://www.youtube.com/watch?v=PiorlZ03ZDg

Cykada『Cykada』(2019年)
Cykada
「Dimnsion Stepper」
https://www.youtube.com/watch?v=dEX2RZVgPaU

Kiefer『Superbloom』(2019年)
Superbloom
「Island」
https://www.youtube.com/watch?v=8iNZHmF-6rA

Ashley Henry『Beautiful Vinyl Hunter』(2019年)
Beautiful Vinyl Hunter
「Introspection」
https://www.youtube.com/watch?v=VCOlTzjWrRY

Portico Quartet『Memory Streams』(2019年)
MEMORY STREAMS
「With, Beside, Against」
https://www.youtube.com/watch?v=INk3luiNndg

Neue Grafik Ensemble『Foulden Road』(2019年)
フォールデン・ロード
「Hedgehog's Dilemma」
https://www.youtube.com/watch?v=4M2j5XoqvW0

Jose James『No Beginning No End 2』(2020年)
ノー・ビギニング・ノー・エンド 2
「I Need Your Love」
https://www.youtube.com/watch?v=ux5efB3tpvQ

Moses Boyd『Dark Matter』(2020年)
Dark Matter [ボーナストラック4曲収録]
「Y.O.Y.O」
https://www.youtube.com/watch?v=eiAV0zQipLY

Ben Williams『I Am A Man』(2020年)
アイ・アム・ア・マン
「If You Hear Me」
https://www.youtube.com/watch?v=yjXi820_fd4

Shabaka And The Ancestors『We Are Sent Here By History』(2020年)
ウィー・アー・セント・ヒア・バイ・ヒストリー
「They Who Must Die」
https://www.youtube.com/watch?v=rpyoP3x9-hk

こうやってピックアップするとUkジャズが圧倒的に多くなってしまいます。結局、僕の今の嗜好に一番フィットするのは南ロンドンなのか・・・
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2020年05月03日

Kassa Overall『I Think I'm Good』

ハイブリッドでメランコリックな次世代ジャズ☆Kassa Overall『I Think I'm Good』

発表年:2020年
ez的ジャンル:ハイブリッド&メランコリック系次世代ジャズ
気分は... :無分別の音世界...

新作ジャズからKassa Overall『I Think I'm Good』です。

Kassa OverallはN.Y.を拠点とするジャズ・ミュージシャン、MC、シンガー、プロデューサー、ドラマー。育ったのはシアトルのようですね。

自らを"バックパック・ジャズ"と称するように、ジャズ・ドラマーでありながら、MC、ビートメイクなどジャンル、スタイルに囚われない身軽な音楽活動を信条としているようです。

そんな彼の才能はArto LindsayRoy Hargroveらからも高く評価されています。

これまで女性シンガーTeclaとのユニットToothpaste名義でのToothpaste/Tecla + Kassa『1996』(2012年)、Peter EvansJohn Hebertとの共同名義アルバムPeter Evans, Kassa Overall, John Hebert『Zebulon』(2013年)、さらにはRoy HargroveArto LindsayTheo CrokerCarmen LundyJudi Jacksonらをフィーチャリングした『Go Get Ice Cream And Listen To Jazz』(2019年)といったアルバムをリリースしています。

そんなKassa OverallGilles PetersonBrownswood Recordingsからリリースした最新作が『I Think I'm Good』です。

昨今の次世代ジャズ・ドラマーと同じく、ビートメイカーとしての才を兼ね備えているジャズ・ミュージシャンですね。

前作『Go Get Ice Cream And Listen To Jazz』におけるジャズ×Hip-Hopのハイブリッド・アプローチをさらに推し進めたのが本作『I Think I'm Good』です。

本人曰く、前作『Go Get Ice Cream And Listen To Jazz』A Tribe Called Quest(ATCQ)Nas、本作『I Think I'm Good』Dr. DreSnoop Dogg2Pacなのだとか。実際に聴くと、この喩えはあまりピンと来ませんが・・・

アルバムにはTheo Croker(flh)、Aaron Parks(p、syn)、Vijay Iyer(el-p)、Joel Ross(vibe)、Sullivan Fortner(p)、Carlos Overall(ts)、J Hoard(vo)、Melanie Charles(vo)、Angela Davis(vo)といったアーティストがフィーチャリングされています。

それ以外にBrandee Younger(harp)、BIGYUKI(syn)、Rafiq Bhatia(g)、Stephan Crump(b)、Joe Dyson(ds)、Mike King(syn)、Morgan Guerin(clarinet、sax、ds、b)、Jay Gandhi(bansuri)等のミュージシャンが参加しています。

プロデュースはKassa Overall自身。
「Show Me A Prison」以外はKassaのオリジナルです。

聴く前は、もっと次世代ジャズ・ドラマー、Hip-Hopトラックメイカーの色を強く出している作品をイメージしていましたが、実際聴くと、かなり違った印象でした。

ジャズ・ドラマーという肩書やジャンルの枠に囚われないジャズ、Hip-Hop、R&B、エレクトロニカ等を飲み込んだハイブリッドなサウンドと、メランコリックな音世界を貫徹した構成に少なからず驚かされました。

一応、ジャズ・ミュージシャンという本籍を持ちながらも、一か所に定住せずバックパッカー的な活動をした結果、住所を持たず生きていく(ジャンルを意識せず音楽する)スタイルに行き着いたのでしょうね。

実験的・抽象的で必ずしも聴きやすいアルバムではないし、派手さもないですが、興味を持って聴けば、静かなるインパクトを楽しめると思います。

こういった作品がBrownswoodからリリースというのも興味深いですね。

次世代ミュージシャンらしい無分別の音世界を楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Visible Walls」
ジャズ・ドラマー作品にも関わらず、いきなりビートレスのオープニング。浮遊するシンセをバックに、Brandee Youngerの美しいハープ、Jay Gandhiの生命の息吹のようなバンスリー、Kassaの素朴なヴォーカル等が織りなす静寂の音世界が展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=Py_TEyuSwO8

「Please Don't Kill Me」
Joel Ross、Theo Crokerをフィーチャー。ヴァイヴ、フリューゲルホーン、ハープ、ピアノ、シンセ、ベース、ドラム、そしてKassaのヴォーカルによる美しい演奏が転回されます。片隅の小さな美しさといった雰囲気があります。
https://www.youtube.com/watch?v=nx9FX86nK8I

「Find Me」
J Hoardをフィーチャー。エフェクトを駆使した前衛的な新世代ジャズに仕上がっています。ビジュアルとセットで聴きたい音ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=pGiwrT_gxM0

「I Know You See Me」
J Hoard、Melanie Charlesをフィーチャー。BIGYUKIも参加。Kassaのビートメイカー&次世代ジャズ・ドラマーのセンスを感じる1曲。メロトロンの不協和音のような響きも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=zZVx1_BvRZE

「Sleeping On The Train」
ドラム、ピアノ、バンスリーによる1分強の小曲。でも雰囲気が実にいいです。バンスリーの響きに癒されます。
https://www.youtube.com/watch?v=umIlueSIo_A

「Show Me A Prison」
J Hoard & Angela Davisをフィーチャー。60年代に活躍したUSフォーク・シンガーPhil Ochs作品のカヴァーです。意外なセレクトですね。R&B寄りのメランコリックでハイブリッドな音世界を楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=dPUp2_kX-8g

「Halfway House」
ピアノ、ベース、ドラム、メロトロンをバックにKassaが寂しげに歌う哀愁R&B。
https://www.youtube.com/watch?v=9mN6xbgOhTU

「Landline」
Carlos Overall(多分、Kassaの兄弟)をフィーチャー。ドラム、テナー・サックスのによる兄弟セッション。
https://www.youtube.com/watch?v=BSkwW_I_zTc

「Darkness In Mind」
Sullivan Fortnerのピアノをフィーチャー。タイトル通り、心の闇を美しも悲しげな演奏で聴かせます。Kassaのドラムによるアクセントが心の葛藤を表現しているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=TqygxaZxDdw

「The Best Of Life」
Aaron Parksのピアノ、シンセをフィーチャー。ハイブリッドでダンサブルな哀愁R&B。途中、Kassaがラップも披露してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=wgXaSVwvaNo

「Got Me A Plan」
シンプルなバックによるR&B調の仕上がり。ローファイ感覚の音作りが今どきなのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=bP9ygvwJ260

「Was She Happy (For Geri Allen)」
Vijay Iyerをエレピをフィーチャー。本編ラストはドラム、エレピのみの音像的な哀愁サウンドで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZZqY2h9sTYI

国内盤CDにはボーナス・トラック「Free Morgan」が追加収録されています。
posted by ez at 02:50| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月02日

Steely Dan『Can't Buy A Thrill』

名曲「Do It Again」収録!デビュー作にして名盤☆Steely Dan『Can't Buy A Thrill』

発表年:1972年
ez的ジャンル:個性派クロスオーヴァー・ロック
気分は... :オリジナリティ!

久々にSteely Danの紹介です。
セレクトしたのはデビュー・アルバム『Can't Buy A Thrill』(1972年)です。

これまで当ブログで紹介してきたSteely Dan関連作品は以下のとおりです。

 『Pretzel Logic』(1974年)
 『Katy Lied』(1975年)
 『Aja』(1977年)
 『Gaucho』(1980年)
 Donald Fagen『The Nightfly』(1982年)
 Walter Becker『11 Tracks Of Whack』(1994年)

Steely Danを最後に取り上げたのは、2009年1月にエントリーした『Katy Lied』(1975年)だったので、11年ぶりのSteely Dan作品です。

本作『Can't Buy A Thrill』(1972年)は、デビュー・アルバムにして完成度の高いクロスオーヴァー・ロック作品として名盤の誉れ高い1枚としてお馴染みですね。本作からの大ヒット・シングル「Do It Again」は彼らを代表する説明不要のロック・クラシックです。

僕の場合、Steely Danは、洋楽を聴き始めたばかりの中学生のときに『Aja』(1977年)を聴き、中学3年のときに『Gaucho』(1980年)がリリースされ、高校生になってから以前のアルバムを追っかけた感じでした。

本作『Can't Buy A Thrill』(1972年)も高校時代にアナログ盤を購入し、よく聴いていました。ただし、大学生になって以降は聴く回数は数えるほどで、CDも約30年前から所有していますが、多分10年以上は聴いていない気がします。

それでも、今回久々に聴いてみて、冒頭数曲で本作に関する記憶が一気に蘇ってきました。やはり、思春期に聴いた作品に自分の中に深く刻まれているんですね。

勿論プロデュースはGary Katz

このデビュー作におけるメンバーはDonald Fagen(vo、p、el-p、org)、Walter Becker(b、vo)、David Palmer(vo)、Jeff "Skunk" Baxter(g、spoken word)、Denny Dias(g、electric sitar)、Jim Hodder(ds、per、vo)という6名。

さらにElliott Randall(g)、Jerome Richardson(ts)、Snooky Young(flh)、Victor Feldman(per)、Venetta Fields(back vo)、Clydie King(back vo)、Sherlie Matthews(back vo)といったミュージシャンが参加しています。

楽曲はすべてDonald Fagen/Walter Beckerのオリジナルです。

ラテン、ジャズ、ソウルのエッセンスを取り入れたクロスオーヴァー・ロックは、デビュー作にして強烈な個性を放っています。その意味では、何処を切ってもSteely Danワールドですが、初期Steely Danならではの味わいも楽しめます。特にDavid Palmerがリード・ヴォーカルはDonald Fagenのようなクセがないので、そういった印象が強いですね。

そんなところも含めて、聴きどころの多い全10曲です。今回聴き直して、捨て曲なしの構成の充実ぶりも再認識できました。

Robert Lockartがカヴァー・デザインしたジャケも含めて風格たっぷりの名盤だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Do It Again」
アルバムからの1stシングルであり、USチャート第6位となったグループの代表曲。お馴染みのラテン・リズムのイントロを聴いただけで高揚してくるクロスオーヴァー・ロック。クセのあるDonald Fagenのヴォーカルも含めて、このバンドの魅力を象徴する名曲ですね。Denny Diasのエレクトリック・シタール・ソロも含めたアシッド・フィーリングもこの曲の魔力かもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=jmdiKePVUy8

当ブログでも紹介したDeodatoThe Juju Orchestraヴァージョンをはじめ、Club House、Deep Heat、Charles Mann、Herbie MannRichie Havens、Rhythm Heritage、Terry Callier、Waylon Jennings、Claudja Barry、Dave Valentin、Asso、Frank Dana、Falco、Paul Hardcastle、Smash Mouth、Garden Party feat. Jeff Lorber & Warren Hill等多数のアーティストがカヴァーしています。また、Freak Power「K.K. Nuns」等のサンプリング・ソースとなっています。

Club House「Do It Again - Billie Jean」が印象深いですね。それでいえばRhythm Heritage「Do It Again/Cisco Kid」も同じパターンですが。個人的にはDeep HeatAssoヴァージョンがおススメ。
Deodato「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=me8_n-5rKto
The Juju Orchestra「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=_cxps2h399o
Club House「Do It Again - Billie Jean」
 https://www.youtube.com/watch?v=UPlGd8gRDiw
Deep Heat「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=y3KJMdUycrY
Charles Mann「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=YMPBLyhf7ck
Herbie Mann「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=HDvxUA5kWE8
Richie Havens「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=5JDp0kPIwMo
Rhythm Heritage「Do It Again/Cisco Kid」
 https://www.youtube.com/watch?v=gvsMdXoUjCI
Terry Callier「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=wqf8Hee59zM
Waylon Jennings「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=o_9EpwGERLA
Claudja Barry「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=as7QAo3Uftw
Dave Valentin「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=RD5rJV5K24M
Asso「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=4DMFpAReHnQ
Frank Dana「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=v0DeeqYonDg
Falco「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=0-uS3SpoSdA
Paul Hardcastle「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=S_TjCDUff-Q
Smash Mouth「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=cuu5PkcbKdE
Freak Power「K.K. Nuns」
 https://www.youtube.com/watch?v=rR1k2VD6aGo

「Dirty Work」
David Palmerがリード・ヴォーカルをとる哀愁メロウな名曲。L.A.録音らしいウエスト・コーストな雰囲気がいいですね。初期Steely Danならではの逸品。
https://www.youtube.com/watch?v=kR5Ki6jjPaY

Jose FelicianoIan Matthews、Kenny Vance、Pointer Sisters、Replicants、Shaw-Blades、Joanna Wang、Nico Raimont等がカヴァーしています。
Jose Feliciano「Dirty Work」
 https://www.youtube.com/watch?v=IM0-s9k-Aqg
Ian Matthews「Dirty Work」
 https://www.youtube.com/watch?v=ul2DvLYvYhg
Pointer Sisters「Dirty Work」
 https://www.youtube.com/watch?v=io4tVuFXe0I
Replicants「Dirty Work」
 https://www.youtube.com/watch?v=V3SCAUYqPno
Shaw-Blades「Dirty Work」
 https://www.youtube.com/watch?v=TPSLFbUfxv4

「Kings」
Donald Fagenらしさを存分を楽しめる1曲ですね。その後のSteely Danらしさへの伏線を感じます。Steely Dan作品ではお馴染みのElliott Randallのギター・ソロもキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=mNBTUJbnN1o

Klashnekoff「Sayonara」のサンプリング・ソースとなっています。
Klashnekoff「Sayonara」
 https://www.youtube.com/watch?v=WpmQHNVU6U0

「Midnite Cruiser」
この曲ではJim Hodderがリード・ヴォーカル。後期Steely Danにつながる独特の哀愁感と初期Steely Danならではの少し青臭いが同居しています。
https://www.youtube.com/watch?v=GD_DyoB4Cjs

Capability Brownがカヴァーしています。また、Sleepy Brown「Dress Up」、Rakim「Heat It Up (J-Love Remix)」、Cities Aviv「Fuckeverybodyhere」等のサンプリング・ソースとなっています。
Capability Brown「Midnite Cruiser」
 https://www.youtube.com/watch?v=NpIVQxDWowk
Sleepy Brown「Dress Up」
 https://www.youtube.com/watch?v=CuVGKCxai-Q
Rakim「Heat It Up (J-Love Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=xobjzxe0sXs
Cities Aviv「Fuckeverybodyhere」
 https://www.youtube.com/watch?v=4P5b_TJuxH0

「Only A Fool Would Say That」
昔から密かに好きだったのがコレ。現在の僕の音楽嗜好に照らしても一番フィットするのが、このラテン・フレイヴァーのメロウ・グルーヴ。フリーソウル好きの人にもフィットする1曲なのでは?ラストのJeff Baxterの一言もいい感じ。
https://www.youtube.com/watch?v=Hvz0TOm0zgI

Ivyがカヴァーしています。このIvyヴァージョンも大好き!
Ivy「Only A Fool Would Say That」
 https://www.youtube.com/watch?v=DS-9BXdeSaE

「Reelin' In The Years」
アルバムからの2ndシングルとして、USチャート第11位となっています。Elliott Randallの格好良いギター・ソロを存分に堪能できる1曲としても人気なのでは?この曲も初期Steely Danらしい名曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=099F5WLn5rM

「Fire In The Hole」
Donald Fagenらしい曲調と彼のピアノを楽しめるジャズ・フィーリングが印象的な1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=9PwkU4nsJM8

O「Made Man」、Supernatural「The Show Down」、Envelope「I Decline」、Skero「Fuassboi」のサンプリング・ソースとなっています。
O「Made Man」
 https://www.youtube.com/watch?v=JuDgs8h1MTs
Supernatural「The Show Down」
 https://www.youtube.com/watch?v=orn4Pc_zepQ
Envelope「I Decline」
 https://www.youtube.com/watch?v=OM6R2B2Kw9M

「Brooklyn (Owes the Charmer Under Me)」
David Palmerがリード・ヴォーカル。初期Steely Danでしか聴けない郷愁ムードにグッとくる1曲。高校生の頃はこの曲が一番好きだったかも?女性コーラス陣も雰囲気を盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=vO4I10PeweI

「Change Of The Guard」
Fagen/Palmerによる少し青臭いツイン・リード・ヴォーカルと洗練されたクロスオーヴァー・ロック・サウンドの組み合わせがサイコーです。Jeff Baxterのギター・ソロもキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=roLIYw8Ov_I

「Turn That Heartbeat Over Again」
ラストは彼らのソングライティング/サウンド・センスの良さが詰まった逸品で締め括ってくれます。今回久々に聴いて、"こんなに良い曲だったっけ"と感じたのが本曲でした。初期Steely Danならではの魅力が詰まっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=DSfiPrhpeF8

Steely Danの他作品、Donald FagenWalter Beckerのソロ・アルバムもチェックを!

『Countdown to Ecstasy』(1973年)


『Pretzel Logic』(1974年)


『Katy Lied』(1975年)


『The Royal Scam』(1976年)


『Aja』(1977年)


『Gaucho』(1980年)


Donald Fagen『The Nightfly』(1982年)


Donald Fagen『Kamakiriad』(1993年)


Walter Becker『11 Tracks Of Whack』(1994年)


『Two Against Nature』(2000年)


『Everything Must Go』(2003年)


Donald Fagen『Morph the Cat』(2006年)


Walter Becker『Circus Money』(2008年)


Donald Fagen『Sunken Condos』(2012年)

posted by ez at 03:24| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月01日

Rick James『Throwin' Down』

『Street Songs』に続く全盛期の1枚☆Rick James『Throwin' Down』

発表年:1982年
ez的ジャンル:奇才ファンク
気分は... :波瀾万丈...

今回はファンクの風雲児Rick James『Throwin' Down』(1982年)です。

70年代後半から80年代前半に人気を博した奇才アーティストRick James(1948-2004)の紹介は、1stアルバム『Come Get It』(1978年)に続き2回目となります。

本作『Throwin' Down』(1982年)は、「Super Freak」「Give It To Me baby」といったシングル・ヒットを含む大ヒット・アルバム『Street Songs』(1981年)に続く6thアルバムであり、『Street Songs』のパンク・ファンク路線を受け継いだ1枚です。

『Street Songs』は、USアルバム・チャート第3位、同R&Bアルバム・チャート第1位となりましたが、本作『Throwin' Down』はUSアルバム・チャート第16位、同R&Bアルバム・チャート第2位となっています。

プロデュースは勿論Rick James自身。

The TemptationsTeena Marieがフィーチャリングされています。

レコーディング・メンバーはRick James(vo、g、b、key、syn、ds prog、per、harmonica)以下、Daniel LeMelle(fl、sax、tp、syn、back vo)、Levi Ruffin, Jr.(p、el-p、syn、back vo)、John McFee(g)、Tom McDermott(g)、Erskine Williams(p)、Oscar Alston(b、back vo)、Lanise Hughes(ds、per)、Narada Michael Walden(ds、per)、Paul Hines(ds、per)、Nate Hughes(per、back vo)、Roy Ayers(vibe)、Donny Keider(vibe)、Grace Slick(back vo)、Jean Carn(back vo)、Julia Tillman Waters(back vo)、Maxine Willard Waters(back vo)等。

The Temptationsをゲストに迎えた「Standing on the Top」(US R&Bチャート第6位)、「Dance Wit' Me」(US R&Bチャート第3位)、「Hard to Get」(US R&Bチャート第15位)というシングル曲をはじめ、「Money Talks」「Throwdown」といったファンク・チューンがアルバムの魅力です。

「Teardrops」Teena Marieとのデュエット「Happy」といったバラードも悪くありません。

大ヒット・アルバム『Street Songs』(1981年)の後で少し割を食っている感もあるアルバムですが、当時のRick Jamesの全盛期を十分満喫できる1枚だと思います。

奇才が繰り出すファンク・ワールドをご堪能あれ

全曲紹介しときやす。

「Dance Wit' Me」
シングルとしてUS R&Bチャート第3位となったオープニング。軽快なディスコ・ファンクは実にキャッチー。この時期のRick Jamesの勢いを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=YkPFhnI-fTc

2Pac feat. Big Daddy Kane「Wherever U Are (Original Version) 」、Suga Free feat. Messy Marv「Sexy Thang」等のサンプリング・ソースとなっています。
2Pac feat. Big Daddy Kane「Wherever U Are」
 https://www.youtube.com/watch?v=0tZ_TuiUFhM
Suga Free feat. Messy Marv「Sexy Thang」
 https://www.youtube.com/watch?v=aoj_kheLxV4

「Money Talks」
Punk Funk Hornsの豪快なホーン・サウンドが盛り上げてくれるRick Jamesらしい曲調のディスコ・ファンク。格好良さでアルバム随一なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=tmgmH0WMrpM

Mickey「Extortion」のサンプリング・ソースとなっています。
Mickey「Extortion」
 https://www.youtube.com/watch?v=VMxLNZEo6kI

「Teardrops」
しっとり聴かせるメロウ・バラード。女性コーラス陣がロマンティック・ムードを演出してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=nELqeEITSDU

「Throwdown」
タイトル曲はシングル向きのキャッチーなファンク・チューン。Rick Jamesの好調ぶりが窺えます。Punk Funk Hornsのホーン・アンサンブルもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=35HTPHOXwis

「Standing on the Top」
The Temptationsをフィーチャー。シングルとしてUS R&Bチャート第6位となっています。スケール感の大きなファンク・チューンは聴き応え十分。David Ruffin、Eddie Kendricks、Dennis EdwardsらとRickらの共演は実に興味深いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=9auEA0cLJ-0

「Hard to Get」
シングルとしてUS R&Bチャート第15位となっています。「Super Freak」パート2的なノリのファンク・チューン。あまりに有名になり過ぎた「Super Freak」に飽きた方はコチラを楽しんでみては?
https://www.youtube.com/watch?v=Fmuxwhl32as

Sir Mix-a-Lot「I Got Game」
X-Raided「Who's Tha H**」等のサンプリング・ソースとなっています。
Sir Mix-a-Lot「I Got Game」
 https://www.youtube.com/watch?v=PeGX8waNZ20
X-Raided「Who's Tha H**」
 https://www.youtube.com/watch?v=253C9YdLos4

「Happy」
Teena Marieをフィーチャー。ドラマティックなビューティフル・バラードを二人でデュエット。
https://www.youtube.com/watch?v=hmzNENK_LzA

Soul Supreme feat. A.G., T-Max and Pete Rock「Queen (Hip-Hop)」、Prodigy「Slaughterhouse」のサンプリング・ソースとなっています。
Soul Supreme feat. A.G., T-Max and Pete Rock「Queen (Hip-Hop)」
 https://www.youtube.com/watch?v=sF2N8c57ims
Prodigy「Slaughterhouse」
 https://www.youtube.com/watch?v=5Pr_71bSaa0

「69 Times」
このファンク・チューンも「Super Freak」系。ストリングスを効果的に用いたアレンジが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=MthmaMQOLMk

「My Love」
この曲のみLe Roi Johnsonとの共作。ラストはRoy Ayersのメロウ・ヴァイヴが鳴り響くラブ・バラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=E3vVpFgqeJU

Juicy J feat. Project Pat「Kill Me a Muthafucka」、DJ Paul and Lord Infamous feat. Juicy J「Ridin in Da Chevy Pt. 2」のサンプリング・ソースとなっています。
Juicy J feat. Project Pat「Kill Me a Muthafucka」
 https://www.youtube.com/watch?v=iTJSVxxeA8I
DJ Paul and Lord Infamous feat. Juicy J「Ridin in Da Chevy Pt. 2」
 https://www.youtube.com/watch?v=2ewL6vIGVTU

Rick Jamesの他作品もチェックを!

『Come Get It』(1978年)


『Bustin' Out of L Seven』(1979年)


『Fire It Up』(1979年)


『Garden of Love』(1980年)


『Street Songs』(1981年)


『Cold Blooded』(1983年)

posted by ez at 02:52| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする