発表年:1979年
ez的ジャンル:西海岸男性ソウル
気分は... :変わることを恐れず・・・
今回はシカゴのファンキー・ソウル・マン、そしてハイ・レコード(Hi Records)の有力男性ソウル・シンガーとして知られるSyl Johnsonの『Uptown Shakedown』(1979年)です。
Syl Johnsonは1936年ミシシッピ州ホリースプリングス生まれの男性ソウル・シンガー/ギタリスト/ハーピスト/プロデューサー。
1950年代後半からシカゴ・ブルースのバック・ミュージシャンとして活動するようになり、1960年代半ばにはシカゴのTwinight Recordsと契約し、『Dresses Too Short』(1968年)、『Is It Because I'm Black』(1970年)という2枚のアルバムをリリースしています。
その後、Willie Mitchellに導かれ、メンフィスの名門Hi Recordsと契約。『Back for a Taste of Your Love』(1973年)、『Diamond in the Rough』(1974年)、『Total Explosion』(1976年)、『Uptown Shakedown』(1979年)という4枚のアルバムをHiに残しています。
80年代半ばからは活動のペースを落としますが、90年代に入ると復活し、2000年代初めまでに精力的にアルバムをリリースしています。
当ブログでは娘のSyleena Johnsonのアルバムは4枚紹介してきましたが、父Syl Johnsonの紹介は初めてとなります。
Syl Johnsonのアルバムといえば、人気サンプリング・ソース「Different Strokes」収録の『Dresses Too Short』(1968年)と『Is It Because I'm Black』(1970年)というTwinight時代の2枚がレア・グルーヴ方面で再評価が高くなっています。
また、ソウル・ファンからはHi Records時代の最初の3枚、『Back for a Taste of Your Love』(1973年)、『Diamond in the Rough』(1974年)、『Total Explosion』(1976年)の評価が高いのではないかと思います。
その点、Hi Recordsでのラスト作となる本作『Uptown Shakedown』(1979年)は、彼の代表作とは言い難いアルバムかもしれません。失敗作の烙印を押すソウル・ファンもいるかもしれませんね。
(メンフィス録音ではなく)ハリウッド録音で、ディスコ路線の楽曲があるなどHi作品でありながら、おおよそHi作品らしくないという点が辛口評価の理由だと思います。
個人的には、Syl Johnsonのそれまでのキャリアを取っ払って、先入観なしに聴けば、十分に楽しめる西海岸ソウル作品に仕上がっていると思います。
プロデュースはHal Winn、Jerry Barnes、Mark Gibbons。Mark Gibbonsはアレンジも手掛けています。
レコーディングにはJames Gadson(ds)、Eddie Watkins(b)、George Doering(g)、Greg Poree(g)、Mark Gibbons(key)、Patrick Moten(key)、Melvin Webb(per)、Harry Kim(flh)、Joel Peskin(sax)、Maxine Willard Waters(back vo)、Bob Mack(back vo)、Judi Brown(back vo)、Roger Henerly-Saint(back vo)、Stephanie Spruill(back vo)といったミュージシャンが参加しています。
個人的にはAORファンも楽しめる「Who's Gonna Love You」、ライト・メロウな「Let's Dance For Love」、爽快ファンキー・メロウ「You're The Star Of The Show」、メロウ・ディスコ「Mystery Lady」がおススメです。
レゲエ調の「Gimme Little Sign」、じっくり聴かせるソウル・バラード「Blue Water」、ディスコ調のOtisメドレー「Otis Redding Medley」も楽しめます。
おおよそHi作品らしくないライト・メロウなアルバムですが、それこそが本作の魅力だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Mystery Lady」
Hal Winn/Mark Gibbons作。ストリンスを配した爽快メロウ・ディスコがオープニング。西海岸レコーディングらしい開放的な空気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=i3NeD6335uM
「Let's Dance For Love」
Johnny Moore 作。メロウ・エレピと軽やかなギターが心地好いミディアム・グルーヴ。本作らしいライト・メロウ・サウンドに合わせて、Sylのヴォーカルも実に晴れやかです。
https://www.youtube.com/watch?v=WLIEjJjmrLY
「Gimme Little Sign」
Brenton Wood、1967年全米Top10ヒット曲のカヴァー(Brenton Wood/Hal Winn/Joseph Hooven作)。当ブログではBirgit Lystagerのカヴァーも紹介済みです。ここではレゲエ調のカヴァーで聴かせるのが面白いですね。これが悪くないんです!
https://www.youtube.com/watch?v=IQ8T2qIIn9A
「You're The Star Of The Show」
Johnny Moore/Syl Johnson作。西海岸らしいファンキー・メロウ・サウンドが心地好いミディアム・グルーヴ。ポジティブなヴァイヴに溢れているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=hU28qxBEup0
「Blue Water」
Mark James作。じっくり聴かせるソウル・バラード。ジワジワと胸に染み入る感じがたまりません。George Doeringのギター・ソロ、Joel Peskinのサックス・ソロも盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=oMo-Hr76Sc4
「Who's Gonna Love You」
Clayton Ivey/Tommy Brasfield作。AORファンも気に入りそうなアーバンなメロウ・ソウル。僕の一番のお気に入りもコレ。こういったライト・メロウな楽曲でSylの新たな魅力を発見できるのでは?Harry Kimの素敵なフリューゲルホーン・ソロも盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=tZcQqm21bBQ
「Otis Redding Medley」
ラストは「Respect」、「Wholesale Love」、「Snatch A Little Piece」、「I Can't Turn You Loose」、「Fa-Fa-Fa-Fa-Fa (Sad Song)」、「(Sittin' On) The Dock Of The Bay」という9分超のOtis Reddingメドレーで締め括ってくれます。このメドレーをディスコ調でやってしまうあたりが本作らしいのでは?本曲にダメ出しするソウル・ファンも多いのかもしれませんが、固いこと言わずに楽しましょう!
https://www.youtube.com/watch?v=63tyLdawfTE
Syl Johnsonの他作品もチェックを!
『Dresses Too Short/Is It Because I'm Black』(1968/1970年) ※2in1CD
『Back for a Taste of Your Love』(1973年)
『Diamond in the Rough』(1974年)
『Total Explosion』(1976年)
『Ms. Fine Brown Frame』(1982年)