2020年06月18日

Funk, Inc.『Funk, Inc.』

ジャズ・ファンク・クラシック「Kool Is Back」収録☆Funk, Inc『Funk, Inc.』
ファンクINC/チキン・リッキン
発表年:1971年
ez的ジャンル:レア・グルーヴ系ジャズ・ファンク
気分は... :Kool Is Back!

今回はレア・グルーヴ人気盤、ジャズ・ファンク・グループFunk, Inc.の1stアルバム『Funk, Inc.』(1971年)です。

単独でのCD化が未実現であり、上記ジャケおよびAmazonへのリンクは『Chicken Lickin'』(1972年)との2in1CDです。

1969年インディアナポリスで結成されたジャズ・ファンク・グループFunk, Inc.について、当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Chicken Lickin'』(1972年)
 『Hangin' Out』(1973年)
 『Superfunk』(1973年)

本作を皮切りにPrestigeで5枚のアルバムをレコーディングしたFunk, Inc.。いずれの作品もジャズ・ファンク・クラシックとして高い評価を得ていますね。

その記念すべきデビュー・アルバムとなる本作『Funk, Inc.』(1971年)。

本作におけるメンバーはメンバーはGene Barr(ts)、Cecil Hunt(conga)、Jimmy Munford(ds、vo)、Bobby Watley(org、vo)、Steve Weakley(g)という5名。

プロデュースはBob Porter

何といってもハイライトは「Kool Is Back」Kool & The Gang「Kool's Back Again」のカヴァー)。500曲以上の楽曲のサンプリング・ソースとなっている『Ultimate Breaks & Beats』クラシックですね。知らず知らずのうちに、このブレイクを聴いている人も多いのでは?

それ以外に「Bowlegs」「Sister Janie」もレア・グルーヴ好きであれば気に入るはず!ブルージーなB.B. Kingカヴァー「The Thrill Is Gone」もシブい味わいがあります。

Funk, Inc.らしい漆黒のジャズ・ファンクを堪能しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Kool Is Back」
Kool & The Gang「Kool's Back Again」のカヴァー(Gene Redd Jr./Jimmy Crosby作)。『Ultimate Breaks & Beats』にも収録されたジャズ・ファンク・クラシック。格好良いドラム・ブレイクは文句なし!グルーヴィーなオルガン、ギター、サックスもグッド!約8分20秒の長尺ですが、あっという間に聴き終えてしまう感覚で、思わずリピートしてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=UOEqTZUjEcI

定番サンプリング・ソースとしてもお馴染みですね。当ブログで紹介したJeru the Damaja「Come Clean」Slick Rick「Lick the Balls」Public Enemy「Megablast」Queen Latifah「Nature of a Sista'」TLC「Hat 2 Da Back」、「This Is How It Should Be Done」Black Sheep「North South East West」Dred Scott「Duck Ya Head」EPMD feat. Vic D and Tre「Actin' Up」をはじめ、Cypress Hill「Break 'Em Off Some」、2Pac feat. Stretch「Crooked Ass Nigga」等500曲以上のサンプリング・ソースとなっています。意外なところではYesの世界的大ヒット「Owner of a Lonely Heart」のサンプリング・ソースにもなっています。
Jeru the Damaja「Come Clean」
 https://www.youtube.com/watch?v=2B5dOCSBBEI
Slick Rick「Lick the Balls」
 https://www.youtube.com/watch?v=dLEbeE-fLX0
Public Enemy「Megablast」
 https://www.youtube.com/watch?v=YGxKe2V4x78
TLC「Hat 2 Da Back」
 https://www.youtube.com/watch?v=QPeZfP9TXmY
TLC「This Is How It Should Be Done」
 https://www.youtube.com/watch?v=6cFdksRcakg
Dred Scott「Duck Ya Head」
 https://www.youtube.com/watch?v=z9rzDcJXAA0
EPMD feat. Vic D and Tre「Actin' Up」
 https://www.youtube.com/watch?v=ODVJ9yo6-0E
Cypress Hill「Break 'Em Off Some」
 https://www.youtube.com/watch?v=jNaPpIpYVtU
2Pac feat. Stretch「Crooked Ass Nigga」
 https://www.youtube.com/watch?v=LOMLPGkARAo
Yes「Owner of a Lonely Heart」
 https://www.youtube.com/watch?v=SVOuYquXuuc

「Bowlegs」
Steve Weakley作。格好良さでいえば、「Kool Is Back」以上かも!馬力のあるパワフルなファンキー・グルーヴ。各プレイヤーのソロも存分に楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=lqYVhty_-JY

Boogie Down Productions「Ya Strugglin'」のサンプリング・ソースとなっています。
Boogie Down Productions「Ya Strugglin'」
 https://www.youtube.com/watch?v=R9yeScI1WGs

「Sister Janie」
Bobby Watley作。サックスとオルガンが牽引するジャズ・ファンク。レア・グルーヴ好きの人はグッとくるタイプの演奏だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=-B5Ap-QX-Y4

「The Thrill Is Gone」
B.B. King、1970年のヒット・シングルをカヴァー(Roy Hawkins/Rick Darnell作)。オリジナルはRoy Hawkinsヴァージョンです。ここではブルージーな演奏に徹しています。Tha Alkaholiks「21 and Under」のサンプリング・ソースとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=QSijeRu7ij0

「The Whipper」
Bobby Watley作。ラストはイナたいブルースで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=2O6SHEnV8Oo

Funk, Inc.の他作品もチェックを!

『Funk, Inc./Chicken Lickin'』(1971,72年)※2in1CD
ファンクINC/チキン・リッキン

『Hangin' Out』(1973年)
ハンギン・アウト

『Hangin' Out/Superfunk』(共に1973年)※2in1CD
ハンギン・アウト/スーパー・ファンク

『Priced To Sell』(1974年)
プライスド・トゥ・セル
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2020年06月17日

Cameo『Single Life』

3人体制となった第一弾アルバム☆Cameo『Single Life』
cameo single life.jpg
発表年:1985年
ez的ジャンル:N.Y.ファンク
気分は... :シングル・ライフを楽しむ!

今回はLarry Blackmon率いるファンク・グループCameo『Single Life』(1985年)です。

これまで当ブログで紹介したCameo作品は以下の9枚。

 『Cardiac Arrest』(1977年)
 『Ugly Ego』(1978年)
 『Cameosis』(1980年)
 『Feel Me』(1980年)
 『Knights Of The Sound Table』(1981年)
 『She's Strange』(1984年)
 『Word Up!』(1986年)
 『Machismo』(1988年)
 『Real Men ... Wear Black』(1990年)

本作『Single Life』(1985年)は、前作『She's Strange』(1984年)を最後にCharlie Singletonが抜け、Larry Blackmon(vo、ds、per、b)、Nathan Leftenant(vo)、Tomi Jenkins(vo)というトリオ体制となった最初のアルバムです。

アルバムはUS R&Bアルバム・チャート第2位となり、大ヒットした次作『Word Up!』(1986年)への布石となった1枚です。

プロデュースはLarry Blackmon

前作までメンバーであったCharlie Singleton(g、back vo)をはじめ、Barbara Mitchell(vo)、Michael Burnett(b、back vo)、Kevin Kendrick(key、b)、Barry Johnson(b)、Fred Wells(g)、Eric Rehl(key)、Roy Leftenant(timbales)、Melvin Wells(as)、John Gatchell(tp)、Keith O'Quinn(tb)といったミュージシャンがレコーディングに参加しています。

アルバムからは「Attack Me With Your Love」がUS R&Bチャート第3位、「Single Life」が同R&Bチャート第2位となっています。

このシングル2曲と再評価の高い「I've Got Your Image」という3曲がハイライトです。

大ヒットの次作『Word Up!』(1986年)への布石として楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Attack Me With Your Love」
Larry Blackmon/Kevin Kendrick作。アルバムからの1stシングルとして、US R&Bチャート第3位となっています。シングル向きのブラコンなファンク・チューン。キャッチーなコーラスもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=U4fkI6Wg06I

Psycho Gangsta「Old Dope Game」、Mr. Tower & DJ Fresh (The Worlds Freshest) feat. J Stalin and Mistah F.A.B.「Passenger Seat」、The Jacka and Lee Majors feat. Dru Down「Can't Get Enough」、Cookin' Soul「Them Gangstaz (Cookin' Soul Remix)」、SOB X RBE「Anti Social」等のサンプリング・ソースとなっています。
Psycho Gangsta「Old Dope Game」
 https://www.youtube.com/watch?v=tAYdeezlzNg
Mr. Tower & DJ Fresh (The Worlds Freshest) feat. J Stalin and Mistah F.A.B.「Passenger Seat」
 https://www.youtube.com/watch?v=YN08i_wVYjU
The Jacka and Lee Majors feat. Dru Down「Can't Get Enough」
 https://www.youtube.com/watch?v=Ax6_wIxEeHk
Cookin' Soul「Them Gangstaz (Cookin' Soul Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=fQnxzrz3uDA
SOB X RBE「Anti Social」
 https://www.youtube.com/watch?v=DlyFU2X4eBM

「Single Life」
Larry Blackmon/Tomi Jenkins作。2ndシングルとして、US R&Bチャート第2位となっています。Ennio Morricone「The Good, the Bad, and the Ugly (Main Title)(『夕陽のガンマン』メイン・テーマ)」のサンプリングは、次作『Word Up!』からの大ヒット曲「Word Up!」へ受け継がれていきます。サウンド面でも「Word Up!」を予感させる硬質でパワフルなファンク・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=oRsmpQRbeuM

Grandmaster Flash「Style (Peter Gunn Theme)」、Monie Love「R U Single」、R.C. Funk「Single Life」、Mic Geronimo feat. Carl Thomas & Jay-Z「Single Life」、8Ball & MJG「Just Like Candy」、Snoop Dogg feat. Bad Azz, Kokane and Lil' 1/2 Dead「Wrong Idea」等のサンプリング・ソースとなっています。
R.C. Funk「Single Life」
 https://www.youtube.com/watch?v=Um-jQ-I9jdw
Mic Geronimo feat. Carl Thomas & Jay-Z「Single Life」
 https://www.youtube.com/watch?v=QTbeRckiWIg
8Ball & MJG「Just Like Candy」
 https://www.youtube.com/watch?v=6N5VP7EyvzQ
Snoop Dogg feat. Bad Azz, Kokane and Lil' 1/2 Dead「Wrong Idea」
 https://www.youtube.com/watch?v=vVN6VUeitI8

「I've Got Your Image」
Larry Blackmon/Kevin Kendrick作。このメロウ・ミディアムをアルバムのハイライトに挙げる人もいるのでは?メロディアスな魅力に加えて、メリハリの効いたホーン・アンサンブルもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=e6T8DulbZjg

Speech「Our Image」、Queen Latifah「Better Than the Rest」、Tek「Image on My Mind」のサンプリング・ソースとなっています。
Speech「Our Image」
 https://www.youtube.com/watch?v=_9tOEMfEMsI
Queen Latifah「Better Than the Rest」
 https://www.youtube.com/watch?v=kGz_ThbXjEA
Tek「Image on My Mind」
 https://www.youtube.com/watch?v=uPY5vPNP7wg

「A Good-Bye」
Larry Blackmon/Nathan Leftenant作。アルバムからの3rdシングル。悪くないミディアム・バラードですが、この時期のCameoにしては少しおとなしいかも?
https://www.youtube.com/watch?v=TYxY47H2_gM

「I'll Never Look for Love」
Larry Blackmon/Kevin Kendrick作。Barbara Mitchellの女性ヴォーカルをフィーチャリングしたラブ・バラード。Cameoらしくない楽しさがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=KNz8XNI4R_I

「Urban Warrior」
Larry Blackmon/Nathan Leftenant/Bruno Blackmon作。これは完全にHip-Hopしています。彼らのスタイルはHip-Hopと相性がいいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=OCgP0Q51wtc

「Little Boys - Dangerous Toys」
Larry Blackmon/Nathan Leftenant作。ラストはレゲエ調で締め括ってくれます。良くも悪くも能天気な感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=DJfD-V6kHho

Cameoの過去記事もご参照下さい。

『Cardiac Arrest』(1977年)
カーディアック・アレスト

『Ugly Ego』(1978年)
アグリー・エゴ

『Cameosis』(1980年)
Cameosis

『Feel Me』(1980年)
フィール・ミー

『Knights Of The Sound Table』(1981年)
魔法の騎士

『She's Strange』(1984年)
She's Strange

『Word Up!』(1986年)
Word Up!

『Machismo』(1988年)
cameo machismo.jpg

『Real Men ... Wear Black』(1990年)
Real Men Wear Black
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2020年06月15日

Anthony Hamilton『Comin' From Where I'm From』

R&Bの流れを変えたリアル・ソウル☆Anthony Hamilton『Comin' From Where I'm From』
カミング・フロム・ウェア・アイム・フロム
発売年:2003年
ez的ジャンル:リアル・ソウル系男性R&Bシンガー
気分は... :肴はあぶったイカでいい・・・

今回はリアル・ソウル・シンガーAnthony Hamiltonが2003年にリリースした出世作『Comin' From Where I'm From』です。

1971年ノースカロライナ州シャーロット出身の男性R&BシンガーAnthony Hamiltonの紹介は、3rdアルバム『Ain't Nobody Worryin'』(2005年)に続き2回目となります。

R&Bファンはご存じのように、Jermaine DupriSo So Defとの契約し、その第1弾アルバムとなった『Comin' From Where I'm From』は、USアルバム・チャート第33位、同R&Bアルバム・チャート第6位となり、プラチナム・ディスクに輝く大ヒット・アルバムとなりました。

さらに、アルバムは2004年グラミーのBest Contemporary R&B Albumにノミネートされ、シングル「Comin' from Where I'm From」は2004年グラミーのBest Traditional R&B Performance、Best R&B Songにノミネート、シングル「Charlene」は2005年グラミーのBest Male R&B Vocal Performanceにノミネートされました。

アルバム『XTC』(1996年)でデビューしたものの、所属レーベルの消滅など不遇の時代を過ごしたHamiltonが、遂にその才能を開花させ、本格派男性ソウル・シンガーの地位を不動のものにした名盤ですね。

Anthony Hamilton自身をはじめ、Jermaine DupriJames PoyserMark BatsonCedric SolomonJunius Bervineがプロデュースしています。

この時代に、これだけ土臭く、イナたいソウル作品を作り上げた信念・心意気に感服します。多くのR&Bアーティストが失敗を恐れて避けてきたアプローチで、果敢に正面突破を図り、結果としてR&Bの流れを大きく変えた点に本作の価値があると思います。

「Comin' from Where I'm From」「Charlene」というグラミー・ノミネートのシングル2曲が目立ちますが、「Better Days」「I'm a Mess」「Lucille」「Float」「My First Love」「I Tried」あたりもおススメです。

あぶったイカとぬる燗で一杯やりたくなるリアル・ソウルです。

全曲紹介しときやす。

「Mama Knew Love」
Jermaine Dupriプロデュース。Jay-Z「Blueprint (Momma Loves Me)」、Al Green「Free at Last」をサンプリング。サンプリングやスクラッチなどHip-Hop的エッセンスも織り交ぜていますが、全体的には土臭く、イナたいのが本作です。
https://www.youtube.com/watch?v=wsT79sIEwtY

「Cornbread, Fish & Collard Greens」
James Poyserプロデュース。ネオ・フィリー系のJames Poyserも、ここではHamiltonのカラーに合わせてアーシーな音作りに徹しています。それでも軽快なグルーヴに仕上がっているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=1zU1pgdskbY

「Since I Seen't You」
Mark Batsonプロデュース。オルガンの響きがフィットするいぶし銀のリアル・ソウル。この塩辛さが当時としては逆に新鮮だったのでしょうね。
https://www.youtube.com/watch?v=RumJIArvFL0

Joe Budden「Are You in That Mood Yet?」、Knxwledge.「SeentYew」のサンプリング・ソースとなっています。
Joe Budden「Are You in That Mood Yet?」
 https://www.youtube.com/watch?v=Zn_RLC891c4
Knxwledge.「SeentYew」
 https://www.youtube.com/watch?v=B1hTNXqczYw

「Charlene」
Mark Batsonプロデュース。アルバムからの2ndシングルとして、USチャート第19位、同R&Bチャート第3位というキャリア最大のヒットとなりました。どこまでも土臭く、リアルなソウル・ヴォーカルが腹の奥まで沁み渡っていきます。これぞAnthony Hamiltonの真骨頂と呼べる名曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=QUmxh7H8vok

Streetwize、Z.Woodsがカヴァーしています。また、MURS「Break Up (The OJ Song)」のサンプリング・ソースとなっています。
Streetwize「Charlene」
 https://www.youtube.com/watch?v=C1cWIMCfMAU
Z.Woods「Charlene」
 https://www.youtube.com/watch?v=TDYnvLg5m1k
MURS「Break Up (The OJ Song)」
 https://www.youtube.com/watch?v=TrIdTxBsmqI

「I'm a Mess」
Cedric Solomonプロデュース。この曲も大好き!切々と歌われる失恋ソングですが、男の哀愁漂うソウル・ヴォーカルがたまりません。女性バック・ヴォーカルとの絡みもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=l097AHixLaI

「Comin' from Where I'm From」
Mark Batsonプロデュース。タイトル曲はアルバムからの1stシングル。ヒットはしませんでしたが、前述のようにグラミーにノミネーションされるなどAnthony Hamiltonというシンガーの存在を知らしめた名曲だと思います。土臭くリアル・ソウルを聴かせるという彼の決意表明のようなタイトル曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=-4LVf9qdFYA

Jay-Z feat. Beanie Sigel「Where I'm From (Remix)、G-Unit「Where I'm From」、Akon「Senegal」、Lupe Fiasco「Comin' From Where I'm From」等のサンプリング・ソースとなっています。
Jay-Z feat. Beanie Sigel「Where I'm From (Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=KfPozdQor54
G-Unit「Where I'm From」
 https://www.youtube.com/watch?v=WYDdcrYNuZ0
Akon「Senegal」
 https://www.youtube.com/watch?v=gj1q_57hMbg
Lupe Fiasco「Comin' From Where I'm From」
 https://www.youtube.com/watch?v=TOPk6uJql7g

「Better Days」
Anthony Hamiltonプロデュース。個人的にはアルバムで一番のお気に入りはコレ。土臭い中にも優しさに溢れた素敵なソウル・バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=9LGz6Pr96FU

「Lucille」
Anthony Hamiltonプロデュース。Kenny Rogers「Lucille」(1977年)の歌詞を一部引用しています。土臭さが目立つ本作において、優しくソフトリーな印象を受けるのがこのトラック。ファンク・ジャム・バンドLettuceのメンバーErick Coomesのギターも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=vhCgFUkIPTY

「Float」
Junius Bervineプロデュース。感動的なソウル・バラード。ジワジワと盛り上がる感じがたまりません後にソロ・デビューするCarol Riddickによる女性コーラスもグッド!
Robert Glasper Experimentのメンバーとしてお馴染みのDerrick Hodgeがベースを弾いています。
https://www.youtube.com/watch?v=P2XIKbccRdo

「My First Love」
LaToiya Williamsをフィーチャー。Anthony Hamiltonプロデュース。本作らしい土臭い温かみを感じるソウル・バラードを素敵なデュエットで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=nsqqN7p6Krs

「Chyna Black」
Anthony Hamiltonプロデュース。(多分)薬物依存をテーマにした歌ですが、ビートを効かせた躍動感のある演奏は本作においては異色。
https://www.youtube.com/watch?v=M0Qc5cmQl-A

「I Tried」
James Poyserプロデュース。Poyserと同じくThe SoulquariansメンバーであったPino Palladinoがベースで参加しています。ヴォーカルワークが素敵なソウル・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=iJkLDdk4oME

Anthony Hamiltonの他作品もチェックを!

『XTC』(1996年)
Xtc

『Ain't Nobody Worryin'』(2005年)
Ain't Nobody Worryin

『Soulife』(2005年)
Soulife

『The Point of It All』(2008年)
The Point of It All

『Back to Love』(2011年)
バック・トゥ・ラヴ

『What I'm Feelin'』(2016年)
What I'm Feelin'
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2020年06月14日

Tom Misch & Yussef Dayes『What Kinda Music』

サウス・ロンドン新世代による刺激的なコラボ☆Tom Misch & Yussef Dayes『What Kinda Music』

発表年:2020年
ez的ジャンル:サウス・ロンドン新世代コラボ
気分は... :ケミストリー!

今回は新作アルバムからサウス・ロンドンの若き才能Tom Mischと同じくサウス・ロンドン出身のドラマーYussef Dayesが共演した話題のコラボ・アルバムTom Misch & Yussef Dayes『What Kinda Music』です。

Tom Mischは1995年サウス・ロンドン生まれ。『Beat Tape 1』(2014年)、『Beat Tape 2』(2015年)といゅたミックス・テープ等を経て、2018年にデビュー・アルバム『Geography』をリリース。各方面で絶賛され、日本でも熱狂的に迎えられました。

一方のYussef Dayesも同じサウス・ロンドン出身のドラマー。サウス・ロンドン出身のプロデューサー/キーボード奏者のKamaal Williams(Henry Wu)とのユニットYussef Kamaalで注目を浴びたミュージシャンです。

Tom Mischの新作として本作に興味を持っている人が多いと思いますが、僕が本作を購入したのはYussef Dayesへの興味からです。

僕の場合、Tom Misch『Geography』を聴いて、Hip-Hop、ジャズ、R&B、ディスコ、ポップ等のエッセンスを吸収したカラフルな音楽性は素晴らしいと思いましたが、その一方で何かが足りない気がして実際に購入するまでには至りませんでした。

そんなTom MischYussef Dayesと共演すると聞いて、サウス・ロンドンの新世代ジャズ・ドラマーが叩き出すビートが、サウス・ロンドンの若き才能のカラフルな音楽性と組み合わさることで何かケミストリーが起こるような期待がありました。

実際、その期待に応えてくれる内容になっています。

レコーディング・メンバーはTom Misch(vo、syn、g、b、p)、Yussef Dayes(ds、per)、Jordan Rakei(back vo)、Freddie Gibbs(vo)、Rocco Palladino(b)、Kaidi Akinnibi(sax)、Miles James(syn、g)、Tobie Tripp(strings)、Tom Driessler(b)、Joel Culpepper(back vo)、Vula(back vo)、Dave Dayes(vo)、Kareem Dayes(vo)、Peter Misch(vo)。

メイン・プロデュースはTom Misch。それ以外にSyed Adam JaffreyYussef Dayesが共同プロデュースしている曲もあります。

『Geography』の延長を期待する人からすると戸惑う内容かもしれません。Tom Misch自身も、ソロ名義では試すことができなかったサウンドへの挑戦、特にダークな音世界を意識していたようであり、自ずと『Geography』とはかなり色合いが異なる1枚に仕上がっています。

僕のようなサウス・ロンドン新世代ジャズ寄りの音を期待する人間からすると、Yussefの新世代ドラマーの感性がTomの創作意欲を刺激し、彼を新境地に導いていく様子を楽しめます。

二人が刺激し合いながら、このコラボを楽しんでいる感じがいいですね。

少しダークでメランコリックなTom MischYussef Dayesの新世代ドラマーらしいドラミングを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「What Kinda Music」
Yussefのサウス・ロンドンの新世代らしいドラミングが、Tomの音世界を刺激しているのがよく分かるタイトル曲。ストリングスも効果的です。
https://www.youtube.com/watch?v=4az3mKDOrEo

「Festival」
Yussef自身は西アフリカのリズムを意識したようですが、僕には人力ドラムンベース調に聴こえます。いずれにしてもこの疾走するビートは、Tomを新境地に導いているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=PkVsMATKkw0

「Nightrider」
Freddie Gibbsをフィーチャー。最近ではMadlibとのコラボ・アルバム『Bandana』(2019年) が印象的でした。もっとHip-Hop的なトラックをイメージしていましたが、実際には少し憂いを帯びたメロウ・トラック。抑えたトーンのメランコリックな雰囲気が好きです。Jordan Rakeiもバック・ヴォーカルで参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=ImllpvDwbQ8

「Tidal Wave」
哀愁メロウですが、なかなか味わい深いです。TomもYussefも本作で表現力を深めた証のような1曲に仕上がっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=4ak5Vsk0FNI

「Sensational」
エフェクトを用いたメランコリック・サウンドが印象的な小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=Zbv9A8vkR64

「The Real」
Tomのビートメイカー的センスが発揮されたトラック。Yussefが叩いたドラム・ループとAretha Franklin「Ain't Nothing Like the Real Thing」ネタの早回しを組み合わせたメランコリック・トラックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=JFD4lFaPXGo

「Lift Off」
Rocco Palladinoのベースをフィーチャー。ドラム、ベース、ギターのジャム・セッションによるインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=-qTn6kue3uM

「I Did It For You」
TomとYussefの2人のみによる演奏。2人の渾身の演奏とその間を彷徨うように浮遊するTomのヴォーカルのバランスが絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=rYmfRdzcRoA

「Last 100」
サウス・ロンドン新世代らしいメロウ・ソウル。アルバムでも最もキャッチーな1曲なのでは?Tomのギター・ソロもキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=EO5dUydK2vU

「Kyiv」
「Lift Off」と同じくドラム、ベース、ギターのジャム・セッションによるインスト。

「Julie Mangos」
前半のリラックスした展開と一気に加速してアップテンポとなる後半とのコントラストが印象です。特に後半はYussefのサウス・ロンドン新世代らしい縦横無尽のドラミングを楽しむことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=56BDXuxNL1M

「Storm Before The Calm」
Kaidi Akinnibiのサックスをフィーチャー。本編のラストはフリー・ジャズな雰囲気でスタートするジャズ・サウンドで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Vt6OvW7ZSn0

ここからの4曲は国内盤CDボーナス・トラック。

「Saddle」
「Tidal Wave Outro」
「Seagulls」
最初の3曲はTom、Yussef、Rocco Palladinoの3人によるセッションです。Tomがこうしたジャム・セッション的な音作りに開眼したのも本作の成果なのでは?

「What Kinda Music (Jordan Rakei Remix)」
タイトル曲「What Kinda Music」のJordan Rakeiによるリミックス。フロア向けのキャッチーなダンス・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Ye6I1Uih0n4

ご興味がある方はTom MischYussef Dayesの他作品もチェックを!

Tom Misch『Beat Tape 1』(2014年)


Tom Misch『Beat Tape 2』(2015年)


Yussef Kamaal『Black Focus』(2016年)
Black Focus [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRBW157)

Tom Misch『Geography』(2018年)
posted by ez at 04:52| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月13日

Tricky『Pre-Millennium Tension』

凄みを増した孤高のダーク・ワールド☆Tricky『Pre-Millennium Tension』

発表年:1996年
ez的ジャンル:UKトリップ・ホップ
気分は... :ダークな美意識!

Massive AttackPortisheadと共にUKトリップ・ホップを牽引したTrickyの2ndアルバム『Pre-Millennium Tension』(1996年)です。

1968年イギリス、ブリストル出身のミュージシャン/プロデューサーTricky(本名:Adrian Nicholas Matthews Thaws)の紹介は、衝撃のデビュー・アルバム『Maxinquaye』(1995年)に続き2回目となります。

数日前に紹介したEric B. & Rakim『Follow The Leader』(1988年)の記事内で本作収録の2曲を取り上げた関係で、久々に本作を聴き直したのでエントリーすることにしました。

本作『Pre-Millennium Tension』(1996年)は、『Maxinquaye』(1995年)に続くTricky名義の2ndアルバムです。ただし、この両作品の間にNearly God名義でTerry HallAlison MoyetNeneh CherryBjorkらとのコラボ・アルバム『Nearly God』(1996年)をリリースしています。

本作『Pre-Millennium Tension』は、トリップ・ホップという枠を飛び越えて、Trickyにしか表現できないダークでダウナーな音世界を構築しています。絶望感と緊張感に満ちていますが、そこにTrickyならではのダークな美意識が貫かれているのが魅力です。

プロデュースはTricky自身。

Patrice Chevalier(g)、Martina Topley-Bird(vo)、Rock(vo)、John Tonks(ds)、Pat McManus(violin、p)、Sky(vo)といったミュージシャンが参加しています。

1stシングルとなった「Christiansands」、前述のEric B. & Rakim『Follow The Leader』(1988年)絡みの「Makes Me Wanna Die」「Lyrics Of Fury」の3曲あたりがハイライトだと思います。

それ以外に「Sex Drive」、シングルにもなった「Tricky Kid」Chill Rob Gのカヴァー「Bad Dream」もおススメです。

Trickyが到達した孤高のダーク・ワールド。
この唯一無二のダークな音世界の凄みに圧倒されましょう。

全曲紹介しときやす。

「Vent」
深い闇の世界での叫びといった雰囲気のオープニング。聴く側も緊張感が増します。
https://www.youtube.com/watch?v=apl_Muz7RLg

「Christiansands」
アルバムからの1stシングル。映画『Face/Off』(1997年)でも使われていた楽曲です。ダークな美意識が貫かれた本作らしい1曲。Trickyの振り絞るようなヴォーカルとMartina Topley-Birdの女性ヴォーカルのコントラストがいいですね。Doug E Fresh & Slick Rick「La Di Da Di」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=0vtRiHt73iY

「Tricky Kid」
この曲もシングルになりました。USラッパーRockも参加。地元ブリストルの悪ガキ仲間から"Tricky Kid"と呼ばれていた自身のことを歌います。ここではラガ/ダブ調の雰囲気で聴かせてくれます。The Commodores「Zoom」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=M4ijSxDcJ7c

「Bad Dream」
USラッパーChill Rob Gのカヴァー。オリジナルは『Ride the Rythm』(1989年)収録。The Specials「Housebound」をサンプリング。リード・ヴォーカルはMartina。正に悪夢のようなダークな音世界が展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=9TBCR7ZwUH8

「Makes Me Wanna Die」
Eric B. & Rakim「Beats for the Listeners」をサンプリング。この曲もリード・ヴォーカルはMartina。美しくも儚いダウナーな音世界が展開されます。シングルにもなりました。
https://www.youtube.com/watch?v=XyFIIUKAOE8

「Ghetto Youth」
ヴォーカルはSky。ダウナーなトリップ・ホップ・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=Vintg6ympcQ

「Sex Drive」
このトラックのグルーヴは純粋に格好良いと思います。Trickyのハーモニカによるアクセントもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=CJ_6AGuRg94

「Bad Things」
押し殺すようなTrickyのヴォーカルとビートレスのサウンドには静かなる怒りを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=ht8fh2f8Qds

「Lyrics Of Fury」
Eric B. & Rakimのカヴァー。Slick Rick「King」をサンプリング。ヴォーカルはMartina。オリジナルの持つスリリングな疾走感を受け継ぎつつも、Trickyらしいダークなトーンで仕上げています。
https://www.youtube.com/watch?v=w_JSTu2aPhs

「My Evil Is Strong」
Smif-n-Wessun「Sound Bwoy Bureill」をサンプリング。アヴァンギャルドな中にもTrickyの美意識と凄みを感じる1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=YqTjDimPEM0

「Piano」
ラストは Pat McManusのピアノをバックに、Trickyが噛みしめるようにリリックを重ねていきます。
https://www.youtube.com/watch?v=aiBxWu_CAPg

Trickyの他の初期作品もチェックを!

『Maxinquaye』(1995年)
Maxinquaye

Nearly God『Nearly God』(1996年)
Nearly God

『Angels with Dirty Faces』(1998年)
Angels with Dirty Faces

Tricky With DJ Muggs And Grease『Juxtapose』(1999年)  
posted by ez at 04:03| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする