2020年07月05日

Ricardo Richaid『Travesseiro Feliz』

ブラジル第三世代のインダストリアル・トロピカリア☆Ricardo Richaid『Travesseiro Feliz』

発表年:2020年
ez的ジャンル:リオ・オルタナ・ポップ
気分は... :ボルソナーロ政権下のブラジルはどうなってしまうのか・・・

新作ブラジルものからRicardo Richaid『Travesseiro Feliz』です。

RubelAna Frango EletricoGus Levyらと同じくリオのオルタナ・ポップ第三世代アーティストと呼べると思います。

Ricardo Richaidはリオ出身のミュージシャン。

Ricardoの大叔母はアメリカでも人気を博した歌手・女優であった大スターCarmen Miranda。その妹でRicardoの祖母のAurora Mirandaも歌手・女優として活躍していました。

ミュージシャン/エンジニア/プロデューサーとして音楽業界でのキャリアを重ね、2016年にはRicardo Richaid(b、g、vo)、Eduardo Verdeja(ds)、Frederico Santiago(g)、Raquel Dimantas(vo、b、g)という4人で組んだオルタナ・ロック・バンドNituとして、アルバム『Nitu』をネット・リリースしています。

そして、今回ソロ・デビュー・アルバムとなる本作『Travesseiro Feliz』Far Out Recordings からリリースすることとなりました。

プロデュースはRicardo自身。楽曲もすべてRicardoのオリジナルです(共作含む)。

アルバムにはAna Frango EletricoMarcos Suzanoといったアーティストがフィーチャリングされています。また、前述のNituメンバー等がレコーディングに参加しています。

Ricardo本人は、60年代後半のブラジルで一大ムーブメントとなったトロピカリア(トロピカリズモ)の影響を受けつつ、新世代ミュージシャンらしい実験精神も取り入れた自身の音楽をスタイルを「インダストリアル・トロピカリア」と呼んでいるようです。

RubelAna Frango EletricoGus Levyといった他のリオ第三世代アーティストと比較すると、よりオルタナ・ロック色の強い仕上がりとなっています。

エンジニアとしても活動しているだけに音作りへのこだわりを楽しめる1枚に仕上がっています。

全曲紹介しときやす。

「Maracas Enterprise/Frio da Manha」
"インダストリアル・トロピカリア"のスタイルを反映したオープニング。オルタナ・ロックな「Maracas Enterprise」とリオ第三世代らしいサイケ感のある「Frio da Manha」のメドレー。
https://www.youtube.com/watch?v=6KoSROJ6qOE

「VIP Xuxa」
リオ第三世代を象徴する女性アーティストAna Frango Eletricoをフィーチャー。トリップ感覚のオルタナ・ポップ。1分半という儚さもいい感じ。
https://www.youtube.com/watch?v=2hvQjh9JetM

「Largado Nu」
シングルにもなった夢の中を彷徨うオルタナ・ロック。リオ第三世代らしい魅力に溢れています。エフェクトのかかったギターと怪しげなフルートの組み合わせがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=ND-02kWlXzg

「Drone」
90年代調のオルタナ・ロック。ドローン、SNSといった現代テクノロジーを皮肉った1曲に仕上がっておます。女性ヴォーカルはCheyenne。
https://www.youtube.com/watch?v=x0csgRyvCCs

「Outra」
Jose Ibarraとエフェクターを使った音遊びといった感じの小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=xjBYvaqWmns

「So na Darkzera」
Marcos Suzanoをフィーチャー。女性ヴォーカルはCheyenne。土着サンバ・リズムにロック、フォーク、クラシック、ジャズのエッセンスが融合したオルタナ感たっぷりの1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=jLdEDVU8iGU

「Formigas」
7歳の娘Ninaと一緒に歌う小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=vw26nWnFXqM

「O Velho Cai」
浮遊感のあるオルタナ・ポップ感のある前半から後半はジャズ・ロックに変貌します。ジャズ×ロック×サイケ×ブラジルなオルタナ・ポップで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=QqYHSNx2BDw

「Ave Apoena」
https://www.youtube.com/watch?v=m3hfiDmRaA8

ご興味がある方はRubel『Casas』(2018年)、Ana Frango Eletrico『Little Electric Chicken Heart』(2019年)、Gus Levy『Magia Magia』(2020年)もチェックを!

Rubel『Casas』(2018年)
カーザス CASAS

Ana Frango Eletrico『Little Electric Chicken Heart』(2019年)


Gus Levy『Magia Magia』(2020年)
posted by ez at 01:14| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月04日

The Gablz『The Gablz』

ミディアム〜スロウ中心、実力派男性R&Bグループ☆The Gablz『The Gablz』

発表年:1997年
ez的ジャンル:実力派男性R&Bグループ
気分は... :動十分心、動七分身!

90年代R&B作品からThe Gablz『The Gablz』(1997年)

The Gablzは、コネティカット州ハートフォードで結成された男性R&Bグループ。

メンバーはGeorge AlstonWillie CottonSamuel L. Johnson, IVの3名。

本作『The Gablz』(1997年)は、グループ唯一のアルバムです。

正直、ヒットはしませんでしたが、個人的に当時かなり愛聴していました。多分、音楽雑誌の輸入盤レビューか何かで気になり購入したような記憶があります。

ミディアム〜スロウ中心の構成で勝負しているあたりにグループの自信を感じます。聴けばわかりますが、自分たちの技巧を強調するのではなく、七分位の力でスムーズなヴォーカルワークを重視している点に惹かれます。ヴォーカルワークで自分たちの必勝パターンを持っているのが強みなのでは?

The UntouchablesNevelle Hodgeがプロデュースしたシングル曲「Shookie Shookie (Gimmie Some Of Your Sweet Cookie)」がグループの代表曲です。

それ以外に「Who's Gonna Love You」「Forgive Me」「Bon Appetit」「Do You Want Me」「Work It Out」あたりが僕のおススメです。

久々に聴いて、改めて再評価されるべき作品だと実感しました。

全曲紹介しときやす。

「Shookie Shookie (Gimmie Some Of Your Sweet Cookie)」
Nevelle Hodgeプロデュース。シングルにもなった代表曲。クラシックの風格を感じる絶品スロウ。このオープニングにThe Gablzの魅力が凝縮されています。
https://www.youtube.com/watch?v=5dnP7QUanLI

「Who's Gonna Love You」
Kevin Jackson/Erik "Lil Rick" Whiteプロデュース。僕好みの美メロ・スロウ。力みのないスムーズなヴォーカルワークがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=9BFYdgfrV9o

「It's Ladies Night At Chocolate City (Remix)」
Terrance Nelson/Brian Williamsプロデュース。ダンサブル・チューンですが、浮つかず余裕のあるヴォーカルがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=hAnHTCL68Bk

「Thanks To The Most High (Interlude)」
Bernard Liltonプロデュース。インタールード。

「Forgive Me」
Maurice Wilcher/Terrance Nelsonプロデュース。実力派グループらしいヴォーカルワークで魅せるスロウ。グイグイ惹き込まれます。
https://www.youtube.com/watch?v=EjLs3f-qhWs

「Bon Appetit」
Joel Kipnis/David Flemmingプロデュース。ヴォーカルワークの素晴らしさで聴かせるミディアム・スロウ。
https://www.youtube.com/watch?v=l6mImQjfTFU

「It's About That Time」
Joel Kipnis/David Flemmingプロデュース。ダンサブルなミディアムですが、グループのスキルの高さを見せつけてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=cgVEzmB_5Ho

「Do You Want Me」
Joel Kipnis/David Flemmingプロデュース。ジワジワと盛り上げるスロウ。必殺パターンのヴォーカルワークで魅せます。
https://www.youtube.com/watch?v=dHfA8FKl3CQ

「Work It Out」
Ivan Hampden/Andre Egansプロデュース。この曲も大好き!モロに僕好みの絶品ミディアム・スロウ。リードとコーラスが共に主役な感じがサイコー!
https://www.youtube.com/watch?v=duDyzh8wGsk

「Milk」
Bernard Liltonプロデュース。このミディアム・スロウは実力派グループでなければ表現できない味わいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2i3PW06wdCQ

「Can't Get Enough」
Nevelle Hodgeプロデュース。ヴィンテージ・テイストのサウンドやラップで変化をつけたミディアム。
https://www.youtube.com/watch?v=1FjNIwFXR8Q

「Don't Let Money Change You」
Maurice Wilcher/Terrance Nelsonプロデュース。ここでもラップ調ヴォーカルでアクセントをつけています。

「Chills」
Joel Kipnis/David Flemmingプロデュース。ラストもステキなミディアム・スロウで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=DNuUVYADQ9s

新型コロナの新規感染者がまた増大していますね。
日常の仕事・生活と感染防止の間でどう折り合いをつけるのか、一人ひとりが試されている感じですね。僕もCDショップへの中古品漁りに行けずにフラストレーションが溜まっていますが、しばらくはネットで我慢しなければいけない感じですね。
posted by ez at 02:24| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月03日

Alice Babs『Music With A Jazz Flavour』

『サバービア』誌掲載の女性ジャズ・ヴォーカル作品☆Alice Babs『Music With A Jazz Flavour』

発表年:1973年
ez的ジャンル:スウェーデン産女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :スイングしなけりゃ意味ないね!

今回は『サバービア』誌にも掲載された女性ジャズ・ヴォーカル作品Alice Babs『Music With A Jazz Flavour』(1973年)です。

Alice Babs(1924-2014年)は、スウェーデンの国民的女性シンガーとして活躍した人。

15歳でデビューし、50年代後半からはジャズ・シンガーとして数多くの作品をリリースしています。彼女を有名にしたのがジャズ・ジャイアントDuke Ellingtonとの共演。TVで偶然Aliceを見たEllingtonが気に入り、Ellingtonが1974年に亡くなるまでの約10年間に渡り、数多くの共演を果たしました。

本作『Music With A Jazz Flavour』(1973年)は、鍵盤奏者Nils Lindbergをリーダーとするオーケストラがバッキングを務めています。アレンジもNils Lindbergです。

本作が『サバービア』誌にも掲載され、下の世代の人々から注目されたのは、Carole Kingの絶品カヴァー「Been To Canaan」への評価です。正直、僕も「Been To Canaan」1曲ねらいで本作を購入しました。

サバービア好きの人が喜びような曲は「Been To Canaan」のみですが、女性ジャズ・ヴォーカル好きの人であれば楽しめると思います。彼女のヴォーカリストとしての間口の広さ、表現力の豊かさを実感できます。

「Been To Canaan」以外であれば、
スウィンギーな「Song For The Dreamer」、ロマンティック・バラードの「My Ship」「A Hundred Years From Today」、もう1曲のCarole Kingカヴァー「Tapestry」、Duke Ellingtonの名曲カヴァー「It Don't Mean A Thing(スイングしなけりゃ意味ないね)」あたりがおススメです。

スウェーデンの国民的女性シンガーの表現豊かなジャズ・ワールドを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Song For The Dreamer」
John Lewis/Margo Guryan作。オリジナルは1962年のNancy Harrowヴァージョン。寛いだスウィンギー感が心地好いです。Aliceの語り口にもベテランらしい落ち着きがあっていいですね。終盤のホーン・アンサンブルもいい雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=pYLBJdq8rqc

「My Ship」
Ira Gershwin/Kurt Weill作のポピュラー・スタンダードをカヴァー。元々はブロードウェイ・ミュージカル『Lady in the Dark』(1941年)のために書かれた楽曲です。美しいストリングスをバックに、情感豊かなヴォーカルを聴かせてくれるロマンティック・バラードに仕上がっています。Rune Gustafssonの素敵なギター・ソロにも注目です。
https://www.youtube.com/watch?v=wcnMFj0zeko

「Been To Canaan」
Carole King作品をカヴァー。オリジナルはアルバム『Rhymes & Reasons』(1972年)収録。前述のように本作の再評価を決定づけた1曲。ファンキー・ベース、ガット・ギター、軽快なコンガ、ドラムのバッキングとはつらつとしたAliceのヴォーカルが織り成す、至極の爽快グルーヴィー・チューン。そよ風のような気持ちよさがありますね。
https://www.youtube.com/watch?v=SRTW2WJkL6w

「Flow Gently, Sweet Afton」
スコットランド民謡をカヴァー。ハープシコードの音色が印象的な牧歌/トラッド的な仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=n5dDZvPEq8E

「Hodgy」
Alice Babsのオリジナル。タイトルはDuke Ellington楽団のメンバーであったJohnny Hodgesのニックネームからつけたもの。Alice自らがピアノを弾いて歌うブルースです。
https://www.youtube.com/watch?v=5BrJHvQz2rE

「Tapestry」
Carole King作品のカヴァーその2。名盤『Tapestry』(1971年)のタイトル曲です。北欧ジャズ・シンガーならではの表現力で感動的なバラードを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=qeY2zy5aSCU

「It Don't Mean A Thing」
Duke Ellington/Irving Mills作の名曲「スイングしなけりゃ意味ないね 」をカヴァー。Duke Ellingtonにベタ惚れされた女性シンガーとしての面目躍如といったところでしょうか。スウィンギーで軽やか案バッキングも含めて素晴らしい仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=T7I1cV4JPPc

「How About A Blues」
Alice Babs/Nils Lindberg作。Aliceが雰囲気たっぷりのスキャットを聴かせてくれるブルース。
https://www.youtube.com/watch?v=7Yy8QExMGn8

「Checkered Hat」
Judy Spencer/Norris Turner作。この曲もDuke Ellington楽団のメンバーであったJohnny Hodgesに捧げられた曲のようです。ノスタルジックな雰囲気にグッとくるムーディーなバラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=i0XumHaBiWU

「A Hundred Years From Today」
Ned Washington/Victor Young/Joe Young作。本編のラストはポピュラー・スタンダードのカヴァー。抑えたトーンのバッキングがAliceの素敵なヴォーカルを引き立てるロマンティック・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=_T6UNpEIfr4

「Natural Affection」
再発国内CDボーナス・トラックその1。1978年のレコーディング。ピアノ・トリオをバックに品格のあるヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=OdThL2zhOfE

「Say When」
再発国内CDボーナス・トラックその2。1978年のレコーディング。ピアノ・トリオをバックにベテランらしい表現力で楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=kOzArxPu3lE

オリジナル・アルバムのCD化はあまり進んでいませんが、ご興味がある方はチェックを!

『Alice Babs & The Swe-Danes』(1959年)


Alice Babs & Duke Ellington『Serenade to Sweden』(1966年)


Alice Babs/Duke Ellington/Nils Lindberg『Far Away Star』(1984年)
posted by ez at 01:30| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月02日

The Friends Of Distinction『Grazin'』

デビュー・ヒット「Grazing in the Grass」収録☆The Friends Of Distinction『Grazin'』

発表年:1969年
ez的ジャンル:黒人男女コーラス・グループ
気分は... :withコロナな夏・・・

いよいよ7月ですね。
withコロナな夏はどうなるのか・・・

60年代後半から70年代初めに活躍した黒人男女コーラス・グループThe Friends Of Distinctionのデビュー・アルバム『Grazin'』(1969年)です。

単独CD化が未実現であり、上記ジャケおよびAmazonへのリンクは2ndアルバム『Highly Distinct』(1969年)との2in1CDです。

The Friends Of Distinctionは、元The Hi-Fi'sのメンバーであったFloyd ButlerHarry Elstonが、Jessica CleavesBarbara Jean Loveという2人の女性ヴォーカリストと1968年にL.A.で結成したグループ。

ちなみにThe Hi-Fi'sには、Lamonte McLemoreMarilyn McCooというThe 5th Dimensionのメンバーも在籍していました。

本作『Grazin'』(1969年)でデビューしたグループは、いきなり「Grazing in the Grass」(USチャート第3位、同R&Bチャート第5位)、「Going in Circles」(USチャート第15位、同R&Bチャート第3位)という2曲のヒットを飛ばし、人気を博しました。

その後、『Highly Distinct』(1969年)、『Real Friends』(1970年)、『Whatever』(1970年)、『Friends & People』(1971年)、『Love Can Make It Easier』(1973年)、『Reviviscence - Live to Light Again』(1975年)といったアルバムをリリースしています。

ソウル好きのみならず、ソフトロック好き、フリーソウル好きからの支持も高いグループですね。

そんなグループの魅力が最も凝縮されたアルバムがデビュー・アルバムとなる本作『Grazin'』(1969年)です。

オリジナル・ジャケはこんな感じです。
『Grazin'』(1969年)
the friends of distinction grazin.jpg

アルバムはUSアルバム・チャート第35位、同R&Bアルバム・チャート第10位となっています。

プロデュースはJohn Florez

レコーディングにはAl Casey(g)、Arthur G. Wright(g)、Max Bennett(b)、Jim Gordon(ds、per)、King Errison(congas)、Gary Coleman(per)、Buddy Childers(tp、flh)、Bud Brisbois(tp)、Plas Johnson(fl、clarinet)、Jim Horn(fl、ts)等のミュージシャンが参加しています。

ハイライトは当然「Grazing in the Grass」ということになりますが、Beatles「And I Love Her」のカヴァー「And I Love Him」Kenny Rankin作のカヴァー「Peaceful」、Ray Charlesのカヴァー「(A) Sweet Young Thing Like You」、ソフトロックな「Help Yourself (To All of My Lovin')」あたりも個人的にはおススメです。

まずは「Grazing in the Grass」を聴いてみてください!
できればPizzicato Five「Happy Sad」とセットで聴きましょう!

全曲紹介しときやす。

「Grazing in the Grass」
Hugh Masekelaのカヴァー(Philemon Hou/Harry Elston作)。Masekelaのオリジナル(インスト)はアルバム『The Promise of a Future』(1968年)に収録されています。シングルにもなり、USチャート第3位、同R&Bチャート第5位の大ヒットとなったグループの代表曲。爽快ハッピーなポップ・ソウルは聴いているだけでスマイルになりますね。
https://www.youtube.com/watch?v=cjYrski71II

この曲といえば、Pizzicato Five「Happy Sad」の元ネタとしてお馴染みですね。「Happy Sad」大好き人間としては、その意味でも聴き逃せない1曲です。
Pizzicato Five「Happy Sad」
 https://www.youtube.com/watch?v=Pyz6jxodGKs

「I've Never Found a Girl (To Love Me Like You Do)」
Eddie Floyd、1968年のヒット曲をカヴァー(Booker T. Jones/Eddie Floyd/Alvertis Isbell作)。ソウル・コーラス・グループらしい1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Ss2n6aZcnuw

「I Really Hope You Do」
The Sophisticates、1967年のシングル曲をカヴァー(Anita Poree/Jerry Peters作)。しっとりとしたバラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=Z1JAq1N4AM4

Ghostface Killah feat. Masta Killa and Killa Sin「Revenge Is Sweet (The Brown Tape)」、Panacea「Speak-O-Vision」のサンプリング・ソースとなっています。
Ghostface Killah feat. Masta Killa and Killa Sin「Revenge Is Sweet (The Brown Tape)」
 https://www.youtube.com/watch?v=cjWNTD3i0g4

「(A) Sweet Young Thing Like You」
Ray Charles、1967年のシングル曲をカヴァー(Big Dee Irwin作)。スウィートなポップ・ソウル感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=aHdgtfed7JI

Create & Devastate feat. Masta Ace and Stricklin「The Hitman」のサンプリング・ソースとなっています。
Create & Devastate feat. Masta Ace and Stricklin「The Hitman」
 https://www.youtube.com/watch?v=aBL2_tsGuEc

「Going in Circles」
Anita Poree/Jerry Peters作のオリジナル。「Grazing in the Grass」と並ぶグループの代表曲であり、シングルとしてUSチャート第15位、同R&Bチャート第3位のヒットとなりました。「Grazing in the Grass」とは好対照な哀愁バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=vBkYN7wYQFk

The Gap BandIsaac Hayes、Carolyn Franklin、The Natural Four、Wayne McGhie & the Sounds of Joy、Luther Vandross、Dwight T. Ross、Esther Phillips、Carrie Lucas、Tierra等がカヴァーしています。

また、Hocus Pocus「W0:00」、Ideal J「Attaque Contre Attaque」、Reks「Til Ya Hair Turns Grey」等のサンプリング・ソースとなっています。

The Gap Band「Going in Circles」
 https://www.youtube.com/watch?v=meV45IAecW0
Isaac Hayes「Going in Circles」
 https://www.youtube.com/watch?v=ocm8M0BvOhI
Carolyn Franklin「Going in Circles」
 https://www.youtube.com/watch?v=mwJi9lgERGQ
The Natural Four「Going in Circles」
 https://www.youtube.com/watch?v=_j6l2JaWEm0
Wayne McGhie & the Sounds of Joy「Going in Circles」
https://www.youtube.com/watch?v=HYwgxw0VwUk
Luther Vandross「Going in Circles」
https://www.youtube.com/watch?v=BxlYSV2dMY8
Dwight T. Ross「Going in Circles」
https://www.youtube.com/watch?v=rNYOzLnAcNc
Carrie Lucas「Going in Circles」
https://www.youtube.com/watch?v=vWh2_ZSuutI
Tierra「Going in Circles」
 https://www.youtube.com/watch?v=mRM1CZTtGOI
Hocus Pocus「W0:00」
 https://www.youtube.com/watch?v=mxFpjTM8GXs
Ideal J「Attaque Contre Attaque」
 https://www.youtube.com/watch?v=wXDK6Ha1IY0
Reks「Til Ya Hair Turns Grey」
 https://www.youtube.com/watch?v=cZDzHuratus

「Eli's Comin」
Three Dog Nightのヒットでも知られるLaura Nyro作品をカヴァー。オリジナルは『Eli And The Thirteenth Confession』(1968年)収録。コーラス・グループとししての実力の高さを存分に示してくれるドラマティックな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=xHqbDz5jigg

Curren$y「Moe Chettah」のサンプリング・ソースとなっています。
Curren$y「Moe Chettah」
 https://www.youtube.com/watch?v=m36ET0mQC_c

「Help Yourself (To All of My Lovin')」
ソウル・デュオJames & Bobby Purify、1968年のシングル曲をカヴァー(Scott English/Mark Barkan/Jerry Ross作)。ソフトロック好きの人が気に入りそうな仕上がり。

「Baby I Could Be So Good at Loving You」
男性R&BシンガーClyde McPhatter、1968年のシングルB面曲をカヴァー(Buzz Clifford作)。クラリネットの音色が印象的なコーラス・グループらしい1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=CSWftqXp2cU

Black Sheep「Forever Luvlee」のサンプリング・ソースとなっています。
Black Sheep「Forever Luvlee」
 https://www.youtube.com/watch?v=Fm-ttJ55_mo

「And I Love Him」
Beatles「And I Love Her」のカヴァー(John Lennon/Paul McCartney作)。オリジナルは『A Hard Day's Night』(1964年)に収録されています。オリジナルとは異なる魅力を持ったThe Friends Of Distinctionならではの絶品カヴァーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=-cSH2Gxv37M

Nas feat. Chrisette Michele「Hope」、Rick Ross feat. Jay-Z「Maybach Music」、Young Chris「Never Die」、Rapsody feat. Raheem DeVaughn and Ab-Soul「Nonfiction」等30トラック以上のサンプリング・ソースとなっています。
Nas feat. Chrisette Michele「Hope」
 https://www.youtube.com/watch?v=zrCcIiz5RBA
Rick Ross feat. Jay-Z「Maybach Music」
 https://www.youtube.com/watch?v=U8phE-QTaQU
Young Chris「Never Die」
 https://www.youtube.com/watch?v=UverNKsE32k
Rapsody feat. Raheem DeVaughn and Ab-Soul「Nonfiction」
 https://www.youtube.com/watch?v=hzOCOQhS_6A

「Peaceful」
Georgie FameやHelen Reddyのヒットでも知られるKenny Rankin作品をカヴァー。Kenny Rankinのオリジナルはデビュー・アルバム『Mind Dusters』(1967年)収録。また、人気作『Like a Seed』(1972年)にニュー・アレンジ・ヴァージョンが収録されています。本ヴァージョンは60年代後半らしいラブ&ピース感があっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=aqw7pP7e5Pk

「Lonesome Mood」
Roy Porter作。ラストはムーディーなバラードですが、サイケなアクセントをつけているのはこの時代らしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=mJTb2waNNDA

Talib Kweli feat. Kanye West and Roy Ayers「In the Mood」、Little Brother feat. Dynas「Deeper」等のサンプリング・ソースとなっています。
Talib Kweli feat. Kanye West and Roy Ayers「In the Mood」
 https://www.youtube.com/watch?v=_hkEFrQk21Q
Little Brother feat. Dynas「Deeper」
 https://www.youtube.com/watch?v=qaVDrrZVmPo

The Friends Of Distinctionの場合、多くのオリジナル・アルバムのCD化未実現なのが残念ですね。
posted by ez at 00:54| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月01日

Fast 3『The Grifter』

美学のあるUKジャズ・ファンク・トリオ☆Fast 3『The Grifter』

発表年:2006年
ez的ジャンル:UKジャズ・ファンク
気分は... :ジャケに思わずニンマリ!

今回はUKジャズ・ファンク作品、Fast 3『The Grifter』(2006年)です。

Fast 3は2002年にロンドンで結成されたジャズ・ファンク・トリオ。

オリジナル・メンバーはPhil Wilkinson(org)、Dave Wilkinson(g)というWilkinson兄弟とイタリア人のAndrea Trillo(ds)という3名。その後、Andrea Trilloに代わり、Caspar St. Charlesがドラマーとして加入しています。

グループは『Pole Position』(2004年)、『The Grifter』(2006年)、『3's Company : A Tribute To Grant Green』(2008年)といったアルバムをリリースしています。

本作『The Grifter』(2006年)は、日本デビュー・アルバムとなります。

The Three Sounds『It Just Got To Be』(1963年)を模したジャケからして思わずニンマリですね。

The Three Sounds『It Just Got To Be』(1963年)


UKジャズ・ファンクを牽引するグループThe New Mastersoundsでお馴染みのOne Note Recordsからのリリースです。

プロデュースはPhil WilkinsonDave Wilkinson

"Melvin SparksJohnny "Hammond" SmithBernard Purdie"と評されたソウル・ジャズ寄りの演奏は派手さはありませんが、通好みのUKジャズ・ファンクといった感じです。

カヴァーはなく全曲オリジナルで固めたところに彼らの自信を感じます。

「Speakeasy」「Heirs To The Throne」「The Grifter」「Brandy Snap」「Souled Out」「The Clap」あたりが僕のお気に入り。

やり過ぎない美学の格好良さにグッとくる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Speakeasy」
Dave Wilkinson作。モッドな格好良さのあるグルーヴィーなオープニング。2000年代のスウィンギン・ロンドンといった雰囲気の格好良さがあります。ドラム・ブレイクもキマっています。サイコー!
https://www.youtube.com/watch?v=2RC786ncTvU

「Tufty」
Fast3作。カリビアン・テイストの開放感が心地好い演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=ezgaOQtfQ3M

「Lamanleman」
Fast3作。少しルーズな雰囲気がいいですね。ここでのDaveはギターに加えて、ハーモニカでアクセントをつけています。
https://www.youtube.com/watch?v=aQEdepqw4lo

「Heirs To The Throne」
Phil Wilkinson作。7分超の長尺。"Melvin SparksJohnny "Hammond" Smith+Bernard Purdie"と称される彼らのグルーヴィーなソウル・ジャズ・フィーリングの演奏を満喫できます。特にCasparのパワフルなドラミングがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ns9K4R2nxw0

「The Grifter」
Dave Wilkinson作。タイトル曲はやり過ぎない余白の格好良さを感じます。彼らの美学が詰まった演奏だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=s1FHXojAiLk

「Taste Promise」
Fast3作。グルーヴィーなリフが淡々と演奏されますが、後半のドラムブレイクを機にヒートアップする感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=sn0YlJloVWE

「Brandy Snap」
Dave Wilkinson作。60年代ジャズ・ロック/ラテン調の魅力を持った演奏です。ギター、オルガン、ドラムのみの演奏とは思えない華があります。
https://www.youtube.com/watch?v=Q4QuMESblAg

「Hard Rock Maple」
Fast3作。タイトルにはハード・ロックとありますが、ギター、ハモンド・オルガン、パワフルなドラミングのバランスが絶妙なソウル・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=t6NjznxRIJs

「The Lizard Checker」
Phil Wilkinson作。ここでのPhilはエレピを演奏。全体的に抑えたトーンのブルージーなサウンドに仕上げています。
https://www.youtube.com/watch?v=zpESOEJi-68

「Souled Out」
Fast3作。レア・グルーヴ好きの人も気に入りそうな躍動感のあるサウンドです。ここでもやり過ぎないツボを押さえた演奏がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=fuddZrn-1fU

「The Clap」
Fast3作。ラストはDaveの格好良いギターが炸裂するファンキー・チューン。国内盤ライナーノーツで、"Big" John PattonがGrant Greenと共演した『Got A Good Thing Goin'』(1966年)のオープニング曲「The Yodel」のアップデート版と評されていましたが、聴き比べてみるのも楽しいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=tuJRYFH64Fw

"Big" John Patton「The Yodel」
 https://www.youtube.com/watch?v=rist7_i_GYQ

ご興味がある方はGrant Greenへのトリビュート・アルバム『3's Company : A Tribute To Grant Green』(2008年)もチェックを!

『3's Company : A Tribute To Grant Green』(2008年)


また、メンバーのDave Wilkinson(g)、Andrea Trillo(ds)は、スペイン人のArecio Smith(org、key)、アルゼンチン人のTito Bonacera(b)と組んだユニットPhat Fredとしても作品をリリースしています。

Phat Fred『Don't Spoil The Soup!』(2006年)


Phat Fred『Live In Denmark Hammondbeat Soul & Groove Live Vol. 2』(2008年)
posted by ez at 00:41| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする