発表年:2013年
ez的ジャンル:ベッドルーム系オルタナティヴR&B
気分は... :ジェンダーについて考える・・・
昨日ニュースで、新作映画でトランスジェンダー役を演じる予定であった女優のハル・ベリーが、「男性になった女性」と語ったことで批判を浴び、謝罪すると同時に降板を発表したというニュースを見ました。
そのせいでジェンダーについてあれこれ考えていたら、ふと今回紹介する1枚が思い浮かびました。
ということで、今回はジェンダーレスなヴォーカルが印象的なオルタナティヴR&B作品Rhye『Woman』(2013年)です。
Rhyeは、カナダ出身のシンガー/プロデューサーMike Miloshとデンマーク出身のプロデューミュージシャン/プロデューサーRobin Hannibalが結成したL.A.を拠点とする男性デュオとしてスタート。
Robin Hannibalは、Little DragonやSelah Sue『Reason』(2015年)のプロデュース等でも知られていますね。
デビュー・アルバムとなる本作『Woman』(2013年)は、各方面で絶賛され、音楽シーンに大きなインパクトを残した1枚となりました。
その後、Robinがユニットを抜けてMiloshのソロ・プロジェクトとなり、2017年に2ndアルバム『Blood』をリリースしています。
『Woman』(2013年)は、リリース当時に当ブログでもエントリーしようと思っていたのですが、何となく機を逸してしまい、そのまま僕の中で埋没していました。
美しくも儚いムードが魅力のベッドルーム・ミュージック的なオルタナティヴR&Bというのが僕の本作に対する印象です。
そして、その印象を最も特徴づけているのがMike Miloshのジェンダーレスなヴォーカルです。リリース当時、Miloshのヴォーカルを女性シンガーと勘違いし、Rhyeを男女ユニットだと信じ込んでいた人も結構いたと思います。
特にMiloshのヒンヤリしたヴォーカルをSade(Sade Adu)に重ねた人も多かったのでは?
確かにSadeがシンセ・ポップすると、こんな雰囲気かもしれませんね。
プロデュース、ソングライティングはRhye自身。
レコーディングにはThomas Drayton(b)、Andreas Halberg(b)、Elizabeth Lea(tb)、Tom Lea(viola、violin)、Rebekah Raff(harp)、August Rosenbaum(p)、Itai Shapiro(g)、Todd Simon(flh、tp)、Tracy Wannomae(clarinet、fl、sax)といったミュージシャンも参加しています。
シングルにもなった「Open」と「The Fall」という人気の冒頭2曲がハイライト。
それ以外であれば、「Last Dance」、「Shed Some Blood」、「One Of Those Summer Days」、「Major Minor Love」が僕のおススメです。
今聴き直しても素敵なベッドルーム・ミュージックだと思います。
全曲紹介しときやす。
「Open」
2012年のRhyeのデビュー・シングル。美しいストリングス、ハープ、ホーンに続いて発せられるMiloshのSade調ヒンヤリ・ヴォーカルにゾクっとしますね。夢の中で彷徨うような音世界がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=sng_CdAAw8M
「The Fall」
この曲もアルバムに先駆けて2012年にシングル・リリースされた人気曲。ハウス調のピアノも含めてダンサブルなのですが、Miloshのヴォーカルが入るとアンニュイなムードが支配します。この美しくも儚い感じがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=JJS5ywEIsA4
「Last Dance」
Miloshのジェンダーレス・ヴォーカルの魅力を堪能できる官能的な哀愁グルーヴ。吐息まじりのMiloshのヴォーカルがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=KGmevoyiVPI
「Verse」
哀愁バラードですが、シンセとスリングスのバランスが絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=-1L__280NSo
「Shed Some Blood」
オルタナティヴR&B好きの人は気に入りそうな哀愁ミディアム・グルーヴ。打ち水のようなヒンヤリ感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=eWFw89g5P7k
「3 Days」
美しいハープ・ソロによるイントロに続き、北欧シンセ・ポップ調のダンサブル・チューンが展開されます。このあたりはHannibalの色でしょうね。
https://www.youtube.com/watch?v=Gkh5Glu-1Yo
「One Of Those Summer Days」
幻想的なバラード。夏の静かな夜明けといった趣の幻想的なバラード。遠くで響くようなギターの音色もいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=R4zfrj0BzAk
「Major Minor Love」
Miloshの魅力を生かした美しいヴォーカルワークに魅了されます。万華鏡を見ているような楽しさがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=e-Lok6dgkXw
「Hunger」
アルバムで最もシンセ・ポップ感が強調されているダンサブル・チューン。Hannibal主導の曲かもしれませんが、Miloshのヴォーカルはこのタイプの曲では生きない気もします。
https://www.youtube.com/watch?v=W1-X6knHC7U
「Woman」
ラストはビートレスのタイトル曲で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=g-qPb-KX_C4
『Blood』(2017年)