2020年08月31日

Mahavishnu Orchestra『The Inner Mounting Flame』

衝撃のジャズ・ロック!☆Mahavishnu Orchestra『The Inner Mounting Flame』
内に秘めた炎(期間生産限定盤)
発表年:1971年
ez的ジャンル:超絶ギタリスト系ジャズ・ロック
気分は... :内に秘めた炎!

John McLaughlin率いるMahavishnu Orchestraの衝撃の1stアルバム『The Inner Mounting Flame』(1971年)です。

John McLaughlin率いるジャズ・フュージョン/ジャズ・ロック・バンドMahavishnu Orchestraについて、当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Birds of Fire』(1972年)
 『Visions of the Emerald Beyond』(1975年)
 『Inner Worlds』(1976年)

The Tony Williams Lifetimeエレクトリック・マイルスへ参加し、電化ジャズ最前線を体験したJohn McLaughlinが独自のジャズ・ロック・ワールドを目指すべく結成したのがMahavishnu Orchestraであり、その所信表明となったアルバムが本作『The Inner Mounting Flame』(1971年)です。

バンド名も含めて、ジャズ・ロックに収まらない神秘的&スピリチュアルな雰囲気があるのがこのユニットの魅力だと思います。

プロデュース&ソングライティングはすべてJohn McLaughlin

本作におけるMahavishnu Orchestraのメンバーは、John McLaughlin(g)、Rick Laird(b)、Billy Cobham(ds、per)、Jan Hammer(key、org)、Jerry Goodman(violin)。

主役John McLaughlinの超絶ギターは勿論のこと、バンド全体の推進役となるBilly Cobhamのドラミング、ジャズ・ロックに収まらない神秘的なアクセントを加えるJerry Goodmanのヴァイオリンにも注目です。

僕の嗜好からすると、この狂暴なジャズ・ロックはいつも聴きたい音ではありませんが、たまに聴くとスカっとしますね(笑)

当時の音楽シーンに大きなインパクトを与えたジャズ・ロックを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Meeting of the Spirits」
このグループのスケールの大きさを実感できる衝撃のオープニング。インドの神秘的なベールに包まれた白熱のジャズ・ロックです。単に激しいのみならず深遠さも兼ね備えているのがいいですね。McLaughlinのギターが主役ですが、Jerry Goodmanのヴァイオリンがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=DQG7XpCiSVA

Jurassic 5「Lesson 6 (The Lecture)」、Aceyalone「The Hurt」のサンプリング・ソースとなっています。
Aceyalone「The Hurt」
 https://www.youtube.com/watch?v=WP8F8esJIPQ

「Dawn」
タイトルの通り夜明けモードの演奏です。メリハリの効いたジャズ・ロックですが、ここでもGoodmanのヴァイオリンがある分、オリエンタルなムードが漂います。
https://www.youtube.com/watch?v=y7SoYb9KLDE

Ambersunshower「Serengeti Plains」等のサンプリング・ソースとなっています。
Ambersunshower「Serengeti Plains」
 https://www.youtube.com/watch?v=FcNFKb3XTX0

「The Noonward Race」
Billy CobhamとMcLaughlinによる白熱バトルのイントロがサイコー!中盤はエレクトリック・マイルスに通じる格好良さを感じます。コチラの方が遥かに狂暴ですが。
https://www.youtube.com/watch?v=GSv6SEN3SKo

「A Lotus on Irish Streams」
McLaughlinのギター、Goodmanのヴァイオリン、Jan Hammerのピアノが織り成す美しい演奏です。McLaughlinのギターが時折シタール風になるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=1m5V8zbyR2M

「Vital Transformation」
Cobhamの格好良いブレイクと共に始まる超絶ジャズ・ロック。このユニットらしいエキサイティングなプレイを存分に満喫できます。激しく唸りつづけるMcLaughlinのギターでトランス状態になりそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=boOu0L45M44

「The Dance of Maya」
ジャズ・ロックなのにブルースな面白い演奏です。このグループの変幻自在さを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=Q1qIQjUy5B0

HCH「I Orkomosia」、Godfather Don「Slave of New York」のサンプリング・ソースとなっています。
HCH「I Orkomosia」
 https://www.youtube.com/watch?v=ov_u4VB6350
Godfather Don「Slave of New York」
 https://www.youtube.com/watch?v=Njv_IynPL9Q

「You Know You Know」
このユニットならではのスピリチュアルな演奏です。嵐の前の静けさのような不気味さも漂います。
https://www.youtube.com/watch?v=5mdGCqZTres

Massive Attack「One Love」Black Sheep「Similak Child」、「Flavor of the Month」、MC Serch「Hits the Head」、Blahzay Blahzay「Intro」、Mos Def「Kalifornia」、Jill Scott「The Real Thing」等のサンプリング・ソースとなっています。
Massive Attack「One Love」
 https://www.youtube.com/watch?v=QNnofKV6Osc
Black Sheep「Flavor of the Month」
 https://www.youtube.com/watch?v=F01fzPwBwc4
MC Serch「Hits the Head」
 https://www.youtube.com/watch?v=NrFDS8BoIj8
Blahzay Blahzay「Intro」
 https://www.youtube.com/watch?v=VTLHsqB2rpI
Mos Def「Kalifornia」
 https://www.youtube.com/watch?v=JlSsbNc0_u0
Jill Scott「The Real Thing」
 https://www.youtube.com/watch?v=MoQpZ9n_St0

「Awakening」
ラストは超絶集団による白熱のジャズ・ロックで締め括ってくれます。聴く側も息が出来ないようなスピード感で駆け抜けていきます。
https://www.youtube.com/watch?v=HRM8N1987qA

Mahavishnu Orchestraの他作品もチェックを!

『Birds of Fire』(1972年)
火の鳥(期間生産限定盤)

『Between Nothingness & Eternity』(1973年)
虚無からの飛翔(期間生産限定盤)

『Apocalypse』(1974年)
Apocalypse

『Visions of the Emerald Beyond』(1975年)
Visions of the Emerald Beyond

『Inner Worlds』(1976年)
Inner Worlds
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2020年08月30日

Bruna Mendez『Corpo Possivel』

ブラジル新世代アーティスト☆Bruna Mendez『Corpo Possivel』

発表年:2020年
ez的ジャンル:ブラジル新世代SSW
気分は... :ジャケに騙されるな・・・

今回はブラジル新世代シンガー・ソングライターBruna Mendezの最新作『Corpo Possivel』です。
※デジタル配信は2019年ですがCD化は2020年なので、便宜上2020年代カテゴリーに分類しておきます。

Bruna Mendezはブラジル、ゴイアニア出身の女性シンガー・ソングライター。現在28歳だそうです。

2014年にデビューEP「Pra Ela」をリリース。
2016年には1stアルバム『O Mesmo Mar Que Nega a Terra Cede a Sua Calma』をリリースしています。

2ndアルバムとなる最新作『Corpo Possivel』は、エレクトリックでフューチャリスティックな仕上がりで、RubelAna Frango EletricoGus LevyRicardo Richaidなどのリオのオルタナ・ポップ第三世代アーティストなどと同じく、次世代のMPBを担うアーティストとして位置付けられそうです。

また、"ブラジルのH.E.R."とでも呼びたくなるオルタナティヴR&B調のトラックがあるのも魅力です。

本作はブラジル南部のクリチバで制作され、クリチバの新進男女トリオTuyoがフィーチャリングされたトラックも収録されています。

プロデュースはGianlucca AzevedoPedro Soares

ジャケに引きずられて素朴なSSW作品をイメージしていると、かなりギャップがあると思います。

コレはハマる人が多い1枚になるのでは?

全曲紹介しときやす。

「Avisa」
哀愁モードのエレクトリック・サウンドが印象的なオープニング。フューチャリスティックな中にもシンガー・ソングライターらしさを感じるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=62Huf_yTSyA

「Corpo Miragem」
幻想的でフューチャリスティックなサウダージ感があります。RubelGus Levyあたりが好きな人は気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=m_BL-ek8xgM

「Bem」
"ブラジルのH.E.R."とでも呼びたくなるオルタナティヴR&B調の1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=iQCxJWDydKs

「Transbordo Longe」
彼女のシンガー・ソングライターとしての魅力を実感できる1曲。オルタナティヴR&Bと一緒に聴いてもフィットする儚い美しさが魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=Xil3eYOf-QY

「Tropical」
エレクトリック色を前面に打ち出したダンサブル・チューン。ジャケに写るBrunaとはギャップのあるダンサブル・サウンドが新鮮です。
https://www.youtube.com/watch?v=hKZO62LJhTY

「Pele De Sal」
クリチバの新進男女トリオTuyoをフィーチャリング。幻想的なエレクトリック・サウンドの音世界にグイグイ引き込まれていく胡蝶の夢のような仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=AhaASz7_sOg

「Imagem Em Mim」
これも"ブラジルのH.E.R."的な1曲。余計なものを削ぎ落したサウンドが彼女の歌を際立てます。
https://www.youtube.com/watch?v=pcY_qxWp82Q

「Licenca」
ブラジル人SSWならではのエレクトリック・トラックといった雰囲気です。すべて埋め尽くさない余白・余韻が魅力のトラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=6sLpRqwp3aU

「Dancei」
本作のセンスの良さを満喫できるトラック。ポップと先鋭のバランスが絶妙です。リピートして聴きたくなる中毒性があります。
https://www.youtube.com/watch?v=Oq0PhV9qtDI

「Prata」
ローファイHip-Hopにも通じる肌触りの1曲。終盤の弾き語りによるアクセントもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=-ZGm9uhF5nE

「Azul Profundo」
本編ラストは幻想的なエレクトリック・ワールドで締め括ってくれます。前曲に続き、終盤は弾き語りになります。
https://www.youtube.com/watch?v=01audJqL4BU

「Nostros」
国内盤CDのボーナス・トラック。Tuyoをフィーチャリングとなっていますが、元々はBruna MendezをフィーチャリングしたTuyoのシングル曲です。本編にはないボッサ感覚のフューチャリスティック・トラックに仕上がっています。コレはかなり僕好み!
https://www.youtube.com/watch?v=PTYstyofIzM

ご興味がある方はリオのオルタナ・ポップ第三世代アーティストの作品もチェックを!

Rubel『Casas』(2018年)
カーザス CASAS

Ana Frango Eletrico『Little Electric Chicken Heart』(2019年)


Gus Levy『Magia Magia』(2020年)


Ricardo Richaid『Travesseiro Feliz』(2020年)
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2020年08月29日

Erykah Badu『Live』

器の大きさを実感するライヴ☆Erykah Badu『Live』

発表年:1997年
ez的ジャンル:ネオソウル・クイーン
気分は... :躍動するエリカ様・・・

首相辞任という大きなインパクトのあった昨晩でしたね。

その流れを受けた『朝まで生テレビ』をみていたら、記事アップが大幅に遅れてしまいました。

今回はネオソウルの女王Erykah Baduのライヴ・アルバム『Live』(1997年)です。

これまで当ブログで紹介したErykah Badu作品は以下の4枚(発売順)。

 『Mama's Gun』(2000年)
 『Worldwide Underground』(2003年)
 『New Amerykah: Part One (4th World War)』(2008年)
 『New Amerykah Part Two: Return Of The Ankh』(2010年)

デビュー・アルバム『Baduizm』(1997年)がUSアルバム・チャート第2位、同R&Bアルバム・チャート第1位の大ヒットとなり、一躍ネオソウル・クイーンとなったErykah Badu

本作『Live』は、大ヒットした『Baduizm』の勢いに乗ってリリースされたライヴ・アルバムです。

僕は『Baduizm』『Live』の2枚共にリアルタイムで愛聴しましたが、僕に大きなインパクトを与えたのは『Live』の方でした。『Baduizm』というスタジオ・アルバムの器では容量不足であることを感じさせたのが『Live』でした。

本作もUSアルバム・チャート第4位、同R&Bアルバム・チャート第1位の大ヒットとなりました。

プロデュースはErykah BaduNorman Hurt

メンバーはErykah Badu(vo)、Norman Hurt(key)、Hubert Eaves IV(b)、Charles "Poogie" Bell(ds)、N'dambi(back vo)、Karen Bernod(back vo)、Joyce M. Strong(back vo)。

大ヒット・デビュー・アルバム『Baduizm』収録曲のライヴ・ヴァージョンならではの味わいを楽しむも良し、「Tyrone」「Ye Yo」といった本作ならではのオリジナルを楽しむも良し、「Searching」Roy Ayers)、「Boogie Nights/All Night」Heatwave/Mary Jane Girls/Tom Browne)、「Stay」Rufus & Chaka Khan)というカヴァーを楽しむも良し!

Erykah Baduというアーティストのスケールの大きさを実感させ、『Mama's Gun』(2000年)以降の飛躍を予感させる重要なライヴ・アルバムです。

全曲紹介しときやす。

「Rimshot (Intro)」
『Baduizm』収録曲。いきなりMiles Davis「So What」の引用から始まります。
https://www.youtube.com/watch?v=rFx49QyazG4

「Otherside of the Game」
『Baduizm』収録曲(The Rootsプロデュース)。しっとりとしたスタジオ・ヴァージョンに対して、ライヴ・ヴァージョンはよりエモーショナルな雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=690MYP8ZSB0

「On & On」
『Baduizm』収録曲。ヒットしたデビュー・シングルのライヴ・ヴァージョン。元々ネオソウルを感じる楽曲ですが、ライヴ・ヴァージョンになるとさらにErykah Baduというアーティストの個性が前に出てきます。
https://www.youtube.com/watch?v=B4PcWotaTYc

「Reprise」
『Baduizm』収録曲。ジャジーな繋ぎの1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=VRKvIbjpO-8

「Appletree」
『Baduizm』収録曲。スタジオ・ヴァージョン以上にジャジー・フィーリングであり、Erykahの艶めかしい個性が浮き彫りになったライヴならではの1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=VUEcwLlRbiQ

「Ye Yo」
Erykah Badu作。Erykahの魂の叫びが感動的なバラード。バック・コーラス隊との一体感もいい雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=dWCYjTVYt4k

M.O.P.「Take a Minute」のサンプリング・ソースとなっています。
M.O.P.「Take a Minute」
 https://www.youtube.com/watch?v=3rr8YnDLBfY

「Searching」
Roy Ayersのカヴァー。オリジナルは『Vibrations』(1976年)収録。オリジナルのメロウネスを引き継いだ実にいい雰囲気のカヴァーに仕上がっています。終盤にはBobby Caldwell「What You Won't Do for Love」を引用したキーボードで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=7uA7QBgM16M

「Boogie Nights/All Night」
Heatwave「Boogie Nights」Mary Jane Girls「All Night Long」のカヴァー・メドレー。実際には「All Night Long」を中心に、
Heatwave「Boogie Nights」Tom Browne「Funkin' for Jamaica (N.Y.) 」のカヴァーを織り交ぜたファンク/ディスコ好きの心を擽る内容になっています。
https://www.youtube.com/watch?v=dmKjU1GB4l0

「Certainly」
『Baduizm』収録曲。オリジナルの雰囲気に近いですが、緩急のアクセントをつけているのがライヴ・ヴァージョンならではです。
https://www.youtube.com/watch?v=a0Z9Y_88hCw

「Stay」
Rufus & Chaka Khanのカヴァー。オリジナルは『Street Player』(1978年)収録。エリカ様がChaka Khanをカヴァーするのは自然な流れを感じます。オリジナルの「Stay」も大好きですが、ここではネオソウルらしい「Stay」を聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Bc4AezWceUc

「Next Lifetime (Interlude)」
終盤に向けたインタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=zDcK_L3QZuo

「Tyrone」
Erykah Badu/Norman Hurt作。本作からのリード・シングル。落ち着いた雰囲気のミディアムですが、エリカ様らしい語り口を楽しめる1曲に仕上がっています。Big K.R.I.T.「Everlasting」等のサンプリング・ソースとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=YY2-mrsXgMM

「Next Lifetime」
『Baduizm』収録曲。12分超の長尺演奏です。エリカ様のみならず、N'dambi、Karen Bernod、Joyce M. Strongという女性コーラス隊3名のソロもフィーチャリングし、各人の個性を楽しめます。中盤からはRene & Angela「You Don't Have to Cry」が引用されています。
https://www.youtube.com/watch?v=Wu78_iiEjfw

「Tyrone (Extended Version)」
「Tyrone」のExtended Version。イマイチの本ヴァージョン追加の意味がわかりません。
https://www.youtube.com/watch?v=Jh-Swub_2UM

Erykah Badu作品の他作品もチェックを!

『Baduizm』(1997年)


『Mama's Gun』(2000年)
Mama's Gun

『Worldwide Underground』(2003年)
Worldwide Underground

『New Amerykah: Part One (4th World War)』(2008年)


『New Amerykah Part Two: Return Of The Ankh』(2010年)
New Amerykah Part Two: Return of the Ankh
posted by ez at 05:40| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月28日

Bob Marley & The Wailers『Babylon By Bus』

『Live!』に見劣りしないライヴ・アルバム☆Bob Marley & The Wailers『Babylon By Bus』

発表年:1978年
ez的ジャンル:レゲエの神様
気分は... :生演奏のダビー感覚!

久々にレゲエの神様Bob Marleyの紹介です。
セレクトしたのは『Babylon By Bus』(1978年)です。

これまで当ブログで紹介したBob Marley & The Wailers作品は以下の5枚。

 『Burnin'』(1973年)
 『Natty Dread』(1975年)
 『Rastaman Vibration』(1976年)
 『Exodus』(1977年)
 『Kaya』(1978年)

今日紹介する『Babylon By Bus』<(1978年)は、パリ、コペンハーゲン、ロンドン、アムステルダムのライヴを収録したライヴ・アルバムです。

Bob Marley & The Wailersのライヴ・アルバムといえば、『Live!』(1975年)の知名度、人気が圧倒的であり、その意味で本作『Babylon By Bus』は分が悪いかもしれません。

僕も初めて聴いたBob Marley & The Wailers作品が『Live!』(1975年)であり、昔は『Live!』(1975年)がBob Marley & The Wailers最高傑作だと思っていたので、『Babylon By Bus』というアルバムを少し下に見ていた面があったかもしれません。

しかし、Bob Marley & The WailersIsland時代のアルバムを一通り聴いたうえで、改めて聴いてみると後期Bob Marley & The Wailersのバンドとしての醍醐味を満喫できる1枚に仕上がっていると思います。

プロデュースはBob Marley & The WailersChris BlackwellJack Nuber

メンバーはBob Marley(vo、g)、Carlton Barrett(ds)、Aston "Family Man" Barret(b)、Tyrone "Organ D" Downie(key)、Junior Marvin(g)、Alvin "Seeco" Patterson(per)、Al Anderson(g)、Earl "Wire" Lindo(key)、そしてRita MarleyMarcia Griffiths Judy MowattというI Threesのバック・コーラス隊。

スタジオ・アルバム未収録であった「Punky Reggae Party」以外は、他作品をお聴きの方であれば、お馴染みの曲がズラリと並びます。

『Catch a Fire』(1973年)、『Rastaman Vibration』(1976年)、『Exodus』(1977年)からの曲が多いですかね。

個人的にはBob Marley & The Wailersのバンドとしての完成度の高さを楽しむ1枚だと思います。どうしてもリーダーBob Marleyに注目が集まりますが、Bob以外のメンバーにもスポットを当て、バンド全体としての魅力を楽しむべきライヴ・アルバムです。

特にBarrett兄弟を中心としたダビー感覚の生演奏、I Threesのソウルフル・コーラス、Junior Marvinのロックを意識したギター・ソロが本作を楽しむ三大ポイントだと思います。

名作『Live!』(1975年)とは、また違った魅力を持ったライヴ・アルバムを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Positive Vibration」
Vincent Ford作。『Rastaman Vibration』(1976年)収録のラスタマン賛歌。Marleyのヴォーカル、I Threesによるコーラス、Junior Marvinのギター、Tyrone Downieのキーボードもいいですが、何といってもBarrett兄弟のダビー・リズムが強力です。
https://www.youtube.com/watch?v=FYsLmktDiw4

「Punky Reggae Party」
Bob Marley作。1977年のシングル曲(オリジナル・スタジオ・アルバム未収録)。The Clash「Police & Thieves」(Junior Marvinのカヴァー)に触発されてMarleyが書き上げた1曲。レゲエの影響を受けたパンク・バンドにレゲエの神様が触発され、しかも「Police & Thieves」のオリジナルを演奏したJunior Marvinのギターを従えるという繋がりが興味深いですね。レゲエ×パンクのエナジーを感じましょう。終盤のI Threesによるソウルフル・コーラスもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=Sgdy7YnkkCk

「Exodus」
Bob Marley作。『Exodus』(1977年)収録曲。旧訳聖書「出エジプト記」をテーマに、権力に立ち向かい、進み続ける決意を表明する名曲ですね。ライヴでこれだけダビーな感覚を表現するバンド面々に脱帽です。ある意味本ライヴの魅力が凝縮された演奏かもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=2LvaSvTJL18

「Stir It Up」
Bob Marley作。元々は1967年のシングル曲。その後『Catch a Fire』(1973年)でも再レコーディングしています。Johnny Nashのカヴァー・ヒットでも知られる曲です。Bob、Bunny、Toshのトリオ体制時代の名曲を、この時代のBob Marley & The Wailers仕様で楽しませてくれます。Tyrone Downieのキーボードによるアクセントがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=xganXnQprxE

「Rat Race」
Rita Marley作。『Rastaman Vibration』(1976年)収録曲。国民不在の政治を皮肉った強烈なメッセージ・ソングですね。MarleyとI Threesの絶妙なコンビネーションを楽しむことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=WQpo3GNceCo

「Concrete Jungle」
Bob Marley作。『Catch a Fire』(1973年)収録曲。オリジナルの味わいも好きですが、I Threesの華やかなコーラスがある分、このライヴ・ヴァージョンの方が聴きやすいかもしれませんね。Junior Marvinのロッキンなギター・ソロも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=VeayU1b9-dE

「Kinky Reggae」
Bob Marley作。『Catch a Fire』(1973年)収録曲。I Threesのソウルフル・コーラスが引き立つ1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=LVMZ7yBZXB0

「Lively Up Yourself」
Bob Marley作。『Natty Dread』(1975年)収録曲。『Live』収録曲としてもお馴染みでです。『Live』収録曲を再びライヴ・アルバムに収める意図を読み解くのも楽しいのでは?ここではロッキン・ギターをたっぷり聴かせながら、盛り上げていく「Lively Up Yourself」を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=8nREGH3vwG0

「Rebel Music (3 O'Clock Roadblock)」
Aston Barrett/Hugh Peart作。『Natty Dread』(1975年)収録曲。「I Shot the Sheriff」タイプの曲ですが、バンドの完成度の高さを実感できる演奏に魅了されます。
https://www.youtube.com/watch?v=8jfUOvJThos

「War/No More Trouble」
『Rastaman Vibration』収録の「War」(Allen Cole/Carlton Barrett作)と『Catch a Fire』収録の「No More Trouble」(Bob Marley作)のメドレー。Barrett兄弟を中心とした覚醒的なレゲエ・グルーヴがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=DGGRUcc_5W4

「Is This Love」
Bob Marley作。『Kaya』(1978年)収録曲。当ブログではCarly Simonのカヴァーも紹介済みです。個人的に大好きな曲なので、嬉しいライヴ・ヴァージョンです。7分半の長尺ですが、リラックスした中にもバンドの完成された演奏を自信満々に見せつける感じがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=ry0M7nxIwkI

「The Heathen」
Bob Marley作。『Exodus』(1977年)収録曲。本作の魅力であるダビーな生演奏を満喫できます。。I Threesのソウルフル・コーラス、Junior Marvinのロッキン・ギター、Barrett兄弟のダビー・リズムの組み合わせがサイコーです。

https://www.youtube.com/watch?v=jy_ULYUvANw

「Jamming」
Bob Marley作。ラストは『Exodus』(1977年)収録の名曲で締め括ってくれます。スタジオ・ヴァージョン同様に、リラックスした雰囲気の中にもピリッとした独特のウネリを感じる演奏で魅了します。Aston Barretのベースが格好良すぎます。
https://www.youtube.com/watch?v=xu55u_0gmDQ

Island時代のBob Marley & The Wailersの他作品もチェックを!
そう言えば、『Live!』(1975年)も未エントリーですね。美味しいところは最後まで残しておきます(笑)

『Catch a Fire』(1973年)


『Burnin'』(1973年)


『Natty Dread』(1975年)


『Live!』(1975年)


『Rastaman Vibration』(1976年)


『Exodus』(1977年)


『Kaya』(1978年)


『Survival』(1979年)


『Uprising』(1980年)
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2020年08月26日

Tom Browne『Love Approach』

ヒット曲「Funkin' for Jamaica (N.Y.)」収録☆Tom Browne『Love Approach』

発表年:1981年
ez的ジャンル:GRP系ジャズ/ジャズ・ファンク
気分は... :お笑いコンビではありません(笑)

今回はヒット曲「Funkin' for Jamaica (N.Y.)」を含む人気作Tom Browne『Love Approach』(1981年)です。

Tom Browneは1954年N.Y.生まれのトランぺッター。

GRPDave GrusinLarry Rosenに見出され、『Browne Sugar』(1979年)でデビュー。

2ndアルバムとなる本作『Love Approach』(1981年)からはUS R&BチャートNo.1ヒット「Funkin' for Jamaica (N.Y.)」が生まれ、アルバムもUS R&Bアルバム・チャート、USジャズ・アルバム・チャートの両方でNo.1となりました(USアルバム・チャート第18位)。こうして人気アーティストとして注目されるようになります。

それ以降もGRPから『Magic』(1981年)、『Yours Truly』(1981年)といったアルバムをリリースしています。

やはりTom Browneといえば、本作『Love Approach』(1981年)ということになりますね。

勿論プロデュースはDave GrusinLarry Rosen

レコーディング・メンバーはTom Browne(tp、flh)以下、Bob Franceschini(ts)、Barbara Bellins(fl)、Dave Grusin(p、el-p、syn)、Jorge Dalto(p)、Lesette Wilson(p、el-p、syn)、Bernard Wright(p、el-p、syn)、Bobby Broom(g)、Mike Vinas(g)、Sekou Bunch(b)、Francisco Centeno(b)、Marcus Miller(b)、Omar Hakim(ds)、Buddy Williams(ds)、Errol "Crusher" Bennett(per)、Carol Steele(per)、Alvin Flythe(rap)、Mike Flythe(rap)、Kevin Osborne(rap)、Tonni Smith(vo)、Victoria Sylva(vo)等。

何といってもハイライトは「Funkin' for Jamaica (N.Y.)」ですが、それ以外の演奏も楽しめます。

都会的なメロウ・フュージョン「Martha」Victoria Sylvaをフィーチャーしたメロウな「Weak in the Knees」、メロウなインスト「Her Silent Smile」Don Blackman作、Weldon Irvineアレンジの「Forever More」、GRPらしいアーバン・メロウ「Dream of Lovin' You」Jorge Dalto(p)、Marcus Miller(b)が参加したエキサイティングな「Nocturne」などGRPらしい演奏が並びます。

GRP好きの方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Funkin' for Jamaica (N.Y.)」
Tom Browne/Toni Smith作。前述のようにUS R&BチャートNo.1ヒットとなった本作のハイライト。Tonni Smithのリード・ヴォーカルをフィーチャーし、ラップも織り交ぜたアーバン・ファンク。80年代初頭らしい都会的な開放感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=m-yaWMvpeUU

Towa Tei feat. Les Nubiansがカヴァーしています。また、当ブログでも紹介したA Tribe Called Quest「Find a Way」Slum Village「Forth and Back」Angela Winbush「It's The Real Thing」Smooth「It's Summertime (Let It Get into U) 」をはじめ、N.W.A「One Less Bitch」、Tone Loc「I Got It Goin' On」、LL Cool J「Get Down」、Snoop Dogg feat. Jewell and Dr. Dre「What's My Name? (Explicit Club Mix)」、Three 6 Mafia「Porno Movie」、EPMD「Do It Again」、Black Eyed Peas「What It Is」、Mariah Carey feat. Mystikal「Don't Stop (Funkin' 4 Jamaica)」等80トラック以上のサンプリング・ソースとなっています。
Towa Tei feat. Les Nubians「Funkin' for Jamaica」
 https://www.youtube.com/watch?v=wfeMOlL03v8
A Tribe Called Quest「Find a Way」
 https://www.youtube.com/watch?v=Ki7EoH31UkM
Slum Village「Forth and Back」
 https://www.youtube.com/watch?v=znQxLCp-Rsk
Angela Winbush「It's The Real Thing」
 https://www.youtube.com/watch?v=J4IyDoVGAU0
Smooth「It's Summertime (Let It Get into U) 」
 https://www.youtube.com/watch?v=tcclUGqFvYg
N.W.A「One Less Bitch」
 https://www.youtube.com/watch?v=NcwkzBcQIXI
Tone Loc「I Got It Goin' On」
 https://www.youtube.com/watch?v=YXbqXvP3DGM
LL Cool J「Get Down」
 https://www.youtube.com/watch?v=VAGsErJ6fdU
Three 6 Mafia「Porno Movie」
 https://www.youtube.com/watch?v=yOXjp3mqLzs
EPMD「Do It Again」
 https://www.youtube.com/watch?v=NJ-QEn28_Xc
Black Eyed Peas「What It Is」
 https://www.youtube.com/watch?v=CjWXWTKa5kI
Mariah Carey feat. Mystikal「Don't Stop (Funkin' 4 Jamaica)」
 https://www.youtube.com/watch?v=6qbBdkPHzNE

「Her Silent Smile」
Tom Browne作。Tomのトランペットを存分に満喫できるメロウ・ミディアム。去りゆく夏を惜しむような気分にフィットする演奏です。Ohbliv「4evermoor」、Swarvy「Wurk」のサンプリング・ソースとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=RA7b1KcA3nM

「Forever More」
Don Blackman作。Weldon Irvineがアレンジを手掛けています。Sekou Bunchのベースラインが格好良いジャズ・ファンク。Tomのトランペットもダンディです。
https://www.youtube.com/watch?v=jj79jBuhLno

Sleeve「Holes in My Cheese」、P.K.O.「Who's a Gangsta?」、YGM Geez「Streets of Compton」、B.G. Knocc Out & Dresta「Compton Hoe」等のサンプリング・ソースとなっています。
Sleeve「Holes in My Cheese」
 https://www.youtube.com/watch?v=iyIXeNuF9bg
P.K.O.「Who's a Gangsta?」
 https://www.youtube.com/watch?v=S0hTKjG0bug
YGM Geez「Streets of Compton」
 https://www.youtube.com/watch?v=rig7HIQg6so
B.G. Knocc Out & Dresta「Compton Hoe」
 https://www.youtube.com/watch?v=GQ1wPdk35wE

「Dream of Lovin' You」
Omar Hakim作。GRP好きの人であれば気に入るであろうサマー・モードのアーバン・メロウ・ジャズ。ロマンティックなホーン・アンサンブルがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=_aD7G3effZc

「Nocturne」
Tom Browne作。Jorge Dalto(p)、Marcus Miller(b)が参加したエキサイティングなサマー・フュージョンです。プレイヤー達の躍動を感じます。

「Martha」
Tom Browne/Toni Smith作。僕好みの都会的なメロウ・フュージョン。ヴォーカルはToni Smith。Tomのトランペット・ソロも実にキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=foVTG-H-uKs

「Moon Rise」
Lesette Wilson作。月夜のメロウ・ジャズ。Tomのフリューゲルホーンの音色は正に月の光のようです。
https://www.youtube.com/watch?v=y19wqHzqUwg

「Weak in the Knees」
Victoria Sylva作。ラストはVictoria Sylvaの女性ヴォーカルをフィーチャーしたブラジリアン・フレイヴァーのメロウ・チューンでロマンティックに締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=vMdlX-7-KZo

Tom Browneの他作品もチェックを!

『Browne Sugar』(1979年)


『Magic』(1981年)


『Yours Truly』(1981年)


『Rockin' Radio』(1983年)


『Tommy Gun』(1984年)


『No Longer I』(1988年)
posted by ez at 01:38| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする