発表年:1973年
ez的ジャンル:西海岸SSW
気分は... :フラジャイルな魅力...
久々に大好きなUSシンガー・ソングライターJackson Browneです。
約11年ぶりに投稿するのは2ndアルバム『For Everyman』(1973年)です。
僕の音楽ライフの原点と呼べるアーティストJackson Browneについて、これまで当ブログで紹介してきたのは以下の4枚。
『Late For The Sky』(1974年)
『The Pretender』(1976年)
『Running On Empty』(1977年)
『Hold Out』(1980年)
僕にとってのJackson Browneは上記4枚が神アルバムで、特に高校・大学の頃はかなりの頻度で聴いていました。
それと比較すると、デビュー・アルバム『Jackson Browne』(1972年)や2ndとなる本作『For Everyman』(1973年)への愛着度は1ランク下だったかもしれません。勿論、この2枚も秀逸なアルバムなのですが。
そんな僕の中の位置づけのせいで、2009年の『The Pretender』(1976年)の投稿で、Jackson Browneについては最低限取り上げるべき作品は出揃った!と安心してしてしまい、今日の投稿まで11年を要してしまいました。
世界が激変してしまった現在のコロナ禍で、ここ数日急に本作のタイトル曲「For Everyman」が聴きたくなり、約10年ぶりに『For Everyman』を聴いています。
コロナ禍という非常事態で人々が自らの脆さ・弱さを痛感する中で、Jackson Browneの持つフラジャイルな歌世界は、傷ついた心に優しく寄り添ってくれます。
プロデュース&ソングライティングはJackson Browne自身(共作含む)。
レコーディング・メンバーは、Jackson Browne(vo、g、p)以下、David Crosby(back vo)、Craig Doerge(p)、CrusadersのWilton Felder(b)、EaglesのGlenn Frey(back vo)とDon Henley(back vo)、、Doug Haywood(b、back vo)、Little FeatのBill Payne(p)、Elton John(Rockaday Johnnie名義)(p)、後にTotoを結成するDavid Paich(p)、Joni Mitchell(el-p)、Jim Keltner(ds)、Sneaky Pete Kleinow(pedal steel g)、Russ Kunkel(ds)、David Lindley(g、el-fiddle)、Gary Mallaber(ds)、Mickey McGee(ds)、Spooner Oldham(org)、Leland Sklar(b)、Mike Utley(org)、Bonnie Raitt(back vo)。
何といっても、これ以降のJackson Browne作品には不可欠となるギタリストDavid Lindleyの参加が目を引きます。
前述のように、今このアルバムを聴く最大の意味合いはタイトル曲「For Everyman」だと思います。
それ以外であれば、Eaglesヴァージョンで知られる人気曲「Take It Easy」、数々のカヴァー・ヴァージョンで知られる名曲「These Days」、Elton John(Rockaday Johnnie名義)が参加した1stシングル「Redneck Friend」あたりが目立つかもしれません。
個人的には「Our Lady of the Well」、「Colors of the Sun」、「I Thought I Was a Child」、「The Times You've Come」といった楽曲にフラジャイルで、誠実で、イノセントなJackson Browneの魅力が詰まっていると思います。
最近、こういう音楽をあまり聴かなくなってきていますが、やはり僕はJackson Browneが好きだ!
全曲紹介しときやす。
「Take It Easy」
説明不要の人気曲ですね。この曲のみEaglesのGlenn Freyとの共作。本作の前年にEaglesヴァージョン(アルバム『Eagles』収録)がUSシングル・チャート第12位のヒットとなっています。Eaglesヴァージョンを聴き慣れていると、こちらの方が青臭く聴こえますが、その青臭さこそが魅力なのでは?David Lindleyのギター、Sneaky Pete Kleinowのペダル・スティールがいい味出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=kBL80U12YAc
「Our Lady of the Well」
邦題「泉の聖母」。「Take It Easy」からのシームレスな流れがいい感じです。Browneらしいメロディとフラジャイルな魅力に溢れた1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=NtSu_VlGfCo
「Colors of the Sun」
Don Henleyがバック・ヴォーカルで参加。Browneらしい生真面目さが伝わってくるピアノ・バラード。Browneの誠実で繊細であるが故の翳りがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=GyPeWbVP3fs
「I Thought I Was a Child」
初期Browneらしいイノセントな魅力に溢れた名曲。迷える青春時代に聴くと、優しく寄り添ってくれます。Lindleyの素敵なアコギの響きもサイコー!ピアノはBill Payne。
https://www.youtube.com/watch?v=eoZRAYzbCaY
「These Days」
邦題『青春の日々』。オリジナル・レコーディングは1967年のNicoヴァージョン。1968年にはNitty Gritty Dirt Bandがカヴァーしています。Browneのセルフ・カヴァーは本作と同年にリリースされたGregg Allmanヴァージョン(アルバム『Laid Back』収録)の影響を受けていると思われます。Lindleyのスライド・ギターを中心にレイド・バックな1曲に仕上がっています。この曲もコロナ禍の今聴くと感慨深いものがあります。コロナ前のあの日々は戻ってこないのか・・・
https://www.youtube.com/watch?v=oFYgaarYepw
前述のヴァージョン以外に、Iain Matthews、Cher、Everything but the Girl等数多くのアーティストがカヴァーしています。
Gregg Allman「These Days」
https://www.youtube.com/watch?v=3e7tFUe8JPs
Nico「These Days」
https://www.youtube.com/watch?v=0_z_UEuEMAo
Nitty Gritty Dirt Band「These Days」
https://www.youtube.com/watch?v=yKKdaRYJ4XM
Iain Matthews「These Days」
https://www.youtube.com/watch?v=my46UlUuqzM
Cher「These Days」
https://www.youtube.com/watch?v=ZT5ElNhFdDI
Everything but the Girl「These Days」
https://www.youtube.com/watch?v=8C0dxeHvpbA
「Redneck Friend」
アルバムからの1stシングル。Elton John(Rockaday Johnnie名義)がピアノで参加。Lindleyの軽快なギターが先導するロックンロールです。正直僕はJackson Browneにこういった曲を期待していませんが、アルバムの構成上は必要なのでしょうね。
https://www.youtube.com/watch?v=-QaX-njWXtw
「The Times You've Come」
Jackson Browneワールド全開で大好きなアコースティック・バラード。はかなさの美学が日本人の感覚にもフィットするのかもしれませんね。Bonnie Raittがバック・コーラスで参加。
https://www.youtube.com/watch?v=ujt5kwDs9pU
「Ready or Not」
これもBrowneらしい曲調ですね。リラックスした雰囲気の中にも若いカップルの葛藤が感じられていいですね。Lindleyのエレクトリック・フィドルがいい味出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=KPpfcYgnfLw
「Sing My Songs to Me」
Joni Mitchellがエレピで参加。洗練された都会的なバッキングに魅了されるメロウ・ミディアム。エンディングを飾るタイトル曲への名繋ぎ役になっています。
https://www.youtube.com/watch?v=L-5XajPClLs
「For Everyman」
ラストは終末をテーマにしたタイトル曲。Crosby, Stills & Nash「Wooden Ships」へのアンサー・ソングとして書かれたものです。崩壊していく社会で、ユートピア目指して船で旅立つ人々を歌ったCSNに対して、Browneは船に乗ることができない人々のことを思い、"僕はここで普通の人々を待つ"と歌います。コロナ禍で世界が崩壊しつつある今だからこそ聴くべき1曲なのではないでしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=Dw9U9dtQKQo
未聴の方はJackson Browneの他の初期作品もチェックを!
『Jackson Browne』(1972年)
『Late For The Sky』(1974年)
『The Pretender』(1976年)
『Running On Empty』(1977年)
『Hold Out』(1980年)