2020年09月13日

Nubya Garcia『Source』

ロンドン次世代ジャズの牽引する女性サックス奏者☆Nubya Garcia『Source』

発表年:2020年
ez的ジャンル:ロンドン次世代ジャズ
気分は... :両忘!

今回はロンドン次世代ジャズの牽引者の一人、女性サックス奏者Nubya Garciaの最新アルバム『Source』です。

カリブ海のトリニダード・トバゴ共和国出身の父、南アメリカのガイアナ共和国出身の母をもつ1991年ロンドン、カムデン・タウン出身。ソロ活動以外にMaishaNerijaといったグループのメンバーとしても活動するサックス奏者Nubya Garciaの紹介は、『Nubya's 5ive』(2017年)に続き2回目となります。

『Nubya's 5ive』はアルバムというよりミニ・アルバム、EPに近い作品だったので、本作『Source』が1stアルバムという位置づけもできるかもしれません。

レコーディングの基本メンバーは、Nubya Garcia(ts)、Ezra CollectiveのメンバーJoe Armon-Jones(p、el-p)、Daniel Casimir(b)、Sam Jones(ds)。

それ以外に、ロンドンのアフロビート・ユニットKokorokoのリーダーで先日紹介したロンドンのジャズ・アンサンブルSEED EnsembleおよびNerijaのメンバーであるMs. MauriceことSheila Maurice-Grey(tp、flh、vo)、そのSEED Ensembleのリーダー兼KokorokoNerijaのメンバーであるCassie Kinoshi(vo)、同じくKokorokoのメンバーRichie Seivwright(vo)、コロンビア伝統音楽に新たな解釈を加えたコロンビアの女性トリオLa PerlaDiana SanmiguelGiovanna MogollonKaren Forero)、シカゴ出身のUS女性シンガーAkenya Seymour(vo)がフィーチャリングされています。

プロデュースはNubya GarciaKwesKwesi Sey)。アレンジもNubya Garcia自身。

楽曲もすべてNubya Garciaのオリジナル(共作)。

ロンドン次世代ジャズの牽引者といった気負いはなく、レゲエ/ダブ、クンビア、ブロークンビーツ等との融合も試みながら自分のジャズ道を突き進んでいる感じがいいですね。

ブロークンビーツのエッセンスを取り入れた先行シングル「Pace」、レゲエ/ダブ色を前面に打ち出した「Source」、ナイヤビンギ的な「Stand With Each Other」La Perlaをフィーチャーし、クンビアとジャズを融合させた「La Cumbia Me Esta Llamando」あたりが特徴的な演奏だと思います。

ロンドン次世代ジャズ好きの人は安心して楽しめる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Pace」
先行シングルにもなったオープニング。オーセンティック・ジャズとUKらしいブロークンビーツのエッセンスを組み合わせたロンドン次世代ジャズらしい演奏です。伝統と革新の表裏一体な感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ubxP9vNVDAQ

「The Message Continues」
穏やかな疾走感が心地好い演奏です。伸びやかなGarciaのプレイに加え、Joe Armon-Jonesのエレピも絶好調です。
https://www.youtube.com/watch?v=S6IB_nGpKBY

「Source」
Cassie Kinoshi、Ms. Maurice(Sheila Maurice-Grey)、Richie SeivwrightというKokorokoメンバー3名のヴォーカルをフィーチャー。Ms. Mauriceはトランペットもプレイしています。レゲエ/ダブ色を前面に打ち出した演奏です。特に後半はレゲエとジャズを見事にクロスオーヴァーさせたロンドン次世代ジャズらしいアプローチで魅せて
https://www.youtube.com/watch?v=vL4Ae5ORq24

「Together Is A Beautiful Place To Be」
Garciaの亡き父に捧げたバラード。この曲もMs. Maurice(Sheila Maurice-Grey)がトランペットで参加。Garciaと美しいホーン・アンサンブルを聴かせてくれます。父への思い込めたGarciaのプレイを堪能しましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=cXJ9N9qLx0g

「Stand With Each Other」
再びCassie Kinoshi、Ms. Maurice(Sheila Maurice-Grey)、Richie SeivwrightというKokorokoメンバー3名をフィーチャー。「Source」のレゲエ/ダブに続き、ここではナイヤビンギ的な土着リズムをバックに、3名のコーラスとGarciaのテナーが絡む演奏です。静寂の中に革新を感じる演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=vyzPP9zP22I

「Inner Game」
リラックスした演奏から次第に熱を帯びて知らぬ間にエキサイティングな展開に・・・。Joe Armon-Jonesのエレピも目立っています。
https://www.youtube.com/watch?v=D3GGAvb27XM

「La Cumbia Me Esta Llamando」
コロンビアの女性トリオLa Perla(Diana Sanmiguel、Giovanna Mogollon、Karen Forero)をフィーチャー。曲もLa Perlaとの共作です。タイトルは「クンビアが私を呼んでいる」という意味。そのタイトルのようにクンビアとジャズの融合にチャレンジしています。レコーディングもコロンビアで行われました。クンビアには独特の癖がありますが、ジャズと融合することでマイルドになり聴きやすいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=sBJn7196Olo

「Before Us: In Demerara & Caura」
Ms. Maurice(Sheila Maurice-Grey)がフリューゲル・ホーンで参加。リズミックなビートをバックに、またまた2人で素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれます。オーソドックスな雰囲気の中に突き抜けた新しさを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=iPrNZHWh97o

「Boundless Beings」
シカゴ出身のUS女性シンガーAkenya Seymourをフィーチャー。ラストはロンドン次世代ジャズらしいジャズ・ヴォーカル・バラードで締め括ってくれます。50〜60年代のジャズ・バラードを2020年モードで聴かせてくれる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Pkij7-T6ngo

「The Message Continues (MdCL Remix)」
国内盤CDのボーナス・トラック。「The Message Continues」のMark De Clive-Loweによるリミックス。フューチャリスティックな疾走感が心地好いリミックスに仕上がっています。

『Nubya's 5ive』(2017年)
ヌバイアズ・ファイヴ

Maisha『There Is A Place』(2018年)
There Is A Place [解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤CD] (BRC585)
posted by ez at 01:55| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする