発表年:1968年
ez的ジャンル:サイケデリック・フォーク・ロック
気分は... :第4のメンバーは馬?
久々にThe Byrdsのエントリーです。
前回The Byrdsを取り上げたのが2008年なので12年ぶりですね。
自分ではそのような感覚はまったくないのですが、多分12年間The Byrds作品を殆ど聴いていなかったということだと思います。
今回セレクトしたのは、ファンの間では評価の高い1枚、『The Notorious Byrd Brothers』(邦題:名うてのバード兄弟)(1968年)です。
1960年代から70年代初めに活躍したフォーク・ロック/カントリー・ロック・バンドThe Byrdsについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の4枚。
『Mr. Tambourine Man 』(1965年)
『Fifth Dimension』(1966年)
『Younger Than Yesterday』(1967年)
『Ballad Of Easy Rider』(1969年)
本作『The Notorious Byrd Brothers』(1968年)は、グループの転換期の1枚であり、時代の流れとグループ内の混乱が入り混じった1枚です。
プロデュースは前作『Younger Than Yesterday』(1967年)と同じくGary Usher。
本作はThe Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)の影響を感じるサイケデリックなトータル・コンセプトに仕上がっています。これはメンバーというよりGary Usherの志向性だったのかもしれませんね。
ジャケに写るメンバーは、Roger McGuinn(vo、g、moog)、Chris Hillman(vo、b、mandolin)、Michael Clarke(ds)の3名。
David Crosby(vo、g、b)はアルバム収録曲を巡って対立し、レコーディング途中でグループを脱退してしまっています。そのDavid Crosbyの代わりに馬がメンバーと共に写っているのがビミョーですね。
そんな状況で元メンバーGene Clarkにも声がかかり、バック・ヴォーカルで参加しています。
また、レコーディングにはClarence White(g)、Red Rhodes(pedal steel)、Jim Gordon(ds)、Hal Blaine(ds)、Curt Boettcher(back vo)James Burton(g)、Paul Beaver(p、moog)、Barry Goldberg(org)等のミュージシャンが参加しています。
アルバムを貫く幻想的なサイケ・フィーリングが今日の僕の気分に実にフィットします。
いきなりのブラス・サウンドに驚かされる「Artificial Energy」、Crosby脱退の一因となった曰くつきのシングル曲「Goin' Back」、ソフト・サイケな魅力にあふれた「Natural Harmony」と「Draft Morning」、The CityでセルフカヴァーしたCarole King作品「Wasn't Born to Follow」、異色のカントリー・ワルツ「Get to You」というオリジナルLPのA面の流れがとてもいいですね。
長らく我が家のCD棚の奥に眠っており、アルバム通しで聴いたのは15年ぶり位ですが、サイケデリックなフォーク・ロックが昔よりも僕の耳にフィットした気がします。
全曲紹介しときやす。
「Artificial Energy」
Roger McGuinn/Chris Hillman/Michael Clarke作。意表を突くブラス・サウンドが印象的なオープニング。ブラス・ロックのイメージが強いですが、よく聴くとR&Bフィーリングもある掴みどころのない感じが魅力かも?
https://www.youtube.com/watch?v=WLGsh611Qk4
「Goin' Back」
Carole King/Gerry Goffin作。Dusty Springfield、1966年のシングル曲のカヴァー。David Crosby作の「Triad」の巡る対立からアルバムの制作の遅れていたため、レコード会社からの提案でレコーディングし、シングル・リリースした楽曲です(ヒットはしませんでしたが)。結局、本曲のアルバム収録、「Triad」のアルバム収録否決が原因でCrosbyはグループを去りました。そんな背景が絡んだシングル曲ですが、サイケでバロックなソフトロックはアルバムで最もキャッチーな仕上がりです。もっとも、そのポップさをCrosbyは嫌っていたのですが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=i849OKrpPms
「Natural Harmony」
Chris Hillman作。ソフトなサイケ感覚が魅力のフォーキー・チューン。霧の中を彷徨うような幻想ワールドがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=3P1vtN6bUq0
「Draft Morning」
David Crosby/Chris Hillman/Roger McGuinn作。サイケで、『Sgt. Pepper's 』的で、ラブ&ピースで反戦というこの時代らしいエッセンスが凝縮された1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=1ancCWvjm80
「Wasn't Born to Follow」
Carole King/Gerry Goffin作。その後のカントリー・ロック路線を連想させますが、途中のアシッドなアクセントは本作ならではですね。
https://www.youtube.com/watch?v=PrU9iI2VxPE
作者Carole Kingは自身が参加していたThe Cityでセルフ・カヴァーしています。当ブログでも紹介した『Now That Everything's Been Said』(1968年)に収録されています。
「Get to You」
Gene Clark/Roger McGuinn作(※クレジット上はRoger McGuinn/Chris Hillman作)。ストリングスを配したカントリー・ワルツ。独特の雰囲気があっていい感じ。
https://www.youtube.com/watch?v=ZzwvuEGnVbs
ここまでがオリジナルLPのA面です。折り返しでオリジナルLPのB面へ・・・
「Change Is Now」
Roger McGuinn/Chris Hillman作。本作ならではのサイケデリック・カントリー。カントリー嫌いの僕でも、こういうのは大歓迎です。
https://www.youtube.com/watch?v=sJOmHWxS-Jc
「Old John Robertson」
Roger McGuinn/Chris Hillman作。これはモロにカントリー色が前面に出ていますが、ストリングスやヴォーカル・ワークのおかげで、僕の嫌いなカントリーの一歩手前で踏みとどまっています。
https://www.youtube.com/watch?v=7lQtKZ6NPf0
「Tribal Gathering」
David Crosby/Chris Hillman作。ジャズ、ロック、サイケ、ソフトロックのエッセンスが入り混じった印象的な1曲。アルバムのいいアクセントになっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=6sdlv420roM
「Dolphin's Smile」
David Crosby/Chris Hillman/Roger McGuinn作。タイトルの通り、イルカの鳴き声を模したようなシンセ音と共に始まるDavid Crosbyらしいサイケ・フォーキー・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=-6fS2gLRBUc
「Space Odyssey」
Roger McGuinn/Robert J. Hippard作。ラストはタイトル通り、スペイシーな仕上がり。Stanley Kubrick監督の『2001: A Space Odyssey(2001年宇宙の旅)』(1968年)にインスパイアされた曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=lWiSmhUBDi8
オリジナルは以上の11曲ですが、最近の再発CDにはDavid Crosby脱退の原因となった「Triad」もボーナス・トラックで追加収録されています。「Triad」はJefferson Airplaneも取り上げていますね(アルバム『Crown of Creation』収録)。
「Triad」
https://www.youtube.com/watch?v=6e2BEqFD798
The Byrdsの他作品もチェックを!
『Mr. Tambourine Man 』(1965年)
『Turn! Turn! Turn!』(1965年)
『Fifth Dimension』(1966年)
『Younger Than Yesterday』(1967年)
『Sweetheart of the Rodeo』(1968年)
『Dr. Byrds & Mr. Hyde』(1969年)
『Preflyte』(1969年)
『Ballad Of Easy Rider』(1969年)
『(Untitled)』(1970年)
『Byrdmaniax』(1971年)
『Farther Along』(1971年)
『Byrds』(1973年)