発表年:1972年
ez的ジャンル:夫婦スワンプ・ロック
気分は... :これがラスト・・・
今回はスワンプ・ロックの先駆者としてロック・ファンから高い支持を得ている夫婦デュオDelaney & Bonnieの『D & B Together』(1972年)です。
Delaney BramlettとBonnie Bramlettによる夫婦デュオDelaney & Bonnieの紹介は、2ndアルバム『Accept No Substitute』(1969年)、『To Bonnie From Delaney』(1970年)に続き3回目となります。
本作は元々『Country Life』のタイトルでAtcoからリリースする予定でしたが、直前になって中止となったため、Columbiaに移籍して、収録曲の差し替えやミックスの変更などを経てリリースに漕ぎつけたアルバムです。そのため、新録のみならず以前の音源も含まれる寄せ集め的なアルバムになっているのも確かです。
アルバムのチャート・アクションは振るわず、夫婦仲も険悪となり、本作を最後に夫婦デュオを解消し、プライベートでも離婚することになってしまいます。
しかしながら、Delaney & Bonnie & Friendsの名称でリリースされたように、過去のセッションの寄せ集めとなった結果として、豪華ミュージシャンのプレイを楽しめる1枚となっています。
Eric Clapton(g)、Jim Gordon(ds)、Bobby Whitlock(key、vo)、Carl Radle(b)というDerek & The Dominosの面々、Dave Mason(g)、Rita Coolidge(vo)、Bobby Keys(sax)、Jim Price(horns)はライヴ・アルバム『On Tour With Eric Clapton』(1970年)にも参加していたミュージシャン達です。
さらにはDuane Allman(g)、Leon Russell(p、key)、Tina Turner(vo)、Steve Cropper(g)、Billy Preston(key、p)、King Curtis(sax)、Red Rhodes(steel g)、Darrell Leonard(tp)、Jerry Jumonville(sax)、Larry Savoie(tb)、John Hartford(banjo)、Joe Hicks、Gordon De Witty、後にLittle Featに加入するSam Clayton等のミュージシャンが参加しています。
また、クレジットを見ると、Bobby Womack、Eddie Kendricks、a href="http://eastzono.seesaa.net/article/255292448.html">Merry Clayton等の名も挙がっています。
1971年にAtcoからシングル・リリースされヒットした「Only You Know and I Know」、映画『Vanishing Point』(1971年)の中でも歌われた「Wade in the River of Jordan」、
Tina Turnerがパワフルなヴォーカルで参加した「Sound of the City」、1969年にシングル・リリースしたClapton参加の「Comin' Home」、Duane Allman参加のR&Bテイストのファンキー・グルーヴ「Big Change Comin'」、ファンク調の「A Good Thing (I'm on Fire)」、Carpentersの大ヒットで知られる名曲のオリジナル「Groupie (Superstar)」等聴き所は多いと思います。
Delaney & Bonnie最後の輝きを楽しみましょう。
全曲紹介しときやす。
「Only You Know and I Know」
Dave Mason作。1971年にAtcoからシングル・リリースされ、USチャート第20位のヒットとなった楽曲。本作ヴァージョンはシングルとはミックスが違うようです。また、『On Tour with Eric Clapton』にライヴ・ヴァージョンが収録されています。ギターが目立つ『On Tour with Eric Clapton』ヴァージョンと比較すると、キーボードによるアクセントが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=27I_hNzncKo
作者Dave Masonヴァージョンは1970年にシングル・リリースされています。
Dave Mason「Only You Know and I Know」
https://www.youtube.com/watch?v=z4mcRpWAyRM
「Wade in the River of Jordan」
タイトルからして黒人霊歌のカヴァーだと思っていたのですが、Delaney Bramlettのオリジナルみたいです(英語版WikipediaにはTraditionalと表記)。映画『Vanishing Point』(1971年)の中でDelaney & Bonnie、Rita Coolidge、David Gatesが「You Gatta Believe」という曲名で歌っていた曲。主にDelaneyのヴォーカルがメインであった「You Gatta Believe」もゴスペル調でしたが、Bonnieがソウルフルなリード・ヴォーカルをとる本ヴァージョンは、Billy Prestonのオルガンも含めてゴスペル・フィーリング全開となっています。
映画『Vanishing Point』より
https://www.youtube.com/watch?v=a2d9w3S4Tew
「Sound of the City」
Delaney Bramlett/Joe Hicks作。Tina Turnerがパワフルなヴォーカルで参加。演奏全体もR&B色の強いファンキー・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Akt5JfQaXMM
「Well, Well」
Delaney Bramlett作。アンプラグドなファンキー・チューンですが、少しサイケ風味があるのもいいですね。
「I Know How It Feels to Be Lonely」
Bonnie Bramlett/Leon Ware作。Bonnieが情感たっぷりに歌い上げるソウルフル・バラード
https://www.youtube.com/watch?v=onsksN6Wnow
「Comin' Home」
Bonnie Bramlett/Eric Clapton作。1969年にEric ClaptonらDerek & The Dominosのメンバー、Dave Mason、Rita Coolidgeらとレコーディングした楽曲。1969年12月にシングル・リリースしています。また、『On Tour with Eric Clapton』にライヴ・ヴァージョンが収録されています。どうしても主役よりもDerek & The Dominosなバック陣、特にClaptonのギターに耳が行ってしまいますね。
https://www.youtube.com/watch?v=ne3JoIOV8e4
「Move 'Em Out」
Steve Cropper/Bettye Crutcher作。カントリー調の仕上がりですが、こういう曲でもソウルフルなのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ZfxDhSBKbcQ
「Big Change Comin'」
Delaney Bramlett作。個人的にはアルバムで一番のお気に入り、Bonnieのソウルフル・ヴォーカルが弾けるR&Bテイストのファンキー・グルーヴ。ゴスペル調コーラス、スワンプ・ロックのドライヴ感も加わっているのがいいですね。Duane Allmanの格好良いスライド・ギターを堪能できます。
「A Good Thing (I'm on Fire)」
Delaney Bramlett/Gordon DeWitty作。この演奏も大好き!スワンプ・ロックしたSly & The Family Stoneといった趣のファンク調の仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=qiKVXFCC0n0
「Groupie (Superstar)」
Delaney Bramlett/Leon Russell作。「Comin' Home」と共に1969年にEric Claptonらとレコーディングした楽曲。シングル「Comin' Home」のB面曲でした。この曲の持つ切ない魅力の原点を聴くことができます。フィドルによるアクセントも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=5G0UWRKtOA0
この曲といえば、1971年にUSチャート第2位となったCarpentersの大ヒット・カヴァーでお馴染みですよね。また、
Joe Cocker『Mad Dogs & Englishmen』でのRita Coolidgeヴァージョンもこの曲の知名度を高めました。
Rita Coolidge「Superstar」
https://www.youtube.com/watch?v=sDN2bB6sR6Q
Carpenters「Superstar」
https://www.youtube.com/watch?v=SJmmaIGiGBg
「I Know Something Good About You」
Delaney Bramlett/Joe Hicks作。アーシーでソウルフルでカントリーなファンキー・チューン。ファンキー・ホーン隊が盛り上げてくれます。Delaney & Bonnieらしい1曲に仕上がっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=HLksdPmDzoI
「Country Life」
Delaney Bramlett/Bobby Whitlock作。ラストはDelaneyが妻Bonnieと3人の娘に向けて歌われるカントリー・ソングで長閑に幕を閉じます。本来はこの曲がタイトル曲になるはずだったのですが・・・まさか、この直後に夫婦が離婚し、デュオを解消することになるとは・・・
Delaney & Bonnieの他作品もチェックを!
『Home』(1969年)
『Accept No Substitute』(1969年)
Delaney & Bonnie & Friends『On Tour With Eric Clapton』(1970年)
『To Bonnie From Delaney』(1970年)
『Motel Shot』(1971年)