発表年:2020年
ez的ジャンル:女性ジャズ・ベーシスト系ブラジリアン・ジャズ
気分は... :このジャケで瞬殺!
新作アルバムから女性ジャズ・ベーシストのBrandi Disterheftの最新作Brandi Disterheft Trio with George Coleman『Surfboard』です。
Brandi Disterheftは1980年カナダ生まれの女流ベーシスト/シンガー/コンポーザー。
2007年のデビュー・アルバム『Debut』をリリースした直後は、ウッドベースを抱え弾き歌うことから"カナダのEsperanza Spalding"とも称されました。
最新作『Surfboard』では、Tania Mariaなどのバックを務めたブラジル人ベテラン・ドラマーPortinho(ds)と彼と長年活動してきたKlaus Mueller(p)とトリオを組んでいます。
さらにスペシャル・ゲストとして、1950年代から活動する大ベテラン・ジャズ・サックス奏者George Coleman(as)を迎えています(Colemanは3曲に参加)。
4人ともに現在はN.Y.を拠点に活動しています。
アルバムはブラジリアン・ジャズ中心の構成ですが、ストレートアヘッドなジャズも収録されています。全16曲がBrandiのオリジナルが8曲、残り8曲がカヴァーという構成です。
カヴァーについては、Antonio Carlos Jobim、Moacir Santosといったブラジル人アーティストの作品や、「My Foolish Heart」、「Speak Low」、「On Broadway」、「Where or When」といったスタンダードに加えて、Sam Jones、Oscar PettifordといったBrandiが敬愛するジャズ・ベーシストの作品も取り上げています。
軽快なブラジリアン・ジャズのタイトル曲(Jobim作品)「Surfboard」、Moacir Santosの名曲カヴァー「Nana」、George Coleman参加の「Coup de Foudre」、「My Foolish Heart」、「Speak Low」という3曲、Brandiのコケティッシュ・ヴォーカルの魅力が映える「Manhattan Moon」、「Where or When」、ジャズ・ベーシストとしてのBrandiの腕前を楽しめる「Pendulum at Falcon's Lair」など僕好みの演奏が満載です。
軽やかながらもエレガントで華のあるブラジリアン・ジャズをぜひ!
全曲紹介しときやす。
「Surfboard」
オープニングを飾るタイトル曲はAntonio Carlos Jobim作品のカヴァー。当ブログではBossacucanova & Roberto Menescalのカヴァーも紹介済みです。トリオでの軽快なブラジリアン・ジャズを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=v-Tcgn-_DgE
「Prelude to Coup de Foudre」
「Coup de Foudre」
Brandi Disterheft作。Brandiがしっとりと歌い上げるプレリュードから華のあるブラジリアン・ジャズの本編へ。本編ではGeorge Colemanが衰えを感じさせない躍動感のあるブロウを聴かせてくれます。Klausの端正なピアノもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=GyDA_SHzIqo
「My Foolish Heart」
作詞Ned Washinton、作曲Victor Youngによるスタンダード。映画『My Foolish Heart』(1949年)の主題歌です。当ブログではBill Evans Trio、Roman Andren、Astrud Gilberto、Gabor Szaboのカヴァーを紹介済みです。Colemanのムーディーなサックスを大きくフィーチャーした素敵なバラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=fNSUeeJjsC4
「Nana」
Moacir Santosの名曲をカヴァー(Moacir Santos/Mario Telle作)。Portinhoのドラムが牽引するリズミックながらも気品のあるブラジリアン・ジャズに仕上がっています。
本曲に関して、当ブログではMoacir Santos自身のセルフカヴァー、Bossa Rio、Nara Leao、Bossacucanova & Roberto Menesca、Sonzeiraのカヴァーも紹介済みです。
「Manhattan Moon」
Brandi Disterheft作。チャーミングなBrandiのヴォーカルにグッとくるロマンティックなブラジリアン・メロウ・ジャズ。
「Pendulum at Falcon's Lair」
Brandiが敬愛するジャズ・ベーシストOscar Pettifordの作品をカヴァー。ジャズ・ベーシストとしてのBrandiの腕前を大きくフィーチャーした演奏です。
「On Broadway」
The Driftersのヒット曲をカヴァー(Jerry Leiber/Barry Mann/Mike Stoller/Cynthia Weil作)。当ブログではMongo Santamariaのカヴァーを紹介済みです。Brandiのキュートな歌声と抑えたトーンながらも息の合った小粋なトリオ演奏を楽しめます。
「Speak Low」
Kurt Weill/Ogden Nash作のポピュラー・スタンダードをカヴァー。元々はミュージカル『One Touch of Venus』(1943年)のために書かれた楽曲です。ここではColemanのベテランらしいプレイを楽しめるブラジリアン・ジャズに仕上がっています。
本曲に関して、当ブログではStefania Rava、The Latin Jazz Quintet with Eric Dolphy、Cybill Shepherd、Marisa Monteのカヴァーも紹介済みです。
「One Dream」
Brandi Disterheft作。前半はBrandiのヴォーカル&ベースのみで展開されます。中盤からはトリオ演奏となり、ジャズ・バラードをしっとりと聴かせてくれます。
「Portrait of Porto」
Brandi Disterheft作。軽やかな中にも華やかさがあるブラジリアン・ジャズをトリオ演奏で聴かせてくれます。演奏全体がヴィヴィッドでいいですね。
「Where or When」
1937年のミュージカル『Babes in Arms』のために書かれたLorenz Hart/Richard Rodgers作品をカヴァー。当ブログではClifford Brown、Jane Birkin、Norman Feelsのカヴァーを紹介済みです。Brandiのコケティッシュ・ヴォーカルの魅力が映える僕好みのロマンティックな仕上がりです。
「Del Sasser」
Brandiが敬愛するジャズ・ベーシストSam Jonesの作品をカヴァー。トリオの各メンバーに見せ場がある躍動感のある演奏で楽しませてくれます。
「Reveries」
Brandi Disterheft作。ラストは抑えたトーンながらも、絶妙なアンサンブルを繰り広げるトリオ演奏で締め括ってくれます。
Brandi Disterheftの他作品もチェックを!
『Debut』(2007年)
『Second Side』(2009年)
『Gratitude』(2012年)
Brandi Disterheft With Harold Mabern & Joe Farnsworth『Blue Canvas』(2016年)