2020年11月06日

Terry Callier『Timepeace』

見事な復活を印象づけた1枚☆Terry Callier『Timepeace』

発表年:1998年
ez的ジャンル:復活系黒人フォーキー・ソウル
気分は... :復活の日・・・

今回はTerry Callier(1945-2012年)の『Timepeace』(1998年)です。

当ブログでこれまで紹介したTerry Callier作品は以下の5枚。

 『Occasional Rain』(1972年)
 『What Color Is Love』(1973年)
 『I Just Can't Help Myself』(1974年)
 『Fire on Ice』(1978年)
 『Speak Your Peace』(2002年)

『Turn You to Love』(1979年)を最後にシーンから姿を消したTerry Callierでしたが、90年代に入ると彼のソウル、ジャズ、フォークを融合したクロスオーヴァーな音楽スタイルに対する再評価がUKを中心に高まり、見事な復活を遂げます。

その復活を印象づけたアルバムがTalkin' Loudからリリースされた本作『Timepeace』(1998年)です。

メイン・プロデュースはBrian Bacchus。さらにEric Hochbergが2曲プロデュースしています。

レコーディングにはPharoah Sanders(ts)、Jim Mullen(元Brian Auger's Oblivion Express)(g)等が参加しています。

目立つのは、The Impressionsの名曲カヴァーとオリジナルのメドレーによる感動的な「People Get Ready/Brotherly Love」Pharoah Sandersが参加したタイトル曲「Timepeace」、映画『Spartacus』(1960年)のテーマ曲にオリジナル歌詞をつけた「Love Theme From Spartacus」Wayne Shorterの名曲「Footprints」にオリジナル歌詞をつけた「Following Your Footprints」あたりですかね。

個人的にはコンテンポラリーな仕上がりの「Keep Your Heart Right」、美しいフォーキー・バラード「Java Sparrow」、そしてラテン・フレイヴァーの「C'est La Vie」、ジェントルなフォーキー・ソウル「Coyote Moon」、完成度の高いメロウ・フォーキー・ソウル「AKA New York Al」、Hip-Hopチューン「Traitor To The Race」という終盤の4連発がおススメです。

70年代のTerry Callierがお好きな方のみならず、これまでTerry Callierを全く聴いたことがない人も楽しめる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Ride Suite Ride (Intro)」
Terry Callier作。Terry Callierらしいフォーキー・ソウルがオープニング。年輪を重ねたシンガーならではの味わい深さがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=gtBzt_8fXDQ

「Lazarus Man」
Terry Callier作。一時は音楽業界からリタイアし、辛酸を嘗めたTerry Callierだからこ歌える1曲かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=mIJAi58j-pM

「Keep Your Heart Right」
Terry Callier作。女性コーラスが加わり、ジャズ・フィーリングのバッキングも含めたコンテンポラリーな仕上がりが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=CN0LvFwx24o

「Java Sparrow」
Terry Callier作。美しいフォーキー・バラード。聴いているだけで心が平穏になります。
https://www.youtube.com/watch?v=HY78LDvkuNs

「People Get Ready/Brotherly Love」
The Impressionsの名曲カヴァー「People Get Ready」(Curtis Mayfield作)とオリジナル「Brotherly Love」のメドレー。後者のソングライティングにはTerry Callierに加えて、娘Sundiataの名前もクレジットされています。実際はメドレーというより、「Brotherly Love」のためのイントロが「People Get Ready」といった感じですね。女性コーラスとCallierのヴォーカルによる大きな愛に包まれた崇高なバラードは感動ものです。終盤はスウィンギーなジャズ・フィーリングで楽しませてくれます。ギター・ソロはJim Mullen。
https://www.youtube.com/watch?v=LyycLs8XAYY

「Love Theme From Spartacus」
映画『Spartacus』(1960年)のテーマ曲(Alex North作)にTerry Callierが歌詞をつけてカヴァー。セピアな哀愁フォーキー・ソウルは絶品です。John Moulderの味わい深いギターがサイコー!
https://www.youtube.com/watch?v=jv4cMq5SU5s

「No More Blues」
Terry Callier作。Gary Plummleyのソプラノ・サックスがリードするジャジー・ブルース。 Veronica Cowperのソウルフルな女性コーラスもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=Brp7UERzWGo

「Timepeace」
Russ Dewbury/Veronica Cowper/Larry Wade/Terry Callier作。タイトル曲のソングライティングには70年代Terry Callier作品にも貢献していたLarry Wadeの名もクレジットされています。さらに本曲の話題は大物ジャズ・サックス奏者Pharoah Sandersの参加です。ソウル、フォーク、ジャズ、ロックが融合したTerry Callierらしいクロスオーヴァー・ワールドを楽しめます。Pharoahのサックスもかなり目立ってアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=-8shciuzzh0

「Following Your Footprints」
Wayne Shorterの名曲「Footprints」にTerry Callierが歌詞をつけたもの。パーカッシヴなジャズ・グルーヴに仕上がっていて楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=eOJDuiXAkXw

名曲「Footprints」に関して、当ブログではMiles DavisCarl & Joanne BarryGretchen ParlatoLonnie Liston Smith & The Cosmic Echoesのカヴァーも紹介済みです。

「C'est La Vie」
Eric Hochberg/Pennington McGee/Terry Callier作。ラテン・フレイヴァーのメロウ・ソウルは僕好みの仕上がり。Jim MullenのギターとGary Plummleyのソプラノ・サックスの掛け合いもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=DYyVlsAy4sI

「Coyote Moon」
Skip Haynes/Terry Callier作。Terry Callierらしさが滲み出てくるジェントルなフォーキー・ソウル。ハーモニカによるアクセントもグッド!ハワイアンAORあたりと一緒に聴くのもいいかも?
https://www.youtube.com/watch?v=Zt-UiyAYoIQ

「AKA New York Al」
Terry Callier作。前曲「Coyote Moon」からの流れがいいですね。歌良し、曲良し、バッキング良しの完成度の高いメロウなフォーキー・ソウルに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=h4tsMVBILhA

「Traitor To The Race」
Lavelle Dorsey/Terry Callier作。本編ラストはキャッチーな女性コーラス隊も加わったHip-Hopチューンで締め括ってくれます。ミュート・トランペットのアクセントもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=u-6n_ulaZsQ

僕の保有するCD国内盤には以下のボーナス・トラックが追加収録されています。
「Love Theme From Spartacus (4 Hero Main Mix)」
「Love Theme From Spartacus」の4Heroによるリミックス。4HeroらしいUKクロスオーヴァーな仕上がりで魅せてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=vmTkbNNqpfI

CDによっては、上記の代わりにZero 7によるリミックス「Love Theme From Spartacus (Zero 7 Remix)」がボーナス・トラックの盤もあります。また、「Love Theme From Spartacus」のリミックスにはRoy Davis Jr. によるRoy's Steppers Delightもあります。4 Hero Main Mixも含めて聴き比べるのも楽しいのでは?
「Love Theme From Spartacus (Zero 7 Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=8Z99cDfirgE
「Love Theme From Spartacus (Roy's Steppers Delight)」
 https://www.youtube.com/watch?v=G6Y-VLj4kUo

Terry Callierの他作品もチェックを!

『Occasional Rain』(1972年)
Occasional Rain

『What Color Is Love』(1973年)
ホワット・カラー・イズ・ラヴ

『I Just Can't Help Myself』(1974年)
アイ・ジャスト・キャント・ヘルプ・マイセルフ

『Fire on Ice』(1978年)
Fire on Ice

『Lifetime』(1999年)
Lifetime

『Alive 』(2001年)


『Speak Your Peace』(2002年)
SPEAK YOUR PEACE (IMPORT)

『Lookin' Out』(2004年)
LOOKIN' OUT

『Welcome Home』(2008年)


『Hidden Conversations』(2009年)
posted by ez at 03:08| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする