発表年:1998年
ez的ジャンル:復活系黒人フォーキー・ソウル
気分は... :復活の日・・・
今回はTerry Callier(1945-2012年)の『Timepeace』(1998年)です。
当ブログでこれまで紹介したTerry Callier作品は以下の5枚。
『Occasional Rain』(1972年)
『What Color Is Love』(1973年)
『I Just Can't Help Myself』(1974年)
『Fire on Ice』(1978年)
『Speak Your Peace』(2002年)
『Turn You to Love』(1979年)を最後にシーンから姿を消したTerry Callierでしたが、90年代に入ると彼のソウル、ジャズ、フォークを融合したクロスオーヴァーな音楽スタイルに対する再評価がUKを中心に高まり、見事な復活を遂げます。
その復活を印象づけたアルバムがTalkin' Loudからリリースされた本作『Timepeace』(1998年)です。
メイン・プロデュースはBrian Bacchus。さらにEric Hochbergが2曲プロデュースしています。
レコーディングにはPharoah Sanders(ts)、Jim Mullen(元Brian Auger's Oblivion Express)(g)等が参加しています。
目立つのは、The Impressionsの名曲カヴァーとオリジナルのメドレーによる感動的な「People Get Ready/Brotherly Love」、Pharoah Sandersが参加したタイトル曲「Timepeace」、映画『Spartacus』(1960年)のテーマ曲にオリジナル歌詞をつけた「Love Theme From Spartacus」、Wayne Shorterの名曲「Footprints」にオリジナル歌詞をつけた「Following Your Footprints」あたりですかね。
個人的にはコンテンポラリーな仕上がりの「Keep Your Heart Right」、美しいフォーキー・バラード「Java Sparrow」、そしてラテン・フレイヴァーの「C'est La Vie」、ジェントルなフォーキー・ソウル「Coyote Moon」、完成度の高いメロウ・フォーキー・ソウル「AKA New York Al」、Hip-Hopチューン「Traitor To The Race」という終盤の4連発がおススメです。
70年代のTerry Callierがお好きな方のみならず、これまでTerry Callierを全く聴いたことがない人も楽しめる1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Ride Suite Ride (Intro)」
Terry Callier作。Terry Callierらしいフォーキー・ソウルがオープニング。年輪を重ねたシンガーならではの味わい深さがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=gtBzt_8fXDQ
「Lazarus Man」
Terry Callier作。一時は音楽業界からリタイアし、辛酸を嘗めたTerry Callierだからこ歌える1曲かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=mIJAi58j-pM
「Keep Your Heart Right」
Terry Callier作。女性コーラスが加わり、ジャズ・フィーリングのバッキングも含めたコンテンポラリーな仕上がりが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=CN0LvFwx24o
「Java Sparrow」
Terry Callier作。美しいフォーキー・バラード。聴いているだけで心が平穏になります。
https://www.youtube.com/watch?v=HY78LDvkuNs
「People Get Ready/Brotherly Love」
The Impressionsの名曲カヴァー「People Get Ready」(Curtis Mayfield作)とオリジナル「Brotherly Love」のメドレー。後者のソングライティングにはTerry Callierに加えて、娘Sundiataの名前もクレジットされています。実際はメドレーというより、「Brotherly Love」のためのイントロが「People Get Ready」といった感じですね。女性コーラスとCallierのヴォーカルによる大きな愛に包まれた崇高なバラードは感動ものです。終盤はスウィンギーなジャズ・フィーリングで楽しませてくれます。ギター・ソロはJim Mullen。
https://www.youtube.com/watch?v=LyycLs8XAYY
「Love Theme From Spartacus」
映画『Spartacus』(1960年)のテーマ曲(Alex North作)にTerry Callierが歌詞をつけてカヴァー。セピアな哀愁フォーキー・ソウルは絶品です。John Moulderの味わい深いギターがサイコー!
https://www.youtube.com/watch?v=jv4cMq5SU5s
「No More Blues」
Terry Callier作。Gary Plummleyのソプラノ・サックスがリードするジャジー・ブルース。 Veronica Cowperのソウルフルな女性コーラスもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=Brp7UERzWGo
「Timepeace」
Russ Dewbury/Veronica Cowper/Larry Wade/Terry Callier作。タイトル曲のソングライティングには70年代Terry Callier作品にも貢献していたLarry Wadeの名もクレジットされています。さらに本曲の話題は大物ジャズ・サックス奏者Pharoah Sandersの参加です。ソウル、フォーク、ジャズ、ロックが融合したTerry Callierらしいクロスオーヴァー・ワールドを楽しめます。Pharoahのサックスもかなり目立ってアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=-8shciuzzh0
「Following Your Footprints」
Wayne Shorterの名曲「Footprints」にTerry Callierが歌詞をつけたもの。パーカッシヴなジャズ・グルーヴに仕上がっていて楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=eOJDuiXAkXw
名曲「Footprints」に関して、当ブログではMiles Davis、Carl & Joanne Barry、Gretchen Parlato、Lonnie Liston Smith & The Cosmic Echoesのカヴァーも紹介済みです。
「C'est La Vie」
Eric Hochberg/Pennington McGee/Terry Callier作。ラテン・フレイヴァーのメロウ・ソウルは僕好みの仕上がり。Jim MullenのギターとGary Plummleyのソプラノ・サックスの掛け合いもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=DYyVlsAy4sI
「Coyote Moon」
Skip Haynes/Terry Callier作。Terry Callierらしさが滲み出てくるジェントルなフォーキー・ソウル。ハーモニカによるアクセントもグッド!ハワイアンAORあたりと一緒に聴くのもいいかも?
https://www.youtube.com/watch?v=Zt-UiyAYoIQ
「AKA New York Al」
Terry Callier作。前曲「Coyote Moon」からの流れがいいですね。歌良し、曲良し、バッキング良しの完成度の高いメロウなフォーキー・ソウルに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=h4tsMVBILhA
「Traitor To The Race」
Lavelle Dorsey/Terry Callier作。本編ラストはキャッチーな女性コーラス隊も加わったHip-Hopチューンで締め括ってくれます。ミュート・トランペットのアクセントもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=u-6n_ulaZsQ
僕の保有するCD国内盤には以下のボーナス・トラックが追加収録されています。
「Love Theme From Spartacus (4 Hero Main Mix)」
「Love Theme From Spartacus」の4Heroによるリミックス。4HeroらしいUKクロスオーヴァーな仕上がりで魅せてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=vmTkbNNqpfI
CDによっては、上記の代わりにZero 7によるリミックス「Love Theme From Spartacus (Zero 7 Remix)」がボーナス・トラックの盤もあります。また、「Love Theme From Spartacus」のリミックスにはRoy Davis Jr. によるRoy's Steppers Delightもあります。4 Hero Main Mixも含めて聴き比べるのも楽しいのでは?
「Love Theme From Spartacus (Zero 7 Remix)」
https://www.youtube.com/watch?v=8Z99cDfirgE
「Love Theme From Spartacus (Roy's Steppers Delight)」
https://www.youtube.com/watch?v=G6Y-VLj4kUo
Terry Callierの他作品もチェックを!
『Occasional Rain』(1972年)
『What Color Is Love』(1973年)
『I Just Can't Help Myself』(1974年)
『Fire on Ice』(1978年)
『Lifetime』(1999年)
『Alive 』(2001年)
『Speak Your Peace』(2002年)
『Lookin' Out』(2004年)
『Welcome Home』(2008年)
『Hidden Conversations』(2009年)