発表年:2007年
ez的ジャンル:ブラジル新世代エクスペリメンタル・ポップ
気分は... :静かなる実験!
今回はブラジルもののエクスペリメンタルな1枚、Os Ritmistas『Os Ritmistas』(2007年)です。
Os Ritmistasは、Domenico Lancellotti、Stephane San Juan、Dany Rolandという打楽器を本職とするミュージシャン3名による多国籍ユニット。
Domenico Lancellottiは、Kassin、Moreno Velosoとの+ 2ユニットで知られる当ブログでもお馴染みのブラジル新世代を代表するミュージシャンですね。
Stephane San Juanはフランス人パーカッション奏者/シンガー・ソングライターですが、2002年にブラジルに渡り、Domenico、Kassinらと交流を持つようになります。最近では、当ブログでも紹介したAlexia Bomtempo『Suspiro』(2018年)のプロデュースが印象に残っています。
Dany Rolandはアルゼンチン出身。この3人がリオ・デ・ジャネイロで結成したユニットがOs Ritmistasです。+ 2ユニットの活動から派生したプロジェクトという見方もできるかもしれません。
プロデュースはOs Ritmistas自身。
Domenico(vo、per、key、g、mpc、electronics、etc.)、
Stephane San Juan(ds、tabla、mpc、electronics、etc.)、Dany Roland(g、p、sampler、etc.)というメンバー3名以外に、Kassin(g)、Pedro Sa(g、b)、Wilson das Neves(vo、ds、tamborim)、Thalma de Freitas(vo)、Nelson Jacobina(b)、Berna Ceppas(vibe、per、efects)、Donatinho(Joao Donatoの息子)(el-p)等のミュージシャンが参加しています。
アルバムは+ 2ユニットにも通じるブラジル新世代らしいエクスペリメンタル・ポップに仕上がっています。打楽器奏者によるユニットなので、パーカッシヴなサウンドを前面に打ち出してくるイメージもありますが、そんなことはありませんでした。
個人的には、動と静、伝統と近未来といったコントラストを活かしたサウンド・クリエイトが気に入りました。
正直、派手さやキャッチーさはありませんが、+ 2ユニット好きの人であれば、思わずニンマリする1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Vem A Onda」
Domenico作。ブラジル新世代ならではのサウダージ感に満ちた哀愁エクスペリメンタル・サンバがオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=pmMRPW-looc
「O Que Aconteceu」
Wilson das Neves/Domenico作。トロンボーンの音色がフィットするメロウ・ボッサ調の仕上がりですが、ブラジル新世代ならではのスパイスを効かせています。ヴォーカルは作者の二人。
https://www.youtube.com/watch?v=MWtqLrUvR2k
「Radio Patrulha」
Silas de Oliveira/J.Dias/Luisinho/Marcelino Ramos作。女性ヴォーカル入りの華のあるエクスペリメンタル・サンバ。未来と過去が交錯する感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=qe7CludjUxQ
「Num Canto Quieto」
Domenico/Adriana Calcanhotto作。Kassin参加曲。レトロ・フィーチャーな魅力!味わいのあるインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=1W2tCTl7dbU
「A Ver Navios」
Domenico/Alvaro Lancellotti作。ブラジリアン・ポストロック的な魅力を持った不思議な音世界。
https://www.youtube.com/watch?v=mWEN2mv-DM8
「Layana」
Dany Roland/Stephane San Juan/Domenico作。打楽器のリズムとエレクトロニクスを融合させたブラジル新世代らしいエクスペリメンタルな仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=rr1c1CAX-y0
「Alguem」
Domenico作。Domenicoの弾き語りに、徐々にエクスペリメンタルな音のレイヤーが重なっていきます。
https://www.youtube.com/watch?v=7gWLu_bVDQo
「Palpite」
Domenico/Alvaro Lancellotti作。Domenicoのヴォーカル、Pedro Saのギター、ベースのみですが、エクスペリメンタル・ロックしています。
https://www.youtube.com/watch?v=RqyZH98UXiQ
「Cada Um」
Domenico作。Domenicoのヴォーカル&ヴィオラン、Nelson Jacobinaのギターによるシンプルな演奏ですが、ブラジル新世代ならではのワビサビがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=bWNUWWHWwtQ
「Um Copo」
Domenico作。シンプルなように聴こえて実は緻密な装飾がなされてる心憎いサウンドメイクを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=dRhaFl2uCCQ
「Samba De Pacto」
Dany Roland/Stephane San Juan/Domenico作。ブラジル新世代エクスペリメンタル・サンバの名に相応しいリズミックな演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=LNq0Yyx9Afw
「Num Canto Quieto」
「Num Canto Quieto」のヴォーカル入りヴァージョン。
https://www.youtube.com/watch?v=t-RH3UGNmcQ
「De Onde Sei」
Domenico作。Domenico好きの人にはグッとくる寂しげな
https://www.youtube.com/watch?v=6lWC327YaTM
「Fora Do Ar」
Kassin/Hiromi Konishi/Domenico作。本編ラストはKassinもソングライティングに参加したメロウ・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=f-pBjmhbsvs
「Minico」
国内盤ボーナス・トラックその1。Dany Roland/Stephane San Juan/Domenico/Ernani Petisco作。鶏肉料理の作り方をKassinの奥方Hiromi Konishi(古西ひろ美)さんが日本語で同時通訳するユニークなトラック。
https://www.youtube.com/watch?v=ZzkEtWjqUZ0
「Devorando Quilometros」
国内盤ボーナス・トラックその2。Stephane San Juan作。エクスペリメンタルなインストです。
https://www.youtube.com/watch?v=TGtZMRTi8H0
+ 2ユニット関連の過去記事もチェックを!
Domenico + 2『Sincerely Hot』(2002年)
Moreno + 2『Maquina de Escrever Musica』(2002年)
Kassin『Relax』(2017年)