2020年12月24日

John Lennon『Imagine』

イヴに「Imagine」を聴く☆John Lennon『Imagine』

発表年:1971年
ez的ジャンル:殿堂入りロック
気分は... :イヴに聴く「Imagine」...

今年のクリスマス・イヴはJohn Lennon『Imagine』(1971年)を聴きたいと思います。

これまで当ブログで紹介してきたJohn Lennon作品は以下の3枚。

 『John Lennon/Plastic Ono Band』(1970年)
 『Walls And Bridges』(1974年)
 『Shaved Fish』(1975年)

振り返ると、上記3枚もすべて12月のエントリーです。
Johnが12月に亡くなったこともありますし、ラブ&ピースなJohnの歌はクリスマスの12月が似合うのかもしれませんね。

特にコロナ禍で世界中に暗い影を落としている今年は例年以上Johnの歌が聴きたくなりました。

世の中の流れもそのようで、ちょうど先程までNHK「ファミリーヒストリー」の再放送がオノ・ヨーコ&ショーン・レノンでした。

今夜のNHKもJohn & Yokoの特集をやるみたいですね。

そんな流れで『Imagine』(1971年)です。

John Lennonを代表する名曲「Imagine」収録のアルバムであり、アルバム自体を代表作ですね。

プロデュースはJohn LennonYoko OnoPhil Spector

John Lennon(vo、p、g、harmonica、whistling)、George Harrison(g、dobro)、Nicky Hopkins(p、el-p)、Klaus Voormann(b)、Alan White(ds、vibe)、Jim Keltner(ds)、Jim Gordon(ds)、King Curtis(sax)、John Barham(harmonium、vibe)、BadfingerJoey Molland(g)とTom Evans(g)等のミュージシャンが参加しています。

もはや、多くの人が語り尽くしているアルバムなので、余計な説明は不要だと思います。

なので、今回はチャート・アクションや他アーティストのカヴァー曲などいつも紹介するような事実情報は大幅に省いています。

この永遠の名作を聴きながら、何かを感じましょう!
そして各人ができる小さな一歩を踏み出しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Imagine」
説明不要の名曲。世界の対立、分断を超越したユートピア的な世界を歌ったものですが、声高に立ち上がれと叫ぶのではなく、思い描いてごらん!と誰しもやろうと思えばできるレベルで問いかけてくるのがこの曲にグッとくるポイントかもしれませんね。一人ひとりの小さな一歩が世界を変える!そのメッセージはそのまま今の世の中に訴えかけるものがありますね。長年、Johnの単独作とクレジットされていましたが、近年Yokoも共作者として認められました。ちょうど「ファミリーヒストリー」でも「Imagine」のモチーフとなったYokoの詩集『Grapefruit』の一節が紹介されていました。「ファミリーヒストリー」を見ると、この曲がYokoの曲であることを更に実感できました。そういった視点で、この歌詞を見直すと新たな気づきが生まれるかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=VOgFZfRVaww

「Crippled Inside」
皮肉屋Johnらしい歌詞をカントリー・ロックに乗せて歌います。Georgeのドブロ・ギター、Nicky Hopkinsのホンキー・トンク・ピアノが印象的です。考えてみれば、1971年らしい音ですよね。中高生の頃に聴いたときは、あまり好きではありませんでしたが、オッサンになった今聴くと実にいい味わいです。
https://www.youtube.com/watch?v=m_fZFyX80Bc

「Jealous Guy」
本作で「Imagine」に次ぐ名曲といえばコレですね。昔も今もアルバムで一番好きな曲かもしれません。スーパースターJohn Lennonも一人の人間で、繊細なガラスの心の持ち主であることが分かり親近感が湧きます。Yokoというホームを得たからこそ、自分の弱い部分ををさらけ出すことができたのでしょうね。
https://www.youtube.com/watch?v=wADRRYNHhOA

「It's So Hard」
偉大なR&Bサックス奏者King Curtisのラスト・レコーディング。この曲も中高生の頃に聴いたときは、あまり好きではありませんでしたが、今聴くとブルージーでR&Bな魅力がたまりませんね。不穏なムードを高めるストリングスもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=sntZOhZHaVo

「I Don't Want to Be a Soldier, Mama, I Don't Wanna Die」
強烈な反戦ソング。ダークなヘヴィ・ロック・サウンドをバックに、ひたすら偽りへの否定を歌います。若者の代弁者という役割を背負わされてしまったJohnは、こういう歌を求められていたのかもしれませんが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=FCkUX99rTRs

「Gimme Me Some Truth」
Johnの心の叫びといった雰囲気が伝わってくる1曲。後期The Beatles、特にホワイト・アルバム的な雰囲気があって、昔から好きでした。
https://www.youtube.com/watch?v=WbhktzkGoH0

「Oh My Love」
John Lennon/Yoko Ono作。『John Lennon/Plastic Ono Band』の雰囲気をそのまま受け継いだ、飾り気はないけどリアルで真摯なラブソングといった感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ztmNFANxYhY

「How Do You Sleep?」
Paul McCartneyを批判した歌ということで有名ですね。でも本気で批判したというよりも、皮肉屋Johnらしい一種のユーモアだったと思います。そんな歌詞ばかりが注目される曲ですが、気怠くブルージーなロック・サウンドが今聴くと僕にフィットします。
https://www.youtube.com/watch?v=g7LLeGhxzdE

「How?」
人間Johnらいし名曲ですね。答えのない人生を生きるために、もがき、悩み、躊躇うJohnの気持ちが赤裸々に歌われます。この弱さを包み隠さず歌うJohnが大好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=Z_Izwi7NOD0

「Oh Yoko!」
タイトルの通り、妻Yokoへのラブソング。「Imagine」でスタートするアルバムも、妻へのラブソングで締め括られるというのが、このアルバムのいいところかもしれませんね。隣にいる妻へのYesが、全世界のYesにつながる!そんな流れを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=phTUGdb0Gm4

John Lennonの他作品もチェックを!

The Plastic Ono Band『Live Peace in Toronto 1969』(1969年)


『John Lennon/Plastic Ono Band』(1970年)


John & Yoko/Plastic Ono Band With Elephant's Memory Plus Invisible Strings『Some Time in New York City』(1972年)


『Mind Games』(1973年)


『Walls And Bridges』(1974年)
WALLS AND BRIDGES

『Rock 'n' Roll』(1975年)


『Shaved Fish』(1975年)


John Lennon & Yoko Ono『Double Fantasy』(1980年)


John Lennon & Yoko Ono『Milk and Honey』(1984年)
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2020年12月23日

Cannonball Adderley With Bill Evans『Know What I Mean?』

もう1つの「Waltz for Debby」☆Cannonball Adderley With Bill Evans『Know What I Mean?』

録音年:1961年
ez的ジャンル:ハード・バップ/クール・ジャズ
気分は... :静と動・・・

今回はジャズ・サックス奏者Cannonball Adderleyがジャズ・ピアニストBill Evansを迎えてレコーディングした1枚、『Know What I Mean?』(1961年)です。

Bill Evansについては、今月『Alone (Again)』(1975年)を紹介したばかりですが、本作はあくまでCannonball Adderley枠ということで。

大物ジャズ・アルトサックス奏者Julian "Cannonball" Adderley(1928-1975年)について、当ブログでこれまで紹介したのは以下の5枚。

 『Cannonball's Bossa Nova』(1962年)
 『Mercy, Mercy, Mercy!』(1966年)
 『Country Preacher』(1969年)
 『Inside Straight』(1973年)
 『Love, Sex, And The Zodiac』(1974年)

1958年のMiles Davisのセクステットで同僚であったAdderleyEvansによる再会セッションです。

レコーディング・メンバーは、Cannonball Adderley(as)、Bill Evans(p)、さらにはPercy Heath(b)、Connie Kay(ds)というThe Modern Jazz Quartet(MJQ)のリズム隊が加わったカルテット編成。

Riversideからリリース。
プロデュースはOrrin Keepnews

ハイライトはBill Evansの名曲「Waltz for Debby」ですね。本作と同じ1961年レコーディングの『Waltz For Debby』(1961年)ヴァージョンがあまりにも有名ですが、同じ年にレコーディングされたもう1つの「Waltz for Debby」も要チェックです。

それ以外にも「Goodbye」「Elsa」「Nancy (With the Laughing Face)」なんかはEvansを意識した選曲だと思います。

一方、「Who Cares?」「Toy」Adderleyらしいプレイを楽しめます。

さらにMJQへのリスペクトを感じる「Venice」も僕のお気に入り。

クリスマス・シーズンに聴くジャズとしては案外フィットしていると思います。

全曲紹介しときやす。

「Waltz for Debby」
Bill Evans/Gene Lees作。冒頭のEvansのピアノは『Waltz For Debby』ヴァージョンそのままな感じですが、Adderleyのサックスが入ると軽やかでスウィンギーな本ヴァージョンらしい演奏を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=acX3MhM_dpw
『Waltz For Debby』(1961年)ヴァージョンと聴き比べるのも楽しいと思います。
「Waltz for Debby」(From Bill Evans『Waltz For Debby』
https://www.youtube.com/watch?v=P0FIsFD9MXU

「Goodbye」
Gordon Jenkins作。Benny Goodman Orchestraでお馴染みのスタンダードをカヴァー。Milt Jackson With Hubert Lawsのカヴァーも紹介済みです。これはAdderleyというよりEvans向けの選曲ですね。Evans、Heath、Kayのトリオ演奏でも良かったかも?
https://www.youtube.com/watch?v=GQSxofFjc1E

「Who Cares? (Take 5)」
George Gershwin/Ira Gershwin作品。当ブログではAnita O'Dayのカヴァーも紹介済みです。Heath、Kayのリズム隊が先導し、Adderleyのサックスが躍動する軽快な演奏です。Evansのソロも実にいい雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=kHQrQtIW60k

「Who Cares? (Take 4)」
ボーナス・トラック。「Who Cares?」の別ヴァージョン。コチラの方がリズム隊が目立ちますね。
https://www.youtube.com/watch?v=zkAxJyNT-NU

「Venice」
MJQ作品をカヴァー(John Lewis作)。MJQメンバーへの敬意を表したカヴァー・セレクトですね。演奏自体もMJQへのリスペクトを感じる落ち着いたトーンの穏やかな演奏がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=oRbYmVd1mrs

「Toy」
Clifford Jordan作。。メンバー全員がリラックスした雰囲気の軽やかに疾走する演奏がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=6wcErvs_Dlk

「Elsa」
Earl Zindars作。Bill Evans『Explorations』(1961年)収録曲としても知られていますね。やはりこの曲はEvansの繊細な美しさを持つピアノが主役です。AdderleyもEvansワールドに必死に合わせている感じが面白いです。
https://www.youtube.com/watch?v=CN4pzCVql9M

「Nancy (With the Laughing Face)」
Phil Silvers/Jimmy Van Heusen作のポピュラー・スタンダードをカヴァー。これもEvansのためにAdderleyが用意した楽曲かもしれませんね。実にロマンティックなバラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=6dt4p1Zt5s4

「Know What I Mean? (Re-take 7)」
Bill Evans作。静のEvans、動のAdderleyという緩急のコントラストを明確にした、この二人の共演ならではの演奏が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=WVVROe83TVU

「Know What I Mean? (Take 12)」
「Know What I Mean? 」の別テイク。こちらは7分超の長尺です。上記テイクのようなEvansとAdderleyのコントラストは強調しておらず、ある意味こちらの方が自然な流れな気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=F3iPSfib4m4

Cannonball Adderleyの過去記事もご参照ください。

『Cannonball's Bossa Nova』(1962年)
キャノンボールズ・ボサノバ

『Mercy, Mercy, Mercy!』(1966年)
マーシー・マーシー・マーシー

『Country Preacher』(1969年)
カントリー・プリーチャー

『Inside Straight』(1973年)
Inside Straight

『Love, Sex, And The Zodiac』(1974年)
ラヴ・セックス・アンド・ザ・ゾディアック
posted by ez at 01:59| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月22日

J. Quest『The Quest Is On...』

男性R&Bの隠れた逸品☆J. Quest『The Quest Is On...』

発表年:1995年
ez的ジャンル:N.Y.男性R&Bシンガー
気分は... :気分は年末モードに突入!

年内の大きな納品がすべて完了し、気分は年末モードに突入!
といっても28日までZoom MTGが設定されていますが・・・

コロナ禍で激動の一年でしたが、何とか持ちこたえた充実感があります。
自分がリモートワーク向きの人間であることを再認識でした一年でした。

今回は90年代R&B作品からJ. Quest『The Quest Is On...』(1995年)です。

J. Quest(本名:John Raimundi)は、1967年N.Y.ブルックリン生まれの男性R&Bシンガー。

Lisa Lisa & Cult JamLisa Lisaを介して、プロデューサーのJunior Vasquezを紹介してもらい、デビューのチャンスを手にした模様です。

こうして制作されたアルバムが『The Quest Is On...』(1995年)です。

Junior Vasquez以外に、J. DibbsAaron LylesIke Lee IIILoRiderRodney JerkinsChad ElliottJames Wrightがプロデュースを手掛けています。

N.Y.のHip-HopデュオIll Al Skratch、ニューヨリカン・ラッパーPudgee Tha Phat Bastard、女性R&BシンガーGina Thompson、N.Y.ブルックリンのラッパーJemini The Gifted Oneがフィーチャリングされ、Kenny Lattimoreがバック・コーラスを務めているトラックもあります。

また、僕の好きなAndrea Martinが2曲でソングライティングに参加しています。

シングルにもなった「Anything (Album Mix)」「Up & Down (Remix)」の2曲が目立ちますね。

個人的には「From Now On」「On My Mind」というバラード2曲がお気に入り。グルーヴィーな「Come & Give It (You Know What I Want)」「Behind The Scenes」A Tribe Called Quest「Verses From the Abstract」をサンプリングした「The Quest Is On」もかなり好きです。

男性R&Bの隠れた逸品をぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Given It All (Interlude)」
J. Dibbsプロデュース。アルバムのイントロ的な小曲。

「The Quest Is On」
Rodney Jerkinsプロデュース。タイトル曲はA Tribe Called Quest「Verses From the Abstract」をサンプリング。アーティスト名からして彼はATCQファンなのかもしれませんね。乾いたビートのメロディアスなミディアム・グルーヴは僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=gIbEpi_gwvM

「It's Gonna Be Alright」
Aaron Lyles/Ike Lee IIIプロデュース。Andrea Martinもソングライティングで参加。ヒップヒップ・ソウル的な魅力があるキャッチーなトラック。途中ラガマフィンなアクセントを入れるところがこの時代らしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=bp_EOROexRU

「Brand New Love」
Junior Vasquezプロデュース。雰囲気のあるミディアム・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=7_AQCqqql5c

「Up & Down (Remix)」
N.Y.のHip-HopデュオIll Al Skratchをフィーチャー。Aaron Lyles/Ike Lee III/LoRiderプロデュース。「Anything」と並ぶ本作のハイライト。The O'Jays「Help (Somebody Please)」をサンプリングした哀愁グルーヴ。R&B好きもHip-Hop好きも楽しめる絶妙のバランスでう。
https://www.youtube.com/watch?v=Ahea31KSFUQ

「Anything (Album Mix)」
シングルにもなった本作のハイライト。ニューヨリカン・ラッパーPudgee Tha Phat Bastardをフィーチャー。Aaron Lyles/Ike Lee III/LoRiderプロデュース。Andrea Martinもソングライティングで参加。Wu-Tang Clan「Can It Be All So Simple」をサンプリング。Lionel Richie「Say You, Say Me」のフレーズも引用されています。J. Questの魅力が詰まったキャッチーなダンサブル・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=E_h-S1DadvY

「Don't Stop Ya Luv」
J. Dibbsプロデュース。いい雰囲気のミディアムでヴォーカル・アレンジも良いのですが、肝心のリード・ヴォーカルが少し弱いかも?
https://www.youtube.com/watch?v=1laGJgq8TWE

「From Now On」
J. Dibbsプロデュース。勝手に名曲だと思っている素敵なバラード。J. Questの声質の魅力を実感できます。Kenny Lattimoreがバック・コーラスを務めます。
https://www.youtube.com/watch?v=RH2NYRv9bjE

「Come & Give It (You Know What I Want)」
Rodney Jerkinsプロデュース。同じRodney Jerkinsプロデュースでデビュー・アルバム『Nobody Does It Better』(1996年)をリリースすることになる女性R&BシンガーGina Thompsonをフィーチャー。Gina Thompsonの魅力が引き立つキャッチーなヒップホップ・ソウルに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=OhWSG-GNA6A

「On My Mind」
Chad Elliott/James Wrightプロデュース。「From Now On」と並ぶ僕のお気に入りバラード。甘く切ない感じがたまりません・・・
https://www.youtube.com/watch?v=Er5V0Qt0vyY

「Behind The Scenes」
N.Y.ブルックリンのラッパーJemini The Gifted Oneをフィーチャー。Junior Vasquezプロデュース。90年代好きにはグッとくるグルーヴィーな仕上がり。聴いていると心躍ります。
https://www.youtube.com/watch?v=atCT11kDEBk

「Up & Down (Original Mix)」
Aaron Lyles/Ike Lee IIIプロデュース。「Up & Down」のオリジナル・ミックス。リミックスのインパクトが大きいですが、オーセンティックなオリジナルも悪くありません。
https://www.youtube.com/watch?v=yY9mK4lSmRQ

この1枚でシーンから消えてしまったのは惜しいですね。
posted by ez at 02:30| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月20日

Jessy Lanza『All The Time』

カナダ出身の女性アーティストの最新作☆Jessy Lanza『All The Time』

発表年:2020年
ez的ジャンル:エレクトロ・ポップ/オルタナティヴR&B
気分は... :余白のポップ・センス!

新作アルバムからJessy Lanza『All The Time』です。

新作といってもリリースから半年近く経っていますが・・・

Jessy Lanzaは、カナダ、オンタリオ州ハミルトン出身のプロデューサー/ソングライター/シンガー。

現在はアメリカ、カリフォルニア州北部のシリコンバレーを拠点としているようです。

Kode9が主宰するロンドンのエレクトロニック、ダブステップ系のインディ・レーベルHyperdubと契約し、これまで『Pull My Hair Back』(2013年)、『Oh No』(2016年)といったアルバムをリリースしています。

ジャンルとしてはエレクトロ・ポップ/オルタナティヴR&Bになるんですかね。

3rdアルバムとなる本作『All The Time』も前2作と同じく、カナダのエレクトロ・ポップ・デュオJunior BoysJeremy Greenspanを共同プロデューサーに迎えています。

前2作以上にポップなアルバムに仕上がっているようです。

先行シングル「Lick In Heaven」、フットワーク調の「Face」、脆さのあるエレクトロ・ポップ「Anyone Around」、80年代ブラコンの影響を感じる「Alexander」「Ice Creamy」、水中をイメージさせるアンビエントな「Baby Love」Moonchildあたりと一緒に聴きたい「All The Time」など彼女のサウンド・センスの良さが詰まった全10曲です。

音空間を埋め過ぎない余白のポップ・センスにハマってしまいました。

さり気に、僕の中でかなりのお気に入り作になっている1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Anyone Around」
シングルにもなったオープニング。今にも壊れてしまいそうな脆さのあるエレクトロ・ポップといった雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=flh6HYEObp4

「Lick In Heaven」
先行シングル曲。本作を象徴するエレクトロ・ポップ。作り込みすぎていない、余白だらけのエレクトロ・ポップといった趣がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=V3D7EEpdlY4

「Face」
僕の一番のお気に入り。フットワークのエッセンスを取り入れた1曲ですが、ローファイなポップ・センスとうまく融合させているのがいいですね。この曲もシングルになりました。
https://www.youtube.com/watch?v=QrwrjMntR8o

「Badly」
浮遊感がいい感じのダウンテンポ。夢の中を彷徨っているかのような儚いポップ・センスがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=SYwLfad3LGo

「Alexander」
ほんのりと80年代ブラコンの影響を感じるトラック。このタイトルとサウンドを聴いてAlexander O'Nealを想起したのは僕だけではないはず!
https://www.youtube.com/watch?v=efSMao6Tsoo

「Ice Creamy」
このトラックも80年代ブラコンを彼女のフィルターで昇華させたような哀愁ミディアム。このあたりのセンスも僕が惹かれた要因だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=lDqUig-zMjM

「Like Fire」
僕好みの哀愁ポップ。このメロディアスな感じは本作ならではの特徴なのかもしれませんね。彼女のサウンド・センスの良さを実感できる1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=01jHIGM7TF0

「Baby Love」
水中をイメージさせるアンビエントな仕上がり。サウンドと一体となって溶け込んだJessyの歌声がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=sWDr5964aow

「Over And Over」
ハウス調のダンサブル・チューン。ダンス・チューンといってもフロア仕様ではなく室内仕様です。
https://www.youtube.com/watch?v=w-uJZUjuLmA

「All The Time」
ラストはメロウ・ポップなタイトル曲で締め括ってくれます。Moonchildなんかと一緒に聴くのもいいかも?
https://www.youtube.com/watch?v=M7lepFKJiUM

ご興味がある方は1st、2ndアルバムもチェックを!

『Pull My Hair Back』(2013年)


『Oh No』(2016年)
posted by ez at 01:22| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月19日

The 8th Day『The 8th Day』

デトロイトのソウル・グループ☆The 8th Day『The 8th Day』

発表年:1971年
ez的ジャンル:Invictus系デトロイト・ソウル
気分は... :曰く付きですが・・・

今回はデトロイトのソウル・グループThe 8th Dayのデビュー・アルバム『The 8th Day』(1971年)です。

The 8th Dayはリード・ヴォーカルMelvin Davisを中心にデトロイトで結成されたソウル・グループであり、Holland-Dozier-HollandInvictusから、『The 8th Day』(1971年)、『I Gotta Get Home (Can't Let My Baby Get Lonely)』(1973年)という2枚のアルバムをリリースしています。

今回紹介するデビュー・アルバム『The 8th Day』(1971年)は、素晴らしい内容でありながらも、曰く付きの1枚です。

それは彼らと同時期にHolland-Dozier-HollandHot Waxから作品をリリースしていたSteve Mancha率いる100 Proof Aged In Soulの楽曲がThe 8th Day名義で本作に収録されているためです。

その2曲とはオープニングの「She's Not Just Another Woman」とエンディングの「I've Come To Save You」。この2曲は100 Proof Aged In Soulのデビュー・アルバム『Somebody's Been Sleeping In My Bed』(1971年)にも同じトラックが収録されています。

このあたりはHot Wax作品とInvictus作品の配給会社の違いから、こうしたおかしな状況が生まれた模様です。

ということで、全9曲中7曲が本来のThe 8th Dayなのですが、看板のMelvin Davisがリード・ヴォーカルをとるのが4曲、残り3曲は他のメンバーがリード・ヴォーカルをとります。このあたりも少しビミョーなのですが・・・

このようなビミョーな事情があるアルバムですが、中身が素晴らしいことには変わりません。

プロデュースはRon Dunbar

Melvin Davisのヴォーカルを満喫できるという意味では、「You've Got To Crawl Before You Walk」「Too Many Cooks (Spoil The Soup)」の2曲がハイライト。残る「Just As Long」「I'm Worried」の2曲も悪くありません。

他のヴォーカリストの曲であれば、「Enny-Meeny-Miny-Mo (Three's A Crowd)」「I Can't Fool Myself」がいいですね。

そして、100 Proof Aged In Soulの2曲も既に『Somebody's Been Sleeping In My Bed』(1971年)で聴いていますが、トラックとしては素晴らしいです。

多彩なソウル・ヴォーカリストを満喫できるアルバムとして楽しめば良いのでは?

全曲紹介しときやす。

「She's Not Just Another Woman」
Clyde Wilson(Steve Mancha)/Ron Dunbar作。100 Proof Aged In Soulの曲を8th Day名義でリリースされたもの。8th Day名義でシングル・リリースもされました。100 Proof Aged In Soul名義のトラックは『Somebody's Been Sleeping In My Bed』(1971年)収録。Steve Manchaらしい男臭いヴォーカルを満喫できるゴツゴツしたミディアム・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=kaP-Q_q0KOo

Biz Markie「She's Not Just Another Woman (Monique)」、DJ Quik「Born and Raised in Compton」、Frankie HI-NRG MC「Combatto La Tua Idea」のサンプリング・ソースとなっています。
Biz Markie「She's Not Just Another Woman (Monique)」
 https://www.youtube.com/watch?v=2gZVfOcu5BY
Frankie HI-NRG MC「Combatto La Tua Idea」
 https://www.youtube.com/watch?v=9l2kzt4hVKA

「You've Got To Crawl Before You Walk」
Angelo Bond/General Johnson/Greg Perry/Ron Dunbar作。ここからがMelvin Davisがヴォーカルをとる本当の8th Day。パーカッションの効いたファンキー・サウンドをバックにMelvin Davisのヴォーカルが躍動する本曲のハイライトの1つ。ヤング・ソウルな魅力がありますね。当ブログではThe Lost Generationのカヴァーも紹介済みです。
https://www.youtube.com/watch?v=QpQw4xMGXVQ

「Too Many Cooks (Spoil The Soup)」
Edith Wayne(Holland-Dozier-Holland)/Angelo Bond/Ronald Dunbar作。100 Proof Aged In Soulのデビュー・シングルにもなった楽曲(アルバム『Somebody's Been Sleeping In My Bed』収録)ですが、ここではちゃんとMelvin Davisがヴォーカルをとる8th Dayヴァージョンとなっています。このファンキー・グルーヴについては、100 Proof Aged In Soulより本ヴァージョンの方が格好良いと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=gFCdmz6YgKY

「La-De-Dah」
George Plummer/Ron Dunbar作。Sam Cooke調のリード・ヴォーカルはMelvin Davis以外みたいです。

「Enny-Meeny-Miny-Mo (Three's A Crowd)」
Angelo Bond//Ron Dunbar作。60年代Motown調のキャッチーなソウル・グルーヴ。このリード・ヴォーカルはMelvin Davisじゃない人ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=tOZadbWh7xs

「Just As Long」
Ron Dunbar/Russell Stringer作。Melvin Davisの素晴らしいヴォーカルを満喫できるミディアム・バラード。ジワジワと込み上げてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=eBQDXrnVgE4

「I Can't Fool Myself」
Angelo Bond/General Johnson/Greg Perry作。Melvin Davis以外のリード・ヴォーカルですが、いい雰囲気の哀愁バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=GgqAlTzGB8I

「I'm Worried」
Ron Dunbar作。Melvin Davisがリード・ヴォーカルをとる魅惑の哀愁バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=hWILmLSLeKE

「I've Come To Save You」
Clyde Wilsonn(Steve Mancha)作。このトラックも100 Proof Aged In Soulの曲を8th Day名義でリリースされたもの。100 Proof Aged In Soul名義のトラックは『Somebody's Been Sleeping In My Bed』(1971年)収録。ソウル・ヴォーカル・グループらしいディープなスロウ・ミディアム。これはこれで素晴らしい出来栄えだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=-xjFdX9KnsE

CDにはボーナス・トラックとして、「She's Not Just Another Woman (instrumental)」「Eeeny-meeny-miny-mo (instrumental)」「If I Could See The Light Of The Window」「If I Could See The Light Of The Window (instrumental)」の4曲が追加収録されています。

『I Gotta Get Home (Can't Let My Baby Get Lonely)』(1973年)
posted by ez at 03:51| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする