2020年12月18日

Kirk Franklin『Rebirth of Kirk Franklin』

明日への希望を抱くコンテンポラリー・ゴスペル☆Kirk Franklin『Rebirth of Kirk Franklin』
Rebirth of Kirk Franklin
発表年:2002年
ez的ジャンル:コンテンポラリー・ゴスペル
気分は... :再生のとき...

今回は感動のコンテンポラリー・ゴスペル・アルバムKirk Franklin『Rebirth of Kirk Franklin』(2002年)です。

コンテンポラリー・ゴスペルのトップランナーKirk Franklinについて、当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Kirk Franklin & The Family Christmas』(1995年)
 『Whatcha' Lookin' 4』(1996年)
 『God's Property』(1997年)

本作『Rebirth of Kirk Franklin』(2002年)は、2000年6月16日にテキサス州ヒューストンのLakewood Churchで行われたライブを収めた作品であり、USアルバム・チャート第4位、同R&Bアルバム・チャート第4位となったヒット・アルバムです。

総勢30名以上のコーラス隊を従えたKirk Franklinがリーダーとなったゴスペル・ショーといった雰囲気がいいですね。

ライヴにはShirley CaesarDonnie McClurkinCrystal LewisJaci VelasquezWillie Neal JohnsonPapa SanRichard SmallwoodYolanda AdamsAlvin Slaughterといった多彩なゲストが参加しています。

本作はライヴ映像で視聴すると感動がさらに増します。

The Rebirth Kirk Franklin DVD Completo
https://www.youtube.com/watch?v=nVXJdz0FgyA

コロナ感染拡大で心が塞ぎがちな今、本作のようなゴスペルを聴くと、明日への希望や生きる勇気が湧いてくるはずです!

全曲紹介しときやす。

「Intro」
両親に捨てられ、祖母に預けられた自身の悲しい過去を再現したイントロ。祖母が捨てられたKirkに神のご加護を願うシーンに、Kirkがゴスペルを歌う原点を見ることができます。

そして、時が過ぎ「準備できたか」とドアをノックする音が・・・
「Thank You, Mama」と感謝を述べてドアの向こうへ歩むと、そこは今回のライヴ会場であった!

こうして感動のゴスペル・ライヴがスタート!

「Hosanna」
ライヴは神のご加護を讃える曲でスタートします。Kirkにリードされ、コーラス隊の生きる勇気とパワーを与えてくれる、天まで届きそうな素晴らしい歌声を届けてくれます。これぞゴスペル・ライヴ!って感じですね。コンテンポラリー・ゴスペルらしい
https://www.youtube.com/watch?v=LN-Tw5Qa7qI

「Caught Up」
ベテラン女性ゴスペル・シンガーShirley Caesarをフィーチャー。パワフルな中にも情感のこもったShirleyの歌声にゴスペルという音楽の底力を感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=BKJC6oGkeZc

「911」
この曲はスタジオ録音。この曲タイトルは緊急電話番号911とあのアメリカ同時多発テロ事件の9.11のダブル・ミーニング。T. D. Jakes司教とコーラス・グループScene 23をフィーチャー。Kirkが911に電話し、T. D. Jakes司教にテロの悪夢にうなされる悩みを打ち明けます。Trin-i-tee 5:7Dawkins & Dawkinsのメンバーもバック・コーラスで参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=1Gve69GACDo

「The Blood Song」
Donnie McClurkin, Crystal Lewis & Jaci Velasquezをフィーチャー。感動的なゴスペル・ソングですが、スペイン系のJaciがいるせいかギターが少しスパニッシュ風なのが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=qiF0ajuXY3Y

「Brighter Day」
ソウル/ファンク好きも楽しめるであろうファンキー・チューン。開放的なホーン・サウンドが伸びやかなコーラス隊の歌声を引き立てます。
https://www.youtube.com/watch?v=DXjVlb8jGzs

「My Life, My Love, My All」
僕の一番のお気に入り。聴く者の心を優しく包み込んでくれるビューティフル・ゴスペル。聴いているだけ心が浄化され、誰もが優しい気持ちになれるはずです。
https://www.youtube.com/watch?v=JNvkDuQ9y6I

「Lookin' Out For Me」
Willie Neal Johnsonをフィーチャー。彼は本作のリリースの前に65歳で逝去してしまいました。まずKirkらが盛り上げ、お膳立てしたところでWillie Neal Johnsonが登場します。
https://www.youtube.com/watch?v=Ao2lc1LCO-U

「He Reigns (The Medley)」
Rich Mullins「Awesome God」のカヴァーとオリジナル「He Reigns」のメドレー。Papa Sanのラガ風MCをフィーチャーし、Ernie Greenのターンテーブルも入ります。ラテン・サウンドにスクラッチ音という何でもアリな感じがコンテンポラリー・ゴスペルらしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=a_G6z7ETOl4

「Interlude」
次曲のイントロとなるインタールード。

「Don't Cry」
Richard Smallwoodの美しいピアノをフィーチャー。ピアノとストリングスをバックに、コーラス隊がしっとりと歌い上げます。、
https://www.youtube.com/watch?v=cnAtsV-fxj4

「The Transition」
子供の声をフィーチャーした次曲「Always」のイントロ。
https://www.youtube.com/watch?v=yHU4okq_R1Y

「Always」
聴く者の心を暖かくしてくれる感動的な1曲。12月の寒い日に聴くとホッコリするはずです。
https://www.youtube.com/watch?v=LpKvqLqcXAM

「When I Get There」
ファンキーなリズム隊&ホーン隊が牽引するグルーヴィーな仕上がり。生きる希望につながる躍動感があります。
https://www.youtube.com/watch?v=ig-F9yepOcc

「Interlude」
エンディングに向けたインタールード。

「Outro (The Blood)」
ラストはYolanda Adams & Alvin Slaughterをフィーチャー。Andrae Crouch & The Disciples「The Blood Will Never Lose Its Power」を引用した感動的仕上がりです。最後には観客と一体となって大盛り上がりでエンディングを迎えます。
https://www.youtube.com/watch?v=8Bb_lF1pyYM

「Throw Yo Hands Up」
シークレット・トラック。クリスチャンHip-HopアーティストTobyMacをフィーチャー。本編とは全く異なるアゲアゲ・トラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=Qc2wnh8GfmU

Kirk Franklinの他作品もチェックを!

Kirk Franklin & The Family『Kirk Franklin & The Family』(1993年)
Kirk Franklin & The Family

Kirk Franklin & The Family『Kirk Franklin & The Family Christmas』(1995年)
クリスマス

Kirk Franklin & The Family『Whatcha' Lookin' 4』(1996年)
Whatcha Lookin 4

Kirk Franklin's Nu Nation『God's Property』(1997年)
ゴッズ・プロパティ・フロム・カーク・フランクリンズ・ニュー・ネイション

『The Nu Nation Project』(1998年)
The Nu Nation Project

『Hero』(2005年)
Hero

『Songs for the Storm Volume 1』(2006年)
Kirk Franklin Presents: Songs for the Storm 1

『Fight of My Life』(2007年)
Fight of My Life (Snys)

『Hello Fear』(2011年)
Hello Fear

『Losing My Religion』(2015年)
Losing My Religion

『Long Live Love』(2019年)
posted by ez at 02:08| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月17日

Chas Jankel『Chas Jankel』

「愛のコリーダ」オリジナル収録☆Chas Jankel『Chas Jankel』

発表年:1980年
ez的ジャンル:UKシンセ・ディスコ/クロスオーヴァー
気分は... :愛のコリーダ!

今回はIan Dury & The Blockheadsのサウンドリーダー/ソングライターとしても活躍したChaz Jankel(Chas Jankel)の初ソロ・アルバム『Chas Jankel』(1980年)です。

1952年ロンドン生まれのキーボード奏者/ギタリストChaz Jankel(Chas Jankel)の紹介は、2010年の復活アルバム『The Submarine Has Surfaced』に続き2回目となります。

1980年代に『Chas Jankel』(1980年)、『Chasanova』(1981年)、『Chazablanca』(1983年)、『Looking at You』(1985年)といったアルバムをリリースし、「Ai No Corrida」「Glad To Know You」「Without You」「Number One」等のダンス・ヒットを放ったChaz Jankel

その中でも最も有名な1曲が「Ai No Corrida」

といっても、本家ヴァージョンよりもQuincy Jonesのカヴァー・ヴァージョンの方がはるかに有名ですが。

Dune (Charles May)をフィーチャーしたQuincy Jonesカヴァー・ヴァージョンは、アルバム『The Dude』(1981年)に収録され、シングルとしてUSチャート第28位、同R&Bチャート第10位のヒットとなりました。今でもQuincyのオリジナルだと思っている方も多いのでは?

そのオリジナル「Ai No Corrida」が収録されているのが初ソロ・アルバム『Chas Jankel』(1980年)です。

レコーディング・メンバーはChaz Jankel(vo、g、key、syn、per)、Mark Isham(ss、tp、syn)、Chris Hunter(as、ts)、Peter Van Hook(ds、per)、Chris Warwick(syn prog)、Kuma Harada(b)、Paul Westwood(b)。

中でもPeter Van Hookは、GenesisMike Rutherfordによるサイド・プロジェクトMike and the Mechanicsのメンバーとしてご存知の方もいるかもしれませんね。

プロデュースはChaz JankelPeter Van HookMark IshamChris Warwick

Blockheadsでは聴くことができないChaz Jankelの音世界を楽しめます。

やはり「Ai No Corrida」の出来栄えがダントツですが、レゲエ調のメロウ・チューン「Just a Thought」も僕のお気に入り。

「Ai No Corrida」とは全く異なるタイプの15分近い長尺クロスオーヴァー「Am I Honest with Myself Really?」、メロウなインスト「Lenta Latina」、Chazの美しいピアノを楽しめる「Reverie」などChazの多様な音楽性を楽しめます。

まずは本家「Ai No Corrida」をぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Ai No Corrida」
Chaz Jankel/Kenny Young作。前述の通り、本作のハイライトとなるダンス・チューン。曲タイトルは大島渚 監督の映画『愛のコリーダ』(1976年)からとったもの。この本家ヴァージョンは9分近く長尺です。QuincyはRod Tempertonを介して本曲を知ったようですが、このオリジナル自体がRod Temperton風ですよね。まさにQuincyにカヴァーされるために作られたような1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=DfEYKBdSQ8k

Quincy Jones以外にもJames Last、Big Bang(K-POPのあのグループではなく日本のユニット)、Sudirman、Lesette Wilson、Uniting Nations feat. Laura More、Chipper、Cuban Jazz Comboがカヴァーしています。
Quincy Jones「Ai No Corrida」
 https://www.youtube.com/watch?v=NVTVheyDY4s
James Last「Ai No Corrida」
 https://www.youtube.com/watch?v=dYrRmjNr5I4
Big Bang「Ai No Corrida」
 https://www.youtube.com/watch?v=WShI4HjTjTc
Sudirman「Ai No Corrida」
 https://www.youtube.com/watch?v=iKiWvveKWiM
Lesette Wilson「Ai No Corrida」
 https://www.youtube.com/watch?v=FYWyrl3n4Qk
Uniting Nations feat. Laura More「Ai No Corrida」
 https://www.youtube.com/watch?v=vKPxO68oV7A
Chipper「Ai No Corrida」
 https://www.youtube.com/watch?v=zjm_gBuM1LI
Cuban Jazz Combo「Ai No Corrida」
 https://www.youtube.com/watch?v=sN0K2apYeUM

「Peace, At Last」
Chaz Jankel作。「Ai No Corrida」から一変して美しいピアノ・ソロの小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=OXtTkQalkMI

「Just a Thought」
Chaz Jankel/Mark Newton-Carter作。レゲエ調のメロウ・チューン。なかなかいい雰囲気です。シンセ・サウンドとレゲエ・リズムの組み合わせが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=qhUOncRmQ60

K-Hill and Debonair P feat. Omniscence「Root 4 Me」のサンプリング・ソースとなっています。
K-Hill and Debonair P feat. Omniscence「Root 4 Me」
 https://www.youtube.com/watch?v=14iulq8ysb0

「Lenta Latina」
Chaz Jankel作。メロウなインスト・チューン。サンセット・モードにフィットしそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=ww3ztNHGCG0

「Fuse」
Mark Isham/Peter Van Hooke作。実験的な短いインスト。というか次曲のイントロ。
https://www.youtube.com/watch?v=N4vHLAfgyiE

「Am I Honest with Myself Really?」
Chaz Jankel/Mark Newton-Carter作。15分近い長尺のダンス・チューン。シンセ・ポップ×ファンク×ジャズといったChazのクロスオーヴァー感覚を楽しむことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=nhR_FykgAAA

「Reverie」
Chaz Jankel作。本編ラストはピアノ・ソロにシンセやサックスでアクセントをつけたビューティフル・トラックで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Hp6jsAUq30M

Pro Era「Like Water」のサンプリング・ソースとなっています。
Pro Era「Like Water」
 https://www.youtube.com/watch?v=0fg08Hjwdo0

「Little Eva」
CDボーナス・トラック。4thアルバム『Looking at You』(1985年)収録曲(Chaz Jankel/Ian Dury作)。ダンサブルなシンセ・ポップです。
https://www.youtube.com/watch?v=F7ddto8nz5E

『Looking at You』(1985年)


『Out of the Blue』(2001年)


『Zoom』(2003年)


『The Submarine Has Surfaced』(2010年)
The Submarine Has Surfaced

未CD化のオリジナル・アルバムもあるので、お手軽なコンピ作品で手元に置くのもいいかも?

『My Occupation - The Music Of Chaz Jankel』(2007年)
My Occupation: The Music of Chaz Jankel

『Glad to Know You – The Anthology 1980-1986』(2020年)
posted by ez at 10:25| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月16日

Linda Ronstadt『Don't Cry Now』

ブレイク直前ならではの魅力☆Linda Ronstadt『Don't Cry Now』

発表年:1973年
ez的ジャンル:歌姫系ウエスト・コースト・カントリー・ロック
気分は... :過渡期ならではの味わい!

“ウエスト・コーストの歌姫”として人気を博した女性シンガーLinda Ronstadtの4thアルバム『Don't Cry Now』(1973年)です。

Linda Ronstadt(1946年生まれ)の紹介は、『Simple Dreams』(1977年)以来2回目となります。

今年は「前回のエントリーから●年ぶり」というかたちで10年以上間隔が空いてしまったアーティストを取り上げる機会が多くなりましたが、Linda Ronstadtのエントリーも2007年5月以来13年ぶりとなります。

また、僕の思い込みで『Heart Like a Wheel』(1974年)、『Living in the U.S.A.』(1978年)あたりはエントリーしたつもりでいたのですが、まだ『Simple Dreams』(1977年)しか紹介していませんでした・・・

『Don't Cry Now』(1973年)はAsylum移籍第一弾アルバムとなります。USアルバム・チャートの最高位は45位ですが、長くチャート・インし、ゴールド・ディスクに輝いています。

Peter Asherプロデュースの次作『Heart Like a Wheel』(1974年)(契約の関係上Capitolからリリース)がUSアルバム・チャート第1位となり、ブレイクを果たすことになりますが、本作『Don't Cry Now』(1973年)はその試金石となりました。

メイン・プロデューサーはJ. D. Souther。さらに前作を全面プロデュースしたJohn Boylan、次作以降の大成功を主導したPeter Asherもプロデュースしています。

レコーディングには、J. D. Souther(g、b、back vo)、John Boylan(el-p)、Spooner Oldham(p)、Chris Ethridge(b)、Glenn Frey(g)、Larry Carlton(g)、The Flying Burrito BrothersSneaky Pete Kleinow(steel g)とRick Roberts(g)、Craig Doerge(p)、Russ Kunkel(ds)、Leland Sklar(b)、Richard Bowden(g)、Mike Bowden(b)、Herb Pederson(g、back vo)、Jerry McGee(g)、Andy Johnson(g)、Ed Black(g)、Buddy Emmons(pedal steel g)、Dennis St. John(ds)、Mickey McGee(ds)、Jimmie Fadden(harmonica)、Gib Guilbeau(fiddle)、Jim Gordon(sax)、Nino Tempo(sax)、Jim Ed Norman(horn & strings arr)、Ginger Holladay(back vo)、Mary Holliday(back vo)、Clydie King(back vo)、Sherlie Matthews(back vo)、Marti McCall(back vo)、Wendy Waldman(back vo)等のミュージシャンが参加しています。

アルバム全体としては、ウエスト・コーストらしいカントリー・ロックを楽しめる1枚です。

9月に『For Everyman』(1973年)をエントリーしましたが、ここ半年ほどの僕はJackson Browneを欲して聴く機会が多くなっています。

その意味で本作の持つ空気は、Jackson Browneを欲する気分と符合するものがあります。

シングル曲は「Love Has No Pride」「Silver Threads and Golden Needles」「Colorado」の3曲。

中でもEric Kaz/Libby Titus作の「Love Has No Pride」は、名曲の呼び声高い本作のハイライトですね。The Flying Burrito Brothersのカヴァー「Colorado」の味わいもかなり好きです。

それ以外であれば、ウエスト・コーストらしい叙情感の「I Can Almost See It」Eaglesの名曲カヴァー「Desperado」Larry Carltonのギター・ソロも聴ける「Don't Cry Now」、感動的なNeil Young & Crazy Horseのカヴァー「I Believe in You」あたりが僕のおススメです。

ジャケに写るLindaの姿そのままにブレイク前の飾り気のないピュアな魅力を満喫できます。

過渡期ならではの味わいが吉と出た1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「I Can Almost See It」
J. D. Souther作&プロデュース。このオープニングがアルバム全体の雰囲気を物語っています。ウエスト・コーストならではの叙情感がいいですね。Lindaのしみじみとした歌声とSneaky Peteのスティール・ギターとJimmie Faddenのハーモニカの味わいがたまらない。
https://www.youtube.com/watch?v=bCLS4hocJdY

「Love Has No Pride」
John Boylanプロデュース。Eric Kaz/Libby Titus作。Libby Titusヴァージョンは『Libby Titus』(1977年)収録。
シングルにもなった本ヴァージョンはBonnie Raittヴァージョン(1972年)と並び、この曲の評価を高めました。やはり、本作のハイライトはコレですね。聴くたびに胸に込み上げてくるものがあります。Lindaの素晴らしい歌唱がこの曲を名曲にしたのだと思います。この時期のLindaだからこそ聴けるタイプの1曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2R0aNLEKgIs

「Silver Threads and Golden Needles」
J. D. Souther/John Boylanプロデュース。Dick Reynolds/Jack Rhodes作の名曲「銀の糸と金の針」をカヴァー。オリジナルは1956年の Wanda Jacksonヴァージョン。Dusty SpringfieldがメンバーであったThe Springfieldsが1962年にヒットさせています。デビュー・アルバム『Hand Sown...Home Grown』(1969年)でも取り上げており、Lindaの思い入れのある楽曲なのでしょうね。本ヴァージョンはシングルにもなりました。典型的なカントリー・ロックで必ずしも僕の得意なタイプの曲ではないのですが、Lindaが歌うと許容できちゃいます(笑)Herb Pedersonのハーモニーがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=eO_x62UaOD8

「Desperado」
J. D. Southerプロデュース。Eaglesの名曲「ならず者」をカヴァー(Don Henley/Glenn Frey作)。オリジナルはアルバム『Desperado』(1973年)収録。説明不要の名曲ですが、オリジナルの雰囲気をそのまま受け継いだLindaヴァージョンもなかなかいいですよ。
https://www.youtube.com/watch?v=5vYhzf96_YA

「Don't Cry Now」
J. D. Souther作&プロデュース。Spooner Oldhamの味のあるピアノがLindaをナビゲートします。Lindaにはこういう少し切ない楽曲が良く似合いますね。そして、ギター・ソロは何とLarry Carlton!ここも聴き逃がせません。
https://www.youtube.com/watch?v=xjaiTSZm4Uw

「Sail Away」
J. D. Souther/Peter Asherプロデュース。Randy Newmanの名曲をカヴァー。オリジナルはアルバム『Sail Away』(1972年)収録。少しクセのある楽曲のはずですが、Lindaが自分らしいスタイルでこの曲をモノにしています。
https://www.youtube.com/watch?v=O7iuAetjN_0

「Colorado」
John Boylanプロデュース。The Flying Burrito Brothersのカヴァー(Rick Roberts作)。オリジナルはアルバム『The Flying Burrito Brothers』(1971年)収録。シングルにもなりました。作者Rick Roberts、さらにはSneaky Pete KleinowというThe Flying Burrito Brothersのメンバーがバックを務めます。この曲も初期Lindaならではのピュアな魅力がありますね。しみじみと聴き入ってしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=fYsDFnIfpNg

「The Fast One」
J. D. Souther作&プロデュース。オリジナルはJ. D. のデビュー・アルバム『John David Souther』(1972年)収録。Glenn Freyがギターで参加。軽快なカントリー・ロックです。
https://www.youtube.com/watch?v=bgD02IbY71A

「Everybody Loves a Winner」
J. D. Souther/John Boylanプロデュース。William Bellのカヴァー(Bill Williams/Booker T. Jones/William Bell作)。R&Bカヴァーをしっとりと歌い上げます。R&Bなホーン隊とカントリー・ロック・サウンドの組み合わせがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=dLCmwF2P6Xk

「I Believe in You」
J. D. Souther/Peter Asherプロデュース。Neil Young & Crazy Horseのカヴァー(Neil Young作)。オリジナルはアルバム『After the Gold Rush』(1970年)収録。オリジナルの雰囲気も好きですが、美しいストリングスを配した感動的な本ヴァージョンの味わいも格別です。
https://www.youtube.com/watch?v=yZDSb9kDMNE

Linda Ronstadtの70年代全盛期の他作品もチェックを!

『Heart Like a Wheel』(1974年)


『Prisoner in Disguise』(1975年)


『Hasten Down the Wind』(1976年)


『Simple Dreams』(1977年)


『Living in the U.S.A.』(1978年)
posted by ez at 04:35| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月14日

Gerald Alston『Open Invitation』

元The Manhattansのリード・ヴォーカリスト☆Gerald Alston『Open Invitation』
gerald alston open invitation.jpg
発表年:1990年
ez的ジャンル:正統派男性ソウル・シンガー
気分は... :Shining Star!

The Manhattansのリード・ヴォーカリストGerald Alstonの2ndソロ・アルバム『Open Invitation』(1990年)です。

Gerald Alstonは1951年生まれ。

1970〜1988年の間、The Manhattansのリード・ヴォーカルとして活躍し、「Kiss and Say Goodbye」(1976年、USチャート、同R&Bチャート共に第1位)、「Shining Star」(1980年、USチャート第5位、同R&Bチャート第4位)等のヒットを放っています。
The Manhattans「Kiss and Say Goodbye」
 https://www.youtube.com/watch?v=wtjro7_R3-4
The Manhattans「Shining Star」
 https://www.youtube.com/watch?v=I_sxBUOR0Kk

その後ソロ・アーティストとして独立し、『Gerald Alston』(1988年)、『Open Invitation』(1990年)、『Always in the Mood』(1992年)、『First Class Only』(1994年)といったソロ・アルバムをリリースしています。さらにThe Manhattansへの再合流も果たしています。

ソロ第2弾となる本作『Open Invitation』(1990年)からは、「Slow Motion」(US R&Bチャート第3位)、「Getting Back Into Love」(US R&Bチャート第6位)という2大ヒットが生まれ、アルバムもソロで最高位のUS R&Bアルバム・チャート第14位となっています。

前作『Gerald Alston』(1988年)を全面プロデュースしたStan SheppardJimmy VarnerBy All Means)が本作でも3曲プロデュースしています。

それ以外にJames Anthony Carmichaelが4曲、Levi Seacer Jr.が3曲プロデュースしています。

レコーディングにはBrenda Russell(vo)、By All Means(back vo)、Steve Lukather(g)、Jeff Porcaro(ds)、Charles Fearing(g)、Paul Jackson Jr.(g)、Freddie Washington(b)、Jerry Peters(p、syn)、 Aaron Smith(key、prog)、John Barnes(key、prog)、Lloyd Tolbert(key、prog)、Gerald Albright(sax)、Paulinho Da Costa(per)等のミュージシャンが参加しています。

「Slow Motion」「Getting Back Into Love」というシングル・ヒット2曲の良さが際立ちますが、Gerald Albrightのムーディーなサックスが印象的な「Don't You Know How I Feel」、アーバン・メロウな「I'll Go Crazy」Brenda Russellとのデュエット「Tell Me This Night Won't End」、華のあるアーバン・ダンサー「Open Invitation」あたりもおススメです。

Gerald Alstonの素晴らしい歌唱力とプロデューサー陣のサウンド・プロダクションが見事に調和した充実の1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Slow Motion」
Stan Sheppard/Jimmy Varnerプロデュース。US R&Bチャート第3位となったシングル曲。スムースなオトナのR&Bバラード。アーバン・ナイト気分にフィットします。女性コーラス隊がムードを高めてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=mUAr4NSx34g

「Getting Back Into Love」
Stan Sheppard/Jimmy Varnerプロデュース。US R&Bチャート第6位となったシングル曲。こちらもアーバンなミディアム・バラード。「Slow Motion」からの流れがサイコーです。この曲でも女性コーラス隊が華やかな雰囲気を演出します。
https://www.youtube.com/watch?v=q7wrv1aWzhY

「Don't You Know How I Feel」
Stan Sheppard/Jimmy Varnerプロデュース。Gerald Albrightのムーディーなサックスが印象的なソウルフル・バラード。AlstonとStan Sheppard/Jimmy Varnerコンビの相性の良さを実感できます。
https://www.youtube.com/watch?v=IWM1ZYPbpIE

「I'll Go Crazy」
James Anthony Carmichaelプロデュース。僕好みのアーバン・メロウ。80年代ブラコン好きの人も気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=gLk2V7NZ2F0

「Never Give Up」
James Anthony Carmichaelプロデュース。女性コーラス隊との掛け合いが印象的なミディアム。
https://www.youtube.com/watch?v=X7YPtNc_T2g

「Tell Me This Night Won't End」
Brenda Russellとのデュエット。この曲もシングルになりました。James Anthony Carmichaelプロデュース。Steve Lukather、Jeff PorcaroというTotoコンビも参加。オーセンティックなバラードをベテランらしい語り口で歌い上げます。Lukatherのギター・ソロも盛り上がります。
https://www.youtube.com/watch?v=elYkCWCvu6w

「Open Invitation」
Levi Seacer Jr.プロデュース。タイトル曲は僕好みのアーバン・ダンサー。キラキラした感じがこの時代らしくていいですね。Gerald Albrightのサックスもジャスト・フィット!
https://www.youtube.com/watch?v=xIrLg4YsXfA

「Still In Love」
James Anthony Carmichaelプロデュース。アーバンな哀愁ミディアム。これもなかなかいい雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=cXn3gGdQJwo

「Any Day Now」
Levi Seacer Jr.プロデュース。Chuck Jackson、1962年のヒット曲をカヴァー(Bob Hilliard/Burt Bacharach作)。僕の場合、Ronnie Milsapのカヴァー・ヒット(1982年)で馴染みのある曲です。そのRonnie Milsapヴァージョンの刷り込みが強いので、ダンサブルな本ヴァージョンを聴いて少し驚きました。それでもこの曲の持つ、しみじみとした味わいは受け継がれています。
https://www.youtube.com/watch?v=y3rPEqM_mzw

The ManhattansGerald Alstonの他のソロ作もチェックを!

The Manhattans『With These Hands/A Million to One』(1970/1972年)


The Manhattans『There's No Me Without You』(1973年)


The Manhattans『That's How Much I Love You』(1974年)


The Manhattans『The Manhattans』(1976年)


The Manhattans『It Feels So Good』(1977年)


The Manhattans『There's No Good in Goodbye』(1978年)


The Manhattans『After Midnight』(1980年)


The Manhattans『Black Tie』(1981年)


The Manhattans『Forever by Your Side』(1983年)


The Manhattans『Too Hot to Stop It』(1985年)


The Manhattans『Back to Basics』(1986年)


『Gerald Alston』(1988年)


『Always in the Mood』(1992年)


『First Class Only』(1994年)
gerald alston first class only.jpg

『Sings Sam Cooke』(2009年)


『True Gospel』(2015年)
posted by ez at 11:43| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月13日

Asi『Minimus + Compartidas』

アルゼンチン人SSWの2nd/3rdの2in1☆Asi『Minimus + Compartidas』

発表年:2020年
ez的ジャンル:アルゼンチン産インディー・ロック/音響ポップ
気分は... :脱力系!

新作からアルゼンチン人SSW、Gonza Sanchezを中心としたプロジェクトAsiの日本独自2in1CD『Minimus + Compartidas』です。

Asiはアルゼンチン、コルドバ出身の男性シンガー・ソングライターGonza Sanchezによるプロジェクト。

これまで『marmas』(2018年)、『Minimu』(2019年)という2枚のアルバムをリリースしています。

本作『Minimus + Compartidas』は、最新3rdアルバム『Compartidas』(2020年)と『Minimu』(2019年)の日本独自2in1CDです。

『Minimu』(2019年)は、Rodrigo Lagos(b)、Facu Gentile(ds)、Exequiel Bertino(syn)等によるバンド編成のスタイルをとっていますが、『Compartidas』(2020年)ではソロ・プロジェクトの色合いが強まっています。

また、『Minimu』『Compartidas』共に、当ブログでもアルゼンチン新世代フォルクローレ作品『Octogono』を今年紹介したコルドバ出身の男性SSW、Rodrigo Carazoが参加しています。

『Minimu』(2019年)は、メロディアスな脱力系ポップ・チューンがズラリと並びます。『Compartidas』(2020年)は、そのポップ路線を継承しつつ、より音響や音空間に拘ったエクスペリメンタル・ポップという印象を受けます。

アルゼンチン/南米の音楽に興味がなくてもポップ好きの人であれば、かなり楽しめる1枚だと思います。

この年末に一番ハマっている1枚です。

全曲紹介しときやす。

『Minimu』(2019年)

「Sonrriandando」
メロウ・ポップな脱力系インディー・ロックといったオープニング。女性コーラスも加わり、メロウ増し増しな感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=myZE0ed5hYY

「No te olvides」
和みモードのビューティフル・ポップ。聴いているだけで童心に戻っていきます。
https://www.youtube.com/watch?v=6HJfWvDm1jU

「Ei como estas」
僕好みのドリーミー・ポップ。Gonzaのポップ・センス全開の1曲。英米インディー・ロック/ポップ好きの人も気に入る1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=INH2DxVa8sY

「Agua」
Rodrigo Carazo参加。新世代フォルクローレ×エクスペリメンタル・ポップ的な雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=kCUcZSb9rKw

「Siete andando」
フォーキー・メロウ・ポップですがシタール、タブラによるアクセントが僕好みです。
https://www.youtube.com/watch?v=t9zErZF_AE4

「Dejo caer」
幻想的なポップ・チューン。終盤なリズミックなアクセントもいい感じ。
https://www.youtube.com/watch?v=L6G1TK5HyNc

「Llore las hojas」
僕好みの陽だまりメロウ・ポップ。初めて聴くのに懐かしい感じがします。
https://www.youtube.com/watch?v=WHWsFUusr5Y

「Sigo por ahi」
Gonzaのポップ・センスを感じる1曲。穏やかなドリーミー感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=HM8qdKAJZrc

「Las formas tristes」
ギターとシンセが織り成す幻想的なポップ・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=sM-gmEa8Nqw

「Solo sos」
『Minimu』のラストはGonzaがすべての演奏を担当したエクスペリメンタルなビューティフル・ポップ。
https://www.youtube.com/watch?v=_DkhQUaKjiw

『Compartidas』(2020年)

「Pacifica atlantica」
女性ヴォーカルをフィーチャーしたメロウ・チューンがオープニング。音の響きや音のない間がいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=iPH2yzY17zo

「Casita celeste」
この曲も女性ヴォーカルをフィーチャー。子供の声も聴こえてくるビューティフル・メロウ。これも童心に戻れそうな仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=qnCjkU7XBhI

「Corasonidos」
美しいヴォーカル・ワークに魅了されるビューティフル・ポップ。
https://www.youtube.com/watch?v=esJpsXR-p1M

「Gravedad」
エクスペリメンタルなドリーミー・ポップ。後半はジャズ風のエッセンスも聴こえてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=bAqrdJ5evAk

「Hadanaranhada」
これは完全にブラジリアン・メロウですね。ブラジル音楽好きの人であれば気に入るはず。Rodrigo Carazo参加。
https://www.youtube.com/watch?v=DM-KOJXhu5g

「Dia livre」
女性ヴォーカルをフィーチャーしたミステリアスな仕上がり。同じフレーズをおまじないのように繰り返します。
https://www.youtube.com/watch?v=Fj8pi8mLvGA

「Alejandra」
ポップ職人的な音響ポップ。白日夢の中に吸い込まれそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=Z9UO87oUXps

「Casa」
ラストはGonzaの妹の子供の声を素材に音をつけた遊び心のあるトラックで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=MPE2RIZ4JUc

Rodrigo Carazo『Octogono』(2020年)
posted by ez at 01:31| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする