2020年12月06日

Gregory Porter『All Rise』

"ザ・リアル・ヴォイス"の最新作☆Gregory Porter『All Rise』

発表年:2020年
ez的ジャンル:黒人男性ジャズ・シンガー
気分は... :大きな愛で、より良い世界に!

黒人男性ジャズ・シンガーGregory Porterの最新作『Take Me To The Alley』です。

ソウルフルで温かみのあるバリトン・ヴォイスで人々を魅了する"ザ・リアル・ヴォイス"Gregory Porterの紹介は、2014年のグラミー賞でBest Jazz Vocal Albumを受賞した3rdアルバム『Liquid Spirit』(2013年)、同じく2017年のグラミー賞でBest Jazz Vocal Albumを受賞した4thアルバム『Take Me To The Alley』(2016年)に続き3回目となります。

Nat King Coleへのトリビュートアルバム『Nat King Cole & Me』(2017)以来の新作となる『Take Me To The Alley』。オリジナル中心の新作という意味では『Take Me To The Alley』(2016年)以来、4年ぶりとなります。

8月終わりのリリースですが、冬の時期に聴いた方がフィットする1枚なのでは?

本作ではTroy Millerをプロデューサーに迎え、L.A.とパリでレコーディングし、ロンドン録音のロンドン交響楽団のストリングスも加わっています。

Troy Miller以外にGregory PorterKamau Kenyattaもプロデュースに加わり、レコーディングにはEmanuel Harrold(ds)、Jahmal Nichols(b)、 Chip Crawford(p)、Keyon Harrold(tp、flh)等のミュージシャンが参加しています。

全曲Gregory Porterのオリジナルです(共作1曲含む)。

ジャズ、ソウル、ブルース、ゴスペルを融合させた"ザ・リアル・ヴォイス"らしい1枚に仕上がっています。

愛に満ちたオープニング「Concorde」Bill Withers「Grandmas's Hands」を意識した「Dad Gone Thing」、ロンドン交響楽団を従えたジェントル・バラード「If Love Is Overrated」、ゴスペル・フィーリングの「Revival Song」Marvin Gayeを意識した「Faith In Love」、深い愛に包まれた「Everything You Touch Is Gold」、実質的なタイトル曲「Phoenix」、"ザ・リアル・ヴォイス"らしいビューティフル・バラード「Real Truth」など充実の全15曲です。

先の見えない世界の危機的状況に希望を与えてくれる"ザ・リアル・ヴォイス"に耳を傾けましょう。

全曲紹介しときやす。

「Concorde」
自分にとってかけがえのない場所が家族であることを歌った愛に満ちたオープニング。オープニングから感動的な"ザ・リアル・ヴォイス"で胸に込み上げてくるものがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=jvIb__axcDI

「Dad Gone Thing」
Bill Withers「Grandmas's Hands」を意識した楽曲。タイトルにもそれが反映されています。ソウルなGregory Porterを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=1zBgR2ihC6E

「Revival Song」
Gregory Porter/Oli Rockberger/Troy Miller作。ハンドクラップ入り!ゴスペル・フィーリングのダイナミックな1曲。女性コーラス隊を従え、どんな時もベストな自分でいろ、少なくともそれを目指せ!と困難な時代を生きる我々を鼓舞します。
https://www.youtube.com/watch?v=kLUzdIFCBWY

「If Love Is Overrated」
ロンドン交響楽団の美しいストリングスを従えたジェントル・バラード。"ザ・リアル・ヴォイス"の優しい歌声が心を温めてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=na01DRa_XH0

「Faith In Love」
僕の一番のお気に入り。Marvin Gayeを意識した現代のニューソウル。大きな愛で聴く者を包み込んでくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=hjILTwRfGDk

「Merchants Of Paradise」
ソプラノ・サックスのソロやマリンバによるアクセントをはじめ、美しいサウンドと"ザ・リアル・ヴォイス"の調和が素晴らしい1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=UGA2uWKaCNg

「Long List Of Troubles」
タイトルの通り、トラブル・ムードがサウンドにもヴォーカルにも表れています。
https://www.youtube.com/watch?v=jIs1A5eBcpQ

「Mister Holland」
Black Lives Matterに触発され、人種問題について語った社会派ソング。"ザ・リアル・ヴォイス"の切実な歌声が聴く者の問題意識を高めます。
https://www.youtube.com/watch?v=1rC3JKlaer0

「Modern Day Apprentice」
再びロンドン交響楽団の美しいストリングスを従えた感動バラード。しみじみとした感じがたまりません・・・
https://www.youtube.com/watch?v=CxPHpa3i9zQ

「Everything You Touch Is Gold」
深い愛に包まれた感動バラード。聴いているだけに気持ちが優しくなります。Keyon Harroldがソロで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=zHctV8ZofSs

「Phoenix」
『All Rise』というタイトルとも結びついた実質的なタイトル曲。多くの人がGregory Porterに求めているであろうグルーヴィー&ソウルフルな仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=T3GG8NRZaD8

「Merry Go Round」
ジェントルなジャズ・バラード。童心に戻ったような気分になれます。
https://www.youtube.com/watch?v=x-wtXdn93Iw

「Real Truth」
"ザ・リアル・ヴォイス"らしい大きな愛に包まれたビューティフル・バラード。12月の気分にフィットする感動的な1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=AS61CpBhjTY

「You Can Join My Band」
オーセンティックながらも2020年仕様のジャズになっているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=oEXGpW7FU8k

「Thank You」
ラストはスウィンギーな演奏にゴスペル調コーラスが加わり、楽しげな雰囲気です。12月の気分にピッタリな1曲で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=3yRZK43gfyE

Gregory Porterの他作品もぜひチェックを!

『Water』(2011年)
Water

『Be Good』(2012年)
Be Good

『Liquid Spirit』(2013年)
リキッド・スピリット

『Take Me To The Alley』(2016年)
希望へのアレイ

『Live in Berlin』(2016年)


『Nat King Cole & Me』(2017)


『One Night Only: Live at the Royal Albert Hall』(2018年)
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2020年12月05日

The Fantastic Four『Night People』

貫禄のデトロイト・ソウル☆The Fantastic Four『Night People』
the fantastic four alvin stone night people.jpg
発表年:1976年
ez的ジャンル:デトロイト・ソウル・グループ
気分は... :ステレオタイプよりアーキタイプを!

今回はデトロイトのソウル・グループThe Fantastic Four『Night People』(1976年)です。

※単独CD化は未実現であり、上記ジャケおよびリンクは『Alvin Stone (The Birth and Death of a Gangster)』(1975年)との2in1CDです。

1965年デトロイトで結成されたソウル・グループThe Fantastic Fourの紹介は、Westboundから第一弾アルバムは『Alvin Stone (The Birth and Death of a Gangster)』(1975年)に続き2回目となります。

Westbound第二弾アルバムとなる本作『Night People』(1976年)におけるメンバーは、James EppsJoseph PruittCleveland HornePaul Scottの4名。

前作『Alvin Stone (The Birth and Death of a Gangster)』からErnest Newsomeが抜け、Paul Scottが新加入しています。

プロデュースは前作と同じAl Kent
Tom Moultonがミックスを手掛けています。

11分超のファンキー・ディスコ・メドレー「Medley: Night People/Lies Divided By Jive」、同じくディスコな「If I Lose My Job」、ノーザン・ダンサーな「Hideaway」、貫禄十分のソウル・バラード「By The River Under The Tree」、ストリングス・アレンジが印象的なソウル・ダンサー「Don't Risk Your Happiness On Foolishness」、感動的なバラード「They Took The Show On The Road」など量より質の全6曲です。

ソウル・グループとしての魅力とダイナミックなサウンドが結びついた充実作です。

全曲紹介しときやす。

「Medley: Night People/Lies Divided By Jive」
Al Kent/Cleveland Horne/Curtis Colbert/James Epps作。冴える11分超のファンキー・ディスコのメドレーがオープニング。ヴォーカル・グループの良さを生かしつつ、Tom Moultonミックスらしいフロア仕様のダイナミックなディスコ・チューンに仕上がっているのがいいですね。11分超の長尺に相応しいトラックだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=kIK7GNoRCxY

「If I Lose My Job」
Al Kent作。クラヴィネットの響きと壮大なストリングスが印象的なディスコ・チューン。冒頭2分はインスト・パートですが、ヴォーカル・パートが始まった途端、James Eppsのリードと圧倒的な存在感を示しています。、
https://www.youtube.com/watch?v=iLF13guEj0k

「Hideaway」
Al Kent作。ホーン&ストリングスが冴えるノーザン・テイストのソウル・ダンサー。躍動感があっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=5H0YxtsMU_4

「By The River Under The Tree」
Joseph Pruitt/James Epps作。貫禄のヴォーカル・ワークで魅了する聴き応え十分のソウル・バラード。

「Don't Risk Your Happiness On Foolishness」
Al Kent作。雰囲気のあるストリングス・アレンジが印象的なソウル・ダンサー。この曲もTom Moultonによるミックスが活きているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=w4sdbzI-5rM

「They Took The Show On The Road」
Al Kent作。ラストは神の導きを呼び込む感動的なバラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=QA2Wdlj-z3E

The Fantastic Fourの他作品もチェックを!

『The Fantastic Four』(1969年)
ベスト・オブ・ファンタスティック・フォー

『Got to Have Your Love/B.Y.O.F. (Bring Your Own Funk) 』(1977年/1978年)
GET TO HAVE YOUR LOVE
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2020年12月03日

Greenwood『Lost In Paradise』

山下達郎「Sparkle」をカヴァー☆Greenwood『Lost In Paradise』

発表年:2014年
ez的ジャンル:ハワイ日系バンドAOR/レア・グルーヴ/フリーソウル
気分は... :季節外れのサマー・ブリージン!

山下達郎「Sparkle」のカヴァーで話題となったハワイの日系バンドGreenwood『Lost In Paradise』(2014年)です。
※リリースは2014年ですが、80年代にレコーディングした音源も含まれるので80年代カテゴリーに分類しておきます。

Greenwoodは日系人のRobin Kimura中心としたハワイのバンド。バンド・メンバーの多くが日系人です。

1972年に結成されたバンドですが、リリースとしては1985年に自主制作のシングル「Cheerleader Strut」1枚を残したのみです。

「Cheerleader Strut」は和製Earth, Wind & Fire(EW&F)と呼ばれた日本のバンド、スペクトラム「ミーチャン Going to the Hoikuen」のカヴァーです。

そして、そのシングルのB面に山下達郎「Sparkle」のカヴァーが収録されていました。

その後バンドは解散してしまいますが、2007年頃から活動を再開します。時を同じくしてMURO氏『Hawaiian Breaks』(2009年)に「Sparkle」が収録されたことでGreenwoodへの再評価が一気に高まります。

そんな流れで、制作されたアルバムが本作『Lost In Paradise』(2014年)です。「Sparkle」「Cheerleader Strut」をはじめ80年代にレコーディングした音源も含まれています。

本作におけるメンバーはCurtis Takahama(vo、as、per)、Michael Chock(vo、tb)、Owen Kajiwara(g)、Dwayne Higa(key)、Robin Kimura(b)、Bradley Choi(ds)、Miles Ichida(tp)、Mark Silva(tp、tb、flh、vo、per)、Steven Matsumoto(tp、vo)、Randall Hoo(ts、as、fl、per)、Wayne Nakamura(bs、ts、as、per)、Steven Lee(vo、per)。

アルバムは全曲カヴァー。特に目を引くのは「Sparkle」「Cheerleader Strut」というJ-POPカヴァー2曲(実際にはJ-POPカヴァーは3曲)ですが、それ以外のカヴァー・センスも素晴らしいです。

個人的にはMalo「Suavecito」Boz Scaggs「We Were Always Sweethearts」という当ブログでも絶賛していた2曲のカヴァーに歓喜してしまいました。

本来は夏向けのアルバムですが、コロナの第三波が本格化し、鬱積した思いが募る中、季節外れのサマー・ブリージンで心を浄化させるのもいいかな・・・と思い取り上げてみました。

「Sparkle」カヴァーだけでは終わらない魅力を持った1枚です。
失われたパラダイスを取り戻そう!

曲単位のYoutube音源が少ないのでフルアルバムの音源を挙げておきます。
Greenwood『Lost In Paradise』
https://www.youtube.com/watch?v=9VupywC2hF8

全曲紹介しときやす。

「Sparkle」
山下達郎の名曲カヴァー(作詞:吉田美奈子/作曲:山下達郎)。オリジナルは『FOR YOU』(1982年)収録。オリジナル同様に爽快ギター・カッティングが心地好いですね。あとはヴォーカルの声質が達郎氏とは異なるので、そのあたりの違いがハワイアンAORテイストになっていると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=eL0WxH8KAHc

「Get Ready」
The Temptationsのカヴァー(Smokey Robinson作)。オリジナルは『Gettin' Ready』(1966年)収録。ノーザン・ソウルなオリジナルのイメージを残しつつ、ホーン隊を活かしたダイナミックなロック・チューンに仕上がっています。

「Pretty Lady」
カナダのロック・バンドLighthouseのカヴァー(Skip Prokop作)。オリジナルは『Can You Feel It』(1973年)収録。オリジナルのメロウネスをさらに高めたようなハワイアンAOR/フリーソウル的な仕上がりがいいですね。

「If That’s the Way You Want It」
ソウル/ディスコ・グループTavaresのカヴァー(Dennis Lambert & Brian Potter作)。オリジナルは『Check It Out』(1973年)収録。メロウ・ソウルなオリジナルからテンポを少し落としたメロウ・ミディアムで聴かせてくれます。

「Summer Sun」
シカゴのローカル・バンドJamestown Massacre、1972年のシングルをカヴァー(Tom Powers作)。この隠れたサマー・アンセムをカヴァー・セレクトした時点でGreenwoodの勝ちですね。オリジナルをさらに爽快メロウにした素敵なサマー・ブリージンで魅せてくれます。
Jamestown Massacre「Summer Sun」
 https://www.youtube.com/watch?v=UM9Ry95c3yc

「Suavecito」
ラテン・ロック・バンドMaloのカヴァー(Abel Zarate/Pablo Tellez/Richard Bean作)。オリジナルは『Malo』(1972年)収録。僕が何度となく絶賛してきた名曲を、オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、ハワイのサンセット・モードにフィットするハワイアンAORとして聴かせてくれます。
Malo「Suavecito」
 https://www.youtube.com/watch?v=l91yWg_5xM0

「Prelude」
次曲へのプレリュードとなるインスト小曲。

「We Were Always Sweethearts」
Boz Scaggsの隠れた名曲をカヴァー(Boz Scaggs作)。オリジナルは『Moments』(1971年)収録。以前にブログでも書きました僕が一番好きなBoz Scaggsソングです。正直、オリジナルの方が断然いいですが、お気に入り曲をカヴァーしてくれた時点で感謝感激です。オリジナルもホーン・サウンドが目立つので、その意味でホーン・サウンドを重視するGreenwoodがこの曲をセレクトするのは納得ですね。
Boz Scaggs「We Were Always Sweethearts」
 https://www.youtube.com/watch?v=wEAEdVLUs_4

「Them Changes」
Jimi HendrixBand Of Gypsysで演奏していたBuddy Miles作品をカヴァー。オリジナルは『Them Changes』(1970年)収録。オリジナル同様にファンキー・ホーン隊を従えたファンク・ロックなGreenwoodを楽しめます。
Buddy Miles「Them Changes」
 https://www.youtube.com/watch?v=_DDbjm_fId8

「Never Can Say Goodbye」
スペクトラムのカヴァー1曲目(作詞:篠塚満由美/作曲:渡辺直樹)。オリジナルは『スペクトラム4 SECOND NAVIGATION』(1981年)収録。感動的なラブ・バラードをハワイアンAORテイストで聴かせてくれます。
スペクトラム「Never Can Say Goodbye」
 https://www.youtube.com/watch?v=EqwF1E8hO0w

「Cheerleader Strut」
スペクトラムのカヴァー2曲目(スペクトラム作)。オリジナルは「ミーチャン Going to the Hoikuen」のタイトルで『スペクトラム2 OPTICAL』(1980年)に収録。オリジナルのリラックスしたメロウ・ファンクをよりアーバン・テイストで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=za-yDao6zqA
スペクトラム「ミーチャン Going to the Hoikuen」
 https://www.youtube.com/watch?v=DJGPUek02WA

ご興味がある方は本作でカヴァーされたオリジナルが収録されたアルバムの過去記事もご参照ください。

Buddy Miles『Them Changes』(1970年)


Boz Scaggs『Moments』(1971年)


Malo『Malo』(1972年)
マロ MALO
posted by ez at 05:14| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月02日

Salt-N-Pepa『Brand New』

女性Hip-Hopユニットのパイオニアのラスト作☆Salt-N-Pepa『Brand New』

発表年:1997年
ez的ジャンル:女性Hip-Hopユニットのパイオニア
気分は... :ハッピー・エンディング!

今回は女性Hip-Hopユニットの草分けSalt-N-Pepa『Brand New』(1997年)です。

Salt-N-Pepaは1986年にN.Y.で結成された女性Hip-Hopユニット。

Salt (Cheryl James)Pepa (Sandra Denton)の女性MC二人は、その前身Super Natureとして、1985年にシングル「The Show Stoppa (Is Stupid Fresh)」をリリースしています。

その後、LaToya HansonがDJとしてが加わり、グループ名をSalt-N-Pepaと改名し、1986年にデビュー・アルバム『Hot, Cool, Vicious』(1986年)をリリース。アルバム収録の「Push It」は1987年から1988年にかけてヒットし、USチャート第19位、UKチャート第2位となっています。

1987年にはDJがLaToya HansonからSpinderellaへ代わり、2ndアルバム『A Salt With a Deadly Pepa』(1988年)をリリース。アルバムからはシングル「Shake Your Thang」がUS R&Bチャート第4位のヒットとなりました。

SaltPepaSpinderellaの体制で、さらに『Blacks' Magic』(1990年)、『Very Necessary』(1993年)、『Brand New』(1997年)といったアルバムをリリースしています。

特に『Very Necessary』(1993年)からは、「Shoop」(USチャート第4位、同US R&Bチャート第3位)、En Vogueと共演した「Shoop」(USチャート第3位、同US R&Bチャート第3位)という2大ヒットが生まれています。

本作『Brand New』(1997年)は、グループとしてのラスト・アルバムです。しかし、ラスト・アルバムとは思えない躍動感とグループの成熟度を感じる実にキャッチーな1枚に仕上がっています。

Hip-HopとR&Bをキャッチーに融合させた感じが本作の魅力だと思います。

アルバムにはSheryl CrowMad LionQueen LatifahKirk FranklinSounds Of Blacknessが客演しています。

個人的には、Rick James「Give It to Me Baby」をサンプリングした2ndシングル「Gitty Up」、Lee Dorsey「Get Out of My Life, Woman」をサンプリングした「Good Life」、Suga Free feat. Playa Hamm「If U Stay Ready」をサンプリングした「Do Me Right」Sheryl Crowをフィーチャーした「Imagine」Rose Royce「Ooh Boy」ネタの「Boy Toy」、セクシー&グルーヴィーなタイトル・トラック「Brand New」あたりが僕のおススメです。

90年代女性R&Bグループがお好きな人であれば楽しめる、女性Hip-Hopユニットのパイオニアのラスト作です。

全曲紹介しときやす。

「R U Ready」
Rufus Mooreをフィーチャー。Al West/Chad Elliott/Saltプロデュース。アルバムからの1stシングル。Brass Construction「Watch Out」をサンプリング。キャッチーなHip-Hopチューンですが、多少面白みに欠ける気も・・・
https://www.youtube.com/watch?v=YekRiH3O-Fo

「Good Life」
Chad Elliott/Saltプロデュース。Lee Dorsey「Get Out of My Life, Woman」をサンプリング。本作らしいR&BとHip-Hopのバランスが取れたキャッチーなトラックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=3Mor-v84NpA

「Do Me Right」
Joseph Powell/Saltプロデュース。Suga Free feat. Playa Hamm「If U Stay Ready」をサンプリング。90年代女性R&Bグループがお好きな人であれば気に入るあろう妖艶なグルーヴィー・トラックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZORRldG-7fI

「Friends」
Mad Lion、Queen Latifahをフィーチャー。Joseph Powell/Pepaプロデュース。Queen Latifahとの女性Hip-Hopユニットのパイオニア同士の共演は興味深いですね。でも、それ以上にMad Lionによるダンスホール的なダミ声ラップが印象的です。The Honey Drippers「Impeach the President」、Audio Two「Top Billin'」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=1qeqiNkWRIk

「Say Ooh」
Chad Elliott/Saltプロデュース。Larry Young「Turn Off the Lights」をサンプリング。これもR&B的なセクシーなHip-Hopチューンに仕上がっており、実にキャッチーです。
https://www.youtube.com/watch?v=Xv7-P_ItTzs

「Imagine」
Sheryl Crowをフィーチャー。Joseph Powell/Saltプロデュース。当時大人気であったSheryl Crowの客演は話題作りとしては申し分ないないですね。異種格闘のようですが、ロック・フィーリングを巧みに取り込んだ妖艶なR&B/Hip-Hopに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=gL47tW_kc7A

「Knock Knock」
David Wynn/Joseph Powell/Pepaプロデュース。目立ちませんが、90年代女性R&Bグループ的なエッセンスを取り込んだなかなかキャッチーなトラックだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=r6rBCVsT_jY

「Gitty Up」
Rufus Mooreフィーチャー。Al West/Chad Elliottプロデュース。アルバムからの2ndシングル。ヒットはしませんでしたが、Rick James「Give It to Me Baby」をサンプリングを効果的に使ったシングル向きのトラックは僕のお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=VGKAk7djRkk

「Boy Toy」
Al West/Chad Elliott/Pepaプロデュース。Rose Royce「Ooh Boy」ネタのフレーズがキャッチーなメロウ&グルーヴィーな仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=3I4a4iCWw9s

「Brand New」
Joseph Powell/Esmail/Sean Matherプロデュース。タイトル・トラックはGary Wright「Love Is Alive」ネタのトラックが格好良い、妖艶なグルーヴィー・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=y5209lPAoLk

「Silly Of You」
Saltプロデュース。Deniece Williams「Silly」ネタも使った躍動するHip-Hopグルーヴです。
https://www.youtube.com/watch?v=9VSPxEn07bM

「The Clock Is Tickin'」
Saltプロデュース。ロッキン・フィーリングのトラックが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=f6M2IjavSbE

「Hold On」
Kirk FranklinSounds Of Blacknessというコンテンポラリー・ゴスペル・アーティスト2組をフィーチャー。Joseph Powell/Saltプロデュース。当然のことながらコンテンポラリー・ゴスペルのエッセンスを取り入れたグルーヴィー・トラックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=M1StGYfJjiE

Salt-N-Pepaの他作品もチェックを!

『Hot, Cool, Vicious』(1986年)


『A Salt With a Deadly Pepa』(1988年)


『Blacks' Magic』(1990年)


『Very Necessary』(1993年)
posted by ez at 09:47| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月01日

Alceu Valenca『Molhado De Suor』

ノルデスチ産ロックの雄☆Alceu Valenca『Molhado De Suor』

発表年:1974年
ez的ジャンル:ノルデスチ産ブラジリアン・フォーキー
気分は... :遂に12月突入・・・

ノルデスチ産ロックの雄Alceu Valenca『Molhado De Suor』(1974年)です。

Alceu Valencaは1946年ブラジル北東部のペルナンブコ州サン・ベント・ド・ウナ生まれ。

1972年にMPBシンガー/ギタリストGeraldo Azevedoとの共同名義アルバム『Alceu Valenca & Geraldo Azevedo』(1972年)でデビューします。

70年代は必ずしも商業的な成功を収めることができませんでしたが、80年代にはヒットを飛ばし、人気ミュージシャンの仲間入りを果たしています。

本作『Molhado De Suor』(1974年)は、『Alceu Valenca & Geraldo Azevedo』(1972年)に続く2ndアルバムであり、ギター&カヴァキーニョによるサウンドを中心に、ロックとノルデスチの融合にアプローチした作品です。

楽曲はすべてAlceu Valencaのオリジナル。

レコーディングにはAlceu Valenca(vo、g)以下、Geraldo Azevedo(g、cavaquinho)、 Piri(g、bandolin)、Cassio(g、b)、Joao Cortez(ds、per)、Hermes(per)、 Ronaldo(fl)、Waltel Branco(strings & brass arr)といったミュージシャンが参加しています。

プロデュースはEustaquio Sena

ロックとノルデスチの融合といっても全体としてはクセのあるブラジリアン・フォーキーといった印象です。その独特のクセがノルデスチな味わいということになるのでしょうが。

派手さはありませんが、いい味わいの1枚です。

ワイルドなジャケがに気になった方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Borboleta」
ストリングスを配した哀愁チューンがオープニング。少しノスタルジックな物悲しさがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=f1hwNtmofrE

「Punhal De Prata」
何処となくインド・テイストを感じるパーカッシヴな仕上がり。ノルデスチとインドはつながっている?
https://www.youtube.com/watch?v=QzhrPP-lfiA

「Dia Branco」
ヒネリの効いたブラジリアン・フォーキー。フォーク・ロック×ノルデスチといった感じでしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=iMi-B9RP50Y

「Cabelos Longos」
ロックとノルデスチの融合を楽しめる1曲。サイケなファズ・ギターも僕好みです。
https://www.youtube.com/watch?v=xz6gJ4Cf9mw

「Chutando Pedras」
彼の風貌そのままにミステリアスな野性味を持ったアコースティック・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=rRENEQM1PrI

「Molhado De Suor」
僕好みのパーカッシヴなブラジリアン・フォーキー・グルーヴ。この演奏も少しインド風味を感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=NyyI-jbRA18

「Mensageira Dos Anjos」
哀愁ブラジリアン・フォーキー。ブラジル音楽らしい語り口とサウンドがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=pEDbyzhmClw

「Papagaio Do Futuro」
リラックスしたアコースティック・アンサンブルを楽しめます。不真面目でテキトーな感じが魅力です(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=VzlzRiUVMN4

「Dente De Ocidente」
呪術的ムードのフォーキー・チューン。Alceu Valencaワールドを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=xB3BTlc0jlc

「Pedras De Sal」
ラストはミステリアスなのに牧歌的なフォーキー・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=TeDzYmDppvc

Alceu Valencaの他作品もチェックを!

Alceu Valenca & Geraldo Azevedo『Alceu Valenca & Geraldo Azevedo』(1972年)


『Vivo!』(1976年)


『Espelho cristalino』(1977年)


『Cavalo de pau』(1982年)


『Estacao da Luz』(1985年)


『Maracatus, Batuques e Ladeiras』(1994年)


『Sol e Chuva』(1997年)
posted by ez at 02:55| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする