発表年:1971年
ez的ジャンル:Invictus系デトロイト・ソウル
気分は... :曰く付きですが・・・
今回はデトロイトのソウル・グループThe 8th Dayのデビュー・アルバム『The 8th Day』(1971年)です。
The 8th Dayはリード・ヴォーカルMelvin Davisを中心にデトロイトで結成されたソウル・グループであり、Holland-Dozier-HollandのInvictusから、『The 8th Day』(1971年)、『I Gotta Get Home (Can't Let My Baby Get Lonely)』(1973年)という2枚のアルバムをリリースしています。
今回紹介するデビュー・アルバム『The 8th Day』(1971年)は、素晴らしい内容でありながらも、曰く付きの1枚です。
それは彼らと同時期にHolland-Dozier-HollandのHot Waxから作品をリリースしていたSteve Mancha率いる100 Proof Aged In Soulの楽曲がThe 8th Day名義で本作に収録されているためです。
その2曲とはオープニングの「She's Not Just Another Woman」とエンディングの「I've Come To Save You」。この2曲は100 Proof Aged In Soulのデビュー・アルバム『Somebody's Been Sleeping In My Bed』(1971年)にも同じトラックが収録されています。
このあたりはHot Wax作品とInvictus作品の配給会社の違いから、こうしたおかしな状況が生まれた模様です。
ということで、全9曲中7曲が本来のThe 8th Dayなのですが、看板のMelvin Davisがリード・ヴォーカルをとるのが4曲、残り3曲は他のメンバーがリード・ヴォーカルをとります。このあたりも少しビミョーなのですが・・・
このようなビミョーな事情があるアルバムですが、中身が素晴らしいことには変わりません。
プロデュースはRon Dunbar。
Melvin Davisのヴォーカルを満喫できるという意味では、「You've Got To Crawl Before You Walk」、「Too Many Cooks (Spoil The Soup)」の2曲がハイライト。残る「Just As Long」、「I'm Worried」の2曲も悪くありません。
他のヴォーカリストの曲であれば、「Enny-Meeny-Miny-Mo (Three's A Crowd)」、「I Can't Fool Myself」がいいですね。
そして、100 Proof Aged In Soulの2曲も既に『Somebody's Been Sleeping In My Bed』(1971年)で聴いていますが、トラックとしては素晴らしいです。
多彩なソウル・ヴォーカリストを満喫できるアルバムとして楽しめば良いのでは?
全曲紹介しときやす。
「She's Not Just Another Woman」
Clyde Wilson(Steve Mancha)/Ron Dunbar作。100 Proof Aged In Soulの曲を8th Day名義でリリースされたもの。8th Day名義でシングル・リリースもされました。100 Proof Aged In Soul名義のトラックは『Somebody's Been Sleeping In My Bed』(1971年)収録。Steve Manchaらしい男臭いヴォーカルを満喫できるゴツゴツしたミディアム・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=kaP-Q_q0KOo
Biz Markie「She's Not Just Another Woman (Monique)」、DJ Quik「Born and Raised in Compton」、Frankie HI-NRG MC「Combatto La Tua Idea」のサンプリング・ソースとなっています。
Biz Markie「She's Not Just Another Woman (Monique)」
https://www.youtube.com/watch?v=2gZVfOcu5BY
Frankie HI-NRG MC「Combatto La Tua Idea」
https://www.youtube.com/watch?v=9l2kzt4hVKA
「You've Got To Crawl Before You Walk」
Angelo Bond/General Johnson/Greg Perry/Ron Dunbar作。ここからがMelvin Davisがヴォーカルをとる本当の8th Day。パーカッションの効いたファンキー・サウンドをバックにMelvin Davisのヴォーカルが躍動する本曲のハイライトの1つ。ヤング・ソウルな魅力がありますね。当ブログではThe Lost Generationのカヴァーも紹介済みです。
https://www.youtube.com/watch?v=QpQw4xMGXVQ
「Too Many Cooks (Spoil The Soup)」
Edith Wayne(Holland-Dozier-Holland)/Angelo Bond/Ronald Dunbar作。100 Proof Aged In Soulのデビュー・シングルにもなった楽曲(アルバム『Somebody's Been Sleeping In My Bed』収録)ですが、ここではちゃんとMelvin Davisがヴォーカルをとる8th Dayヴァージョンとなっています。このファンキー・グルーヴについては、100 Proof Aged In Soulより本ヴァージョンの方が格好良いと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=gFCdmz6YgKY
「La-De-Dah」
George Plummer/Ron Dunbar作。Sam Cooke調のリード・ヴォーカルはMelvin Davis以外みたいです。
「Enny-Meeny-Miny-Mo (Three's A Crowd)」
Angelo Bond//Ron Dunbar作。60年代Motown調のキャッチーなソウル・グルーヴ。このリード・ヴォーカルはMelvin Davisじゃない人ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=tOZadbWh7xs
「Just As Long」
Ron Dunbar/Russell Stringer作。Melvin Davisの素晴らしいヴォーカルを満喫できるミディアム・バラード。ジワジワと込み上げてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=eBQDXrnVgE4
「I Can't Fool Myself」
Angelo Bond/General Johnson/Greg Perry作。Melvin Davis以外のリード・ヴォーカルですが、いい雰囲気の哀愁バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=GgqAlTzGB8I
「I'm Worried」
Ron Dunbar作。Melvin Davisがリード・ヴォーカルをとる魅惑の哀愁バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=hWILmLSLeKE
「I've Come To Save You」
Clyde Wilsonn(Steve Mancha)作。このトラックも100 Proof Aged In Soulの曲を8th Day名義でリリースされたもの。100 Proof Aged In Soul名義のトラックは『Somebody's Been Sleeping In My Bed』(1971年)収録。ソウル・ヴォーカル・グループらしいディープなスロウ・ミディアム。これはこれで素晴らしい出来栄えだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=-xjFdX9KnsE
CDにはボーナス・トラックとして、「She's Not Just Another Woman (instrumental)」、「Eeeny-meeny-miny-mo (instrumental)」、「If I Could See The Light Of The Window」、「If I Could See The Light Of The Window (instrumental)」の4曲が追加収録されています。
『I Gotta Get Home (Can't Let My Baby Get Lonely)』(1973年)