2020年12月30日

Ben Sidran『The Doctor Is In』

人気曲「Song For A Sucker Like You」収録☆Ben Sidran『The Doctor Is In』
ドクター・イズ・イン(紙ジャケット仕様)
発表年:1977年
ez的ジャンル:Dr.Jazzジャズ/AOR
気分は... :今年最後の1枚!

明日の大晦日は恒例の『ezが選ぶ2020年の10枚』をエントリー予定であり、作品のエントリーは今回は2020年最後です。

2020年締め括りの1枚は、"Dr.Jazz"Ben Sidran『The Doctor Is In』(1977年)です。

これまで当ブログで紹介したBen Sidran作品は以下の6枚。

 『Feel Your Groove』(1971年)
 『I Lead A Life』(1972年)
 『Puttin In Time On Planet Earth』(1973年)
 『Don't Let Go』(1974年)
 『A Little Kiss In The Night』(1978年)
 『The Cat And The Hat』(1980年)

本作『The Doctor Is In』(1977年)は、『Free in America』(1975年)に続くAristaからの第2弾アルバムとなります。

プロデュースはBen Sidran自身。

レコーディング・メンバーはBen Sidran(p)以下、Larry Carlton(g)、Phil Upchurch(b)、Richard Davis (b)、Chuck Domanico(b)、John Guerin(ds)、Tony Williams(ds)、Ray Armondo(per)、Blue Mitchell(tp)、Gary Mallaber(tb)等。

ストリングス・アレンジはNick DeCaro

Horace Silverのカヴァー「Silver's Serenade」Charles Mingusのカヴァー「Good Bye Pork Pie Hat」、以外はBen Sidranのオリジナル。

シングルにもなった「Song For A Sucker Like You」がAOR方面からも人気ですが、基本的には"Dr.Jazz"らしいジャズ・センスを楽しむアルバムです。

その意味では、Horace SilverCharles Mingusというジャズ・ジャイアントのカヴァー2曲は、ジャズ・ミュージシャンとしてのBen Sidranを存分に楽しめます。

個人的には「Set Yourself Free」「Broad Daylight」といったジャジー・バラードや、「Get It Yourself」「One Way Grave」といった"Dr.Jazz"ならではのクロスオーヴァー感覚を楽しめるトラックもおススメです。

ちなみに、「Song For A Sucker Like You」「Set Yourself Free」の2曲は、Ben Sidran本人がプロデュースしたClementineによるBen Sidranカヴァー集『Sings Ben Sidran』(1993年)で取り上げられています。当ブログでも既にエントリー済みなので、こちらも同時チェックすると楽しいのでは?

Clementine『Sings Ben Sidran』(1993年)
パリス・ウォーク

"Dr.Jazz"の肩肘張らないジャズ・ワールドは年末モードにフィットするのでは?

全曲紹介しときやす。

「Get It Yourself」
"Dr.Jazz"ならではのジャズ・グルーヴにブルーアイド・ソウル的なテイストも加わったオープニング。聴いていて思わずニンマリしてしまうのが"Dr.Jazz"のセンスの良さですね。

「Song For A Sucker Like You」
邦題「世間知らずの歌」。シングルにもなった本作のハイライト。ブルーアイド・ソウル/AORな魅力があるメロウ・グルーヴ。軽快なリラックス感が心地好いですね。前述のようにClementineがカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=ktC4v5REfXM

「Broad Daylight」
小粋なジャジー・ソング。"Dr.Jazz"のピアノを楽しめます。少し着飾ったディナー・タイムのBGMといった雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=dNHvSTAKyhw

「One Way Grave」
ジャズ×R&B/ソウル×ロックな"Dr.Jazz"のクロスオーヴァー感覚を楽しめる1曲。ジワジワとDr.Jazzワールドが沁み渡ってきます。

「See You On The Other Side」
スウィンギーなヴォーカル・チューン。この語り口はDr.Jazzならではですね。変幻自在のピアノもいいですね。終盤にはBlue Mitchellのトランペット・ソロも楽しめます。

「Set Yourself Free」
僕好みのジャジー・メロウ・バラード。ハッピー・エンドの映画のエンディング・テーマといった趣です。ここでもBlue Mitchellのトランペットが盛り上げてくれます。この曲もClementineがカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=nCFOhlA-2ak

「Silver's Serenade」
Horace Silver作品をカヴァー。オリジナルは『Silver's Serenade』(1963年)に収録されています。当ブログではGene Russellのカヴァーも紹介済みです。Richard Davis(b)、Tony Williams(ds)のリズム隊を従え、Blue Mitchellも参加した本格的なジャズ・サウンドを楽しめます。パーカッションも加わり、軽快さが増しているのが僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=x9vDfAt2rrc

「Nobody's Fool」
ジャジー&ブルージーな仕上がり。こういう曲をサラッとやるところがDr.Jazzらしいのでは?

「Charlie's Blues」
リズム隊はRichard Davis(b)、Tony Williams(ds)。スウィンギーで小気味よい演奏がいい感じです。

「Good Bye Pork Pie Hat」
Charles MingusがLester Youngへの追悼で書いたスタンダードをカヴァー。Roland Kirk、Joni Mitchell、Jeff Beckもカヴァーしている楽曲です。当ブログではJudy Roberts Bandのカヴァーも紹介済みです。ジャズ・ピアニストとしてのBen Sidranを満喫できる感動的な演奏です。Chuck Domanicoのベースにもグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=-a0ZmGBwh7w

「Be Nice」
ラストはピアノの弾き語りによる小曲で締め括ってくれます。

Ben Sidranの他作品もチェックを!

『Feel Your Groove』(1971年)
夢の世界(紙ジャケット仕様)

『I Lead A Life』(1972年)
アイ・リード・ア・ライフ

『Puttin In Time On Planet Earth』(1973年)
プッティング・イン・タイム・オン・プラネット・アース

『Don't Let Go』(1974年)
ドント・レット・ゴー

『Free in America』(1976年)
フリー・イン・アメリカ(紙ジャケット仕様)

『A Little Kiss In The Night』(1978年)
ア・リトル・キッス・イン・ザ・ナイト(紙ジャケット仕様)

『The Cat And The Hat』(1980年)
ザ・キャット・アンド・ザ・ハット(紙ジャケット仕様)

『On The Cool Side』(1987年)
Ben Sidran - On The Cool Side

『Cool Paradise』(1990年)
Cool Paradise

Ben Sidran & Clementine『Spread Your Wings and Fly Now!!』(1988年)
スプレッド・ユア・ウィングス
posted by ez at 02:46| Comment(2) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする