2021年01月22日

David Pack『Anywhere You Go』

遅れてきたAOR人気作☆David Pack『Anywhere You Go』

発表年:1985年
ez的ジャンル:遅れてきたAOR
気分は... :A面に恋をして・・・

今回は遅れてきたAOR作品、David Pack『Anywhere You Go』(1985年)です。

AORブームが過ぎ去った1985年のAOR作品。
当時、大学生であった僕は音楽嗜好がロックからソウル/ファンクへシフトしていった時期であり、AORも新譜で探すというよりも70年代後半〜80年代前半の作品を後追いでチェックする感じだったので、本作正直『Anywhere You Go』(1985年)についてはリアルタイムで全くノーチェックでした。

David Packは1952年、カリフォルニア州ハンティントン・パーク生まれ。

1970年、L.A.でロック・グループAmbrosiaを結成。
当初はL.A.で唯一のプログレッシブ・ロック・バンドとして注目されますが、3rdアルバム『Life Beyond L.A.』(1978年)、4thアルバム『One Eighty』(1980年)ではAOR路線に変更し、「How Much I Feel」(USチャート第3位)、「Biggest Part of Me」(USチャート第3位)、「You're the Only Woman (You & I)」(USチャート第13位)といったヒットを放ちました。

Ambrosia「How Much I Feel」(From 『Life Beyond L.A.』
 https://www.youtube.com/watch?v=hQB5qpxcixc
Ambrosia「Biggest Part Of Me」(From 『One Eighty』
 https://www.youtube.com/watch?v=ZegtqgCV_DM
Ambrosia「You're the Only Woman (You & I)」(From 『One Eighty』
 https://www.youtube.com/watch?v=MCdTHHjYxPo

『Road Island』(1982年)を最後にAmbrosiaは活動を休止。

その後、Patti Austin『Patti Austin』(1984年)で2曲をプロデュース&ソングライティングし、さらにJack Wagnerの大ヒット曲「All I Need」(1984年)のソングライティング(Clif Magness/Glen Ballardとの共作)を手掛けました。

そして、映画『White Nights』(1985年)のサントラへの参加を経て、ソロ・アルバムとなる本作『Anywhere You Go』(1985年)をリリースします。

プロデュースはDavid PackMichael Verdick「Prove Me Wrong」のみDavid Pack/James Newton Howardプロデュースです。

レコーディングにはDavid Pack(vo、g、key、b、prog)以下、Burleigh Drummond(per、back vo)、Joe Puerta(b、back vo)、Royce Jones(back vo)といったAmbrosia時代の同僚、TotoJeff Porcaro(ds)とMike Porcaro(b)、Michael McDonald(back vo)、James Ingram(back vo)、George Perilli(ds)、James Newton Howard(key)、Stanley Clarke(b)、John Robinson(ds)、David "Hawk" Wolinski (prog)、元KansasKerry Livgren(key、g)、同じくKansasJohn Elefante(back vo)、Ernie Watts(sax)、Jerry Hey(horn arr)、Paulinho Da Costa(per)、Jennifer Holliday(back vo)等のミュージシャンが参加しています。

本作をAOR名盤たらしめているのは、「I Just Can't Let Go」「That Girl Is Gone」という名バラード2曲の存在。

特にMichael McDonaldJames Ingramがバック・コーラスで参加した「I Just Can't Let Go」は人気なのでは?個人的にはもう一曲の「That Girl Is Gone」が一番のお気に入りです。

それ以外に都会的なロック・サウンドの「Anywhere You Go」「Won't Let You Lose Me」、後期Doobies風の「My Baby」もAORファンならば楽しめるはず!

結局、オリジナルLPのA面にあたる前半5曲がAORファン向けのトラックとなっています。それと比較して、B面の5曲は正直AORファン向けの音ではありません。そのあたりで本アルバムへの評価が分かれるかもしれません。

AORファンは前半5曲だけでも聴く価値があるアルバムだと思いますし、AORに拘らなければ、後半も80年代半ばならではの大人のロックの試行錯誤を楽しめるのでは?

とりあえず「I Just Can't Let Go」「That Girl Is Gone」の2曲はチェックしましょう!

全曲紹介しときやす。

「Anywhere You Go」
David Pack/Mike Porcaro/Jai Winding作。アーバンなロック・チューンがオープニング。80年代半ばって、この手のロック・サウンドは微妙な時期で、一歩間違えると陳腐な音に聴こえてしまいますが、本曲については今聴いても絶妙なバランスだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=n4b51ZY8ANM

「I Just Can't Let Go」
David Pack作。Michael McDonaldとJames Ingramが参加した名曲。シングルにもなりました。大物2人のコーラス・ワークが絶品のメロウ・バラード。本作のハイライトと呼べるかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=AaADuLeIRbA

リユニオンしたAmbrosiaでのセルフ・リメイク(1997年)、またDavid Packがプロデュースした1991年のPatti Austinヴァージョンにも、オリジナルと同じくMichael McDonaldJames Ingramがヴォーカルで参加しており、要チェックです。
Patti Austin 「I Just Can't Let Go」
 https://www.youtube.com/watch?v=WyNFaQc02Zw

「Won't Let You Lose Me」
Randy Goodrum/James Newton Howard/David Pack作。都会的な疾走感が格好良いロック・チューン。80年代らしいキラキラ感があっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=qiUxi8S4mic

「My Baby」
David Pack作。Burleigh Drummond、Joe Puerta、Royce JonesといったAmbrosia時代の仲間が参加したポップ・ソング。何処となく後期Doobie Brothers風な感じが僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=XhURGryVKmc

「That Girl Is Gone」
David Pack作。これぞAORといった絶品バラード。Davidのメロウな魅力が凝縮された名曲ですね。いつ聴いても込み上げてくるものがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=Dkgy2lzYfXk

「She Don't (Come Around Anymore)」
James Ingram/Michael McDonald/David Pack作。この3人の共作ということで注目される曲かもしれませんが、意外にもAOR度はあまり高くありません。ただし、AORへの拘りを捨てれば、80年代半ばのトレンドの中で、大人のロックを模索している感じで興味深く聴けます。
https://www.youtube.com/watch?v=2C127P98agE

「Do Ya」
Jamie Bernstein/David Pack作。良くも悪くも80年代半ばサウンドに仕上がっているダンサブル・チューン。ロッキン・ギターも印象的です。Stanley Clarke(b)、John Robinson(ds)が参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=8hw_if_ltOg

「Prove Me Wrong」
James Newton Howard/David Pack作&プロデュース。前述の映画『White Nights』(1985年)のサントラ収録曲です。映画や同サントラへの注目からシングルにもなりました。ただし、サウンド面では必ずしもAORファンの期待を満足するものではありません。この時代のサントラにありがちなKenny Loggins「Danger Zone」タイプのダンサブル・チューン(こちらの方が「Danger Zone」より先ですが)。
https://www.youtube.com/watch?v=tN8epTo1t3s

「No Direction (No Way Home)」
David Pack作。シンセ・ポップとして聴けば、楽しめるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=JSYk8dl0v1k

「Just Be You」
David Pack作。AOR色があまり感じられない後半でしたが、ラストはしっとりとしたラブ・バラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=zprwEGhgQBU

ご興味がある方はAmbrosiaのAOR系アルバムもチェックを!

Ambrosia『Life Beyond L.A.』(1978年)


Ambrosia『One Eighty』(1980年)
posted by ez at 02:40| Comment(4) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする