発表年:2020年
ez的ジャンル:ミナス系ブラジル人シンガー・ソングライター
気分は... :音楽家は静寂のスタイリスト!
新作アルバムからMarcos Ruffato『Vata』(2020年)です。
Marcos Ruffatoは、1983年ミナスジェライス生まれの男性シンガー・ソングライター。
音楽一家に育ち、Choro da Merceariaというショーロ・グループを結成し、地元で演奏活動を行っていました。
本作『Vata』は、クラウド・ファンディングで資金を集めて制作されたデビュー・アルバムです。
プロデュースはMarcos RuffatoとRafael Dutra
楽曲はすべてMarcos Ruffatoのオリジナル(共作含む)。
レコーディングにはMarcos Ruffato(vo、g)以下、Sergio Santos(vo)、Trio Amaranto(vo)、Jose Luis Braga(vo)、Rafaela Sueitt(vo)、Maira Manga(vo)、Barbara Barcellos(vo)、Leopoldina Azevedo(vo)、Edelson Pantera(vo)、Claudia Manzo(vo)、Irene Bertachini(vo)、Rafael Dutra(vo)、Mariah Carneiro(vo)、Rafael Macedo(vo)、Alexandre Andres(vo)、Toninho Horta(g)、Felipe Vilas Boas(g)、Carlos Walter(g)、Cristovao Bastos(p)、Davi Fonseva(el-p)、Camila Rocha(b)、Sa Reston(b)、Fabio Gouve(b)、Aloizio Horta(b)、Analu Braga(per)、Jack Will(per)、Taui Castro(per)、Daniel Guedes(per)、Yuri Vellasco(ds)、Eduardo Sueitt(ds)、Esdra "Nenem" Ferreira(ds)、Nonato Lima(accordion)、Breno Mendonca(sax)等のミュージシャンが参加しています。
ヴォーカルをMarcos Ruffato以外のシンガーに譲っている曲も多く、シンガーというよりトータル志向のミュージシャンという印象を受けます。
僕が本作を購入したのは昨年末ですが、もう少し早く購入して聴き込んでいれば、『ezが選ぶ2020年の10枚』に間違いなくセレクトしていたと思いまます。
たおやかで叙情あふれる歌心、ナチュラルな響きが美しい彩り豊かなアンサンブル、多彩なハーモニーとリズムを見事に昇華したという販売元の宣伝文句そのままの素敵な1枚に仕上がっています。
本作に参加しているミナスを代表する名ギタリストToninho Hortaは、本作を聴いて「山と海が出会う場所にいる感覚になった」と賛辞を述べています。
ブラジル音楽ファンのみならず、Carlos Aguirre、Rodrigo Carazoあたりのアルゼンチン・フォルクローレ好きの方にもフィットする1枚だと思います。
ブラジル音楽の新たな才能の誕生を祝福しましょう!
全曲紹介しときやす。
「O Azul」
本作の持つ、透明感に満ちた美しく躍動する音世界を満喫できるオープニング。言葉にできない感動が胸一杯に広がっていきます。Trio Amarantoがバック・コーラスを務め、Cristovao Bastos(p)、Camila Rocha(b)、Yuri Vellasco(ds)
https://www.youtube.com/watch?v=WR1W46Yfmfc
「Carta ao Patriota」
ミナスの新世代バンドGraveolaのメンバーJose Luis Bragaのヴォーカルをフィーチャー。コンテンポラリー感のある1曲に仕上がっています。Davi Fonsevaのエレピ、Felipe Vilas Boasのギターも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=w9xLCsFLAaw
「Peao-Rei」
ヴォーカルはRafaela SueittとMarcos。Taui Castroのパンデイロのビートが印象的なリズミックな演奏です。Nonato Limaのアコーディオンもいいアクセントとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=yCKXNIvGgts
「O Passo Faz o Chao」
ヴォーカルはIrene BertachiniとMarcos。Alexandre AndresとRafael Dutraがバック・コーラスで参加。伝統的なブラジル音楽とジャズをドラマティックに融合させた演奏がいいですね。Breno Mendoncaのフリーキーなサックスも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=M5X7TPPf4fY
「Frevo pra Acorda」
Toninho Hortaが参加。ヴォーカルはBarbara BarcellosとMarcosと。マルシャの軽々なリズム、Barbara Barcellosの晴れやかな歌声、Toninho Hortaの素晴らしいギター・ソロが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=pfFyolnH94Q
「Pescador」
ヴォーカルはMaira Manga。彼女の味わいのある歌声が映える深遠なフォーキー。フルートやバイオリンがいい雰囲気を演出します。
https://www.youtube.com/watch?v=oQV-jfP89kc
「Desanuvio」
波音の効果音をバックに、Leopoldina Azevedoがア・カペラで歌う小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=ta2xo55ABAc
「Jericoacoara e o Vento」
ヴォーカルはRafaela Sueitt。透明感のあるアコースティック・サウンドの響きの美しさが印象的な序盤、中盤以降は一転して躍動するというドラマティックな展開の1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=trqUkyiigGY
「Farol」
ヴォーカルはMarcos自身。弾き語り調の前半で一度演奏が終了後にサンバ調のリズムミックな後半が始まります。
https://www.youtube.com/watch?v=kItv_PVUAJg
「Setembro」
ヴォーカルはSergio Santos。フルートやクラリネットの音色でブラジル伝統音楽に室内楽的なアクセントが加わっている感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Pe4YsSuGd3Y
「A Significacao Antitetica das Auroras Primitivas」
ヴォーカルはClaudia ManzoとMarcos。伝統的な音楽を少しだけモダンな雰囲気で聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=W94Xm5Lu4yU
「Serra de Luz」
ヴォーカルはMariah Carneiro。僕好みのブラジリアン・メロウ。キュートなMariahの歌声とコンテンポラリーなブラジリアン・サウンドの組み合わせがサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=oOLYlMoHFoM
「Cortejo」
ヴォーカルはRafael MacedoとMarcos。少しノスタルジックな雰囲気の演奏が終わると、雨音と共にアルバムは幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=f-epol5XJ-M
早くも1月最終日。
どうやら緊急事態宣言は1か月延長になりそうですね。
ネット注文していたエルンスト・フリードリッヒ・シューマッハー著『スモール イズ ビューティフル』(講談社学術文庫)が届きました。1973年の本ですが、今読むべき1冊として先人の知恵に学びたく思います。