2021年02月04日

Clare Fischer『So Danco Samba』

グラミー3回受賞のピアニストによるボッサ・ジャズ☆Clare Fischer『So Danco Samba』

録音年:1964年
ez的ジャンル:USボッサ・ジャズ
気分は... :深化or探索?

今回は60年代ボッサ・ジャズからClare Fischer『So Danco Samba』(1964年)です。

Clare Fischer(1928–2012年)はミシガン州デュランド出身のピアニスト/バンド・リーダー/アレンジャー/コンポーザー。

60年代から2012年に逝去するまでにコンスタントにアルバムをリリースし、グラミーにも13回ノミネートされ、3回受賞しています。

それまでもBud Shankとの共演作『Bossa Nova Jazz Samba』(1962年)をはじめ、ボサノヴァに傾倒してきたClare Fischerですが、本作はタイトルからもイメージできるようにAntonio Carlos Jobim作品を中心としたボッサ・ジャズ作品です。

レコーディング・メンバーはClare Fischer(p、org)、Dennis Budimir(g)、Bob West(b)、Colin Bailey(ds)

「So Danco Samba」「Desafinado」「Quiet Nights (Corcovado)」「Girl From Ipanema」「How Insensitive」「One Note Samba」等のJobim名曲を躍動するジャズ・サンバやエレガントなボッサ・ジャズで聴かせてくれます。

また、「Pensativa」「Ornithardy」等のオリジナルもJobim名曲に引けを取らない素敵な仕上がりです。

ピアノ・トリオでなくギターも加わった編成によるサウンド・センスの良さも光ります。

単なるJobimカヴァー集ではないプラスαの魅力を持った1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「So Danco Samba」
Antonio Carlos Jobim作。躍動感の中にも小粋なセンスの光るジャズ・サンバで楽しませてくれるオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=CI5Q7Zrj5cs

本曲に関して、当ブログではSergio Mendes & Brasil'66Wanda Sa(Wanda De Sah)Roberto MenescalGimmicksJazzlife SextetStan Getz & Luiz BonfaPeter FesslerTill BronnerA TresCharlie ByrdSergio MendesTamba Trioのカヴァーを紹介済みです。

「Desafinado」
Antonio Carlos Jobim作。ピアノ・トリオのみならずギターが加わっている構成の効果を感じる小気味良いジャズ・サンバに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=MYm6NA5pV6c

本曲に関して、当ブログではこれまでNara LeaoRoberto MenescalGary McFarlandTania MariaOs 3 MoraisO QuartetoGal CostaJoao GilbertoNico Gomez & His OrchestraLaurindo Almeida & The Bossa Nova AllstarsTamba Trioのカヴァーを紹介済みです。

「Quiet Nights (Corcovado)」
Antonio Carlos Jobim作。エレガントなボッサ・ジャズですが、ここでもピアノ・ボッサにギター・ボッサの隠し味が効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=ILcOAvttAo0

本曲に関して、当ブログではJoanie SommersCannonball AdderleyWanda Sa(Wanda De Sah)Mario Castro-Neves & Samba S.A.Diane Denoir/Eduardo MateoEarl OkinDardanellesCassandra WilsonO QuartetoJon HendricksGenaiTilleryLaurindo AlmeidaCharlie ByrdTamba TrioMario Castro Neves & Samba S.A.のカヴァーも紹介済みです。

「Pensativa」
Clare Fischer作。思わず「これもJobim作品?」と勘違いしてしまうほどのボサノヴァ名曲群に引けを取らないオリジナル・ボッサ。Fischerのボサノヴァ傾倒ぶりを窺える1曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=I7qL6iQ8870

「Carnaval」
Clare Fischer作。軽快に躍動するオリジナル・ジャズ・サンバ。思い切り突っ込んでいる感じのドラムがいいですね。

「Girl From Ipanema」
Antonio Carlos Jobim作。お馴染みのボサノヴァ名曲を程良いテンポのアレンジで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=dT-Z2Oju3Hw

本曲に関して、当ブログではAgustin Pereyra LucenaDiane Denoir/Eduardo MateoRoberto MenescalBossacucanova & Roberto MenescalSheila Landis/Rick MatlePapikTrio 3DFreddie McCoyLaurindo AlmeidaCharlie ByrdSirius BSergio MendesTamba Trioのカヴァーも紹介済みです。

「Ornithardy」
Clare Fischer作。これもJobim作と錯覚しそうなジャズ・サンバ。躍動するリズム隊とバランスの取れたFischerのピアノ・タッチが絶妙ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=KaeJFzYNEmU

「O Amor em Paz」
Antonio Carlos Jobim作。ロマンティックなボッサ・ジャズをしっとりと聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Wkjgaqo_7oU

本曲に関して、当ブログではWanda Sa(Wanda De Sah)Trio 3DJon HendricksTill BronnerCharlie Byrdのカヴァーを紹介済みです。

「How Insensitive」
Antonio Carlos Jobim作。憂いを帯びた哀愁ボッサ・ジャズをエレガントに聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Dnz_Y0rJOj4

本曲に関して、当ブログではTriste JaneroDuke PearsonOscar PetersonEarl OkinStacey KentStan Getz & Luiz BonfaFlora PurimDusko Goykovichのカヴァーを紹介済みです。

「One Note Samba」
Antonio Carlos Jobim作。ラストは小気味良さとエレガントさを兼ね備えたジャズ・サンバで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=iOqXggWJ37I

本曲に関して、当ブログではSergio Mendes & Brasil'66以外にもNara Leao、、Trio 3DChris MontezNico Gomez & His Afro Percussion Inc.Stacey KentWanda de Sah featuring The Sergio Mendes TrioTamba TrioPeter FesslerLaurindo Almeida & The Bossa Nova Allstarsのカヴァーも紹介済みです。

ご興味がある方はClare Fischerの60年代レコーディングの他作品もチェックを!

『First Time Out』(1962年)


Bud Shank & Clare Fischer『Bossa Nova Jazz Samba』(1962年)


Bud Shank/Clare Fischer/Joe Pass『Brasamba!』(1963年)


『Surging Ahead』(1963年)


『Extension』(1963年)


『Manteca!』(1965年)


『Thesaurus』(1969年)
posted by ez at 02:24| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月03日

Nona Gaye『Love For The Future』

Marvin Gayeの娘、唯一のアルバム☆Nona Gaye『Love For The Future』

発表年:1992年
ez的ジャンル:二世シンガー系女性R&B
気分は... :父の名前を忘れて聴こう!

今回はレジェンド・ソウル・シンガーMarvin Gayeの娘Nona Gayeのアルバム『Love For The Future』(1992年)です。

Nona Gayeは1974年ワシントンD.C.生まれ。

1984年、父Marvin Gayeがショッキングな死を遂げたとき、彼女はまだ9歳でした。

1992年に本作『Love For The Future』でデビュー。

1994年にはPrinceのレーベルNPG Recordsのオムニバス盤『1-800-New-Funk』に参加し、シングルにもなったPrinceとの共演曲(Nona Gaye & The Artist名義)「Love Sign」等をレコーディングしています。

1995年には父Marvin Gayeのトリビュート・アルバム『Inner City Blues: The Music Of Marvin Gaye』に参加し、オープニングで父の名曲「Inner City Blues」をカヴァーしています。

2001年には、AIDS調査のキャンペーンのために結成されたユニットによる父の名曲カヴァーArtists Against AIDS Worldwide「What's Going On」に参加しています。

2000年代には女優としても活躍し、『Ali』(2001年)、『The Matrix Reloaded』(2003年)、『The Matrix Revolutions』(2003年)といった話題作にも出演しています。

唯一のアルバム『Love For The Future』(1992年)は、商業的には成功しませんでしたが、なかなか魅力的な女性R&B作品に仕上がっています。

Derek BrambleKeith CrouchZack HarmonChristopher TroyWolf & EpicAaron ZigmanJerry KnightBernard Belleといったプロデューサーが起用され、The Gap BandCharlie Wilsonがゲスト参加しています。

US R&Bチャート第19位となったシングル曲「I'm Overjoyed」、同じくシングルになった素敵なバラード「The Things That We All Do For Love」The Gap BandCharlie Wilson参加のキャッチー&クールなダンサブル・チューン「Fever」、グラウンドビート調の「Give Me Something Good」Janet Jackson調のダンス・チューン「Natural Motion」、Nonaの歌い回しがキュートな「When You Were Mine」あたりがおススメです。

Marvin Gayeの娘ということを意識せず、素直に90年代女性R&B作品として聴けば、かなりいい1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Natural Motion」
Derek Brambleプロデュース。Janet Jacksonあたりを意識したような硬質なダンス・チューンがオープニング。Heatwave「The Groove Line」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=Q8aXtCB3tB0

「I'm Overjoyed」
Zack Harmon/Christopher Troyプロデュース。シングル・カットされ、US R&Bチャート第19位となりました。ポップな味わいもあるキャッチーで爽快なNJS。キラキラしたキーボード、ホーンによるアクセントもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=PlDwRXnCUC8

「When You Were Mine」
Keith Crouchプロデュース。初々しいNonaの歌い回しが実にキュートなダンサブル・チューン。Keith Crouchの好プロデュースぶりが窺えます。
https://www.youtube.com/watch?v=yI7z7uymOB8

「The Things That We All Do For Love」
Derek Brambleプロデュース。シングルにもなりました。素敵なメロウ・バラードを透明感のある歌声で届けてくれます。名バラードの雰囲気があります。
https://www.youtube.com/watch?v=KkzAWODkd8s

Maysaがカヴァーしています。
Maysa「The Things That We All Do For Love」
 https://www.youtube.com/watch?v=cGQaztpGkVg

「Supernatural」
Wolf & Epicプロデュース。アーバンなサウンドと妖艶なNonaのヴォーカルが印象的なR&Bグルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=LfMQIQhiV4I

「Only Two Can Tell」
Aaron Zigman/Jerry Knightプロデュース。Go-go×レゲエ×トロピカルといった雰囲気のミクスチャー感が魅力のミディアム・グルーヴ
https://www.youtube.com/watch?v=32g818QMar8

「Don't Wait」
Keith Crouchプロデュース。いい雰囲気のグルーヴィー・トラックですが、あと1つ何かが足りない気が・・・
https://www.youtube.com/watch?v=aCRV5QDRN54

「Fever」
The Gap BandCharlie Wilsonをゲストに迎えた話題曲。Bernard Belleプロデュース。シングル向きのダンサブル・チューン。キャッチー&クールなのがいいですね。かなり僕好み!
https://www.youtube.com/watch?v=Q_6wgvcmICk

「Give Me Something Good」
Aaron Zigman/Jerry Knightプロデュース。Soul II Soul「Back to Life (Club Mix)」、Funkadelic「You'll Like It Too」のドラム・ネタ、Doug E. Fresh & Slick Rick「Children's Story」「La Di Da Di」、James Brown「Funky Drummer」の声ネタをサンプリング。Soul II Soulネタのせいかグラウンドビート調の仕上がり。グラウンドビート大好きの僕としては大歓迎ですが。
https://www.youtube.com/watch?v=OIzxEdps8fs

「Breaking Away」
Derek Brambleプロデュース。哀愁バラードをしっとりと歌い上げます。Dave Koz(sax)が参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=1pmMz3KD2Ts

「Love Is All You Need For The Future」
Keith Crouchプロデュース。シングルにもなりました。少し大人びたコンテンポラリーな雰囲気のミディアム・グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=7OUP_8U-aJ8

Various『1-800-New-Funk』(1994年)


Various『Inner City Blues: The Music Of Marvin Gaye』(1995年)


Artists Against AIDS Worldwide「What's Going On」(2001年)
posted by ez at 03:51| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月02日

Billy Griffin『Be With Me』

元Miraclesのリード・シンガーの1stソロ☆Billy Griffin『Be With Me』

発表年:1982年
ez的ジャンル:男性アーバン・ソウル
気分は... :節分だけど・・・

今回は80年代ソウル作品からBilly Griffin『Respect』(1982年)です。

1950年ボルチモア生まれの男性ソウル・シンガー/ソングライターBilly Griffinの紹介は、『Respect』(1983年)に続き2回目となります。

Smokey Robinsonの後釜として1972年にThe Miraclesへ加入し、1975年にはシングル「Love Machine」を全米No.1ヒットへ導き、80年代に入るとソロに転向し、『Be With Me』(1982年)、『Respect』(1983年)、『Systematic』(1985年)という3枚のアルバムをリリースしたBilly Griffin

しかし、その後はヒットに恵まれず、ソロ活動に転身したGriffinは、80年代に『Be With Me』(1982年)、『Respect』(1983年)、『Systematic』(1985年)という3枚のアルバムをリリースしています。

ソロ第一弾アルバムとなる本作『Be With Me』(1982年)からはシングル「Hold Me Tighter in the Rain」がUKチャートTop20に入っています。

John Barnesがプロデュース、アレンジを手掛け、John Barnes(key、prog)、Derek Nakamoto(prog)、Ed Greene(ds)、Steve Ferrone(ds)、Donald Griffin(g、b)、Randy Jackson(b)、Paulinho Da Costa(per)、Gerald Albright(sax)、William Griffin(back vo)、Marva King(back vo)といったミュージシャンがレコーディングに参加しています。

ハイライトはメロウ・ダンス・クラシック「Hold Me Tighter In The Rain」

メロウ&セクシーなミディアム・ダンサー「Understand」、軽快なアーバン・ダンサー「Be With Me」、エレクトリック・ブギー「Breaking Out」、素敵なラブ・バラード「2nd Day Love Story」もおススメです。

とりあえず「Hold Me Tighter In The Rain」を聴いてみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Be With Me」
Billy Griffin/John Barnes/Sharon Barnes作。シングルにもなったタイトル曲がオープニング。僕好みの軽快なアーバン・ダンサーです。80年代らしい煌びやかなサウンドとBillyのファルセット・ヴォーカルがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=Typkd_whSbg

「Stone's Throw From Heaven」
Billy Griffin/John Barnes作。雰囲気のあるメロウ・バラード。ストリングスも含めてヘヴン・モードです。

「Hold Me Tighter In The Rain」
Billy Griffin/John Barnes/Donald Griffin作。UKチャート第17位となったメロウ・ダンス・クラシック。やはり本作のハイライトといえばコレですね。ファルセット・ヴォーカルが映える名曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=n-9dDs-Fyro

「Love Is Not A Word」
Sharon Barnes/John Barnes作。哀愁バラード。好き/嫌いは別にして不穏なシンセの音色が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=uDcxJGolJL8

Scarface「Sorry for What?」等のサンプリング・ソースとなっています。
Scarface「Sorry for What?」
 https://www.youtube.com/watch?v=P2YNR9zNInY

「The Beat Is Getting Stronger」
Billy Griffin/John Barnes/Sharon Barnes作。ポップなダンス・チューン。このポップさで好き/嫌いが分かれるかも?

「2nd Day Love Story」
Billy Griffin/John Barnes作。スロウ系ではこれがダントツですね。落ち着いたオトナのラブ・バラードに魅了されます。Marva Kingらのバック・コーラスもいい雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=baPK1qBRiAU

「Breaking Out」
Billy Griffin/John Barnes/James Gadson作。現行ディスコ/ブギー好きの人が聴いてもフィットするであろうエレクトリック・ブギー。
https://www.youtube.com/watch?v=jm6PiS30bag

「Understand」
Billy Griffin/John Barnes作。本編ラストはLeon Wareあたりと一緒に聴きたくなる、メロウ&セクシーなミディアム・ダンサーで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=bK1J_0u0hlg

再発CDには「Hold Me Tighter In The Rain (7")」「Be With Me (7")」「Be With Me (12")」「Be With Me (Special New Club Mix)」「2nd Day Love Story (7")」がボーナス・トラックが追加収録されています。

ご興味がある方は『Respect』(1983年)、『Systematic』(1985年)もチェックを!

『Respect』(1983年)


『Systematic』(1985年)
billy griffin systematic.jpg
posted by ez at 00:34| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする