2021年02月13日

Bread『Bread』

デビュー作ならではの魅力☆Bread『Bread』

発表年:1969年
ez的ジャンル:西海岸ソフトロック/ポップ・ロック
気分は... :灰色の朝・・・

今回は70年代前半に多くのヒット曲を放ったグループBreadのデビュー・アルバム『Bread(邦題:灰色の朝)』(1969年)です。

Breadの結成は、フォーク・バンドThe Pleasure Fairのデビュー・アルバム『The Pleasure Fair』(1967年)から始まります。この『The Pleasure Fair』のプロデュース&アレンジを手掛けていたのがDavid Gates、そしてThe Pleasure Fairのメンバーの中にRobb Royerがいました。そして、Royerが共にソングライティングを行っていたJames Griffinの三人が意気投合して1968年に結成されたのがBread

2ndアルバム『On the Waters』(1970年)のレコーディングを前にドラマーのMike Bottsが加入。さらに3rdアルバム『Manna』(1971年)のリリース後にRobb Royerが脱退し、代わってLarry Knechtelが加入しています。

グループは1973年に解散しますが、1976年にリユニオンしています。

その間に「Make It with You」(1970年、USチャート第1位)、「It Don't Matter to Me」(1970年、USチャート第10位)、「If」(1971年、USチャート第4位)、「Baby I'm-a Want You」(1971年、USチャート第3位)、「Everything I Own」(1972年、USチャート第5位)、「The Guitar Man」(1972年、USチャート第11位)、「Lost Without Your Love」(1976年、USチャート第9位)等のヒットを放っています。

さて、デビュー・アルバムとなる『Bread』(1969年)ですが、次作『On the Waters』(1970年)以降のような商業的成功には恵まれませんでしたが、なかなか完成度の高い1枚に仕上がっています。

前述のように、このデビュー・アルバムにおけるメンバーはDavid Gates(vo、org、b、g、per、p、el-p、key、syn、violin)、James Griffin(vo、g、per、key)、Robb Royer(back vo、g、per、p、el-p、fl、b)の3名

それ以外にJim Gordon(ds)、Ron Edgar(ds)がレコーディングに参加しています。本作の躍動感のある演奏にはDerek & The Dominosにも参加したJim Gordonが大きく貢献しています。

プロデュースはBread自身。

「If」「Make It with You」のような大ヒット曲は収録されていませんが、デビュー・アルバムだからこその魅力に溢れた1枚です。

目立つのはデビュー・シングル「Dismal Day」や別ヴァージョンがシングル・ヒットした「It Don't Matter to Me」ですかね。どちらもDavid Gatesの書く曲の良さを満喫できます。それ以外に「Don't Shut Me Out」、The Cowsills提供曲のセルフ・カヴァー「You Can't Measure the Cost」あたりもお気に入り。

また、David Gatesのみならず、James Griffin/Robb Royerの書いた作品もなかなか良いのが本作の魅力だと思います。シングルにもなったサイケな「Could I」、同じくシングルになったラブ&ピースな「Move Over」をはじめ、完成度の高い「The Last Time」、跳ねたビートの「Any Way You Want Me」、ソフトロックな「Friends and Lovers」がおススメです。

ソフトロックという括りで語られることが多い彼らですが、本作は結構ロックしている印象を受けます。

デビュー作ならではのBreadワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Dismal Day」
David Gates作。邦題「灰色の朝」。彼らのデビュー・シングルですが、チャート・インは果たせませんでした。日本では1973年にシングル・リリースされ、人気となったようです。僕の一番のお気に入り。ビートの効いた爽快フォーキー・ポップは、「水色の朝」といった雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=nXy4Rjugtug

The Bins「Don't Go!」のサンプリング・ソースとなっています。
The Bins「Don't Go!」
 https://www.youtube.com/watch?v=bo_whnIPI6I

「London Bridge」
David Gates作。David Gatesらしいソングライティングを楽しめる1曲。シンセを採り入れたサウンドは必ずしも成功していませんが、当時としては攻めているスタンスで面白いと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=PpeIr0qc--o

「Could I」
James Griffin/Robb Royer作。2ndシングルになった曲。David Gates作品以外のシングル曲という点でも貴重なのでは?また、60年代後半ならではのサイケ/サマー・オブ・ラブな雰囲気も本作ならではで楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=oexsNIzpPX4

「Look at Me」
David Gates作。邦題「僕を見つめて」。ドラムレスのビューティフル・フォーキー。美しくも切ない雰囲気があります。リコーダーの音色が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=nNGeC4dRb5I

The Main Ingredient、The Moore Brothersがカヴァーしています。Zeus「Gwiazdy」のサンプリング・ソースとなっています。
Zeus「Gwiazdy」
 https://www.youtube.com/watch?v=526Q4D4uoSQ

「The Last Time」
James Griffin/Robb Royer作。格好良いロック・サウンドと素晴らしいコーラス・ワークが調和した完成度の高い仕上がり。これがDavid Gates作ではなくGriffin/Royer作というところに初期Breadの魅力があるのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=_cVoc9e96mI

Holy Sonsがカヴァーしています。
Holy Sons「Last Time」
 https://www.youtube.com/watch?v=AUvCj67RDZ4

「Any Way You Want Me」
James Griffin/Robb Royer作。跳ねたビートの哀愁ロック。何か捨てがたい魅力があります。Isabella Ortegaがカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=ig8L0i8fJsg

「Move Over」
James Griffin作。この曲もシングルになりました。ラブ&ピースな雰囲気のあるロック・チューン。なかなかキャッチーなギター・ポップに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=CLYMsxNAH1U

「Don't Shut Me Out」
David Gates作。Breadらしいハーモニーを楽しめる爽快ポップ・ロック。David Gatesの曲作りの巧さを感じる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=h0jF136TsJ0

Underground Sunshine、Deryk Jones Party、Tirso Cruz IIIがカヴァーしています。
Underground Sunshine「Don't Shut Me Out」
 https://www.youtube.com/watch?v=xg5JTdEyZNk
Deryk Jones Party「Don't Shut Me Out」
 https://www.youtube.com/watch?v=pRyHxwiR0qY
Tirso Cruz III「Don't Shut Me Out」
 https://www.youtube.com/watch?v=kB36hfXRmi4

「You Can't Measure the Cost」
David Gates作。The Cowsillsに提供した「Can't Measure the Cost of a Woman Lost」のセルフ・カヴァー。The Cowsillsのオリジナルはアルバム『Captain Sad and His Ship of Fools』(1968年)収録。緩急をつけたドラマティックなポップ・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=TajzGXmfCKI

The Cowsills「Can't Measure the Cost of a Woman Lost」
 https://www.youtube.com/watch?v=2qiwW9y6NB4

「Family Doctor」
James Griffin/Robb Royer作。カントリー・ロック調の仕上がり。フルートの音色でアクセントをつけています。
https://www.youtube.com/watch?v=Aozux-IaHS4

「It Don't Matter to Me」
David Gates作。邦題「気にしないで」or「関係ないね」。本ヴァージョンとは別の再録ヴァージョンが1970年にシングル・リリースされ、USチャート第10位のヒットとなった名曲。David Gatesワールド炸裂のビューティフル・バラード。エヴァーグリーンな魅力があるのがBreadらしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=VgB5_2Hcg0s
「It Don't Matter to Me」 ※シングル・ヴァージョン
https://www.youtube.com/watch?v=pl7U2jy1wMQ

The Friends of Distinction、Petula Clark、Maxine Weldon、Louisa Jane White、Josh Rouse、Hans Manapatがカヴァーしています。
The Friends of Distinction「It Don't Matter to Me」
 https://www.youtube.com/watch?v=AgLDq1yZmaE
Petula Clark「It Don't Matter to Me」
 https://www.youtube.com/watch?v=eyCb7QYshT8
Maxine Weldon「It Don't Matter to Me」
 https://www.youtube.com/watch?v=GER0Hdt4Kek
Josh Rouse「It Don't Matter to Me」
 https://www.youtube.com/watch?v=boJoTtKXrGg

「Friends and Lovers」
James Griffin/Robb Royer/Tim Hallinan作。邦題「友達と恋人と」。ソングライティングにはThe Pleasure FairでRoyerと同僚であったTim Hallinanの名もクレジットされています。この曲も大好き!ソフトロック的な魅力がある1曲。これも初期Breadならではの1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=ztGJMi3BkwE

Erlend Oyeがカヴァーしています。
Erlend Oye「Friends and Lovers」
 https://www.youtube.com/watch?v=6L4Ty-NJZFg

Breadの他作品もチェックを!

『On the Waters』(1970年)


『Manna』(1971年)


『Baby I'm-a Want You』(1972年)


『Guitar Man』(1972年)


『Lost Without Your Love』(1976年)
posted by ez at 01:52| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする