2021年02月22日

Marcos Valle『O Compositor E O Cantor』

ボサノヴァ・スタイルの初期完成形☆Marcos Valle『O Compositor E O Cantor』

発表年:1965年
ez的ジャンル:ブラジル最高のメロディ・メーカー
気分は... :一人でいることを学ばなくちゃ…

ブラジルを代表するシンガー・ソングライターMarcos Valle『O Compositor E O Cantor』(1965年)です。

当ブログでこれまで紹介したMarcos Valle作品は以下の12枚。

 『Samba '68』(1968年)
 『Viola Enluarada』(1968年)
 『Mustang Cor De Sangue』(1969年)
 『Marcos Valle (1970)』(1970年)
 『Garra』(1971年)
 『Vento Sul』(1972年)
 『Previsao Do Tempo』(1973年)
 『Marcos Valle (1974)』(1974年)
 『Vontade De Rever Voce』(1981年)
 『Nova Bossa Nova』(1997年)
 『Pagina Central』(2009年)
 ※Celso Fonsecaとの共演作
 『Esphera』(2010年)

本作『O Compositor E O Cantor』(1965年)は、『Samba Demais』(1964年)に次ぐ2ndアルバムであり、今でも大人気の名曲「Samba De Verao(サマー・サンバ)」、この年のブラジルの年間最優秀ソングに選ばれた人気曲「Preciso Aprender A Ser So(一人でいることを学ばなくちゃ)」等の彼のキャリアを代表する楽曲が多数収録されたアルバムです。

ボサノヴァ第2世代として登場したMarcosが、メロディ・メーカーとしての才能を発揮し、2作目にして早くも自身のスタイルを完成させた作品です。

また、Eumir Deodatoによるアレンジがその魅力をさらに引き上げています。

上記2曲以外にも、Marcos本人がキャリアで重要な曲だと語る「Seu Encanto」「Vem」「Passa Por Mim」という3曲、個人的に気に入っている「Deus Brasileiro」「Nao Pode Ser」など聴きどころ満載の1枚です。

初期のMarcos Valleの魅力が凝縮された名盤だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Gente」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。
「Chup Chup, I Got Away」のタイトルで『Samba '68』(1968年)にて再演しています。ボサノヴァ時代のMarcosらしいメロディを楽しめる1曲。Deodatoによる素敵なアレンジも含めて、メロウ・ワールドを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=HO22VApAmfs

「Preciso Aprender A Ser So」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。邦題「一人でいることを学ばなくちゃ」。ブラジルの年間最優秀ソングに選ばれた人気曲。1965年のみでも15組のアーティストがカヴァーしたのだとか。当ブログではZumba CincoO Quartetoのカヴァーを紹介済みです。この曲も「If You Went Away」のタイトルで『Samba '68』(1968年)にて再演しています。ブラジル最高のメロディ・メーカーと呼ばれるのがわかる永遠のスタンダード。Deodatoによるストリングスもサイコー!ブラジル音楽好きのみならずバラード好きの人であれば気に入る1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=Qtni0_e44QI

「Seu Encanto」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle/Pingarilho作。
この曲も「The Face I Love」のタイトルで『Samba '68』(1968年)でも再演しています。ワルツ調の軽やかなリズムの美しいストリングスをバックにMarcosが爽やかな歌声を届けてくれます。スウィンギンな雰囲気もいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Pf07NpSn6wE

当ブログではAstrud GilbertoThe Girls from BahiaStacey Kentのカヴァーも紹介済みです。

「Passa Por Mim」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。サウダージなバラード。Marcosのメロディアスな楽曲とDeodatoによる美しいアレンジが見事に噛み合っています。
https://www.youtube.com/watch?v=iFqC_6ZPq0Y

「Samba De Verao」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。「Summer Samba」「So Nice」のタイトルでも知られる名曲。初レコーディングはDeodatoの初アルバム『 Ideias...』(1964年)ヴァージョンです。「So Nice (Summer Samba)」のタイトルで『Samba '68』(1968年)でも再演しています。いつ、誰のヴァージョンを聴いても名曲だと思いますが、Marcos本人の初レコーディング・ヴァージョンということで押さえておきましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=3sILLIB13Ls

本曲について、当ブログではAstrud Gilberto/Walter Wanderley TrioBebel GilbertoO QuartetoBossa TresWanda de Sah featuring The Sergio Mendes Trio With Rosinha De ValencaDoris MonteiroEliane EliasMario Castro Neves & Samba S.A.Os Catedraticosのカヴァーも紹介済みです。

今回自分の勘違いに気づきました。USにてチャート・インし、本曲の知名度を一気に高めたWalter Wanderleyヴァージョン(アルバム『Rain Forest』収録)を既に紹介済みという認識でいたのですが、よくよく調べると『Rain Forest』(1966年)を未紹介でした。こちらもそのうち取り上げたいと思います。

「A Resposta」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。
この曲も「The Answer」のタイトルで『Samba '68』(1968年)にて再演しています。当ブログではMilton Banana Trioのカヴァーも紹介済みです。プロテスト派のボサノヴァ・アーティストからの批判に対するMarcoのThe Answerといったところでしょうか。小粋なサウンド・センスに惹かれる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=1LHxxqn4ZdY

「Deus Brasileiro」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。僕好みの軽快な疾走感が魅力のジャズ・サンバ。Deodatoのオルガンによるアクセントもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=5PKgUru40Ps

当ブログではTitaDoris MonteiroJongo Trioのカヴァーも紹介済みです。

「Dorme Profundo」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle/Pingarilho作。
この曲も「Safely In Your Arms」のタイトルで『Samba '68』(1968年)にて再演しています。ロマンティックなストリングスをバックにしっとりと歌い上げるバラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=doPxae-c21c

「Vem」
Marcos Valle/ Luiz Fernando Freire作。Marcos本人が"その後の自分の音楽を予感させるもの"と語った重要曲。ワルツ調のリズムに乗ってエレガントに疾走するジャジー・グルーヴは90年代にロンドンのクラブシーンでも再評価されました。何処となくヨーロピアン・ジャズ的な香りがするのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=TIU1KKxaXvg

「Mais Amor」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。Deodatoの美しいストリングスを従えたビューティフル・ボッサ・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=BSwdOgob49A

「Perdao」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。男女混声コーラスが印象的なバラードをしっとりと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=onKxP7Yw2kQ

「Nao Pode Ser」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle作。ラストはMarcos Valleらしい親しみやすいメロディを楽しめる曲で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=SYJi96b_pMA

僕の保有する国内盤CDには「E Preciso Cantar」「Batucada Surgiu」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

Marcos Valleの過去記事もご参照下さい。

『Samba '68』(1968年)
サンバ’68

『Viola Enluarada』(1968年)
ヴィオラ・エンルアラーダ

『Mustang Cor De Sangue』(1969年)
Mustang Cor De Sangue Ou Corcel Cor De Mel

『Marcos Valle(1970)』(1970年)
marcos valle 1970.jpg

『Garra』(1971年)
Garra

『Vento Sul』(1972年)
ヴェント・スル

『Previsao Do Tempo』(1973年)
Previsao Do Tempo

『Marcos Valle (1974)』(1974年)
マルコス・ヴァーリ(1974)

『Vontade De Rever Voce』(1981年)
ヴォンタージ・ジ・レヴェール・ヴォセ

『Nova Bossa Nova』(1997年)
Nova Bossa Nova

『Pagina Central』(2009年)
パジナ・セントラウ [ボーナス・トラック付]

『Esphera』(2010年)
ESPHERA
posted by ez at 01:33| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする