2021年03月18日

Ryan Leslie『Ryan Leslie』

その才能を示した1stアルバム☆Ryan Leslie『Ryan Leslie』

発表年:2008年
ez的ジャンル:男性R&Bシンガー/プロデューサー
気分は... :ことのわざ・・・

男性R&Bシンガー/プロデューサーRyan Leslieの1stアルバム『Ryan Leslie』(2008年)です。

1978年ワシントンD.C.生まれの男性R&Bシンガー/ソングライター/プロデューサーであり、15歳でハーバード大学に入学し、19歳で卒業したという学歴の持ち主であるRyan Leslieの紹介は、2ndアルバム『Transition』(2009年)に続き2回目となります。

2006年にリリースしたCassie「Me & U」をはじめ、BeyonceDonell JonesFabolousKid Cudiらを手掛けたことで注目されるようになったRyan Leslie

Beyonce「Keep Giving Your Love To Me」
 https://www.youtube.com/watch?v=vSC_ZoY2Ncc
Cassie「Me & U」
 https://www.youtube.com/watch?v=zVJ5gsLeCSM
Donell Jones feat. Jermaine Dupri「Better Start Talking」
 https://www.youtube.com/watch?v=1fj5A1gBVH8
Slim feat. Fabolous & Ryan Leslie「Good Lovin」
 https://www.youtube.com/watch?v=_BgT8H1P1_k
Fabolous「Everything, Everyday, Everywhere」
 https://www.youtube.com/watch?v=9zcDr4DbKEg
Kid Cudi「Can I Be」
 https://www.youtube.com/watch?v=KM6xmsu8whk

2007年からは自らのソロ・アーティスト活動を活発化させ、「Diamond Girl」「Addiction」(feat. Cassie & Fabolous)「How It Was Supposed To Be」といったシングルをリリースし、それらが評判となったタイミングでリリースされたのが1stアルバム『Ryan Leslie』(2008年)です。
※Ryan本人は2005年制作の『Just Right』を1stアルバムと呼んでいるようです。

プロデューサーはRyan Leslie自身。
楽曲もすべて本人のオリジナルです。

2008年らしいエレクトロ・サウンドを駆使したR&B作品に仕上がっています。

改めてアルバムを通しで聴くと、曲作り、サウンド、ビート感覚、ヴォーカル(特に歌い回し)の良さに加え、それらのバランスが絶妙ですね。

前述のシングル3枚以外であれば、2005年にシングル・リリースした「Just Right」をはじめ、「You're Fly」「Quicksand」「I-R-I-N-A」「Shouldn't Have To Wait」がおススメです。

アルバムはUSチャート第35位、同R&Bチャート第9位となっています。

全曲紹介しときやす。

「Diamond Girl」
2008年にシングル・リリースされていた楽曲。都会的なハイパー・トラックが印象的なR&Bグルーヴ。ラップ調ヴォーカルを織り交ぜています。
https://www.youtube.com/watch?v=dpLthO07LBY

「Addiction」
Cassie、Fabolousをフィーチャー。2008年にシングル・リリースされた彼の代表曲。刺激的な電子音が官能効果をアップする哀愁R&Bグルーヴ。Michael Jackson「I Can't Help It」のフレーズ引用も印象的です。。
https://www.youtube.com/watch?v=C7On6s5sKmA

Wiz Khalifa「Addicted」、Trey Songz「Addicted to Songz」、Clipse「Addiction」等のサンプリング・ソースとなっている点からも本トラックのインパクトの大きさを推察できます。
Wiz Khalifa「Addicted」
 https://www.youtube.com/watch?v=CEuZgCz71P8
Trey Songz「Addicted to Songz」
 https://www.youtube.com/watch?v=h_DJu9bDiOs
Clipse「Addiction」
 https://www.youtube.com/watch?v=HTKT5XvUVcY

「You're Fly」
僕好みのメロディアスなミディアム・グルーヴ。曲良し、サウンド良し、歌良し、三拍子揃っています。
https://www.youtube.com/watch?v=-emymHXHu70

「Quicksand」
このトラックも僕好み。躍動するビートを品良くアーバンに聴かせるセンスに脱帽です。
https://www.youtube.com/watch?v=th88MZ6U97Y

「Valentine」
ファルセットを駆使したミディアム・バラード。言葉のリズム感が見事です。
https://www.youtube.com/watch?v=A2fV4nnlG-I

「Just Right」
2005年にシングル・リリースされていた楽曲。The Headhunters feat. Pointer Sisters「God Make Me Funky」のビートをサンプリング。シンセによるアクセントが絶妙なセクシーR&Bグルーヴ。なかなかキャッチーです。
https://www.youtube.com/watch?v=uQNJwfQgtgk

「How It Was Supposed To Be」
2008年にシングル・リリースされていた楽曲。後引く哀愁感がたまらない1曲。ジワジワくる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=wHUf89vL3l4

「I-R-I-N-A」
美しいR&Bグルーヴ。サウンドとRyanの歌い回しがフィットしているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ea4ZYd3JxDA

「Out Of The Blue」
哀愁シンセが印象的な仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=ZmOWh7Az2e0

「Shouldn't Have To Wait」
さり気ないですが、Ryanの曲作り、サウンド、歌い回しのセンスの良さを実感できる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=SXhO4b0vEVQ

「Wanna Be Good」
ポジティブなヴァイヴに溢れあR&Bグルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=QEPCekXBVKg

「Gibberish」
ラストはオートチューンを駆使したバラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=f_RoFqVycxI

Ryan Leslieの他作品もチェックを!

『Transition』(2009年)


『Les Is More』(2012年)
posted by ez at 00:09| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月17日

Tavares『Sky High!』

ダンス・クラシック「Heaven Must Be Missing an Angel」収録☆Tavares『Sky High!』
スカイ・ハイ
発表年:1976年
ez的ジャンル:兄弟ソウル・グループ
気分は... :蒼天へ・・・

70〜80年代に活躍したソウル/ディスコ・グループTavares『Sky High!』(1976年)です。

マサチューセッツ州出身のRalphPoochChubbyButch Tiny というTavares兄弟によって結成されたグループTavaresについて、当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Supercharged』(1980年)
 『Loveline』(1981年)
 『New Directions』(1982年)

本作『Sky High!』(1976年)は、彼らの4thアルバムであり、プロデューサーにFreddie Perrenを起用し、フィリー風のダンサブル・チューンが印象的なアルバムです。

レコーディングにはJames Gadson(ds)、John Barnes(p)、Scott Edwards(b)、Bob "Boogie" Bowles(g)、Melvin "Wah Wah" Ragin(g)、Bob Zimmitti(per)、Paulinho Magalhaes(per)、Paulinho da Costa(per)、Electric Ivory Experience(syn)等が参加しています。

前述のように、シングル・ヒットしたダンス・クラシック「Heaven Must Be Missing an Angel」、同じく2ndシングルとなった「Don't Take Away the Music」、オープニングを飾る「The Mighty Power of Love」といったダンス・トラックが目立ちます。

個人的にはメロウ&ジェントルな「Ridin' High」が一番のお気に入り。Marilyn McCoo & Billy Davis Jr.もカヴァーした「Wonderful」De La Soul「Bionix」のサンプリング・ソースとしても知られる「Guiding Star」Luther Ingramの名曲カヴァー「To the Other Man」といったバラードもおススメです。

ジャケがイマイチなので損していますが、なかなかの充実作だと思います。

全曲紹介しときやす。

「The Mighty Power of Love」
Keni St. Lewis/Freddie Perren作。フィリー・テイストの爽快ダンサーがオープニング。アルバムの雰囲気を象徴する1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=LsKhuEs2I8U

「Ridin' High」
Feliciano Tavares/Keni St. Lewis作。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。メロウ&ジェントルなミディアム・グルーヴはモロに僕好み!
https://www.youtube.com/watch?v=BegUGVlRNJU

「To the Other Man」
Luther Ingram/Randall Stewart/Johnny Northern/Johnny Baylor作。Luther Ingramの名曲カヴァー。オリジナルはアルバム『I've Been Here All The Time』(1972年)収録。ソウル・ヴォーカル・グループらしいバラードをしっとりと聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Mt27JsdJHfM

「Heaven Must Be Missing an Angel」
Keni St. Lewis/Freddie Perren作。アルバムからの1stシングル。USチャート第15位、同R&Bチャート第3位となったダンス・クラシック。躍動するフィリー・ダンサー風の仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=s5E-T_jvmuw

Tower of Power 等がカヴァーしています。また、HHP「Jabba」等のサンプリング・ソースとなっています。
HHP「Jabba」
 https://www.youtube.com/watch?v=njlhEPTY01Y

「Bein' with You」
Keni St. Lewis/Freddie Perren作。リラックスしたミディアム・グルーヴですが、息の合ったヴォーカル・ワークを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=mmivdvbM1Zg

Saint Tropezがカヴァーしています。
Saint Tropez「Bein' with You」
 https://www.youtube.com/watch?v=ZmBRPAgcn3I

「Wonderful」
Homer Banks/Carl Hampton作。王道ソウル・バラードですが、名バラードの風格漂う1曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=roUWXJlchUw

Marilyn McCoo & Billy Davis Jr.がカヴァーしています。
Marilyn McCoo & Billy Davis Jr.「Wonderful」
 https://www.youtube.com/watch?v=dzg7DCfmK28

「Guiding Star」
Keni St. Lewis/Freddie Perren作。De La Soul「Bionix」のサンプリング・ソースとなったことで一気に愛着が湧いてきたソウル・バラード。ジワジワと滲み出てくる味わいがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=wAyTAcc7kXw

De La Soul「Bionix」以外にBiz Markie, Chubb Rock and Prince Paul「No Rubber, No Backstage Pass」等のサンプリング・ソースとなっています。
De La Soul「Bionix」
 https://www.youtube.com/watch?v=rLSAqA4b1U8
Biz Markie, Chubb Rock and Prince Paul「No Rubber, No Backstage Pass」
 https://www.youtube.com/watch?v=I4k4I2y4CSQ

「Don't Take Away the Music」
Keni St. Lewis/Freddie Perren/Christine Yarian作。2ndシングルとしてUSチャート第34位、同R&Bチャート第14位となっています。ハンドクラップ入りの華やかなダンサブル・チューンで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=sFktT-k4G_Y

Donnie Elbert等がカヴァーしています。
Donnie Elbert「Don't Take Away the Music」
 https://www.youtube.com/watch?v=ahg9T4jAJpU

Tavaresの他作品もチェックを!

『Check It Out』(1974年)
チェック・イット・アウト

『Hard Core Poetry』(1974年)
Hard Core Poetry - Expanded Edition

『In the City』(1975年)
愛のディスコティック

『Love Storm』(1977年)
Love Storm

『Future Bound』(1978年)
Future Bond

『Madam Butterfly』(1979年)
Madam Butterfly

『Supercharged』(1980年)
スーパーチャージド

『Loveline』(1981年)
ラブライン

『Love Uprising』(1980年)
Love Uprising - Expanded Edition

『New Directions』(1982年)
ニュー・ダイレクションズ(期間生産限定盤)

『Words and Music』(1983年)
ワーズ&ミュージック(期間生産限定盤)
posted by ez at 01:25| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月15日

Mint Condition『Life's Aquarium』

Elektra移籍後の初アルバム☆Mint Condition『Life's Aquarium』
Life's Aquarium
発表年:1999年
ez的ジャンル:セルフ・コンテインド男性R&Bグループ
気分は... :水族館のような音世界!

ミネアポリス出身の男性R&BグループMint Conditionの4thアルバム『Life's Aquarium』(1999年)です。

90年代から活躍するセルフ・コンテインド男性R&BグループMint Conditionに関して、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Meant To Be Mint』(1991年)
 『Definition Of A Band』(1996年)
 『Livin' The Luxury Brown』(2005年)
 『E-Life』(2008年)

また、リーダー&リード・シンガーStokley Williamsの初ソロ・アルバム『Introducing Stokley』(2017年)も紹介済みです。

本作はデビュー以来在籍していたJam & Lewis主宰するPerspective Recordsを離れ、Elektraに移籍してのリリースとなります。結局Elektraからのリリースは本作のみとなりました。

本作におけるメンバーはStokley Williams(vo、ds、key、syn、g、b)、Keri Lewis(p、key、g、prog、back vo)、O'Dell(prog、key、g、back vo)、Lawrence Waddell(el-p、key、accordion、back vo)、Ricky Kinchen(b、back vo)、Jeffrey Allen(sax、key、back vo)の6名。Keri Lewisは本作を最後にグループを離れることになります。

さらにはChris Dave(ds)、Dei Dei Dionne(back vo)、Esther Godinez(back vo)がレコーディングに参加しています。

US R&Bチャート第5位となった1stシングル「If You Love Me」Charlie Wilsonをフィーチャーした「Pretty Lady」あたりが目立ちます。

個人的には、2ndシングルとなった「Is This Pain Our Pleasure」Bobby Caldwell「What You Won't Do for Love」ネタのメロウ・バラード「Tonight」の2曲がお気に入り。

ダンサブルな「Touch That Body」「Who Can You Trust」、ミディアム・バラード「This Day, This Minute, Right Now」Chris Daveも参加したスパニッシュ・テイストの「Spanish Eyes」あたりもおススメです。

アルバムはUS R&Bチャート第7位と彼らの全アルバム中最高位を獲得しています。

全曲紹介しときやす。

「Touch That Body」
僕好みのダンサブル・チューンがオープニング。90年代のテイストを残しつつ、2000年代に向けて進化を続けるグループの意欲を感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=oY9X-LLI_W8

「Be Like That Sometimes」
当時流行のTimbalandあたりを意識したようなダンサブル・チューン。ミュージカル『Annie』ネタも挿入されています。
https://www.youtube.com/watch?v=be8soQJhAxk

「Pretty Lady」
Charlie Wilsonをフィーチャー。Charlie WilsonとStokleyの共演は聴き応え十分です。セクシー&メロディアスな魅力があります。
https://www.youtube.com/watch?v=LP8pQxbE_dw

「Who Can You Trust」
Keri Lewis主導で作られたトラック。シンセベースが響きが印象的なダンサブル・チューン。こういうのを聴くと本作でKLが離脱してしまったのは惜しいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=6_iKkRjJIzs

「If You Love Me」
元々は映画『Woo』のサントラにStokley Williams名義で収録されていた楽曲をMint Conditionとして再録。シングル・カットもされました。US R&Bチャート第5位、USチャート第30位となっています。Stokleyのヴォーカルの魅力が映えるオーセンティック・バラード。The O'Jays「Forever Mine」のフレーズを引用しています。
https://www.youtube.com/watch?v=x0K9uorLGiE

「Spanish Eyes」
タイトルの通り、スパニッシュ・テイストのR&Bグルーヴ。すっかり人気ドラマーとなったChris Daveが参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=vMio12oUIdU

「Is This Pain Our Pleasure」
「If You Love Me」に続くアルバムからの2ndシングル。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。このグループの楽曲・サウンド・センスの良さ、Stokleyのヴォーカルの魅力、R&Bグループらしいコーラスワークが揃った素晴らしい1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=GnvKRPe7JZo

「Call Me」
Stokley主導で作られたトラック。電話ネタが今となっては時代を感じますが、Stokleyのセクシーな魅力を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=goaRlh9Km5w

「This Day, This Minute, Right Now」
なかなか魅力的になミディアム・バラード。派手さはありませんが、聴く度にジワジワ好きになってくる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=W0ZglcqMRB0

「Just The Man For You」
Stokleyのハイトーン・ヴォーカルが映えるアコースティック・バラード。さり気ないですがいい感じ!
https://www.youtube.com/watch?v=y2UtDtW0Onw

「Tonight」
「Is This Pain Our Pleasure」に次ぐ僕のお気に入り。Bobby Caldwell「What You Won't Do for Love」ネタも取り入れたメロウ・バラード。思わずニンマリの1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=oDqT5p_-Rvo

「Leave Me Alone」
ラストはジャム・セッション風ですが、O'Dellのギター・ソロ以外はすべてStokleyが演奏しています。さらには隠れトラックで「DeCuervo's Revenge (Instrumental)」「If We Play Our Cards Right」の2曲が収録されています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZdKzS84Rz2A

Mint Conditionの他作品やStokley Williamsのソロもチェックを!

『Meant To Be Mint』(1991年)
Meant to Be Mint

『From the Mint Factory』(1993年)
From the Mint Factory

『Definition Of A Band』(1996年)
Definition of a Band

『Livin' The Luxury Brown』(2005年)
Livin the Luxury Brown

『E-Life』(2008年)
E-ライフ

『7』(2011年)
7

『Music at the Speed of Life』(2012年)
Music at the Speed of Life

Stokley『Introducing Stokley』(2017年)
Introducing Stokley
posted by ez at 01:13| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月14日

Gretchen Parlato『Flor』

現代ジャズの歌姫、10年ぶりのスタジオ作☆Gretchen Parlato『Flor』

発表年:2021年
ez的ジャンル:現代ジャズの歌姫系女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :美しき花よ・・・

現代ジャズの歌姫Gretchen Parlato、待望の10年ぶりのスタジオ新作『Flor』です。

L.A.出身で現在はN.Y.を拠点に活躍する女性ジャズ・シンガーGretchen Parlatoに関して、当ブログでは以下の4枚のアルバムを紹介済みです。

 『Gretchen Parlato』(2005年)
 『In a Dream』(2009年)
 『The Lost And Found』(2011年)
 『The Gretchen Parlato Supreme Collection』(2015年)
 ※日本独自企画コンピ

また、GretchenRebecca MartinBecca Stevensによるスペシャル・ユニットTilleryの初アルバム『Tillery』(2016年)も紹介済みです。

現代ジャズの歌姫と評されながら、その人気を不動のものとした『The Lost And Found』(2011年)以来、スタジオ新作がリリースされなかったGretchen Parlato。その間、現代ジャズ屈指のドラマーMark Guilianaとの結婚、出産、育児があり、プライベートの時間に重きを置いた結果、マイペースでの音楽活動となった模様です。

そして、10年ぶりに届けられた待望の新作『Flor』

レコーディングの基本メンバーはGretchen Parlato(vo)、Marcel Camargo(g、cavaco、moog、rhodes、vo)、Artyom Manukya(cello、vo)、Leo Costa(ds、perc、moog、rhodes)。

さらにGerald Clayton (p)、Airto Moreira(vo、per)、旦那様のMark Guiliana (ds)等がフィーチャリングされています。

プロデュースはGretchen Parlato自身。また、Marcel CamargoLeo Costaが共同プロデューサーに名を連ね、Marcel Camargoはミュージック・ディレクターとしてもクレジットされています。

ボサノヴァ名曲、ショーロ名曲、バッハのクラシック名曲、Anita Bakerのクワイエットストーム名曲、David Bowie晩年の作品、Roy Hargroveのカヴァー、Tilleryで歌った曲の再録、子供たちのために書いたオリジナルなどバラエティに富んだ全9曲です。

ブラジル・テイストの演奏が聴けるのは以前からのGretchenらしいですが、それをストレートに聴かせるのではなく、クラシックやジャズとの融合させて独自の音世界を構築しようとしているのが印象的です。ショーロ名曲をクラシック的に聴かせ、クラシック名曲をショーロ調に聴かせるあたりも実に興味深いです。

音楽的な深みに加えて、家庭生活を充実させてきたことで人間としての深みが増したような印象を受けます。

Gretchen Parlatoが現代ジャズを代表する歌姫であることを再認識させてくれた1枚です。

全曲紹介しときやす。

「E Preciso Perdoar」
Alcyvando Luz/Carlos Coqueijo作。Joao Gilbertoヴァージョンでお馴染みのボサノヴァ名曲をカヴァー。当ブログではAmbitious LoversAdam DunningIsabelle AntenaBossacucanovaのカヴァーも紹介済みです。ここでは自ら英語詞をつけて、しっとりと歌い上げます。ギター、チェロ、ローズ、ムーグ、パンデイロが織り成す憂いを帯びたビューティフル・サウンドもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=afRibj6A6nE

「Sweet Love」
Gerald Clayton(rhodes)をフィーチャー。Anita Bakerのヒット曲のカヴァー(Anita Baker/Louis A.Johnson作)。オリジナルは当ブログでも紹介した『Rapture』(1986年)です。クワイエットストーム名曲をGretchen色に染まったメロウ・チューンで聴かせてくれます。Gretchenらしい歌い回しやスキャットも堪能できます。Gerald Claytonもメロウなローズの響きで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=IraM8U3CTNQ

「Magnus」
Gretchenのライヴ・レパートリーであり、友人の息子で当時5歳であったMagunus君が口すさんだメロディをGretchenが曲に仕上げたもの(Gretchen Parlato/Magunus Thompson作)。Gretchen、Rebecca Martin、Becca Stevensによるスペシャル・ユニットTilleryの初アルバム『Tillery』(2016年)でもレコーディングした楽曲です。ここでは成長したMagunus君とその家族、さらにはGretchenの息子Marleyも参加した"みんなの歌"的ハートウォーミングな1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=OZIP7XjsfsU

「Rosa」
Pixinguinha作のショーロ名曲をカヴァー。Artyom Manukyaのチェロをバックに、Gretchenがスキャットする室内楽的な1曲に仕上がっています。澄み切った美しさに溢れているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=JLcmQUUdUJM

「What Does A Lion Say?」
Gretchen Parlato/Chris Morrissey作。カヴァキーニョ、チェロ、パーカッションによるアコースティック・ワルツをバックに、Gretchenが吐息まじりの歌声を聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ouYu3J2U67s

「Roy Allan」
Roy Hargroveのカヴァー。オリジナルは『Family』(1996年)収録。ここではAirto Moreira(vo、per)をフィーチャー。サンバ・モードですが、そこにGretchenらしいジャズ・ワールドが加味されて、一味違う透明感のある演奏を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=jwSiwRUooYs

「Wonderful」
Gretchen Parlato作。Gerald Clayton(p)、旦那Mark Guiliana (ds)をフィーチャー。そのMark Guilianaが現代ジャズらしいリズムを叩き出します。曲自体はGretchenが息子や世界の子供たちに素晴らしき未来を語りかける希望に満ちた1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=KLGQcFjA4JI

「Cello Suite No. 1, BWV 1007 : Minuet I / II」
J.S. Bach(バッハ)の「無伴奏チェロ組曲 第1番ト長調BWV1007 メヌエットI/II」をカヴァー。ショーロ名曲をクラシック的に聴かせた「Rosa」の逆パターン。ア・カペラの前半に続き、中盤以降はクラシック名曲をカヴァキーニョ入りのショーロで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=BNwy5OnnU0U

「No Plan」
ラストはDavid Bowie作品をカヴァー。Bowieがミュージカル『Lazarus』(2016年)のために書いた楽曲です。Mark Guiliana (ds)をフィーチャー。ミステリアスな哀愁サウンドですが、GretchenはBowieが死を目前にたどり着いた境地に思いを馳せて、この曲を歌っています。「色即是空、空即是色」。ふとこの言葉が思い浮かびました。
https://www.youtube.com/watch?v=7XNWow26csg

Gretchen Parlatoの他作品もチェックを!

『Gretchen Parlato』(2005年)
グレッチェン・パーラト

『In a Dream』(2009年)
In a Dream

『The Lost And Found』(2011年)
Lost & Found

『Live In NYC』(2013年)
ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ【CD+DVD】(仮)

『The Gretchen Parlato Supreme Collection』(2015年)
※日本独自企画コンピ
ザ・グレッチェン・パーラト シュプリーム・コレクション

Tillery『Tillery』(2016年)
ティレリー
posted by ez at 00:33| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月13日

Bill Wyman『Stone Alone』

豪華ゲストを迎えた2ndソロ☆Bill Wyman『Stone Alone』

発表年:1976年
ez的ジャンル:サイレント・ストーン系ロック
気分は... :孤独なストーン・・・

The Rolling StonesのベーシストBill Wymanの2ndソロ・アルバム『Stone Alone』(1976年)です。

1936年生まれ。1962年から1993年までThe Rolling Stonesのベーシストとして活躍したBill Wyman

Mick JaggerKeith Richardsらの陰に隠れ、Charlie Watts(ds)と共に"サイレント・ストーン"としてリズム隊に徹していたBill Wyman

そんなBill Wymanの2ndソロ・アルバム『Stone Alone』(1976年)ですが、Rolling Stonesからリリースされたものの、発売当時のチャート・アクションや評価は芳しくありませんでした。しかしながら、90年代にフリーソウル方面で「If You Wanna Be Happy」が話題となり、再評価が高まった1枚です。

僕もそれまでは全然興味がないアルバムでしたが、それで注目するようになり、再発CDを購入した次第です。また、この人の持つ長閑な雰囲気が今の僕にはフィットするかもしれません。

プロデュースはBill Wyman自身。

レコーディング・メンバーはBill Wyman(vo、b、g、p、per、horn arr)以下、Bob Welch(g)、Danny Kortchmar(g)、Ronnie Wood(g)、Terry Taylor(g)、Joe Walsh(g)、John McFee(fiddle、pedal steel)、Nicky Hopkins(p)、Joe Vitale(p)、Al Kooper(p)、Dr. John(org、marimba)、Albhy Galuten(syn)、Dallas Taylor(ds、per)、Jim Keltner(ds)、Greg Errico(ds)、Van Morrison(as、harmonica、g)、Emilio Castillo(horns)、Lenny Pickett(horns)、Mic Gillette(horns)、Stephen Kupka(horns)、Bonnie Pointer(back vo)、Ruth Pointer(back vo)、Clydie King(back vo)、Vanetta Fields(back vo)、Paula Harrison(back vo)等のミュージシャンが参加しています。

Gary "U.S." Bondsのカヴァー「A Quarter to Three」Jimmy Soulのカヴァー「If You Wanna Be Happy」Danny Kortchmar作の「Feet」という3曲以外はすべてBill Wymanのオリジナルです。

アルバムは一貫してリラックスした雰囲気です。

話題の「If You Wanna Be Happy」以外であれば、グルーヴィー&ソウルフル&スワンピーな「Wine and Wimmen」、アイランド・モードのトロピカル・チューン「Soul Satisfying」、シングルにもなったパーカッシヴな「Apache Woman」Danny Kortchmar作の「Feet」、セクシー・モードとイナたさが融合した「Peanut Butter Time'」あたりが僕のおススメです。

"サイレント・ストーン"の豊かな音楽性を楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「A Quarter to Three」
Gary "U.S." Bonds、1961年のヒット・シングルをカヴァー (Gene Barge, Gary "U.S." Bonds, Frank Guida, Joseph Royster作)。シングルにもなりました。リラックスしたR&B調ダンサブル・チューンは実に楽しげです。Van Morrisonがサックスで参加。
https://www.youtube.com/watch?v=MfmjktlGgVs

「Gimme Just One Chance」
リラックスした演奏ですが、ソウルフルな女性コーラス隊とDr. Johnのマリンバが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=R939aRximnw

「Soul Satisfying」
アイランド・モードのトロピカル・チューン。シンセのアクセントも程良い感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=o-I1ZdThIUs

「Apache Woman」
シングルにもなりました。インディアン・ミュージック仕様のパーカッシヴなグルーヴは僕好み。ヴォーカルは長閑ですがサウンドはなかなかキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=9IGGx-I-R_s

「Every Sixty Seconds」
リラックスしすぎたRolling Stonesといった雰囲気のイナたくブルージーな演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=W0dCpsEiym0

「Get It On」
リラックスした楽しげなロック。本来こういうタイプの演奏は苦手なのですが、Bill Wymanだと許せちゃいますね(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=imENxBnNKrc

「Feet」
Danny Kortchmar作。Danny Kortchmarらしい曲調ですが、それがBill Wymanの個性とよくフィットしています。後にSteve Cropperもカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=VeJvQJYwcww

「Peanut Butter Time'」
セクシー・モードとイナたさの融合がBill Wymanらしいかもしれませんね。サウンド自体にはBill Wymanのセンスを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=V0-e90-PWbM

「Wine and Wimmen」
僕の一番のお気に入り。グルーヴィー&ソウルフル&スワンピーな演奏です。この躍動感、推進力は魅力的です。
https://www.youtube.com/watch?v=qR1OKMH4-Zw

「If You Wanna Be Happy」
Jimmy Soul、1963年のヒット・シングルをカヴァー (Carmela Guida, Frank Guida, Joseph Royster作)。本作の再評価を高めるきっかけとなったフリーソウル。リラックスしたハッピー・チューンです。サウンド的に当ブログでも紹介したフリーソウル人気曲The Brady Bunch「I Believe in You」を引き合いに出しているサイトを見かけましたが、確かに同タイプですね。
https://www.youtube.com/watch?v=mIeLGeJEnEI
The Brady Bunch「I Believe in You」
 https://www.youtube.com/watch?v=qHOhx0c8CNM

「What's the Point」
カントリー・ロックな仕上がり。僕が苦手な芋臭いタイプのカントリーなのですが、不思議となBill Wymanのキャラに合っていてそれ程拒否反応が起きません(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=flcZY10pf8E

「No More Foolin'」
本編ラストはBillがLouis Armstrongのヴォーカル・スタイルを真似たユーモラスかつオールドタイミーな演奏を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=hoZluK5k4wU

CDにはボーナス・トラックとして、以下の2曲が追加収録されています。

「Can't Put Your Picture Down」
イナたい雰囲気ですが、遊び心のある音作りがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Tln-JZw1jck

「Love Is Such A Wonderful Thing」
ジェントルなジャジー・ソウル。Ben Sidranあたりがやりそうな感じですね。
https://www.youtube.com/watch?v=TbF3mEp1ZSI

ご興味がある方はBill Wymanの他の初期ソロ作もチェックを!

『Monkey Grip』(1974年)


『Bill Wyman』(1982年)


Willie and the Poor Boys『Willie and the Poor Boys』(1985年)
posted by ez at 01:20| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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