発売年:1970年
ez的ジャンル:レア・グルーヴ系ジャズ・ファンク/ラテン・ジャズ
気分は... :Puchoサウンド完成形!
70年代ラテン・ジャズからPucho & His Latin Soul Brothers『Jungle Fire』(1970年)です。
上記ジャケは『Heat』(1968年)との2in1CDであり、Amazonへのリンクも同作のものです。
ティンバレス奏者"Pucho"ことHenry Brown(1938年生まれ)が率いたラテン・ジャズ・グループPucho & The Latin Soul Brothers(Pucho & His Latin Soul Brothers)について、当ブログで紹介したのは以下の3枚。
『Tough!』(1966年)
『Heat』(1968年)
『Yaina』(1971年)
本作『Jungle Fire』(1970年)は、Prestigeでのラスト作であり、ラテン、ジャズ、ファンク、ソウルがブレンドされたPuchoサウンドの集大成的な1枚に仕上がっています。
Pucho(timbales)以下、Bernard Purdie(ds)、Seaborn Westbrook(b)、Neal Creque(el-p)、Billy Butler(g)、Norberto Appellaniz (bongos)、Joe Armstrong(congas)、Eddie Pazant (ts)、Seldon Powell(ts、bs、fl)、Alvin Pazant(tp)、Willie Bivens(vibe、per)等がレコーディングに参加しています。何といってもBernard Purdieの参加が目を引きますね。
プロデュースはBob Porter。
全5曲ということで曲数少なめですが、どの演奏も充実しています。
「Friendship Train」、「Got Myself A Good Man」、「Cloud 9」というカヴァー3曲がすべてBarrett Strong/Norman Whitfield作品です。
「Friendship Train」、「Got Myself A Good Man」はGladys Knight & the Pipsのカヴァーであり、The Temptationsのヒット曲として知られる「Cloud 9」もGladys Knight & the Pipsがカヴァーしています。このあたりのGladys Knight & the Pips縛りも興味深いですね。
その「Friendship Train」、「Got Myself A Good Man」、「Cloud 9」というカヴァー3曲に本作のレア・グルーヴとしての魅力が凝縮されています。特にPuchoから主役の座を奪うようなBernard Purdieのドラミングが冴えまくるスリリング&グルーヴィーなジャズ・ファンクは圧巻です。
そのジャズ・ファンク3曲と対照的なのが、カリプソな「The Spokerman」、メロウなラテン・ジャズ「Jamilah」の2曲。Puchoのラテン志向の側面を楽しめます。
Puchoサウンドの完成形を楽しみましょう。
全曲紹介しときやす。
「Friendship Train」
Gladys Knight & the Pips、1969年のヒット・シングルをカヴァー(Barrett Strong/Norman Whitfield作)。文句なしに格好好いジャズ・ファンク・グルーヴ。Purdie & Westbrookのリズム隊がサイコーです。Puchoらのラテン・リズム、豪快なホーン・サウンド、ファンキー・ギターも相まったエキサイティングな演奏に一発KOされてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=HGhppDfuqjU
「Got Myself A Good Man」
前曲に続きGladys Knight & the Pipsのカヴァー(Barrett Strong/Norman Whitfield作)。オリジナルはアルバム『Nitty Gritty』(1969年)収録。
Purdieのドラミングの威力を満喫できるラテン・ジャズ・ファンク。Purdieのドラムとパーカッションのエキサイティングなリズムにアドレナリン出まくりです。イントロのパーカッション・ブレイクはサンプリング・ソースとしてもお馴染みですね。
https://www.youtube.com/watch?v=g8nWaezOMp4
London Elektricity「South Eastern Dream」、Outlaw Posse「II Dam Funky」、Finesse & Showbiz「Annasette」、The Chemical Brothers「Life Is Sweet」、スチャダラパー「コロコロなるまま」等のサンプリング・ソースとなっています。
London Elektricity「South Eastern Dream」
https://www.youtube.com/watch?v=u28i6b5lByg
Outlaw Posse「II Dam Funky」
https://www.youtube.com/watch?v=ueVe1GcwZiw
Finesse & Showbiz「Annasette」
https://www.youtube.com/watch?v=-3JJ3PNjxj4
「The Spokerman」
Jim Phillips作。開放的なカリプソをグルーヴィーに聴かせてくれます。汎ラテン的な演奏がアルバムのいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=cgKobPJ4Ad4
「Cloud 9」
The Temptationsのヒット曲をカヴァー(Barrett Strong/Norman Whitfield作)。オリジナルはアルバム『Cloud Nine』(1968年)収録。Gladys Knight & the Pipsも本曲をカヴァーしています。Purdieの推進力のあるドラムが牽引するジャズ・ファンク。そこに絡むパーカッシヴなラテン・リズムが格好好さをマシマシにしてくれます。終盤にはPuchoがティンバレス・ブレイクで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=VS_DGRh9uSQ
「Jamilah」
Jim Phillips作。テンポを落としたメロウなラテン・ジャズで締め括ってくれます。ヴァイヴとエレピの音色が映える僕好みの演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=S-p7a-20Y8I
『Tough!』(1966年)
『Heat/Jungle Fire』(1968/1970年)
『Yaina』(1971年)