2021年04月23日

Dexter Wansel『What The World Is Coming To』

PIRの人気プロデューサー/キーボード奏者の2nd☆Dexter Wansel『What The World Is Coming To』

発表年:1977年
ez的ジャンル:後期フィリー系ディスコ/ソウル/ジャズ・ファンク
気分は... :構成から肌理へ・・・

今回は後期フィリー・サウンドを支えたミュージシャンDexter Wansel『What the World Is Coming To』(1977年)です。

単独CD化が未実現のため、上記ジャケおよびAmazonへのリンクは『Life on Mars』(1976年)との2in1CDです。

1950年フィラデルフィア出身のキーボード奏者/プロデューサー/アレンジャーDexter Wanselの紹介は、『Time Is Slipping Away』(1979年)に続き2回目となります。

Gamble & HuffのPhiladelphia International Records(PIR)において、70年代後半よりプロデューサー/アレンジャー/ソングライティングとして重用され、The JacksonsMFSBBilly PaulJean CarnLou RawlsTeddy PendergrassPatti LaBelleThe Stylistics、<The Jones Girls等を手掛けたDexter Wansel

本作『What the World Is Coming To』(1977年)は、『Life on Mars』(1976年)に続く2ndアルバムです。

プロデュースはDexter Wansel自身。

レコーディングにはDexter Wansel(syn、el-p、p、per、vo)以下、Idris Muhammad(ds)、Billy Johnson(ds)、Darryl Brown(ds)、Charles Collins(ds)、Derek Graves(b)、Herb Smith(g)、Dennis Harris(g)、Steve Gold(key)、Bob Malach(ts)、Al Harrison(tp、flh)、Jean Carn(back vo)、Barbara Ingram(back vo)、Carla Benson(back vo)、Evette Benton(back vo)、さらにMFSB(strings、horns)といったミュージシャンが参加しています。

全9曲。ディスコ、ジャズ・ファンク、ソウルがバランス良く配された構成です。

ダンス系であれば、ガラージ・クラシック「Disco Lights」MFSBもカヴァーした「Dance With Me Tonight」がおススメです。

ドラマティックなジャズ・ファンク「First Light Of The Morning」、ビューティフルなインスト・バラード「What The World Is Coming To」はサンプリング・ソースとしても人気です。

Marilyn Scottのカヴァーでも知られる「Dreams Of Tomorrow」、素敵なメロウ・バラード「Holdin' On」もおススメです。

アルバム1枚でいろいろと楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「First Light Of The Morning」
Dexter Wansel作。荘厳な雰囲気で始まるオープニング。全体としてはMFSBが活躍するドラマティックなジャズ・ファンクといった感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=QWWApBWJbq4

J Dilla「Track 26」、Dave Nitty「This Is What You Need」、Universal Soldiers「Snakes & Ladders」、Royce Da 5'9''「New Money」等のサンプリング・ソースとなっています。
Dave Nitty「This Is What You Need」
 https://www.youtube.com/watch?v=4gQAqKIepoo
Universal Soldiers「Snakes & Ladders」
 https://www.youtube.com/watch?v=B5w4twR3lQ4
Royce Da 5'9''「New Money」
 https://www.youtube.com/watch?v=70KVQL38wy0

「Dance With Me Tonight」
Bunny Sigler/Dexter Wansel作。MFSBもカヴァーしたディスコ・トラック。夜遊びモードのアーバン・ディスコはモロに僕好み!
https://www.youtube.com/watch?v=PG9Qh3fNUkw

MFSBヴァージョンと聴き比べるのも楽しいのでは?
MFSB「Dance With Me Tonight」
 https://www.youtube.com/watch?v=83EMMPMGqds

「Holdin' On」
Bunny Sigler/Dexter Wansel作。Jean Carnがバック・ヴォーカルを務める素敵なメロウ・バラード。ロマンティック・ムードを演出するストリングスもグッド!

Lawrence Hilton-Jacobsがカヴァーしています。
Lawrence Hilton-Jacobs「Holdin' On」
 https://www.youtube.com/watch?v=dUDSmlfx85E

「Ode Infinitum」
Derrick Graves作。鮮やかなホーン隊と格好良いベースが牽引するインスト・ジャズ・ファンク。
https://www.youtube.com/watch?v=b29wfBiUEX8

「Disco Lights」
Dexter Wansel作。ガラージ・クラシックらしいですが、ディスコというよりもスペイシーなジャズ・ファンクといった雰囲気です。後半のヴォーカルが入ってくるとディスコ度が増しますが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=u92dh7l73Ok

Jean Jacques Smoothieがカヴァーしています。
Jean Jacques Smoothie「Disco Lights」
 https://www.youtube.com/watch?v=KKIpeyJiHKg

「What The World Is Coming To」
Dexter Wansel作。タイトル曲にはIdris Muhammad(ds)が参加。子供の無邪気な声が響くビューティフルなインスト・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=kgn05leKS1Q

Mobb Deep「Heat」、DJ Khaled feat. Kanye West, Consequence and John Legend「Grammy Family」、ScHoolboy Q「JoHn Muir」、Isaiah Rashad「The Spill」、Agallah feat. Sean Price and Bazaar Royale「Rising to the Top」等のサンプリング・ソースとなっています。
Mobb Deep「Heat」
 https://www.youtube.com/watch?v=-Rp0ycv1tPI
DJ Khaled feat. Kanye West, Consequence and John Legend「Grammy Family」
 https://www.youtube.com/watch?v=vzS12l5gMwQ
ScHoolboy Q「JoHn Muir」
 https://www.youtube.com/watch?v=Iuq9XK6tojs
Isaiah Rashad「The Spill」
 https://www.youtube.com/watch?v=qtzZzAcqVrk
Agallah feat. Sean Price and Bazaar Royale「Rising to the Top」
 https://www.youtube.com/watch?v=u6q6vzbuOrI

「Going Back To Kingston Town」
Dexter Wansel作。意表を突くレゲエ・チューンです。Jean Carnがバック・コーラスを務めます。
https://www.youtube.com/watch?v=Mus6olernK8

「Dreams Of Tomorrow」
Dexter Wansel作。Jean Carnがヴォーカルをとる美しいミディアム・グルーヴ。

当ブログでも紹介したMarilyn Scottのカヴァーでもお馴染みの曲ですね。
Marilyn Scott「Dreams Of Tomorrow」
 https://www.youtube.com/watch?v=aEKAS6syXl4

「Prelude #1」
Dexter Wansel作。ラストはWanselの美しいピアノとストリングスによる感動的なインストで締め括ってくれます。

Droop-E feat. Kendrick Lamar「Rossi Wine」のサンプリング・ソースとなっています。
Droop-E feat. Kendrick Lamar「Rossi Wine」
 https://www.youtube.com/watch?v=cfypTOCF4bA

『Voyager/Time Is Slipping Away』(1978/1979年)


『Time Is Slipping Away』(1979年)
タイム・イズ・スリッピング・アウェイ(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 01:31| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月21日

Art N' Soul『Touch Of Soul』

Tony! Toni! Tone!のTimothyプロデュース☆Art N' Soul『Touch Of Soul』

発表年:1996年
ez的ジャンル:男性R&Bグループ
気分は... :ソウル×R&B

90年代R&BからArt N' Soul『Touch Of Soul』(1996年)です。

Art n' Soulはオークランドで結成された男性R&Bグループ。

メンバーはTracy(vo、b)、Rodney Lattrel Evans(key、back vo)、Dion Riley(ds、back vo)という3名。

メンバーのうち、Dion Rileyは、Tony! Toni! Tone!Timothy Christian Rileyの実弟です。

そのため、本作『Touch Of Soul』Timothy Christian Rileyのプロデュースです。

アルバムはスロウ〜ミディアム中心の構成。
70年代ソウルのグッドヴァイヴを90年代R&Bにうまく取り込んでいる感じがいいですね。Timothy Christian Rileyのプロデューサーとしての手腕も実感できます。

デビュー・シングルにもなったオープニングの「Ever Since You Went Away」から「Stay With Me」「Special」「U Changed」という冒頭の4曲が絶品です。

それ以外であれば、Slave「Just a Touch of Love」を引用したタイトル曲「Touch Of Soul」、シングルにもなった「All My Luv」、Al Green「Let's Stay Together」等をサンプリングしたメロウR&Bグルーヴ「Dog N' Me」あたりもおススメです。

とりあえず冒頭の4曲をチェックしてみてください!
かなりいいですよ!!!

全曲紹介しときやす。

「Ever Since You Went Away」
デビュー・シングルにもなったオープニング。オーセンティックな雰囲気で魅せるスウィート・バラード。この1曲でArt n' Soulの素晴らしさを実感できるはず!Tracyのハイトーン・ヴォーカルが映えます。名バラードの佇まいがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=xwgP1j6msXc

「Stay With Me」
哀愁メロウなR&Bグルーヴ。楽曲の良さが光ります。Grace Jones「Don't Cry - It's Only the Rhythm」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=e44NIGgKjt4

「Special」
アコギの響きが素敵なメロウ・バラード。素晴らしいヴォーカル・ワークも含めてモロに僕好み!
https://www.youtube.com/watch?v=Y9ERQE8f_JI

「U Changed」
Detroit Emeralds「You're Getting a Little Too Smart」をサンプリングしたメロディアスなミディアム・グルーヴ。Tracyの声質の良さが光ります。中盤のヴォーカル・ワークもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=33dXKIXxt4I

「Ridin'」
リラックスしたムードのミディアム・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=gHYVuiTzj9M

「Light The Candles (Interlude)」
波音が聞こえてくるインタールード。

「Nature Rise」
前曲の雰囲気を受け継いだメロウ&セクシーなバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=4BxwBoeDH1I

「Touch Of Soul」
タイトル曲はLafayette Afro Rock Band「Hihache」をサンプリングし、Slave「Just a Touch of Love」のフレーズを引用したダンサブル・チューン。Slave「Just a Touch of Love」好きの人であれば楽しめるはず!
https://www.youtube.com/watch?v=XUjU-pMR9xw

「A Sexy Solo (Interlude)」
インタールード。

「All My Luv」
シングルにもなった曲。オーセンティックなソウル・バラードにR&Bフィーリングをうまくブレンドしている感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=BlO7lKHRErI

「Goin' On」
ライヴ感のある演奏がグッドヴァイヴを醸し出すミディアム・ソウル・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=rijS8RgiSdI

「That's How Love Goes」
70年代ソウルのテイストを90年代R&B感覚で聴かせてくれるメロウ・ミディアム。Big Willのラップも織り交ぜています。
https://www.youtube.com/watch?v=6NOouOpnTdU

「Dog N' Me」
Sly & the Family Stone「Sing a Simple Song」、Al Green「Let's Stay Together」、James Brown「The Payback」をサンプリングしたメロウR&Bグルーヴ。なかなかキャッチーです。
https://www.youtube.com/watch?v=efAoAPnLgNM

「Light The Candles (Reprise)」
ラストは波音と共にロマンティックに締め括ってくれます。

メンバーのTracySam Bostic名義でソロ・アルバムもリリースしています。

Sam Bostic『Soul Supreme』(2008年)
posted by ez at 01:40| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月20日

Isaac Hayes『Hot Buttered Soul』

初のUS R&Bアルバム・チャートNo.1作品☆Isaac Hayes『Hot Buttered Soul』

発表年:1969年
ez的ジャンル:ムーディー&官能系シンフォニック・ソウル
気分は... :すべてが"ニュー"ソウル!

70年代前半に絶大な人気を誇った男性R&Bシンガー/キーボード奏者Isaac Hayesの代表作の1枚、『Hot Buttered Soul』(1969年)です。

Isaac Hayes(1942-2008年)の紹介は、『...To Be Continued』(1970年)に続き2回目となります。

久々のIsaac Hayesです。前回『...To Be Continued』を紹介したのが、まだ彼が存命中の2007年であり、約14年ぶりのIsaac Hayes作品のエントリーです。

David Porterと組んで、60年代Staxを代表するデュオ・グループSam & Dave「Soul Man」のソングライティングで注目されるようになったIsaac Hayesが、ソロ活動を開始したのはアルバム『Presenting Isaac Hayes』(1968年)からですが、同作は泥酔した状態でレコーディングされたものであり、必ずしも彼の才能がきちんと発揮された作品ではありませんでした。

その意味で、2ndアルバムとなる本作『Hot Buttered Soul』(1969年)こそがIsaac Hayesのソロ・アーティストとしての才能をh初めて知らしめたアルバムといえます。

『Hot Buttered Soul』(1969年)は見事にUS R&Bアルバム・チャート第1位に輝き、それ以降も『The Isaac Hayes Movement』(1970年)、『...To Be Continued』(1970年)、『Shaft (motion picture soundtrack) 』(1971年)、『Black Moses』(1971年)と5作連続でUS R&Bアルバム・チャート第1位を獲得することになります。

プロデュースはAl BellMarvell ThomasAllen Jones

レコーディングにはIsaac Hayes(vo、key)以下、Marvell Thomas(key)、Harold Beane(g)、さらにはWillie Hall(ds)、James Alexander(b)、Michael Toles(g)というThe Bar-Kaysメンバー3名が参加しています。

全4曲という収録曲の少なさですが、この曲数の少なさこそがIsaac Hayesらしいですね。その独自サウンドも含めて既成のアルバムの常識を簡単に覆してしまう大胆さが本作の魅力かもしれません。こういうアルバムがヒットしたこと自体に時代の変わり目だったのかもしれませんね。

Hal David/Burt Bacharachの名曲「Walk On By」Isaac Hayesワールドに変貌させ、「Hyperbolicsyllabicsesquedalymistic」ではサイケデリックなファンク・ロックで妖しいムードを醸し出したかと思えば、Al Greenのカヴァー「One Woman」はオーセンティックなソウルで魅せ、Glen Campbellのヒットで知られるJimmy Webb作品のカヴァー「By the Time I Get to Phoenix」は壮大なスケールで締め括ってくれます。

快進撃の口火を切ったヒット・アルバムを満喫しましょう。

全曲紹介しときやす。

「Walk On By」
Hal David/Burt Bacharach作。1964年、Dionne Warwickの大ヒットでお馴染みの名曲をカヴァー。この12分超の長尺カヴァーにIsaac Hayesの美学が凝縮されているかもしれませんね。荘厳なストリングスに歪んだギター、女性コーラスを従えた官能的な低音ヴォーカルが織り成す甘く危険な前半、一気にギア・チェンジしてサイケにファンク・ロックする後半という二部構成は聴き応え十分です。シングルとして、USチャート第30位、US R&Bチャート第13位となっています。
https://www.youtube.com/watch?v=iqR4CZj0mJQ

当ブログで紹介したQueen Latifah「Wrath Of My Madness (Soulshock Remix)」Faith Evans「No Other Love」Alicia Keys「If I Was Your Woman/Walk on By」をはじめ、Beyonce feat. The Weeknd「6 Inch」、The Notorious B.I.G.「Warning」、2Pac feat. Dramacydal「Me Against the World」、MF DOOM「Dead Bent」、Pete Rock「Walk on By」、Cypress Hill「Whatta You Know」等110トラック以上ののサンプリング・ソースとなっています。
Queen Latifah「Wrath Of My Madness (Soulshock Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=D9cqfDiR20E
Faith Evans「No Other Love」
 https://www.youtube.com/watch?v=2va9uemtU18
Alicia Keys「If I Was Your Woman/Walk on By」
 https://www.youtube.com/watch?v=hKcpZ1_GB8A
Beyonce feat. The Weeknd「6 Inch」
 https://www.youtube.com/watch?v=tiNINsfr768
The Notorious B.I.G.「Warning」
 https://www.youtube.com/watch?v=TbSm6HsX_ek
2Pac feat. Dramacydal「Me Against the World」
 https://www.youtube.com/watch?v=QlPYub-gTjE
MF DOOM「Dead Bent」
 https://www.youtube.com/watch?v=1lOqpnKdRLQ
Pete Rock「Walk on By」
 https://www.youtube.com/watch?v=gUfZUJgixlY
Cypress Hill「Whatta You Know」
 https://www.youtube.com/watch?v=BdBwYLpdOVw

「Hyperbolicsyllabicsesquedalymistic」
Isaac Hayes/Alvertis Isbell(Al Bell)作。サイケデリックなファンク・ロックは僕の一番のお気に入り。サイケなギター、ダークなピアノ、ヘヴィーなリズム隊が醸し出す退廃的ムードがたまりせん。僕の一番のお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=FCzElCx_LK8

Public Enemy「Black Steel in the Hour of Chaos」、DJ Quik「Born and Raised in Compton」、Super Lover Cee & Casanova Rud「All You MC's」、N.W.A「Kamurshol」、Ice Cube「I Gotta Say What Up!!!」、House of Pain「Legend」、The Game「Remedy」等70トラック以上ののサンプリング・ソースとなっています。
Public Enemy「Black Steel in the Hour of Chaos」
 https://www.youtube.com/watch?v=ZM5_6js19eM
DJ Quik「Born and Raised in Compton」
 https://www.youtube.com/watch?v=2pc8lpWVGEA
Super Lover Cee & Casanova Rud「All You MC's」
 https://www.youtube.com/watch?v=M9Po9SbBYt4
N.W.A「Kamurshol」
 https://www.youtube.com/watch?v=dS4iCLsMpYQ
Ice Cube「I Gotta Say What Up!!!」
 https://www.youtube.com/watch?v=4bx0GOXvqqg
House of Pain「Legend」
 https://www.youtube.com/watch?v=VuApGzULTu0
The Game「Remedy」
 https://www.youtube.com/watch?v=yw2VRfs2Fu4

「One Woman」
Al Greenのカヴァー(Charles Chalmers/Sandra Rhodes作)。オリジナルはアルバム『Green Is Blues』(1969年収録)。本作の中では一番オーセンティックなソウル・バラード。Hayesの魅惑の低音ヴォーカルを存分に満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=jzliSxRMXLg

Hip-HopクラシックGroup Home「Supa Star」等のサンプリング・ソースとなっています。
Group Home「Supa Star」
 https://www.youtube.com/watch?v=MZCNnDSKJsM

「By the Time I Get to Phoenix」
Glen Campbellのヒットで知られるJimmy Webb作品をカヴァー(オリジナルはJohnny Rivers)。18分半超の長尺です。前半はオルガンとシンバルのみのバッキングに、ポエトリーリーディングのようなヴォーカルが淡々と続きます。中盤からストリングスやホーン、ようやく本格的に歌い始め、さらには他の楽器が徐々に加わっていき、クライマックスへと向かっていきます。
https://www.youtube.com/watch?v=9bbdJSW3pvM

One Deep「Crime Stories」、Chinatown「Sin Propaganda」等ののサンプリング・ソースとなっています。
One Deep「Crime Stories」
 https://www.youtube.com/watch?v=LtvZt7VnRuA
Chinatown「Sin Propaganda」
 https://www.youtube.com/watch?v=g1zlvFyNRT4

Isaac Hayesの他の初期作品もチェックを!

『The Isaac Hayes Movement』(1970年)


『...To Be Continued』(1970年)


『Shaft (motion picture soundtrack) 』(1971年)


『Black Moses』(1971年)


『Joy』(1973年)


『Chocolate Chip』(1975年)
posted by ez at 01:58| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月19日

Antonio Carlos Jobim『Stone Flower』

CTI三部作のラスト☆Antonio Carlos Jobim『Stone Flower』

発表年:1970年
ez的ジャンル:ボサノヴァの父
気分は... :久々のJobimアルバム!

ボサノヴァの父Antonio Carlos Jobim『Stone Flower』(1970年)です。

ブラジルを代表する音楽家でありボサノヴァの父Antonio Carlos Jobim(1927-1994年)の紹介は、『Wave』(1967年)に続き2回目となります。

これまで何百曲とJobim作品を紹介してきたのに、Jobim本人の作品の紹介としては、2005年に『Wave』(1967年)を紹介して以来16年ぶりとなります。そのに『Wave』のエントリーも具体的な曲紹介なしという手抜きエントリーでしたが(笑)。ブログ開設当初は全曲紹介パターンにはなっていなかったので・・・

本作は『Wave』(1967年)、『Tide』(1970年)に続くCTI三部作のラスト・アルバムとなります。

Creed Taylorプロデュース。
Eumir Deodatoがアレンジを手掛けています。

レコーディングにはAntonio Carlos Jobim(p、el-p、g、vo)以下、Harry Lookofsky(violin)、Joe Farrell(ss)、Urbie Green(tb)、Hubert Laws(fl)、Ron Carter(b)、Joao Palma(ds)、Airto Moreira(per)、Everaldo Ferreira(per)、Eumir Deodato(g)といったミュージシャンが参加しています。

Ary Barroso作の「Brazil」以外はJobimのオリジナルです。

Jobimの名曲をCTI流ボッサ・ジャズで楽しませてくれます。

個人的にはJobim自身がヘタウマ・ヴォーカルを聴かせてくれる「Brazil」「Sabia」が好きです。

それ以外にも、落ち着いたボッサ・ジャズ「Tereza My Love」、ギターとピアノのコントラストが印象的な「Children's Games (chovendo na Roseria) 」、軽くラテン調な「Choro」Deodatoのアレンジが冴える「Stone Flower」、クラシカルな「Amparo」、エレピを駆使した「Andorinha」、クロスオーヴァー・ジャズな「God and the Devil in the Land of the Sun」など聴きどころ満載です。

CTI時代の集大成的な1枚を楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Tereza My Love」
落ち着いたボッサ・ジャズがオープニング。控えめながらも品のあるJobimのピアノにグッときます。トロンボーンの響きもいい感じです。当ブログではCal Tjader & Charlie Byrdのカヴァーも紹介済みです。
https://www.youtube.com/watch?v=yaRTCObEO-8

「Children's Games (chovendo na Roseria) 」
映画『The Adventurers』(1970年)のために書かれた楽曲。ギターとピアノの響きのコントラストがいい感じ。Deodatoによる美しいアレンジもグッド!当ブログではChristiane Legrandのカヴァーも紹介済みです。
https://www.youtube.com/watch?v=SlrIHG2Les0

「Choro」
美しいピアノ・ボッサですが、軽くラテン調なのがいいですね。後半はHubert Lawsのフルートが盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=vmIdArq97WY

「Brazil」
Ary Barroso作。名曲「ブラジルの水彩画(Aquarela Do Brasil)」をカヴァー。お馴染みの名曲をエレピを駆使し、Jobim自身のヴォーカルで聴かせてくれます。決して上手くないヴォーカルが逆に味になっています。
https://www.youtube.com/watch?v=SzLty_nXSh8

本曲に関して、当ブログではElis ReginaSonzeiraGal CostaGeoff & Maria Muldaur映画『未来世紀ブラジル』サントラGrant Greenのカヴァーも紹介済みです。

「Stone Flower」
タイトル曲はHarry Lookofskyのヴァイオリンをフィーチャーし、Deodatoの素晴らしいアレンジが冴えます。
https://www.youtube.com/watch?v=Yqy3ze3uFrQ

「Amparo」
「Olha Maria」のタイトルでも知られる曲。ここではJobimの美しいピアノとストリングスを中心としたクラシカルで叙情的な仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=VJbhIyp6Ekc

当ブログではChico BuarqueTamba TrioSebastiao Tapajos/Maria Nazareth/Arnaldo Henriquesのカヴァーも紹介済みです。

「Andorinha」
エレピを駆使したボッサ・ジャズをしっとりと聴かせてくれます。当ブログではAgustin Pereyra LucenaOsmar Militoのカヴァーも紹介済みです。
https://www.youtube.com/watch?v=P-Iig1a72-g

「God and the Devil in the Land of the Sun」
クロスオーヴァーなブラジリアン・ジャズ。演奏全体にミステリアスな雰囲気が漂います。特にJoe Farrellのサックスが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=ZE3u_DBh5oY

「Sabia」
Chico Buarque/Antonio Carlos Jobim作。再びJobimが歌う哀愁ボッサ。このヴォーカルの味わいが何ともいいですよね。当ブログではTatiana Parraのカヴァーも紹介済みです。
https://www.youtube.com/watch?v=-4dy0MEksHc

「Brazil (alternate take) 」
CDボーナス・トラック。「Brazil」の別テイクです。
https://www.youtube.com/watch?v=0qhDvlH14Yk

Antonio Carlos Jobimの他作品もチェックを!

『The Composer of Desafinado, Plays』(1963年)


Dorival Caymmi & Tom Jobim『Caymmi visita Tom』(1964年)


『The Wonderful World of Antonio Carlos Jobim』(1965年)


Francis Albert Sinatra & Antonio Carlos Jobim『Francis Albert Sinatra & Antonio Carlos Jobim』(1967年)


『A Certain Mr. Jobim』(1967年)


『Wave』(1967年)


『Tide』(1970年)


Elis Regina & Antonio Carlos Jobim『Elis & Tom』(1974年)


『Urubu』(1976年)


Miucha & Antonio Carlos Jobim『Miucha & Antonio Carlos Jobim』(1977年)


『Terra Brasilis』(1980年)


Edu Lobo & Tom Jobim『Edu & Tom, Tom & Edu』(1981 年)
posted by ez at 01:48| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月18日

Madlib『Sound Ancestors』

Four Tetとのコラボ☆Madlib『Sound Ancestors』

発表年:2021年
ez的ジャンル:ハイパーHip-Hop
気分は... :音の祖先から未来へ!

新作アルバムから人気Hip-HopアーティストMadlibの最新作『Sound Ancestors』です。

Madlib(本名:Otis Jackson Jr.)に関して、当ブログでは以下の9作品を紹介済みです。

 Yesterdays New Quintet『Angles Without Edges』(2001年)
 Madlib『Shades Of Blue』(2003年)
 Jaylib『Champion Sound』(2003年)
 Yesterdays New Quintet『Stevie』(2004年)
 Sound Directions『The Funky Side Of Life』(2005年)
 Talib Kweli & Madlib『Liberation』(2007年)
 Jackson Conti『Sunjinho』(2008年)
 Quasimoto『Yessir, Whatever』(2013年)
 The Jahari Massamba Unit『Pardon My French』(2020年)

今年に入ってKarriem Rigginsと組んだユニットThe Jahari Massamba Unitの初アルバム『Pardon My French』を紹介したばかりですが、早くも新作がリリースされました。

The Jahari Massamba Unit『Pardon My French』(2021年)

最新作『Sound Ancestors』Madlib単独名義のアルバムですが、実質的にはFour Tet (Kieren Hebden)とのコラボ作品です。Four Tetはエディット/アレンジ/マスタリング担当でクレジットされています。

Four Tet (Kieren Hebden)は、1978年ロンドン生まれのミュージシャン/プロデューサー/リミキサー。フォーク×エレクトロニカな音楽スタイルであるフォークトロニカのパイオニアとして有名ですね。

そんな二人が数年かけて制作したコラボ・アルバムはMadlib Invazionからのリリースです。

Hip-Hopの鬼才×UKエレクトロニカ〜フォークトロニカの鬼才のタッグによるジャンルを枠を飛び越えたハイパーHip-Hopを楽しめます。

1stシングルにもなったThe Ethics「Lost in a Lonely World」ネタの「Road Of The Lonely Ones」J Dillaに捧げられた「Two for 2 -For Dilla」、ブラジルのモダン・インストゥルメンタル・グループQuartabeをサンプリングした「One For Quartabe/Right Now」、Young Marble Giants「Searching for Mr. Right」ネタのダーク・トラック「Dirtknock」、スパニッシュ・ギターが印象的な「Latino Negro」、切れ味鋭いビートとソウル・フィーリングの「Chino」などファンを満足させる全16トラック。

タイトルは"Sound Ancestors(音の祖先)"ですが、鬼才二人が繰り広げる音の未来を楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「There Is No Time (Prelude)」
アルバムのプレリュード。コズミック・モードです。
https://www.youtube.com/watch?v=3tINiXByLNg

「The Call」
Terry Britten「Bargain Day」をサンプリングしたロック・モードのハイパーHip-Hopに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=UYnV8MXNYPA

「Theme De Crabtree」
MTK「Crabtree Music Library Vol. 2」をサンプリング。哀愁モードながらもトリップ感のあるHip-Hopサウンドで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=6Jl0f145ez4

「Road Of The Lonely Ones」
1stシングルにもなったトラック。The Ethics「Lost in a Lonely World」をサンプリングしたスウィート・ソウルなレトロ感を逆手にとった感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Y52M28WQu2s

「Loose Goose」
Renaldo and the Loaf「A Critical Dance」をサンプリング。人を食ったようなユーモラスな雰囲気ですが、なかなか楽しめるビートです。
https://www.youtube.com/watch?v=YcF3nWKNp8I

「Dirtknock」
Young Marble Giants「Searching for Mr. Right」のヴォーカル・ネタとJoe Farrell「Upon This Rock」のドラム・ネタの組み合わせたダークな仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=BMBjoK1s3fA

「Hopprock」
Johnny Jungle「Killa Sound」をサンプリング。アンビエントな雰囲気で始まりますが、途中からビートを効かせた神秘的なHip-Hopサウンドが展開されています。
https://www.youtube.com/watch?v=iOmgkVF5Anw

「Riddim Chant」
Mighty Tom Cats「Love Potion-Cheeba-Cheeba」のドラム・ネタをサンプリング。J Dilla以降のHip-Hop好きの人であれば安心して聴けるトラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=qu0qSJGnlOE

「Sound Ancestors」
タイトル・トラックはトライバル・モード全開のパーカッシヴ・リズムな前半とスピリチュアル・ジャズな後半とのコントラストが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=tkoaYEUBvA0

「One For Quartabe/Right Now」
Quartabe「Lembre-Se」、Brand X「Malaga Virgin」をサンプリング。ブラジルのモダン・インストゥルメンタル・グループQuartabeを取り上げるあたりがMadlibですね。浮遊するキャッチーなジャズ/フュージョン・フィーリングをうまくHip-Hopに落とし込んでいます。
https://www.youtube.com/watch?v=MzgNcT6-mS4

「Hang Out (Phone Off)」
メロウな雰囲気とMadlibらしいビート感覚の組み合わせがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=9bmx6-Y180g

「Two for 2 -For Dilla」
タイトルの通り、J Dillaに捧げられたトラック。Sly, Slick and Wicked「Love Gonna Pack Up (And Walk Out)」、Mary Holmes「I'll Make It Up to You」をサンプリング。J Dillaを重ね合わせて、このコズミック・トラックを楽しみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=5foFDKlivbE

「Latino Negro」
スパニッシュ・ギター×今ジャズ・ビートの組み合わせが面白いトラック。ありそうでない雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=9ZnpFjEiBtY

「The New Normal」
まさにニューノーマルなHip-Hopといった感じのスケールの大きなコズミック・トラック。
https://www.youtube.com/watch?v=noXek1BwHhE

「Chino」
Phife Dawg「Ben Dova」のドラム・ネタとLyn Collins「Think (About It)」のヴォーカル・ネタの組み合わせ。切れ味鋭いビートとソウル・フィーリングがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=l8tYjz_TaSQ

「Duumbiyay」
Six Boys in Trouble「Zum, Zum」をサンプリング。ラストは子どもヴォーカル・ネタの民族音楽モードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=BS_A9tu8yek

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Angles Without Edges by Yesterdays New Quintet (2001-05-03)

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Shades of Blue

Jaylib『Champion Sound』(2003年)
Champion Sound

Yesterdays New Quintet『Stevie』(2004年)
Stevie: Instrumental Tribute to Stevie Wonder

Sound Directions『The Funky Side Of Life』(2005年)
Funky Side of Life

Talib Kweli & Madlib『Liberation』(2007年)
Liberation

Jackson Conti『Sunjinho』(2008年)
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The Jahari Massamba Unit『Pardon My French』(2021年)
posted by ez at 01:38| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする