2021年05月18日

Ohio Players『Pleasure』

ヒット曲「Funky Worm」収録☆Ohio Players『Pleasure』

発表年:1972年
ez的ジャンル:オハイオFunk
気分は... :快楽の世界へ・・・

70年代を代表するFunkグループOhio PlayersWestbound時代の1枚、『Pleasure』(1972年)です。

これまで当ブログで紹介したOhio Players作品は以下の5枚(発売順)

 『Skin Tight』(1974年)
 『Fire』(1974年)
 『Honey』(1975年)
 『Angel』(1977年)
 『Jass-Ay-Lay-Dee』(1978年)

これまでOhio PlayersについてはMercury時代の作品しか紹介してきませんでしたが、いよいよWestbound時代の紹介です。

Westbound時代の『Pain』(1972年)、『Pleasure』(1972年)、『Ecstasy』(1973年)は、スキンヘッドのSM嬢の写るジャケと、そのジャケからの妄想を増幅させるタイトルで、手にするにはそれなりの勇気がいる1枚かもしれません(笑)

『Pain』(1972年)

『Ecstasy』(1973年)


Westboundからの第2弾アルバムとなる本作『Pleasure』(1972年)は、US R&Bアルバム・チャート第4位となりました。また、シングル「Funky Worm」はUSチャート第15位、US R&Bチャート第1位のヒットとなりました。

本作におけるメンバーはWalter "Junie" Morrison(key、vo)、Leroy "Sugarfoot" Bonner(g、vo)、Clarence "Satch" Satchell(sax、fl、vo)、Marshall "Rock" Jones(b)、Ralph "Pee Wee" Middlebrooks(sax、tp)、Mervin Pierce(tb)、Gregory Webster(ds)、Bruce Napier(tp)という8名。

当時のグループの中心はWalter "Junie" Morrisonであり、彼を中心に生み出されるWestbound時代ならではのファンキー・ワールドを楽しめます。

前述のヒット曲「Funky Worm」、ファンキー・グルーヴ「Pleasure」、スウィート・バラード「Varee Is Love」というシングル3曲に、定番サンプリング・ソース「Pride and Vanity」を加えた4曲に注目が集まるかもしれません。

個人的にはこれらの曲以外に、「Walked Away from You」「Walt's First Trip」「Laid It」といったファンキー・グルーヴもお気に入りです。

刺激が強すぎるジャケで敬遠せずにチェックしてみてください。

全曲紹介しときやす。

「Pleasure」
シングルにもなったタイトル曲。この時期のOhio Playersならではの荒削りのファンキー・グルーヴを楽しめます。パワフルなホーン・アンサンブルもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=3SlkgqLZIVU

「Laid It」
少しルーズでブルージーなファンキー・グルーヴ。Junieのピアノ&オルガンがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=6mS4bWip2o8

当ブログで紹介したEPMD「I'm Mad」Digital Underground「Heartbeat Props」等のサンプリング・ソースとなっています。
EPMD「I'm Mad」
 https://www.youtube.com/watch?v=REtSrqhTwxs
Digital Underground「Heartbeat Props」
 https://www.youtube.com/watch?v=-msFXMBn7rQ

「Pride and Vanity」
ジャズ・フィーリングも取り入れた緩急をつけた演奏が印象的なインスト・ファンク。Mercury時代には聴けないセンスを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=Bh5KfWVki0E

定番サンプリング・ソースとしても大人気です。当ブログで紹介したMary J. Blige「What's the 411?」EPMD「Hardcore」Leaders Of The New School「Noisy Meditation」Naughty By Nature「Everyday All Day」をはじめ、Jay Dee「Give It Up」、Fat Joe「Da Fat Gangsta」、Keith Murray「Hot to Def」等45トラック以上のサンプリング・ソースとなっています。
Mary J. Blige「What's the 411?」
 https://www.youtube.com/watch?v=j5Rz9C2KHI0
EPMD「Hardcore」
 https://www.youtube.com/watch?v=TeUkEuhkAEc
Leaders Of The New School「Noisy Meditation」
 https://www.youtube.com/watch?v=uTsgBkeRvpE
Naughty By Nature「Everyday All Day」
 https://www.youtube.com/watch?v=4po9XyhkbEc
Jay Dee「Give It Up」
 https://www.youtube.com/watch?v=e4NGxJQFT6w
Fat Joe「Da Fat Gangsta」
 https://www.youtube.com/watch?v=X8u9qxIj7UA
Keith Murray「Hot to Def」
 https://www.youtube.com/watch?v=tW3cYubPADE

「Walt's First Trip」
ホーン隊が活躍する開放的なインスト・ファンク。キャッチーな格好良さでいえば、この演奏が一番かも?
https://www.youtube.com/watch?v=5xobW8tDbT4

「Varee Is Love」
シングルにもなったスウィート・バラード。Mercury時代にも毎回スウィート・バラードで楽しませてくれた彼らですが、その原型といえるかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=WVZu69sOGZM

DJ Quik「Let Me Rip Tonite」のサンプリング・ソースとなっています。
DJ Quik「Let Me Rip Tonite」
 https://www.youtube.com/watch?v=Z3K5-YPdXdU

「Walked Away from You」
シングル向きの痛快ファンキー・チューン。ダイナミックでスケールの大きなファンキー・サウンドに魅了されます。
https://www.youtube.com/watch?v=z14SvFzPaWM

「Paint Me」
リラックスした雰囲気のミディアム。さり気ないですが、グッド・ヴァイヴを醸し出してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=VQgufJ6KV6M

「Funky Worm」
前述のようにUSチャート第15位、US R&Bチャート第1位となったヒット曲。G-Funk好きは歓喜するであろうケバケバしいシンセの音色が印象的なクセの強い変態チックなミディアム・ファンクに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=yHkbOJeHPD0

当ブログで紹介したNaughty By Nature「The Only Ones」Melvin Riley「Cutta Me Loose」Vybe「Take It To The Front」P.O.V.「U Got What I Want」をはじめ、N.W.A「Dopeman」、「Gangsta Gangsta」、De La Soul「Me Myself and I」Jungle Brothers「Belly Dancin' Dina」、MC Breed & DFC「Ain't No Future in Yo' Frontin'」、AMG「The Vertical Joyride」、Kris Kross「Jump」、Ice Cube「Wicked」、「Ghetto Bird」、Snoop Dogg feat. Tha Dogg Pound, RBX & The D.O.C.「Serial Killa」、DJ Jazzy Jeff & the Fresh Prince「Boom! Shake the Room」等260トラック以上のサンプリング・ソースとなっています。
Naughty By Nature「The Only Ones」
 https://www.youtube.com/watch?v=_qmzHjTskRw
Melvin Riley「Cutta Me Loose」
 https://www.youtube.com/watch?v=W_dAOgoDwnw
Vybe「Take It To The Front」
 https://www.youtube.com/watch?v=LnnbHx8uNCs
P.O.V.「U Got What I Want」
 https://www.youtube.com/watch?v=vz1g2WZm2CM
De La Soul「Me Myself and I」
 https://www.youtube.com/watch?v=P8-9mY-JACM&t=61s
Jungle Brothers「Belly Dancin' Dina」
 https://www.youtube.com/watch?v=17jpyzOSsXY
MC Breed & DFC「Ain't No Future in Yo' Frontin'」
 https://www.youtube.com/watch?v=oWh-WvYnDg0
AMG「The Vertical Joyride」
 https://www.youtube.com/watch?v=rY9usPp1Lwo
Kris Kross「Jump」
 https://www.youtube.com/watch?v=010KyIQjkTk
Ice Cube「Wicked」
 https://www.youtube.com/watch?v=SsWsmH2d_Qg
Ice Cube「Ghetto Bird」
 https://www.youtube.com/watch?v=zhsfn9IyiLQ
Snoop Dogg feat. Tha Dogg Pound, RBX & The D.O.C.「Serial Killa」
 https://www.youtube.com/watch?v=v5FcyaaFshc
DJ Jazzy Jeff & the Fresh Prince「Boom! Shake the Room」
 https://www.youtube.com/watch?v=FfHtiCVA5d8

「Our Love Has Died」
ラストは甘く切ない哀愁バラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=OFnPx9xYD9w

Naughty By Nature feat. Gordon Chambers「Shout Out」、GZA feat. Killah Priest「B.I.B.L.E. (Basic Instructions Before Leaving Earth)」、Da King & I「Tears」、Ugly Heroes「God's Day Off」等のサンプリング・ソースとなっています。
Naughty by Nature feat. Gordon Chambers「Shout Out」
 https://www.youtube.com/watch?v=JdMcoVeIulc
GZA feat. Killah Priest「B.I.B.L.E. (Basic Instructions Before Leaving Earth)」
 https://www.youtube.com/watch?v=Om6YoJy199E
Da King & I「Tears」
 https://www.youtube.com/watch?v=vfBZkx-E4hk
Ugly Heroes「God's Day Off」
 https://www.youtube.com/watch?v=h-08th0fjLo

Ohio Players作品の過去記事もご参照下さい。

『Skin Tight』(1974年)
スキン・タイト

『Fire』(1974年)
Fire

『Honey』(1975年)


『Angel』(1977年)
Angel

『Jass-Ay-Lay-Dee』(1978年)
Jass Ay La Dee
posted by ez at 03:20| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月17日

Common『Electric Circus』

豪華ゲストを迎えた異色作☆Common『Electric Circus』

発表年:2002年
ez的ジャンル:Soulquarians系コンシャスHip-Hop
気分は... :異物はイノベーションの源泉!

シカゴ出身の人気ラッパーCommon『Electric Circus』(2002年)です。

これまで当ブログで紹介してきたCommon作品は以下の8枚(発売順)。

 『Resurrection』(1994年)
 『One Day It'll All Make Sense』(1997年)
 『Like Water For Chocolate』(2000年)
 『Be』(2005年)
 『Finding Forever』(2007年)
 『Universal Mind Control』(2008年)
 『The Dreamer, The Believer』(2011年)
 『Black America Again』(2016年)

リアルタイムでの僕の本作『Electric Circus』に対する印象はあまり良いものではありませんでした。

今でも僕にとってのCommonのフェイヴァリットは『Like Water For Chocolate』(2000年)と『Be』(2005年)の2枚です。

しかしながら、その2枚は直線で繋がっていません。その間には『Electric Circus』(2002年)という異物があったからです。タイトルの通り、エレクトリックな要素を強調した本作に『Like Water For Chocolate』(2000年)とのギャップを感じたファンも多かったのではないかと思います。僕もそんな一人でした。

それだけに次作『Be』(2005年)がリリースされたときには、これぞCommonワールドと歓喜したものです。

そのため、当時は『Electric Circus』という作品は回り道のように感じ、敬遠していました。しかしながら、今聴き直すと、きっと『Be』という傑作が生まれるためには、『Electric Circus』という実験が必要ではなかったのではないかと思えてきました。

今は豪華ゲストとエレクトリック・アプローチを楽しみながら本作を聴けるようになりました。

メイン・プロデュースは?uestloveThe Roots)、J DillaJames PoyserPino PalladinoというSoulquariansの面々。

それ以外にThe Neptunes(Chad Hugo/Pharrell Williams)、Karriem RigginsJeff Lee Johnsonがプロデュースを手掛けています。

Marie DaulneZap Mama)、Native TonguesメンバーのVinia MojicaBilalSonny SandovalP.O.D.)、OmarDart ChillzMary J. BligeLaetitia SadierStereolab)、PrincePharrell WilliamsCee-LoJill ScottErykah BaduLonnie "Pops" Lynn(Commonの父)という豪華な面々がフィーチャリングされています。

A Tribe Called Quest『Midnight Marauders』(1993年)、The Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)の影響を感じるジャケにも注目です。

A Tribe Called Quest『Midnight Marauders』(1993年)
ミッドナイト・マローダーズ(紙ジャケット仕様)
The Beatles『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』(1967年)


豪華な参加メンバーの顔を見つけるのも楽しいのでは?ちなみにPrince殿下が一番上の左端に写っています。

他のCommon作品とは切り離して聴くべきだと思いますが、本作でしか聴けないアナザーCommonワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Ferris Wheel」
Marie Daulne(Zap Mama)、Native TonguesメンバーのVinia Mojicaをフィーチャー。?uestlove/James Poyserプロデュース。アルバムの雰囲気を決定づけるエレクトリックなオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=fS9aByTRHN8

「Soul Power」
J Dilla/?uestlove/James Poyserプロデュース。Commonらしいフロウながらも本作ならではのビート感覚を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=GT2cHCI0szM

「Aquarius」
Soulquariansの盟友Bilalをフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyser/Pino Palladinoプロデュース。?uestloveらしいビートとミステリアスで少しサイケな上モノの組み合わせがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=e8wq6LkAwNw

「Electric Wire Hustler Flower」
サンディエゴ出身のハード・ロック/メタル・バンドSonny Sandoval(P.O.D.)をフィーチャー。J Dilla/James Poyserプロデュース。メタル×エレクトリックな組み合わせに当時は拒否反応もありましたが(笑)、今はチャレンジの1つとして楽しむようにしています。
https://www.youtube.com/watch?v=3eXCP4_fsnI

「The Hustle」
Common作品ではお馴染みのKarriem Rigginsのプロデュース。UKソウルの人気男性シンガーOmarとDart Chillzをフィーチャー。今ではジャズ・ドラマー/Hip-Hopプロデューサーとしての認知度も高いKarriem Rigginsですが、当時の僕の認知度は低く、彼の名を目にしても特に気にも留めていませんでした。当時の記憶は定かではありませんが、今聴くとKarriemのHip-Hopビートとエレクトリックな上モノに組み合わせが実にいい感じです。何よりOmarらしいUKソウル・ワールドをうまく取り込んでいるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=tuBN2oGEkyU

「Come Close」
シングルにもなった曲。当時人気プロデュース・チームとして勢いをつけつつあったThe Neptunesのプロデュース。R&BクイーンMary J. Bligeをフィーチャー。フューチャリスティックなエレクトリック色を出しつつも、メロウな仕上がりになっているのがいいですね。MJBのヴォーカルで華やかな雰囲気になっているのもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=QSCVT_vMrkQ

「New Wave」
Laetitia Sadier(Stereolab)をフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyserプロデュース。Laetitia Sadierの参加はかなり意外ですね。少しダークなHip-Hopに突如としてLaetitiaのStereolab調ヴォーカルが現れる予想外の展開はかなり楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=lv7ft9NKh7g

「Star *69 (PS With Love)」
Prince殿下とBilalをフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyserプロデュース。正直、キーボード&ギターで参加のPrinceの存在感はあまり感じられませんが、実験的なサウンド自体は昔のPrinceを彷彿させる部分があります。
https://www.youtube.com/watch?v=XoIA6hWXh2w

「I Got A Right Ta」
The Neptunesプロデュース。Pharrell Williamsをフィーチャー。The Neptunesとのタッグ2曲目。エレクトリック&ロッキンな攻撃的トラックは本作ならではですね。当時このトラックは受け入れがたいものがありましたが(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=7AoO-zRu8rE

「Between Me, You & Liberation」
当時Goodie Mobの活動に加えて、ソロ活動を開始したCee-Loをフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyser/Pino Palladinoプロデュース。Bobbi Humphrey(fl)やLarry Gold(strings)も参加しています。エレクトリック色を出しつつ、CommonやSoulquariansらしい雰囲気を楽しめるトラックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=FUOUL80PQZU

「I Am Music」
当時ネオ・フィリー期待の歌姫であったJill Scottをフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyser/Pino Palladino/Jef Lee Johnsonプロデュース。Jill Scottのヴォーカルを活かした軽快なジャズ・フィーチャリングの仕上がりが印象的です。Nicholas Payton(tp)、Vincent Gardner(tb)、Greg Tardy(cornet)も参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=VjEVW0kRPkc

「Jimi Was A Rock Star」
SoulquariansのクイーンErykah Baduをフィーチャー。J Dilla/?uestlove/James Poyser/Pino Palladino/Jef Lee Johnsonプロデュース。エレクトリック×トライバルな仕上がりですが、Erykah Baduもその後近未来的ハイパー・サウンドにもアプローチしたので、それを予感させるトラックですね。
https://www.youtube.com/watch?v=pN4TtgiO51M

「Heaven Somewhere」
Commonの父Lonnie "Pops" Lynnをはじめ、Cee-LoJill ScottMary J. BligeOmarをフィーチャー。?uestlove/James Poyser/Pino Palladinoプロデュース。豪華ゲストが天国への思いを歌い上げる10分半以上の大作です。最後は父Lonnie "Pops" Lynnの言葉で締め括られます。
https://www.youtube.com/watch?v=MiIVOh7Umrw

Common作品の過去記事もご参照下さい。

『Resurrection』(1994年)
レザレクション(紙ジャケット仕様)

『One Day It'll All Make Sense』(1997年)
ワン・デイ・イトゥル・オール・メイク・センス

『Like Water For Chocolate』(2000年)


『Be』(2005年)


『Finding Forever』(2007年)
ファインディング・フォーエヴァー

『Universal Mind Control』(2008年)
Universal Mind Control

『The Dreamer, The Believer』(2011年)
Dreamer the Believer

『Black America Again』(2016年)
Black America Again
posted by ez at 02:41| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月16日

Yotam Silberstein/Carlos Aguirre『En El Jardin』

イスラエル人ジャズ・ギタリストとの共演作☆Yotam Silberstein/Carlos Aguirre『En El Jardin』

発表年:2021年
ez的ジャンル:現代アルゼンチン音楽×イスラエル・ジャズ・ギター
気分は... :我逢人!

新作アルバムからアルゼンチンのコンテンポラリー・フォルクローレ・シーンの巨匠Carlos Aguirreがイスラエル出身のジャズ・ギタリストYotam Silbersteinとコラボした最新作『En El Jardin』<です。

1965年アルゼンチン、エントレリオス州セギーの生まれのシンガー・ソングライター/ピアニスト/ギタリストCarlos Aguirreについて、当ブログでこれまで紹介したのは以下の3枚。

 『Orillania』(2012年)
 『Serpentina』(2017年)
 ※Andre MehmariJuan Quinteroとの共演
 『La musica del agua』(2019年)

Carlos Aguirreが今回コラボの相手に選んだのはイスラエル出身のジャズ・ギタリストYotam Silberstein。現在はN.Y,を拠点に活動しています。

Yotam Silbersteinのアルバム『The Village』(2016年)でCarlos Aguirre作品をカヴァーしたことで交流を持つようになり、2018年から制作を開始し、ようやく完成に至りました。

正直、これまでのYotam Silberstein作品を聴いたことがありませんが、Carlos Aguirreらしい澄み切った深遠な音世界に、Yotamが加わることでメロウな味わいが増しているように感じられます。

国内盤先行リリースですが、Aguirreが自ら撮った植物の写真のブックレットが付いています。曲タイトルと写真が対になっているので、写真を眺めながら曲を聴くと、さらに深みが増すかもしれません。

これまでのCarlos Aguirre作品がお好きな人であれば、間違いなく楽しめる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Fairytale」
Yotam Silberstein作。透明感に溢れる音色に魅了される美しいオープニング。聴いていると自然と心が浄化されていきます。
https://www.youtube.com/watch?v=fIvDB_yXFuk

「Nuevos viejos amigos (a Yotam Silberstein)」
Carlos Aguirre作。CarlosのピアノにYotamのギターが寄り添う、現代音楽とジャズを融合させたAguirreらしい音世界を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=-e_SQP3OZdc

「Joao」
Yotam Silberstein作。Yotamの軽やかなながらも鮮やかなギターの音色に惹かれる、僕好みのブラジリアン・テイストのメロウ・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=JRQO-LOlgfE

「En el jardin」
Carlos Aguirre作。Yotamのメロウ・ギターを中心に穏やかでゆったりとした音世界に癒されます。
https://www.youtube.com/watch?v=wHVRLJ2wZuQ

「Ga'aguim」
Yotam Silberstein作。雄大なランドスケープを感じさせる演奏です。ミステリアスな雰囲気があります。
https://www.youtube.com/watch?v=We04oW3_uB4

「Paisaje imaginario」
Carlos Aguirre作。現代音楽的な美しさと深遠さがあります。Aguirreらしい美がよくわかる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=ezmgjenZhjQ

「Madrugada」
Yotam Silberstein作。Aguirreのピアノが印象的なジャズ寄りの美しいバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=I4r_3MA7G38

「Tanto para agradecer (a Ivan Lins)」
Carlos Aguirre作。ラストはYotamのメロウ・ギター、Aguirreの美しいピアノが優しく包み込んでくれます。サンセットが似合う演奏です。終盤のアコーディオンによるアクセントもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=l_r6V4AR0b8

Carlos Aguirreの他作品もチェックを!

Carlos Aguirre Grupo『Crema』(2000年)
Carlos Aguirre Grupo(Crema)

『Rojo』(2004年)


『Caminos』(2006年)


『Violeta』(2008年)


『Orillania』(2012年)
Orillania

Andre Mehmari/Juan Quintero/Carlos Aguirre『Serpentina』(2017年)
Serpentina セルペンティーナ

『La musica del agua』(2019年)
LA MÚSICA DEL AGUA / ラ・ムシカ・デル・アグア 〜 水の音楽
posted by ez at 00:15| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月15日

『気づけば5,000エントリー達成』

何気なくこれまでの記事数を確認すると4,999本・・・
ということは、このエントリーが5,000回目となります。

5,000記事になったから、何か特別なことが起こるわけではありませんが、それなりの達成感はあるかも?

僕の音楽嗜好も、これまでの4,999記事のなかで変わらない部分と変わった部分があります。

ただし、特定の年代・ジャンルに囚われない部分はブログ開設から不変であり、これからも貫いていくつもりです。

そんなことも噛みしめながら、過去記事を振り返り 60年代〜2020年代の各カテゴリーから2曲セレクトしました。

全て過去記事で紹介済なので、気に入った曲があれば過去記事もご参照下さい。

60年代

(2009.2.22投稿)
Daniela Und Ann「Somebody Somebody」
https://www.youtube.com/watch?v=HrfOZH9PdKE
From 『Samba-Soul-Beat in Black & White』(1969年)


(2006.1.28投稿)
Joe Henderson「Night And Day」
https://www.youtube.com/watch?v=2N4_yHjO8js
From 『Inner Urge』(1964年)


70年代

(2009.4.18投稿)
Elis Regina「Vou Deitar e Rolar(Quaquaraquaqua)」
https://www.youtube.com/watch?v=3TmtrdV7g_A
From 『Em Pleno Verao』(1970年)


(2010.8.16投稿)
Delegation「Oh Honey」
https://www.youtube.com/watch?v=O7KddjaH6mg
From Delegation『The Promise Of Love』(1977年)


80年代

(2007.12.17投稿)
The S.O.S. Band「Finest」
https://www.youtube.com/watch?v=P-tdCCcfziI
From 『Sands of Time』(1986年)


(2005.10.1投稿)
De La Soul「Me Myself And I」
https://www.youtube.com/watch?v=P8-9mY-JACM
From De La Soul『3 Feet High And Rising』(1981年)


90年代

(2013.2.11投稿)
Stereolab「Ping Pong」
https://www.youtube.com/watch?v=tsumMcjEPtQ
From 『Mars Audiac Quintet』(1994年)


(2007.1.4投稿)
Brownstone「5 Miles to Empty」
https://www.youtube.com/watch?v=tkcQtFKUF48
From 『Still Climbing』(1997年)


2000年代

(2008.11.5投稿)
Nicola Conte「I See All Shades of You」
https://www.youtube.com/watch?v=a2o2qEGSp4g
From 『Rituals』(2008年)


(2005.11.22投稿)
Musiq「Whoknows」
https://www.youtube.com/watch?v=m61wV3o_sqM
From 『Soulstar』(2003年)


2010年代

(2018.4.15投稿)
Sons Of Kemet「My Queen is Ada Eastman」
https://www.youtube.com/watch?v=T19IrfO3-LQ
From 『Your Queen Is A Reptile』(2018年)
Your Queen Is A Reptile

(2018.7.29投稿)
The Internet「Roll (Burbank Funk)」
https://www.youtube.com/watch?v=SIqvRzEIqIo
From 『Hive Mind』(2018年)
ハイヴ・マインド

2020年代

(2020.5.10投稿)
Gus Levy「Mudanca」
https://www.youtube.com/watch?v=llZ4ZnKkdOE
From 『Magia Magia』(2020年)


(2020.4.5投稿)
Becca Stevens「I Wish」
https://www.youtube.com/watch?v=0wdpA_mBvEQ
From 『Wonderbloom』(1991年)
ワンダーブルーム【日本先行発売/CD日本盤のみ/ボーナス・トラック収録】

これから1記事ずつ楽しみながら投稿していきたいと思います。
posted by ez at 01:43| Comment(6) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月13日

Miki Howard『Miki Howard』

キャリアの代表作☆Miki Howard『Miki Howard』

発表年:1989年
ez的ジャンル:クワイエットストーム系女性R&B
気分は... :クワイエットストーム...

今回は80年代クワイエットストーム作品からMiki Howard『Miki Howard』(1989年)です。

Miki Howardは1960年シカゴ生まれの女性R&Bシンガー。

1980年、Sylvia St. Jamesに代わってAugie Johnson率いるヴォーカル・グループSide Effectに加入。『After the Rain』(1980年)、『Portraits』(1981年)、『All Aboard』(1982年)という3枚のアルバムに参加しています。

そして、Side Effect解散後にソロ活動を開始し、1986年にソロ・デビュー・アルバム『Come Share My Love』をリリース。

続く2nd『Love Confessions』(1987年)、3rd『Miki Howard』(1989年)、4th『Femme Fatale』(1992年)という3枚のアルバムはUS R&Bアルバム・チャートTop10に入っています。

本作『Miki Howard』(1989年)は、US R&Bアルバム・チャート第4位となったMiki Howard最大のヒット作です。

個人的にリアルタイムでよく聴いていたの2ndは『Love Confessions』(1987年)でしたが、アナログ盤しか保有しておらず、CDで聴いたMiki Howard作品となると、本作『Miki Howard』(1989年)となります。

一般的にも彼女の代表作といえば、本作になると思います。

本作からは「Ain't Nuthin' In The World」「Love Under New Management」「Until You Come Back To Me (That's What I'm Gonna Do)」という3曲のUS R&BチャートTop3ヒットが生まれています。

メイン・プロデュースはJon Nettlesbey/Terry Coffey。また前作も手掛けていたGerald LevertMarc GordonNick Martinelliが引き続き起用されています。さらにはCameoLarry Blackmonも1曲プロデュースしています。

「Ain't Nuthin' In The World」のようなNJSも収録されていますが、基本は前作『Love Confessions』の流れを汲むクワイエットストーム路線のアルバムに仕上がっています。

個人的には「If You Still Love Her」「Come Home To Me」という冒頭2曲のクワイエットストーム感がサイコーです。

Gerald Levertとのデュエット「I'll Be Your Shoulder」Gerald LevertEddie LevertThe O'Jays)、Sean LevertLevert)というLevert親子がバック・コーラスを務める「Just The Way You Want Me To」Larry Blackmonプロデュースのメロウ・バラード「Who Ever Said It Was Love」あたりもおススメです。

Miki Howardらしいクワイエットストーム・ワールドを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「If You Still Love Her」
Jon Nettlesbey/Terry Coffeyプロデュース。Brandon Fieldsの素敵なサックスと共に始まるクワイエットストーム好きには大満足のなオープニング。アルバム全体の雰囲気を印象づけます。
https://www.youtube.com/watch?v=TYDPZux5llA

「Come Home To Me」
Jon Nettlesbey/Terry Coffeyプロデュース。アルバムからの4thシングル。ヒットはしませんでしたが、ヒットした3曲以上にクワイエットストームした1曲に仕上がっています。今聴いても実にいい雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=xROGGSQIV-4

「Until You Come Back To Me (That's What I'm Gonna Do)」
Jon Nettlesbey/Terry Coffeyプロデュース。Stevie Wonderらソングライティングを手がけたAretha Franklinの大ヒット曲をカヴァー。オリジナルはアルバム『Let Me in Your Life』(1973年)収録。Mikiヴァージョンもアルバムからの3rdシングルとしてUS R&Bチャート第3位のヒットとなりました。Arethaのオリジナルの雰囲気をクワイエットストーム仕立てにしつつ、この時代らしいビートをうまく調和させています。
https://www.youtube.com/watch?v=LIariiiNQpw

Aretha Franklin「Until You Come Back To Me (That's What I'm Gonna Do)」
 https://www.youtube.com/watch?v=bJZwcaWResA

「Ain't Nuthin' In The World」
Jon Nettlesbey/Terry Coffeyプロデュース。アルバムからの1stシングルとしてUS R&Bチャート第1位のヒットとなりました。この時代らしいNJSです。ただし、当時も今もMiki HowardにNJSは求めておらず、その意味は個人的にビミョーな1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=6UOOD-vS5XE

「Love Under New Management」
Nick Martinelliプロデュース。アルバムからの2ndシングルとしてUS R&Bチャート第2位のヒットとなりました。ヒットした3曲の中では最もオーセンティックなバラードに仕上がっています。彼女の伸びやかなヴォーカルを存分に楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=WPIDT774GP4

Miss Jones、Keke Wyattがカヴァーしています。また、Knxwledge.「Listen」のサンプリング・ソースとなっています。重厚なバック・コーラスも含めて、素晴らしいヴォーカルに魅了されます。
Miss Jones「Love Under New Management」
 https://www.youtube.com/watch?v=5IX2N9YWyBY
Keke Wyatt「Love Under New Management」
 https://www.youtube.com/watch?v=pXYPbnEniQo
Knxwledge.「Listen」
 https://www.youtube.com/watch?v=13lgrG9K7gs

「I'll Be Your Shoulder」
Gerald Levert/Marc Gordonプロデュース。Gerald Levertがフィーチャリングされています。当時はLevert絶頂期であり、その好調ぶりが反映された素敵なデュエットに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=N39sRJVgku4

「Love Me All Over」
Jon Nettlesbey/Terry Coffeyプロデュース。後にソロ・デビューする男性R&BシンガーKeith Washingtonがバック・ヴォーカルで参加しています。この時代らしいNJSであり、アルバムの構成上、こういったアップが必要だったのかもしれませんが、前述のように個人的にはビミョーです。
https://www.youtube.com/watch?v=nKfVKl17O_k

「Mister」
Gerald Levert/Marc Gordonプロデュース。本作のダンサブル・チューンではコレが一番好きです。Mikiの持ち味を生かしたダンサブル・チューンに仕上がっていると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=3YrdoLM0w_0

「Just The Way You Want Me To」
Gerald Levert/Marc Gordonプロデュース。Geraldに加えて、Gerald Levertの父、The O'JaysのEddie Levert、さらには弟でありLevertメンバーのSean LevertというLevertファミリーがバック・ヴォーカルで参加しています。正統派のソウル・バラードは実に安定感があります。
https://www.youtube.com/watch?v=THvdct-aIt8

「Who Ever Said It Was Love」
Larry Blackmon(Cameo)プロデュース。ソングライティングはMiki Howard自身。Cameo作品に数曲入っているメロウ・バラードがお好きな人であれば、気に入るであろうブラコン調の仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=PkxUayrlpSo

Miki Howardの他の初期作品もチェックを!

『Come Share My Love』(1986年)


『Love Confessions』(1987年)


『Femme Fatale』(1992年)
posted by ez at 02:12| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする