発表年:1988年
ez的ジャンル:ミナス系MPB
気分は... :シンプルがいい!
今回はブラジル、ミナスを代表するMPBアーティストの一人、Milton Nascimentoの『Miltons』(1988年)です。
1942年ブラジル、ミナス出身のシンガー・ソングライターMilton Nascimentoについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。
『Milton』(1970年)
『Minas』(1975年)
『Milton』(1976年)
本作『Miltons』(1988年)は、人気ジャズ・ピアニストHerbie Hancock(p、syn)とのデュオ、ブラジルの世界的パーカッション奏者Nana Vasconcelos(per)とのデュオによって構成された、シンプルながらも深遠な作品です。
上記の二人に加えて、Robertinho Silva(ds)、Joao Baptista(b)、Arthur Maia(back vo)といったミュージシャンが参加しています。
プロデュースはMarcio Ferreira。
Herbie Hancockとのデュオでは、ブラジルのロック・バンドRPMのメンバーPaulo Ricardoとの共作「Feito Nos」がおススメです。Hancockのピアノのみで歌われる「Fruta Boa」、「Sem Fim」も味わいがあります。
Nana Vasconcelosとのデュオでは、「Bola De Meia, Bola De Gude」、「Semen」がおススメです。人気俳優リヴァー・フェニックスについて歌われた「River Phoenix (Carta A Um Jovem Ator)」、お馴染みの名曲カヴァー「La Bamba」もかなりいいです。
名作『Clube Da Esquina』(1972年)に収録された名曲の再演「San Vicente」ではHerbie Hancock、Nana Vasconcelosの両者が参加したトリオ演奏を満喫できます。
シンプルな演奏が深遠なMilton Nascimentoワールドを際立たせている名盤だと思います。
全曲紹介しときやす。
「River Phoenix (Carta A Um Jovem Ator)」
Milton Nascimento作。当時スターダムへの階段を駆け上がっていら人気俳優リヴァー・フェニックスについて歌われたオープニング。Nana Vasconcelosとのデュオで、本作らしいシンプルかつ深遠な演奏を満喫できます。特に1993年に23歳にしてこの世を去ったリヴァー・フェニックスのその後運命に思いを馳せると余計に感じるものがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=jXUURi5LeUU
「Feito Nos」
Milton Nascimento/Paulo Ricardo作。ブラジルのロック・バンドRPMのメンバーPaulo Ricardoとの共作です。Herbie Hancockとのデュオですが、シンプルながらもコンテンポラリーな雰囲気が実にいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=8gWzbH7w-Ws
「La Bamba」
Lauro Bianco作。Ritchie ValensやLos Lobosでお馴染みのメキシカン・トラディショナルをカヴァー。Nana Vasconcelosとのデュオ。予備知識なしで聴くと、「La Bamba」のカヴァーだと気づかないかもしれません。見事にMilton色に染まったミナス・モードの「La Bamba」を楽しみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=uyl9GSWpwJM
本曲に関して、当ブログではWillie Bobo、Dave Pike、Eddie Cano & His Quintetのカヴァーも紹介済みです。
「Fruta Boa」
Fernando Brant/Milton Nascimento作。(多分)オリジナル・ヴァージョンはTelma Costa(1983年)だと思います。Herbie Hancockのピアノをバックに、Miltonが深みのある歌を聴かせてくれます。シンプル・イズ・ベストな演奏ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=bZYSClLvMCY
「Semen」
Fernando Brant/Milton Nascimento作。Nana Vasconcelosとのデュオらしいパーカッシヴ&フォーキーな演奏を楽しめます。派手さはありませんがポジティヴなパワーが漲っている感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=FlSsqmJ95sw
「Don Quixote」
Cesar Camargo Mariano/Milton Nascimento作。Cesar Camargo Marianoヴァージョンは『Ponte Das Estrelas』(1986年)収録。HancockにRobertinho Silva(ds)、Joao Baptista(b)も加わったコンテンポラリー・ジャズ寄りの演奏ですが、透明感のあるMiltonらしい音世界を堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=bwrYeHXDGII
「San Vicente」
Fernando Brant/Milton Nascimento作。名作『Clube Da Esquina』(1972年)収録の名曲の再演。Hancock、Nana Vasconcelosの両者が参加しています。この三者の持ち味が発揮された素晴らしい「San Vicente」に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=6nFrpjjQ0vU
「Sem Fim」
Cacaso/Novelli作。オリジナルはNana Caymmiヴァージョン(1979年)。HancockのピアノをバックにMiltonがしみじみと歌い上げるバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=Z3PA6D22Gx8
「Bola De Meia, Bola De Gude」
Fernando Brant/Milton Nascimento作。Nana Vasconcelosのパーカッションの軽快な響きがいい感じのメロウ・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=vG1QVZDuP1o
「San Vicente (Extra Track)」
CDボーナス・トラック。「San Vicente」の別ヴァージョンです。こちらもHancock、Nana Vasconcelosの両者が参加したトリオ演奏です。
Milton Nascimentoの過去記事もご参照下さい。
『Milton』(1970年)
『Minas』(1975年)
『Milton』(1976年)