2021年06月10日

Bug Alley『Bug Alley』

カナディアン・ジャズ・コーラス☆Bug Alley『Bug Alley』

発表年:1980年
ez的ジャンル:カナディアン・ジャズ・コーラス
気分は... :ジャズ・ディスカバリー !

今回はカナダのジャズ・コーラス・グループBug Alley『Bug Alley』(1980年)です。

Bug Alleyはカナダ結成されたグループ。オリジナルはトリオ編成のバンドでしたが、メンバー交代によりジャズ・コーラス・グループの色合いを強めていきます。

1978年には当ブログでも紹介したカナダ、ケベック出身の女性シンガーDiane TellとLPの半面ずつを分け合ったアルバム『The Bug Alley Band/Diane Tell』をレコーディングしています。

その後メンバー交代を経てレコーディングされたのが、本作『Bug Alley』(1980年)です。

本作におけるメンバーは、ジャケに写るKaren Young(vo、shaker)、Liz Tansey(vo)、Steve Cole(vo、g、banjo)、David Thompson(vo、b)、Andre White(ds、p、bells)という5名。さらにDoug Walter(sax、clarinet、fl、p)、Mike Pinsonneault(vo、as)の2人も実質的にはメンバーの扱いのようです。

プロデュースはGene PerlaSon SoleilBug Alley

アルバムはLambert, Hendricks & Rossをはじめとする様々なジャズ・コーラス・グループへのリスペクトを感じるジャズの歴史を辿るかのような内容・構成となっています。

レトロとモダンが交錯するかのようなアルバム・ジャケがこのアルバムを象徴していると思います。

Lambert, Hendricks & Rossも歌っていた「Down For The Count」「Bijou」、1930年代に活躍したBoswell三姉妹のレパートリーのメドレー「Boswell Medley」「Art's Oregano」Art Pepper)、「Footprints」Wayne Shorter)、「Milestones」Miles Davis)といったジャズ名曲カヴァーなど、あの手この手でジャズ・コーラスを楽しませてくれます。

カヴァーが目立ちますが、ジャズ名曲カヴァーのように聴こえる「Bop Follies」、クラブジャズ好きも気に入るであろう高速ジャズ・グルーヴ「Sancho Suite」等のオリジナルも要チェックです。

1枚の中で様々な時代を楽しめるジャズ・コーラス作品です。

全曲紹介しときやす。

「Bop Follies」
Mike Pinsonneault作。昔のジャズ名曲カヴァーのように聴こえますがオリジナルの軽快なバップ。古き良きジャズのエッセンスを素晴らしいコーラス・ワークとモダンなセンスで聴かせてくれます。

「Down For The Count」
Frank Foster/Jon Hendricks作。Lambert, Hendricks & Rossも『Sing A Song Of Basie』(1958年)で歌っていた楽曲。ノスタルジックな寛いだ雰囲気の演奏をバックに、男女コーラスならではのコーラスワークで楽しませてくれます。

「Bijou」
Ralph Burns/Jon Hendricks作。
Lambert, Hendricks & Rossが当ブログでも紹介した『The Hottest New Group In Jazz』(1959年)で歌っていた楽曲。スウィンギーな雰囲気と80年らしいアーバン・メロウな雰囲気、さらにはラテン・フレイヴァーを緩急つけて融合させているのがいい感じです。

「Bop Follies/Down For The Count/Bijou」
https://www.youtube.com/watch?v=sXwGpB1W4Uk

「Art's Oregano」
Art Pepper作品のカヴァー。オリジナルは『Art Pepper Quintet』(1954年)収録。Karen YoungとSteve Coleの掛け合いが素晴らしい軽快なヴォーカリーズ。Art Pepper作品らしくDoug Walterがアルト・サックス・ソロで盛り上げてくれます。

「Steppin' Around」
トラディショナルのカヴァー。ニグロ・スピリチュアル調のア・カペラで聴かせてくれます。

「Boswell Medley」
1930年代に活躍したBoswell三姉妹のレパートリーのメドレー。「Dinah」(Sam Lewis/Joe Young/Harry Akst作)、「Heebie Jeebies」、「Everybody Loves My Baby」( Jack Palmer/Spencer Williams作)という3曲が歌われます。バンジョーやクラリネットを効果的に用いながら、30年代風コーラスで楽しませてくれます。30年代スタイルのコーラスが一周回って新鮮に聴こえるのでは?

「Art's Oregano/Steppin' Around/Boswell Medley」
https://www.youtube.com/watch?v=NczAwmTKLus

「Sancho Suite」
Mike Pinsonneault作。サンバのリズムを取り入れた高速ジャズ・グルーヴはクラブジャズ好きも気に入るはず!純粋に格好良いと思います。ギター・ソロ、サックス・ソロ、ドラム・ソロと各メンバーの見せ場もつくっています。

「Footprints」
Wayne Shorter作の名曲カヴァー。オリジナルは『Adam's Apple』(1966年)収録。Karen Youngの素晴らしいヴォーカルをフィーチャーし、この曲らしいミステリアスな雰囲気で聴かせてくれます。

名曲「Footprints」に関して、当ブログではMiles DavisCarl & Joanne BarryGretchen ParlatoLonnie Liston Smith & The Cosmic EchoesTerry CallierEzra Collectiveのカヴァーも紹介済みです。

「Daybreak」
Mike Pinsonneault/Steve Cole作。前半はバラード、後半は軽快で小粋な演奏というコントラストで楽しませてくれます。Doug Walterのサックスが盛り上げてくれます。

「Milestones」
ラストはMiles Davisの名曲カヴァー。オリジナルは『Milestones』収録。当ブログではThe Latin Jazz QuintetMark Murphyのカヴァーを紹介済みです。Mark Murphyヴァージョンがお好きな人は、本ヴァージョンも気に入るのは?男女コーラスで聴く爽快な「Milestones」もいいですよ!

「Sancho Suite/Footprints/Daybreak/Milestones」
https://www.youtube.com/watch?v=xVkmMJ8ipr0

それにしても、このジャケがサイコーですね!
※今回のジャケ画像は色味がどぎつくなっていますが、実物はもっといい色合いです。
posted by ez at 01:12| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする