発表年:1974年
ez的ジャンル:ENJA系ブラック・ジャズ
気分は... :波乱のEURO2020・・・
南アフリカ出身のジャズ・ドラマーMakaya Ntshokoによるブラック・ジャズ作品『Makaya & the Tsotsis』(1974年)です。
Makaya Ntshokoは、1939年南アフリカ、ケープタウン出身のドラマー。
1959年にDollar Brand、Hugh MasekelaらとThe Jazz Epistlesを結成し、南アフリカのジャズ・シーンに大きなインパクトを与えます。60年代前半には南アフリカ最高のジャズ・ドラマーの地位を確立し、1962年にはDollar Brandに誘われて渡欧し、ヨーロッパ各地で演奏します。
その後、Dollar BrandがN.Y.に拠点を移すと、そのままヨーロッパに残り、フリーランスのドラマーとして活動します。70年代に入ると、一時期ヨーロッパから離れますが、再び戻りドイツを拠点に活動するようになります。
そんな時期にドイツの新興ジャズ・レーベルENJAで録音したMakaya Ntshokoの初リーダー作が本作『Makaya & the Tsotsis』(1974年)です。
レコーディング・メンバーはMakaya Ntshoko(ds)以下、Heinz Sauer(as、ts)、Isla Eckinger(b)、Bob Degen(p)。
プロデュースはHorst WeberとMatthias Winckelmann。
フリー・ジャズ調の演奏が多く、決して聴きやすいアルバムではありませんが、研ぎ澄まされたアヴァンギャルドな演奏に惹かれてしまいます。
たまには、こんな硬派なジャズから刺激を受けるのもいいのでは?
全曲紹介しときやす。
「Ode To Tilman」
Bob Degen作。硬派ジャズなオープニング。前半は少しストッパーがかかっていますが、後半はストッパーが外れてよりエキサイティングな演奏を聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=n2Q4eOpgmt0
「Tetralogue」
Bob Degen/Heinz Sauer/Isla Eckinger/Makaya Ntshoko作。アヴァンギャルドなフリー・ジャズ調の演奏ですが、スウィンギーなエッセンスもあり、そのコントラストが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=9QmZNZzN4-E
「Bridges」
Bob Degen/Heinz Sauer/Isla Eckinger/Makaya Ntshoko作。アフロ・ジャズ調のMakayaの呪術的ドラミングが印象的な演奏です。Sauerのサックスのブロウも呪文のように聴こえます。後半はEckingerがベース・ソロで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=eBWfzjzvL4Y
「Neged」
Bob Degen作。Degenの美しいピアノが印象的なピアノ・トリオによるバラード。美しくもミステリアスな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ynQPM57xOxk
「Suspension」
Bob Degen/Heinz Sauer/Isla Eckinger/Makaya Ntshoko作。Eckingerの不穏なベースと共に始まるフリー・ジャズ調の演奏です。各演奏者の研ぎ澄まされたエナジーを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=oZxv7FtJF8E
ここからの3トラックは国内盤CDのボーナス・トラック。
「Santdec」
Bob Degen/Heinz Sauer/Isla Eckinger/Makaya Ntshoko作。Sauerのサックスをフィーチャーしたスピリチュアルな演奏から、カオス状態のフリー・ジャズへなだれ込みます。
https://www.youtube.com/watch?v=c_0IjENf9YU
「Heboisma」
Bob Degen/Heinz Sauer/Isla Eckinger/Makaya Ntshoko作。Makayaのドラム・ソロから始まるアヴァンギャルドなフリー・ジャズ。
https://www.youtube.com/watch?v=bFYI8fDd1dk
「Makaya's Song」
Makaya Ntshoko作。スウィンギーなエッセンスとヘヴィ&エキサイティングなジャズ・グルーヴを融合させた演奏はパワフルです。
https://www.youtube.com/watch?v=BtgmdrWmQz8
サッカーのEURO2020決勝トーナメントは、オランダがチェコに敗れるという番狂わせが起きましたね。僕は決勝トーナメント表を見た瞬間、オランダに有利な山で決勝まで行きそうだな!と思っていたのでいきなり予想が大外れとなりました。こうなるとイングランド対ドイツの勝者が、この山から決勝まで行きそうという見方になるのですが、これも外れて意外なダークホースが出てくるかもしれませんね。