2021年07月13日

The Clash『Combat Rock』

ミクスチャー・スタイルの完成形☆The Clash『Combat Rock』

発表年:1982年
ez的ジャンル:UKミクスチャー・パンク
気分は... :Rock The Casbah!

UKパンク・ロック・バンドThe Clashの5thアルバム『Combat Rock』(1982年)です。

UKの人気パンク・ロック・バンドThe Clashの紹介は、『Give 'Em Enough Rope』(1978年)、『Sandinista!』(1980年)に続き3回目となります。

本作『Combat Rock』(1982年)は、UKアルバム・チャート第2位、USアルバム・チャート第7位となったグループ最大のヒット・アルバムであると同時に、Joe StrummerMick JonesPaul SimononTopper Headonというオリジナル・メンバー4人によるラスト・アルバムとなりました。

アルバムにはグループ唯一のUSシングル・チャートTop10入りのヒット曲「Rock The Casbah」が収録されています。

こうしたヒット・アルバムでありながら、ダンサブルな「Rock The Casbah」に象徴されるように、パンク・ロック・バンドという姿との乖離に、初期作品からのファンや評論家からは批判的な意見もあったアルバムです。

当時高校生であった僕はThe Jamの大ファンで、The Jamのライバル・バンドとしてThe Clashを聴いていました。

そのためリアルタイムで『Combat Rock』に出会いましたが、同じ年にリリースされたThe Jam『The Gift』(1982年)に夢中で、『Combat Rock』は「The Clashはパンク魂を売り渡してチャート狙いに走ったな」と他人事でアルバムもきちんと聴いていなかった記憶があります。

このようにリアルタイムではThe Clashに全く心動かされることがなかった僕ですが、Mick Jones率いるBig Audio Dynamiteを聴いてから、様々な音楽スタイルをミクスチャーしていた後期Clashの面白に気づき、『Combat Rock』も改めて聴くようになった次第です。

LP3枚組の大作であった前作『Sandinista!』(1980年)で、レゲエ/ダブ、テクノ、ディスコ、モータウン、カリプソ、ロカビリー、トラッドといった多彩の音楽にエッセンスを積極的に取り入れた彼らですが、本作『Combat Rock』『Sandinista!』で行った実験をわかりやすく整理した作品といった印象です。

プロデュースはThe ClashGlyn Johns

アルバムにはメンバー以外に、Allen Ginsberg(vo)、Futura 2000(vo)、Ellen Foley(vo)、Joe Ely(vo)、Tymon Dogg(p)、Poly Mandell(Tommy Mandel)(key)、Gary Barnacle(sax)、Kosmo Vinyl(vo)が参加しています。

「Rock The Casbah」「Should I Stay Or Should I Go」というシングル2曲が目立ちますが、「Know Your Rights」「Straight To Hell」の2曲も彼らを代表する曲ですね。

それ以外であれば、Big Audio Dynamiteを予感させるダンサブルなファンク「Overpowered By Funk」、モロにMick Jones調の「Atom Tan」「Inoculated City」、レゲエ/ダブな「Red Angel Dragnet」「Ghetto Defendant」あたりも僕好み。

様々な音楽スタイルを模索したThe Clashのミクスチャー路線の完成形アルバムを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Know Your Rights」
邦題「権利主張」。Joe Strummer/Mick Jones作。アルバムからの1stシングル。ロカビリー×レゲエ/ダブ×パンクなミクスチャー。これならばパンク好きの耳にも耐えうる仕上がりなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=5lfInFVPkQs

Primal Scream、Lynval Golding and Contra Coup等がカヴァーしています。また、Rip Government「Critical」のサンプリング・ソースとなっています。
Lynval Golding and Contra Coup「Know Your Rights」
 https://www.youtube.com/watch?v=SZqGkwOTrBM

「Car Jamming」
The Clash作。トライバルなビートが印象的な1曲。アフリカン・リズムを意識していたのかも?
https://www.youtube.com/watch?v=Z3Zqf3NTmNY

「Should I Stay Or Should I Go」
The Clash作。アルバムからの3rdシングル。Ukチャート第17位となりました。リード・ヴォーカルはMick Jones。Mick Jones好きの僕としては、とてもしっくりくるロック・チューン。緩急のアクセントもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=BN1WwnEDWAM

Big Audio Dynamite「The Globe」等のサンプリング・ソースとなっています。
Long Tall Texans、Living Colour、Forever Young、Los Fabulosos Cadillacs、Karamelo Santo、Sugarpie and the Candymen、Dub Spencer & Trance Hill等40近いカヴァー・ヴァージョンがあります。
Big Audio Dynamite「The Globe」
 https://www.youtube.com/watch?v=rPrPNpzLHIk
Long Tall Texans「Should I Stay Or Should I Go」
 https://www.youtube.com/watch?v=jZOaIcx41Sg
Living Colour「Should I Stay Or Should I Go」
 https://www.youtube.com/watch?v=jEr6DY3MiXQ
Forever Young「Should I Stay Or Should I Go」
 https://www.youtube.com/watch?v=yuMOyAOgNMM
Los Fabulosos Cadillacs「Should I Stay Or Should I Go」
 https://www.youtube.com/watch?v=9W_Y8NnxGv0
Karamelo Santo「Should I Stay Or Should I Go」
 https://www.youtube.com/watch?v=yMtWW284QT4
Sugarpie and the Candymen「Should I Stay Or Should I Go」
 https://www.youtube.com/watch?v=_fiXu0hY_dU
Dub Spencer & Trance Hill「Should I Stay Or Should I Go」
 https://www.youtube.com/watch?v=YKzGi5IS6S4

「Rock The Casbah」
Joe Strummer/Mick Jones/Topper Headon作。アルバムからの2ndシングル。Ukチャート第30位でしたが、USチャートでは第8位の大ヒットとなりました。良くも悪くもアルバムを象徴するディスコ・ロック・チューン。イントロのピアノとダンス・ビートでKOされてしまいます。ロックが禁止されていた中東の某国をイメージさせるMVも印象的でしたね。このヒット曲の最大の功労者はTopper Headonですが、この後に薬物のためバンドをクビにされてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=bJ9r8LMU9bQ

Will Smith feat. K-Ci「Will 2K」、Def Rock Krew「Let's Party」等のサンプリング・ソースとなっています。また、Rachid Taha、Kristin De Beauvoir、TRUSTcompany、Groovy Waters、Doctor Krapula、The Bogart's Acoustic Trio等がカヴァーしています。
Will Smith feat. K-Ci「Will 2K」
 https://www.youtube.com/watch?v=VT_GG7q3vhs
Def Rock Krew「Let's Party」
 https://www.youtube.com/watch?v=As_-bvwIy4I
Rachid Taha「Rock El Casbah」
 https://www.youtube.com/watch?v=-F2sGhQ1CDk
Kristin De Beauvoir「Rock The Casbah」
 https://www.youtube.com/watch?v=vW6nKfmXuRQ
TRUSTcompany「Rock The Casbah」
 https://www.youtube.com/watch?v=rZDz7jqtJd0
Groovy Waters「Rock The Casbah」
 https://www.youtube.com/watch?v=U3kUbfcu1cI
Doctor Krapula「Rock The Casbah」
 https://www.youtube.com/watch?v=fMR9M3BsnhY
The Bogart's Acoustic Trio「Rock The Casbah」
 https://www.youtube.com/watch?v=BXfcaNI7nnY

「Red Angel Dragnet」
The Clash作。ヴォーカルはPaul SimononとKosmo Vinyl。映画『Taxi Driver』でのRobert De Niro演じる主人公Travis Bickleのセリフが引用されています。レゲエ×ファンクのミクスチャー・サウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=-2dNAZk0xd0

「Straight To Hell」
The Clash作。「Should I Stay Or Should I Go」とのダブルA面扱いでシングルになりました。レゲエ調の仕上がりですが、Joe Strummerの思い入れが強かった1曲であり、多くのカヴァーがあるように名曲として評価されている1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=t7SvtikTkrM

M.I.A.「Paper Planes」、Charles Hamilton「Nino Del Infierno (Hell Boys)」、Scroobius Pip「Paper Lizards」のサンプリング・ソースとなっています。また、Lily Allen and Mick Jones、Heather Nova and Moby、Horace Andy、LSK、Emm Gryner等がカヴァーしています。
M.I.A.「Paper Planes」
 https://www.youtube.com/watch?v=ewRjZoRtu0Y
Charles Hamilton「Nino Del Infierno (Hell Boys)」
 https://www.youtube.com/watch?v=OpUU5UGBgJ0
Scroobius Pip「Paper Lizards」
 https://www.youtube.com/watch?v=Zg6SYDEmNV4
Lily Allen and Mick Jones「Straight To Hell」
 https://www.youtube.com/watch?v=IQIKPxiUe6M
Heather Nova and Moby「Straight To Hell」
 https://www.youtube.com/watch?v=4mSPfC88Xxs
Horace Andy「Straight To Hell」
 https://www.youtube.com/watch?v=PVjVl1pvTWs
LSK「Straight To Hell」
 https://www.youtube.com/watch?v=1l2d_Ne_X4c
Emm Gryner「Straight To Hell」
 https://www.youtube.com/watch?v=sAj22PXJhgU

「Overpowered By Funk」
The Clash作。ヴォーカルはJoe StrummerとFutura 2000。タイトルの通り、ダンサブルなミクスチャー・ファンク。後のBig Audio Dynamiteを予感させる1曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=WhtXEPDuxAY

「Atom Tan」
The Clash作。Mick JonesとJoe Strummerがヴォーカル。モロにMick Jonesっぽい曲調で、Mick Jones好きには嬉しい1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=xTjbioZIbH4

「Sean Flynn」
The Clash作。ハリウッド俳優からジャーナリストに転身し、ベトナム戦争下の1970年にカンボジアで突如として消息を絶ったSean Flynnについて歌われた曲。東洋的なオリエンタル・ムードをダビーな雰囲気にしたサウンドです。
https://www.youtube.com/watch?v=aSWUKOPTt2g

「Ghetto Defendant」
The Clash作。ビート詩人Allen Ginsbergが朗読で参加したダビーなレゲエ・チューン。レゲエ好きの人が聴いてもグッとくる仕上がりなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=raGsgsuPFAw

Dr Israel等がカヴァーしています。
Dr Israel「Ghetto Defendant」
 https://www.youtube.com/watch?v=W-uCYs77vDg

「Inoculated City」
The Clash作。Mick JonesとJoe Strummerがヴォーカル。「Atom Tan」同様に、モロにMick Jonesっぽい曲調です。勿論、Mick Jones好きの僕はニンマリ。
https://www.youtube.com/watch?v=EX0X0tx0TOU

「Death Is A Star」
The Clash作。ラストはClashらしからぬクラシカルな雰囲気を持った静かな雰囲気でアルバムは幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=ElgG07-ISWE

The Clashの他作品もチェックを!

『The Clash』(1977年)


『Give 'Em Enough Rope』(1978年)


『London Calling』(1979年)


『Sandinista!』(1980年)
posted by ez at 03:02| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする