発表年:2018年
ez的ジャンル:USトラックメイカー
気分は... :錦太郎です!
Thundercatの弟、Kintaro(Jameel Bruner)の日本独自アルバム『Commando Existential & Universal EP』(2018年)です。
KintaroことJameel Brunerは、ジャズ・ドラマーのRonald Bruner Jr.、今や人気アーティストとなったベーシストThundercat(Stephen Bruner)を兄に持つキーボード奏者/トラックメイカー。
一時期、L.A.の人気R&BユニットThe Internetにキーボードとして加わり、アルバム『Ego Death』(2015年)のレコーディングにも参加しています。
Kintaroというアーティスト名は、江川達也作のマンガ『GOLDEN BOY』の主人公 大江錦太郎からとったものなのだとか。
本作はタイトルの通り、5曲入りEP「Universal EP」とミックステープ「Commando Existential」をセットにし、さらにボーナス・トラック1曲も追加し、アルバム仕様にした日本独自アルバムです。
Thundercatのイメージで聴くと、ギャップがあるのでご注意ください(笑)
全体的にはトラックメイカーとしてのKintaroを知るための1枚に仕上がっています。
ダークなトラップ・チューンが多く、必ずしも僕の嗜好にフィットするものではありませんが、音数を抑えた引き算のローファイ・サウンドに彼の美学を感じます。個人的にはローファイ・エレクトロなトラックが好きですね。その意味ではAnderson .Paakをフィーチャーした「Mk」がハイライトかもしれませんね。
Georgia Anne Muldrowのアルバム等で知られるTokio Aoyama(青山 宗央)さんがイラストを手掛けたジャケも印象的です。
全曲紹介しときやす。
まずは「Universal EP」の5曲。
「Alt Pln」
本作らしいダークなトラックのオープニング。重低音トラックをバックに、♪オマエの意見なんてどうでもいい♪死ぬまでベラベラしゃべってろ♪と吐き捨てます、
https://www.youtube.com/watch?v=80rsbYIoyZE
「Mk」
Anderson .Paakをフィーチャー。ある意味の本作のハイライトかもしれませんね。ローファイながらも、Anderson .Paakの個性をうまく取り込んだエレクトリックな質感がいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=dTKHvVhrMPo
「West」
音数を抑えたシンプルなトラックをバックに、心の叫びを赤裸々に歌います。
「Trap You」
不穏なトラックが物語るように、愛憎剥き出しの物騒なリリックを畳み掛けます。
https://www.youtube.com/watch?v=gYWQHeaYAIs
「Alien Trap」
ダークなオカルトチックなトラップ・チューンですが、途中、学校のチャイム(ウェストミンスターの鐘)の音階が聴こえてくるのも不気味です。
https://www.youtube.com/watch?v=QxeY5iBdOr4
ここからはミックステープ「Commando Existential」の7曲。
「Aussie」
Tru-Soundをフィーチャー。ダークなトラックに、脳裏に浮かぶ様々な思いを次々とリリックにして畳み掛けます。
「Chillin」
ダークでヤバいチル・モードといった雰囲気です。
「Next To You」
僕好みのローファイ・エレクトロなR&Bチューン。こういうトラックをもっと多く聴きたかったですね。
「Song For Us Bounce」
エクスペリメンタルな中にもキャッチーさがあります。初期Thundercatあたりにも通じる雰囲気があるのでは?
「Song Joint Flip Lit」
切ない思いを吐露した哀愁メロウなR&B。ここでもローファイを逆手にとっている感じがいいですね。
「Soul Boy」
終わった恋を後悔する哀愁メロウなR&B。男の心の脆さが象徴されているようなトラックです。
「Untitled Bullshit」
再びダークなトラップ。音数を抑えて、これだけの雰囲気を印象づけるのも引き算の美学かもしれませんね。
「Once More With This "Put In Work Bullshit"」
>「Commando Existential」のラストは自分の決意表明のようなメロウ・トラックで締め括ってくれます。
最後にボーナス・トラック1曲。
「Beez In Duh Trap Final」
ここでもダークなトラップが展開されます。
開会式は23日ですが、先行して来週水曜には五輪競技が始まっていますね。
感染拡大に注意しつつも、効果を期待できない緊急事態宣言に辟易し、自国開催ムードとは程遠く、盛り上がりに欠ける五輪を迎える。
何だか異様なムードの19日間になりそうですね。