発表年:1979年
ez的ジャンル:反逆のP-Funk
気分は... :MorhershipよりMamaship?
Funkadelic/Parliamentのドラマーとして活躍したJerome Brailey率いるP-FunkユニットMutinyの1stアルバム『Mutiny Оn Тhe Mamaship』(1979年)です。
※上記ジャケおよびAmazonへのリンクは『Funk Plus the One』(1980年)との2in1CDです。
1975年からFunkadelic/Parliamentのドラマーとして活躍してきたJerome Braileyですが、金銭面の問題で総帥George Clintonとトラブルとなり(Clintonのピンハネが原因)、1978年にP-Funk軍団を離脱します。
その後、同じくP-Funk軍団離脱組のGlen Goinsが結成したバンドQuazarに参加しますが、1stアルバム『Quazar』(1978年)のリリース前にリーダーのGlen Goinsが癌で死去してしまったため、Quazarは解散します。
そして、JeromeがGlenの遺志を継ぐかたちで結成したのがMutinyです。
70年代後半から80年代にかけて、『Mutiny on the Mamaship』(1979年)、『Funk Plus the One』(1980年)、『A Night Out with the Boys』(1983年)という3枚のアルバムをリリースしています。さらに『Aftershock 2005』(1996年)、『Funk Rd.』(2013年)といったアルバムもリリースしています。
1stアルバムとなる本作『Mutiny on the Mamaship』(1979年)におけるメンバーは、Jerome Brailey(ds、per、vo)、Lenny Holmes(g、vo)、Skitch Lovett(g、vo)、Raymond Carter(b、vo)、Nat Lee(key、vo)、Daryl Dixon(horns)、Marvin Daniels(horns)、Melvin El(horns)。
プロデュースはJerome Brailey。
楽曲はすべてJerome Braileyらのオリジナルです。
アルバムはマザーシップが空を飛ぶジャケ、中ジャケにはGeorge Clintonを皮肉るメッセージが記載されるなど、George Clintonへの批判や反発が原動力となっているような反逆のP-Funk作品に仕上がっています。
Parliament的視点でClintonを批判しつつ、P-Funk軍団を支えた自負からP-Funk的なサウンドを展開するのが興味深いですね。
ジャケやタイトルを見ると、Parliament的なサウンドがイメージされますが、どちらかといえば、ギター・サウンドが目立つFunkadelic的ファンク・ロックに近い音になっています。
シングルにもなった痛快P-Funk「Funk 'n' Bop」、George Clintonを♪間抜け野郎♪と徹底的にこき下ろす「Lump」、スタイリッシュなヘヴィ・ファンク「Burning Up」、Thundercat「Day & Night」のサンプリング・ソースにもなった「Go Away From Here」、Lenny HolmesのMichael Hampton的ギターが印象的な「What More Can I Say」など、色々な意味でP-Funk好きを楽しませてくれる全8曲+ボーナス・トラック1曲です。
反逆のP-Funkを満喫しましょう!
全曲紹介しときやす。
「Go Away From Here」
George Clintonに対して、"ここから出て行け!"と言い放つP-Funkチューンがオープニング。P-Funkの総帥を罵倒しながらも、サウンドはモロにP-Funk的なのが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=q8hQV-7d-tQ
Thundercat「Day & Night」のサンプリング・ソースとなっています。
Thundercat「Day & Night」
https://www.youtube.com/watch?v=i4pNOBIAaLI
「What More Can I Say」
Lenny HolmesのMichael Hampton的ギターが印象的な哀愁ファンク・チューン。Funkadelicがお好きな人は気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=6vi3hUhE9c8
「Lump」
シングル曲。George Clintonを♪間抜け野郎♪と徹底的にこき下ろす、反逆のハイテンション・ファンク。まさに怒りが原動力となった演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=Sq04fZqncCc
「Funk 'n' Bop」
シングル曲。軽快なギター・リフが格好良い格好良いP-Funk。本家P-Funkをファンキーに洗練させた感じがたまりません。僕の一番のお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=2QU7wBGm4KU
Double Dee & Steinski「Lesson 2 (James Brown Mix)」、Beats International「Blame It on the Bassline」、Natural Born Chillers「Rock the Funky Beat (Urban Takeover Remix)」のサンプリング・ソースとなっています。
「Burning Up」
ダイナミックなホーン・サウンドとファンキー・ギターが格好良いヘヴィ・ファンク。本家P-Funk的でありながら、灰汁抜きしてよりスタイリッシュになっている感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=4huTa18jPTE
「Voyage To The Bottom Of The "P"」
自分がP-Funk軍団の土台であったというJeromeの自負を感じるタイトルですね。格好良いギター・サウンドに魅了されるファンク・ロックです。
https://www.youtube.com/watch?v=Xdxc7_7kP1w
「Everytime You Come Around」
Glen Goinsへの追悼の意が込められた美しいソウル・バラード。ソウル・バラードといっても本作らしい格好良いギター・サウンドを存分に聴けるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=pKnElEJRY64
「Romeo」
本編ラストは、Jeromeの愛称を冠したファンク・チューン。P-Funkを皮肉りつつ、70年代ロックのピースフルなエッセンスをミクスチャーさせているのが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=p2y4mgwqTsM
「Sneakin'」
CDボーナス・トラック。1992年のレコーディングです。ラップ入りのファンキー・チューンで楽しませてくれます。
『Aftershock 2005』(2005年)
ご興味がある方はQuazar『Quazar』(1978年)をチェックするのも楽しいのでは?
Quazar『Quazar』(1978年)