発表年:2010年
ez的ジャンル:Fela Kuti継承者アフロビート
気分は... :アフロビートDNA!
今回はアフロビートの創始者Fela Kutiの長男、Femi Kutiの『Africa For Africa』(2010年)です。
Femi KutiはFela Kutiの長男として、1962年UKのロンドンで生まれました。
ちなみに以前に当ブログで紹介したSeun Kutiは、Fela Kutiの一番下の息子です。
1979年に父Fela KutiのバンドAfrica 70のメンバーとなり、その発展形であるEgypt 80ではバンド・リーダーを務めていた時期もありました。
1986年には自身のバンドPositive Forceを結成し、1989年には初の自身のリーダー作『No Cause for Alarm?』をリリースしています。
1997年のFela Kutiの死去以降は、アフロビートの継承者としての注目度も高まり、そのDNAを受け継いだあアルバムをリリースし続けています。
今年には息子Made Kutiの作品とのカップリングによる2枚組CDFemi Kuti & Made Kuti『Legacy +』をリリースしています。
本作『Africa For Africa』(2010年)は、前作『Day by Day』(2008年)から2年ぶりのアルバムとなりますが、それまでのアフロビートをアップデートさせようとするアプローチではなく、原点回帰で父Fela Kuti譲りのアグレッシヴな直球アフロビートを聴かせてくれたことで高評価を得たアルバムです。レコーディングもナイジェリアで行われました。
ジャケの雰囲気も父Fela Kutiのアルバム・ジャケを彷彿させるものであり、Femi Kutiの本作に賭ける意欲が伝わってきます。
プロデュースはデビュー当時からFemi Kuti作品に関わってきたフランス人プロデューサー/エンジニアのSodi。
父Fela Kutiの遺志を継ぐ"闘うアフロビート"を展開しつつ、格好良いダンスミュージックとしてのアフロビートのエッセンスをうまく強調できている点がいいですね。
アフロビートの格好良さをダイレクトに満喫できるという意味では、普段アフロビートを聴かない人の入門アルバムとしても最適だと思います。
アフロビートの継承者による王道アフロビートをぜひ!
全曲紹介しときやす。
「Dem Bobo」
重厚なホーン・サウンドが牽引するオープニング。ゆったりした中にも力強さが漲っているのがいいですね。70年代Fela Kutiアルバムにタイムスリップした感覚になります。
https://www.youtube.com/watch?v=GirD-VXGk5k
「Nobody Beg You」
パワー全開のアグレッシヴで扇動的なアフロビートで突っ走ります。これぞアフロビートの継承者ですね。みんなが求めているアフロビートです!
https://www.youtube.com/watch?v=oLdk1nLdJNs
「Politics In Africa」
タイトルからしてFela Kuti直系のアフロビートですね。軽快なサウンドに乗って、Femi Kutiが鋭いメッセージを突き刺します。キーボードの音色がケバケバしくなく洗練されている点のみが2010年仕様の部分かもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=iCx5XrXCsIo
本作には未収録ですが、アフロ・トライバル・ハウス好きの方はTimmy Regisfordがリミックスした12"も要チェックです。
「Bad Government」
コレもFela Kutiを継承するタイトルですね。厚みのあるホーン・アンサンブル、扇動的なオルガン、躍動するビート、ストレートに政府を批判する歌詞すべてがFela Kuti譲りです。
https://www.youtube.com/watch?v=dmSnu9Wkejo
「Can't Buy Me」
アッパーかつパワフルに疾走する漆黒のアフロビート。思い切り巻き舌で叫ぶFemi Kutiのヴォーカルもいいですね。思わず拳を突き上げて、一緒に♪Can't Buy Me♪Ctan't Buy Me♪Can't Buy Me♪と叫んでしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=ai3qV039-Xw
「Africa For Africa」
タイトル曲はレゲエ調。Fela Kuti×Bob Marleyの遺志を受け継ぐいったところでしょうか。ホーン隊はしっかりアフロ・ファンクしています。
https://www.youtube.com/watch?v=QMrdPevAsmQ
「Make We Remember」
グルーヴィーなオルガンと共に始まる黒人リーダー賛歌。父Fela Kutiをはじめ、マルコムX、キング牧師、ネルソン・マンデラなどの名も登場します。
https://www.youtube.com/watch?v=upX7GQsm8b8
「Obasanjo Don Play You Wayo」
素晴らしいホーン・アンサンブルが印象的です。友に、兄弟に、姉妹に、父に、母に、娘に、妻に呼びかけます。
https://www.youtube.com/watch?v=jbfP4LQLioc
「Boys Dey Hungry For Town」
軽快に疾走するアフロビート。ベースが牽引する原点回帰らしいグルーヴを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=XngStem4QpA
「Now You See」
個人的にはアルバムで一番のお気に入り。ダンスミュージックとしてスリリングで格好良いアフロビートを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=aqu6iTNdkNU
「No Blame Them」
少しテンポを落としたグルーヴでヴォーカルがより際立つ演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=wDKrrGYu0QI
「Yeparipa」
キャッチーなコーラスが印象的なトラック。アフリカの窮状を切々と訴えます。
https://www.youtube.com/watch?v=JZXOo17N1zw
「E No Good」
「Now You See」と並ぶ僕のお気に入り。扇動的でアッパーなアフロビートはスリリングな魅力に溢れています。
https://www.youtube.com/watch?v=pXcO52WXkCQ
「It Don't Mean」
ラストも軽快なアフロビートで締め括ってくれます。ダンスミュージックとしての格好良さがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=YUVT33FQ5nk
Femi Kutiの他作品もチェックを!
『Femi Kuti』(1995年)
『Shoki Shoki』(1998年)
『Shoki Remixed』(2000年)
『Fight to Win』(2001年)
『Africa Shrine』(2004年)
『Day by Day』(2008年)
『No Place for My Dream』(2013年)
『One People One World』(2018年)
Femi Kuti & Made Kuti『Legacy +』(2021年)