2021年08月20日

Eric Clapton『No Reason To Cry』

The Band、Dylanらとも共演☆Eric Clapton『No Reason To Cry』

発表年:1976年
ez的ジャンル:レイドバック系ロック
気分は... :派手さはなくとも良い!

久々にレジェンド・ギタリストEric Claptonの紹介です。
セレクトしたのは『No Reason To Cry』(1976年)です。

これまで当ブログで紹介したClapton<のソロ・アルバムは以下の3枚(発売順)。

 『461 Ocean Boulevard』(1974年)
 『There's One In Every Crowd』(1975年)
 『Another Ticket』(1981年)

約11年ぶりのClaptonの紹介です。
数日前に60年代、70年代Claptonを収めた4時間以上のドキュメンタリーを観ていたら、70年代のClapton作品が聴きたくなりました。

本作『No Reason To Cry』(1976年)は、ライヴ・アルバム『E. C. Was Here』(1975年)に続くアルバムであり、スタジオ作としては『There's One In Every Crowd』(1975年)に次ぐ作品となります。

YardbirdsJohn Mayall's Bluesbreakers,CreamBlind FaithDerek & The Dominosと常にバンドで悩み続けてきたClaptonが、『461 Ocean Boulevard』以降組んだ自身のバンドで、ようやくバンドを楽しめるようになった様子が、先のドキュメンタリーに収められていました。

そんな自身のバンドの絶頂を示したのが本作『No Reason To Cry』(1976年)です。

本作におけるバンド・メンバーは、Eric Clapton(vo、g)、George Terry(g)、Jamie Oldaker(ds)、Dick Sims(key) 、Carl Radle(b)、Yvonne Elliman(vo)、Marcy Levy(vo)。『There's One In Every Crowd』から続く息の合った面々です。

レコーディングはThe BandShangri-la Studios等で行われ、The BandRick Danko/Garth Hudson/Richard Manuel/Robbie Robertson//Levon Helm)、Bob DylanThe Rolling StonesRon WoodGeorgie FameBilly PrestonJesse Ed Davis等の多彩なゲストも参加しています。

特にThe Bandとの共演は、Claptonが長らく望んでいたものであり、それが遂に実現しました。先のドキュメンタリーでもCream解散後、Claptonが一人でThe Bandメンバーに会いに行き、本当はThe Bandへの加入を懇願しようと思っていたが、実際には話を切り出せずに帰ってきたエピソードが挿入されていました。

プロデュースはRob FraboniEric ClaptonCarl Radle

UKアルバム・チャート第8位、USアルバム・チャート第15位でしたが、ロック・スターEric Claptonの作品としては特筆するほどのチャート・アクションではありませんでした。そのため、豪華ゲストを呼んできたわりには地味な作品との見方も強く、必ずしも評価の高いClapton作品ではないかもしれません。

しかし、そうしたロック・スターの呪縛から解放されることこそが、この時期のClaptonが望んだことであり、トップランナーのプレッシャーを受けることなく、普段着で自分がやりたい音楽を演奏するClaptonが先のドキュメンタリーでも強調されていました。豪華ゲストとの共演も、彼らを大げさに扱うのではなく、Claptonのバンドに遊びに来た仲間の一人として扱っているのが本作の良さであるとドキュメンタリーで説明され、妙に納得してしまいました。

僕もロック少年だった頃は、CreamDerek & The Dominosと同じ尺度で、70年代ソロ作を聴いていました。そのため、『461 Ocean Boulevard』(1974年)は許容範囲でしたが、『There's One In Every Crowd』(1975年)、『No Reason To Cry』(1976年)には物足りなさを感じていました。

しかしながら、現在は『There's One In Every Crowd』『No Reason To Cry』も心地好く聴くことができます。

まぁ、各曲の詳しい解説はClaptonマニアの方々にお任せして、リラックスして本作を聴きたいと思います。

ジャケも夏らしくていいですね。

全曲紹介しときやす。

「Beautiful Thing」
Rick Danko/Richard Manuel作。The Bandとの共演らしいレイドバックした仕上がり。女性コーラス隊によるゴスペル調コーラスもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=rtoIIRy1GoA

The Bandのみのデモ・トラックが『A Musical History』(2005年)にリリースされています。

「Carnival」
Eric Clapton作。アルバムからの2ndシングル。スワンピーなファンキー・ロックはフリーソウル的な聴き方もできるのでは?エキサイティングな疾走感があっていいですね。ここでもソウルフルな女性コーラス隊が活躍します。
https://www.youtube.com/watch?v=2iWdxhqRxfc

「Sign Language」
Bob Dylan作。Bob Dylanとの共演もファンには嬉しい顔合わせですね。レイドバックしたサウンドをバックに、Bob Dylanのクセのあるヴォーカル・スタイルにClaptonが何とか合わせようとしているのが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=jKCTC7sogL4

「County Jail Blues」
Alfred Fields作。B.B. Kingも演奏したブルース作品をカヴァー。昔は何とも思いませんでしたが、今聴くと実に格好良いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=snsTlS-mcqA

「All Our Past Times」
Eric Clapton/Rick Danko作。これもClaptonのThe Bandへの憧れを感じる音ですね。また、所々次作『Slowhand』(1977年)の名バラード「Wonderful Tonight」を感じさせるのも興味深いです。
https://www.youtube.com/watch?v=rPoaevqhasI

「Hello Old Friend」
Eric Clapton作。アルバムからの1stシングル。USシングル・チャート第24位となっています。Claptonのシンガー/ソングライターとしての成長を感じる1曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=1LTPRub6vKE

「Double Trouble」
Otis Rush作。ブルース名曲をカヴァー。こういうディープなブルース演奏を普段着でできるようになったことこそが、この時期のClaptonの魅力かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=zRbzgiCJUPU

「Innocent Times」
Eric Clapton/Marcy Levy作。ここでは後にShakespears Sisterでも活躍するMarcy Levy(Marcella Detroit)がヴォーカルをとります。バンド・メンバーにリード・ヴォーカルを任せるあたりに、いかにClaptonがこのバンドを大切にしているかが分かるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=Q8JGWkix2Ck

「Hungry」
Marcy Levy/Dicky Simms作。ソングライティングも含めて、この時期のバンドの充実ぶりが窺えます。Derek & The Dominos的なエッセンスも感じられるのも魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=3Cb_XypHkBA

「Black Summer Rain」
Eric Clapton作。本編ラストは素敵なバラードで締め括ってくれます。先に挙げた名バラード「Wonderful Tonight」とセットで聴きたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=m4lB90-RzSQ

「Last Night」
CDボーナス・トラック。偉大なブルース・マンLittle Walterのカヴァー。ディープなブルースをClaptonが望むようにカヴァーしているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=AiUe9VnWy9Q

Eric Claptonの70年代から80年代初めの他作品もチェックを!

『Eric Clapton』(1970年)


Derek & The Dominos『Layla and Other Assorted Love Songs』(1970年)


『Eric Clapton's Rainbow Concert』(1973年)


『461 Ocean Boulevard』(1974年)


『There's One In Every Crowd』(1975年)


『E.C. Was Here』(1975年)


『Slowhand』(1977年)


『Backless』(1978年)


『Just One Night』(1980年)


『Another Ticket』(1981年)
posted by ez at 01:13| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする