発表年:2021年
ez的ジャンル:ドイツ産カリビアン・ファンク
気分は... :スティール・ドラムで心を穏やかに!
新作アルバムからドイツのカリビアン・ファンク・バンドBacao Rhythm & Steel Bandの3rdアルバム『Expansions』です。
ドイツの現行ファンク・バンドThe Mighty Mocambosのメンバーらが結成したカリビアン・ファンク・バンドBacao Rhythm & Steel Bandの紹介は、1stアルバム『55』(2016年)、『The Serpent's Mout』(2018年)に続き3回目となります。
スティール・ドラムを使ったカリビアン・ファンクを特長としつつ、The Mighty Mocambosの流れを汲むファンクネスや、この世代らしいHip-Hopのエッセンスを取り込んでいるのが、このバンドの魅力ですね。
本作では、Bjorn Wagner(Hank Dettweiler)(steel drums、g、b、clavinet、el-p、mellotron、glockenspiel)、Ben Greenslade-Stanton(tb、tp、tuba)、Sebastian Drescher(tp)、Sascha Weise(ds)、Victor Kohn(b)というThe Mighty Mocambosのメンバーに加え、Lucas Kochbeck(ds、per)、Paul Elliott(per)、John Reed(b、ds)、Tim Grunwald(b)、Bernhard Hummer(sax)、Hans Christian Stephan(tp)、Shawn Lee(ds)、Guillaume La Cahain(ds)、Simon Gussek(ds)といったミュージシャンが参加しています。
プロデュースはBjorn Wagner。Steffen Wagnerが共同プロデュースを務めています。
毎回Hip-Hopカヴァーで楽しませてくれる彼らですが、今回はSlum Village、Jay-Zを取り上げています。
それ以外にもGalt MacDermot、Grace Jones、
Sylvester、Ike Turner、Erykah Badu、Minnie Riperton、さらにボーナス・トラックでMtumeをカヴァーしています。
オリジナルと聴き比べるのも楽しいですし、オリジナルを知らなくても楽しめるカリビアン・ファンクです。
唯一無二のカリビアン・ファンク・ワールドを楽しみましょう。
全曲紹介しときやす。
「Tough Victory」
タイトルの通り、タフネスを感じるパワフルなカリビアン・ファンクがオープニング。少しアフロ・ファンク調な部分もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=SG4uJMGwSkk
「Space」
ミュージカル『Hair』で知られるカナダ人コンポーザー/ピアニストGalt MacDermotのカヴァー。オリジナルは『Woman Is Sweeter』(1969年)収録。オリジナルの雰囲気をうまく活かして、楽園モードのカリビアン・メロウを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=o_W6ZvnShwc
Galt MacDermot「Space」
https://www.youtube.com/watch?v=wk_dPAs2hzo
「Raise It Up」
故J Dillaが在籍していたHip-HopグループSlum Villageのカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Fantastic, Vol. 2』(2000年)収録。J Dillaビートをカリビアン・ファンクと見事に融合させたHip-Hopファンも楽しめる1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=SSMWqpDenF8
Slum Village「Raise It Up」
https://www.youtube.com/watch?v=QPrmJr0Jj3k
「My Jamaican Dub」
モデル出身のクール・ビューティーGrace Jonesの人気曲「My Jamaican Guy」をカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Living My Life』(1982年)収録。レゲエ/ダブ調のオリジナルをダビーなカリビアン・ファンクで聴かせてくれます。クールな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=4bejAj8MCic
Grace Jones「My Jamaican Guy」
https://www.youtube.com/watch?v=0LTzVPCFSY8
「I Need Somebody To Love Tonight」
ディスコ・ヒットで知られるSylvesterのカヴァー。オリジナルは『Stars』(1979年)収録。官能的で儚いメロウ・ファンクであったオリジナルに対して、ここでは力強いビートのカリビアン・ファンクで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=zxjVI1AaUOo
Sylvester「I Need Somebody To Love Tonight」
https://www.youtube.com/watch?v=3twSNZhB330
「Dirt Off Your Shoulder」
Hip-Hopの帝王Jay-Zをカヴァー。 Timbalandがプロデュースしたオリジナルは『The Black Album』(2003年)収録。この曲がスティール・ドラムの音色が映えるカリビアン・メロウ・ファンクに生まれ変わるとは・・・痛快ですね!
https://www.youtube.com/watch?v=xDy1Lla6wXA
Jay-Z「Dirt Off Your Shoulder」
https://www.youtube.com/watch?v=Oz_-VaTHpc8
「Getting Nasty」
Ike & Tina Turnerで知られる故Ike Turnerのカヴァー。やや地味な印象さえ受けるオリジナルに対して、本ヴァージョンはスティール・ドラムの音色が華やかなパワフルかつメロウなカリビアン・ファンクに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=2JlEeA0AB9E
Ike Turner「Getting Nasty」
https://www.youtube.com/watch?v=f8cFpqjr9qo
「Blow Your Cover」
The Mighty Mocambosを思わせる力強いビートがさく裂する重量カリビアン・ファンク。フツーにファンクとしても楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=b2AbUBOVl8c
「Represent」
ホーン・サウンドが印象的な哀愁カリビアン・ファンク。ゆったりなのに鋭いグルーヴがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=zEWNOYTSQtA
「The Healer」
Erykah Baduが故J Dillaに捧げた、Madlibプロデュース曲をカヴァー。オリジナルは『New Amerykah: Part One (4th World War)』(2008年)収録。J Dillaトリビュートを受け継ぎつつ、カリビアン・テイストならではの魅力を伝えてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=vnqCwROrziQ
Erykah Badu「The Healer」
https://www.youtube.com/watch?v=XykIswFgLpU
「Les Fleurs」
天使の歌声Minnie Ripertonのカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Come To My Garden』(1970年)収録。この曲自体がスティール・ドラムの音色が似合うのかもしれませんね。実に心地好いカリビアン・メロウに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=KhBfhfEP4GQ
Minnie Riperton「Les Fleurs」
https://www.youtube.com/watch?v=OQt4e3Odc2c
「Squaring The Circles」
本編ラストは日本人の琴線に触れそうな哀愁カリビアンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=DBmPfvN9lYA
CDに以下の3曲がボーナス・トラックで追加収録されています。
「Juicy Fruit」
Mtumeの名曲「Juicy Fruit」をカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Juicy Fruit』(1983年)。お馴染みのファンク・クラシックを角が取れて、丸みが出たようなカリビアン・ファンクで楽しませてくれます。
Mtume「Juicy Fruit」
https://www.youtube.com/watch?v=MucY5wRYByU
「Look Out Baby (Here I Come)」
ファンキー・モード全開のカリビアン・ファンク。スピーディーな疾走感が格好良いですね。
「Kaiso Noir」
エレクトリック色なエッセンスとの組み合わせが面白い、コズミック・カリビアン・ファンクに仕上がっています。
未聴の方はBacao Rhythm & Steel Bandの他作品もチェックを!
『55』(2016年)
『The Serpent's Mout』(2018年)