2021年10月20日

The Love Unlimited Orchestra『Rhapsody in White』

大ヒット曲「Love's Theme」収録☆The Love Unlimited Orchestra『Rhapsody in White』
Rhapsody in White
発表年:1974年
ez的ジャンル:愛の伝道師系インスト・ソウル
気分は... :愛のテーマ!

今回は愛の伝道師Barry WhiteLove Unlimited Orchestra名義での初アルバム『Rhapsody in White』(1974年)です。

Love Unlimited Orchestraを率いて70〜80年代に大活躍した巨漢の男性R&Bシンガー/プロデューサーBarry White(1944-2003年)に関して、当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 『Can't Get Enough』(1974年)
 『The Message is Love』(1979年)
 『Sheet Music』(1980年)

Love Unlimited Orchestra名義での初アルバム『Rhapsody in White』(1974年)には、USチャートNo.1となった大ヒット・シングル「Love's Theme」が収録されています。

僕のBarry White作品への初遭遇は、当時、香港Cathay Pacific航空のCMで流れていた本曲でした。当時はBarry Whiteのことも、この曲がBarry White作品であることも知りませんでしたが、海外への憧れを誘う素敵な曲として鮮烈な印象を残してくれました。僕に限らず、このCathay Pacific航空のCMに魅了された方は多かったのではないかと思います。

Cathay Pacific航空CM(1980)
 https://www.youtube.com/watch?v=BDn4SAoSljU

そんな「Love's Theme」収録された、Love Unlimited Orchestraの初アルバム『Rhapsody in White』(1974年)。全曲インストのアルバムですが、USアルバム・チャート第10位、同R&Bアルバム・チャート第2位のヒットとなりました。

全曲インストという点に抵抗がある方もいるかもしれませんが、素晴らしいアレンジによるソフィスティケイトされた音世界に魅了されます。先のCathay Pacific航空のCMではありませんが、ジャンルの枠を超えた魅力を持つ1枚だと思います。

プロデュースはBarry White
アレンジはBarry WhiteGene Page

「Love's Theme」以外であれば、シングルにもなった「Rhapsody in White」、オープニングを飾る「Barry's Theme」、サンプリング・ソースとしても人気の「Midnight and You」、ビートを効かせたポップ・ソウル「I Feel Love Comin' On」、ソウルフル・メロウ・バラード「Baby Blues」あたりがおススメです。

魅惑の低音ヴォーカルのBarry Whiteもいいですが、サウンド・クリエイトに専念したBarry Whiteもいいですよ!

全曲紹介しときやす。

「Barry's Theme」
Barry White作。パーカッシヴな序盤から、ギター、ストリングス等が加わってソフィスティケイトされた音世界が展開されます。華やかな雰囲気に包まれます。
https://www.youtube.com/watch?v=sgbNK5K9seg

「Rhapsody in White」
Barry White作。シングルにもなった人気曲。「Love's Theme」と同路線のスケールの大きなメロウ・グルーヴが展開されます。流麗なストリングスとソウルフル・ギターの組み合わせがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=XO-b-n6YoQc

Pat Jeffersonがカヴァーしています。また、All Natural「Take It 2 Em」、Prodigy feat. Twin Gambino and Chinky「Can't Complain」、Hus Kingpin feat. Big Twins and Sage Infinite「Can't Complain II」のサンプリング・ソースとなっています。
Pat Jefferson「Rhapsody in White」
 https://www.youtube.com/watch?v=jaqmf9kR_sY
All Natural「Take It 2 Em」
 https://www.youtube.com/watch?v=mt8DE3FoINU
Prodigy feat. Twin Gambino and Chinky「Can't Complain」
 https://www.youtube.com/watch?v=oZw0EDp1MtI
Hus Kingpin feat. Big Twins and Sage Infinite「Can't Complain II」
 https://www.youtube.com/watch?v=VYACJOpMHyE

「Midnight and You」
Billy Page/Gene Page作。これも名曲ですね。タイトルの通り、ミッドナイト・モードのソウルフル・チューン。ファンキー・ギターによるアクセントがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=hF5MyfU3oBo

Mongo Santamaria、Solomon Burke、Willie Lindoがカヴァーしています。
Mongo Santamaria「Midnight and You」
 https://www.youtube.com/watch?v=uDdNB7h0-wg
Solomon Burke「Midnight and You」
 https://www.youtube.com/watch?v=1IUtdPLQbio
Willie Lindo「Midnight」
 https://www.youtube.com/watch?v=9zKVlq0NSEs

また、Jermaine Dupri feat. Manuel Seal, Pimpin Ken and UGK「Money, Hoes & Power」、Tim Dog feat. Kool Keith「Secret Fantasies」、Cyhi the Prynce「Bury White」、LNDN DRGS「The MAKK/BURNT OUT」、Too Poetic「I Will Remember You」、D.M.P.「Hustler's Pair-A-Dice」、2 Tone「So Fly」、Point 5 Poss「eWho Forgot the Pimpin'」等20トラック以上のサンプリング・ソースとなっています。
Jermaine Dupri feat. Manuel Seal, Pimpin Ken and UGK「Money, Hoes & Power」
 https://www.youtube.com/watch?v=sR-Xf7sr9TI
Cyhi the Prynce「Bury White」
 https://www.youtube.com/watch?v=9WxFnIdo3Lk
LNDN DRGS「The MAKK/BURNT OUT」
 https://www.youtube.com/watch?v=Q3iPCmg7kn0
Too Poetic「I Will Remember You」
 https://www.youtube.com/watch?v=ISzL245RSaw
D.M.P.「Hustler's Pair-A-Dice」
 https://www.youtube.com/watch?v=GK8f6evrBwo
2 Tone「So Fly」
 https://www.youtube.com/watch?v=ZMLNZ9iCgCo
Point 5 Posse「Who Forgot the Pimpin'」
 https://www.youtube.com/watch?v=ySkYahXrjDs

「I Feel Love Comin' On」
Barry White/Paul Politi作。ビートを効かせたポップ・ソウル・チューン。初めて聴く人にも惹きつけるキャッチーさがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=2wOKBF1RqtE

「Baby Blues」
Barry White/Tony Sepe作。ソウルフル・メロウ・バラード。インストならではの味わい・余韻があるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=hslNWL-hguY

Rapper Big Pooh「Strongest Man」、The Alchemist feat. Nina Sky and Prodigy「Key to the City」、Tame One「Supanatural」等のサンプリング・ソースとなっています。
Rapper Big Pooh「Strongest Man」
 https://www.youtube.com/watch?v=6vFUtU2dG4I
The Alchemist feat. Nina Sky and Prodigy「Key to the City」
 https://www.youtube.com/watch?v=6nvxYOU1pO0
Tame One「Supanatural」
 https://www.youtube.com/watch?v=rrf3WXSqP3c

「Don't Take It Away from Me」
Barry White作。素晴らしいストリングス・アレンジと軽快なビートの組み合わせに魅せられるメロウ・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=ZSYCzcol_zk

「What a Groove」
Barry White作。ギター・サウンドに魅了されるファンキー・グルーヴ。ホーン隊も盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=rDRq_Tte6ao

「Love's Theme」
Barry White作。前述のようにUSチャートNo.1、同R&Bチャート第10位となった大ヒット・シングルです。本ヴァージョンが一番最初に収録されたのは、Love Unlimitedのアルバム『Under the Influence of... Love Unlimited』(1973年)です。その後、シングル・リリースされ、大ヒットとなりました。イントロを聴いただけで、心トキメクものがあります。Cathay Pacific航空のCMの影響もあり、大空へと飛び立っていくような自由さと開放感がありますね。「愛のテーマ」というタイトルに相応しいエヴァーグリーンな魅力を持った名曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=WslPSwEgQqE

Love Unlimitedのヴォーカル入りヴォ―ジョンがアルバム『In Heat』(1974年)に収録されています。
Love Unlimited「Love's Theme」
 https://www.youtube.com/watch?v=5blygUa_Uxg

また、Julio Iglesias、20th Century Steel Band、Pat Jefferson、The Troubadours International、The Connection等20組以上のアーティストがカヴァーしています。
Julio Iglesias「Tema De Amor (Love's Theme)」
 https://www.youtube.com/watch?v=0bHH_qeKmjo
20th Century Steel Band「Love's Theme」
 https://www.youtube.com/watch?v=__IV55qKzcM
Pat Jefferson「Love's Theme」
 https://www.youtube.com/watch?v=oYmKFBERdOY
The Troubadours International「Love's Theme」
 https://www.youtube.com/watch?v=EAW7BpqHzBk
The Connection「Love's Theme」
 https://www.youtube.com/watch?v=Mma5Y7b8DhM

さらにBlack Box「Ride on Time」、DJ Jazzy Jeff feat. Method Man「Hold It Down」、Orchestral Manoeuvres In The Dark「Dream of Me (Based on Love's Theme)」、Mack Wilds「Duck Sauce」、Two Kings in a Cipher「Kemit-Cal Reaction」等30トラック以上のサンプリング・ソースとなっています。
DJ Jazzy Jeff feat. Method Man「Hold It Down」
 https://www.youtube.com/watch?v=0AhNnbUKEd0
Orchestral Manoeuvres In The Dark「Dream of Me (Based on Love's Theme)」
 https://www.youtube.com/watch?v=Vc-d3FGoxDI
Mack Wilds「Duck Sauce」
 https://www.youtube.com/watch?v=LU4lfd0ax-w
Two Kings in a Cipher「Kemit-Cal Reaction」
 https://www.youtube.com/watch?v=Auvql0ZgwHA

Barry Whiteの他作品もチェックを!

『I've Got So Much to Give』(1973年)
I've Got So Much to Give

『Stone Gon』(1973年)
Stone Gon

『Can't Get Enough』(1974年)


Barry White, Love Unlimited & Love Unlimited Orchestra『Together Brothers』(1974年)
Together Bros

The Love Unlimited Orchestra『White Gold』(1974年)
White Gold

『Just Another Way to Say I Love』(1975年)
Just Another Way to Say I Love

『Let the Music Play』(1976年)
Let the Music Play

『Is This Watcha Want?』(1976年)
Is This Watcha Want?

『Sings for Someone You Love』(1977年)
Sings for Someone You Love

『The Man』(1978年)
Man

『The Message is Love』(1979年)
The Message Is Love

『Sheet Music』(1980年)
Sheet Music

『Beware!』(1981年)
BEWARE!

The Love Unlimited Orchestra『Let 'Em Dance!』(1981年)
LET’EM DANCE

Barry & Glodean『Barry & Glodean』(1981年)
Baray&Glodean

『Change』(1982年)
CHANGE

『Dedicated』(1983年)
DEDICATED

『The Right Night & Barry White 』(1987年)
The Right Night

『The Man Is Back』(1989年)
The Man Is Back

『Put Me in Your Mix』(1991年)
Put Me In Your Mix by Barry White (2004-09-21) 【並行輸入品】

『The Icon Is Love』(1994年)
The Icon Is Love

『Staying Power』(1999年)
スティング・パワー
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2021年10月17日

Anushka『Yemaya』

UK男女デュオの2nd☆Anushka『Yemaya』

発表年:2021年
ez的ジャンル:UK男女デュオ
気分は... :意外にも爽快ダンサブル・サウンド!

新作からUKの男女デュオAnushkaの最新2ndアルバム『Yemaya』です。

Anushkaは、シンガー・ソングライターVictoria PortとプロデューサーMax Wheelerによる男女デュオ。

2014年にGilles PetersonBrownswoodから1stアルバム『Broken Circuit』をリリース。

UKソウル×エレクトロニカ×クラブミュージックなサウンドでファンの心を掴みました。

そんな彼らの7年ぶりの2ndアルバム『Yemaya』Tru Thoughtsからのリリースです。

アルバム・タイトル『Yemaya』は、ヨルバ族の精霊の名なのだとか。

そんなタイトルのせいもあって、スピリチュアル寄りの音が多いとイメージしていたのですが、それは勝手な僕の思い込みでした。

Victoriaの透明感のあるヴォーカルを生かした、ドリーミーでクロスオーヴァーな爽快ダンサブル・サウンドのトラックに魅せられます。

プロデュース&ソングライティングはAnushka自身(共作含む)。

エキゾチックな「You My Love」、爽快ドリーミーな「Speak To Me」、ジャズ・フィーリングの「Brave」、ポップなダンサブル・チューン「Bad Weather」、揺らぎのあるオルタナティブR&B「Breathe」、エッジ―かつ爽快な「Serenity」あたりが僕のお気に入りです。

7年のブランクを感じさせないフレッシュな1枚です。

全曲紹介しときやす。

「So Far Journey」
ミステリアス・ワールドへの旅の始まり、といった雰囲気のスピリチュアルでエレクトロニカなオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=i4MQqWC5fYQ

「You My Love」
エキゾチックなダンサブル・チューン。甘く怪しげなVictoriaのヴォーカルと電脳サウンドに脳内が侵食されていきます。
https://www.youtube.com/watch?v=rJ0IYLZrOpI

「Speak To Me」
先行してシングル・リリースされていたトラック。爽快ドリーミーなダンサブル・サウンドがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=3A06Q2EeCns

「You Mine」
Victoriaの寂しげなヴォーカルが印象的な哀愁UKソウル。エレクトロニカの冷え冷えとした質感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=DxNrKj2CiW4

「Brave」
Barnacles、Son Of Samといったユニットでも活動するRichard Halliganがサックスで参加。変幻自在のビートとジャズ×エレクトロニカな上モノ、さらに透明感のあるVictoriaのヴォーカルのバランスがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=80qdv-KAsew

「Bad Weather」
Victoriaのキュート・ヴォーカルが映えるポップなダンサブル・チューン。なかなかキャッチーです。
https://www.youtube.com/watch?v=O5uyvBBipWQ

「Breathe」
揺らぎのあるオルタナティブR&Bといった雰囲気です。Max Wheelerのサウンド・センスを感じる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=EX85X9dttZ0

「Serenity」
僕の一番のお気に入り。このユニットらしいセンスに溢れたダンサブル・チューン。エッジ―なのに爽快なのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=nncofD3p58Y

「Go」
10分半を超える長尺。アンビエント・ハウス的な心地好さのある音世界を楽しみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=2Bn6qbZdzUE

「Free Will」
Victoriaの真摯なヴォーカルにグッとくるビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=vd9BAScnihQ

「Did I Wake You?」
エレクトロニカな音色が印象的な哀愁バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=-xaQqufB34I

「Move Right Through Me」
ソウル×ジャズ×エレクトロニカ×トライバルなクロスオーヴァー・サウンドとVictoriaのコケティッシュ・ヴォーカルがよく調和しています。
https://www.youtube.com/watch?v=DAA5Y8IbkMk

「We Live In Hope」
ラストは大きな愛を感じるピースフル・バラードで感動的に締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=jJHhkwjOEMk

『Broken Circuit』(2014年)
posted by ez at 01:39| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月15日

『今の気分は...2021年10月15日編』

過去記事から10曲セレクトするシリーズです。
今回70〜80年代カテゴリーからXTCElvis Costello & The Attractionsを10曲セレクトしました。
僕が高校生から20代前半にかけて、よく聴いていたアーティスト2組です。

全て過去記事で紹介済なので、気に入った曲があれば過去記事もご参照下さい。

XTC「This Is Pop?」
https://www.youtube.com/watch?v=Urz3Md03bXM
From 『White Music』(1978年)


XTC「No Thugs In Our House」
https://www.youtube.com/watch?v=PnRzV4ehSxY
From 『English Settlement』(1982年)


XTC「In Loving Memory of a Name」
https://www.youtube.com/watch?v=FQEsJiaptow
From 『Mummer』(1983年)


XTC「Ballet for a Rainy Day」
https://www.youtube.com/watch?v=lDBagulyzWI
From 『Skylarking』(1986年)


XTC「Garden Of Earthly Delights」
https://www.youtube.com/watch?v=LOdkG4sqGfo
From 『Oranges & Lemons』(1989年)


Elvis Costello & The Attractions「No Action」
https://www.youtube.com/watch?v=04xJCIXfh0Y
From 『This Year's Model』(1978年)
This Year's Model

Elvis Costello & The Attractions「King Horse」
https://www.youtube.com/watch?v=hnVyDM4Pff8
From 『Get Happy!!』(1980年)
Get Happy (Bonus CD) (Dlx)

Elvis Costello & The Attractions「Little Savage」
https://www.youtube.com/watch?v=Jix_31CYZyY
From 『Imperial Bedroom』(1982年)
Imperial Bedroom

Elvis Costello & The Attractions feat. Daryl Hall「The Only Flame in Town」
https://www.youtube.com/watch?v=ugcURF7B_gw
From 『Goodbye Cruel World』(1980年)


Elvis Costello & The Attractions「I Hope You're Happy Now」
https://www.youtube.com/watch?v=RJgBpjo7dpY
From 『Blood & Chocolate』(1986年)
Blood & Chocolate (Dig) (Spkg)
posted by ez at 02:04| Comment(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月13日

Tribalistas『Tribalistas (2017)』

15年ぶりに集結!MPBスーパー・トリオ☆Tribalistas『Tribalistas (2017)』
tribalistas(2017).jpg
発表年:2017年
ez的ジャンル:MPBスーパー・トリオ
気分は... :Marisaの新作も待ち遠しい!

今回はMPBの3つの才能、Marisa MonteCarlinhos BrownArnaldo Antunesによるスーパー・トリオTribalistasの2ndアルバム『Tribalistas (2017)』(2017年)です。
※1stアルバム『Tribalistas (2002)』(2002年)と区別するため、リリース年を補足しています。

来月にMarisa Monteの10年ぶりのスタジオ新作『Portas』がCDリリースされます。今から楽しみですが、その前哨戦としてTribalistasを紹介しておきます。

Tribalistasの紹介は、1stアルバム『Tribalistas (2002)』(2002年)に続き2回目となります。

当ブログでもお馴染みのMPBの歌姫Marisa Monteの主導により、あらゆる面でインパクトのある天才パーカッション奏者Carlinhos Brown、人気ロックバンドTitasの元メンバーであるArnaldo Antunesという3人の人気ブラジル人ミュージシャンが結集したTribalistas

その意味で、1stアルバム『Tribalistas (2002)』(2002年)は、ブラジル音楽好きの人であれば、相当グッときたユニットですよね。

そのスーパー・ユニットが15年ぶりに集結したのが、2ndアルバムとなる本作『Tribalistas (2017)』(2017年)です。

プロデュースはMarisa Monte
共同プロデューサーとして、Carlinhos BrownArnaldo AntunesDaniel CarvalhoAle Siqueiraがクレジットされています。

三人以外に、Dadi(b、g、p、sitar)、Cezar Mendes(g)、Pedro Baby(g)、Pretinho da Serrinha(cavaquinho)といったミュージシャンが参加しています。また、Carminhoがフィーチャリングされています。

ベテランの域に入った三人なので、派手さのある内容ではありませんが、その分、この三人にしか出せない深み、味わいに満ちた1枚に仕上がっています。エレクトロニクス等の隠し味もいい感じです。

聴き重ねるほどに味わいが増す1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Diaspora」
ワールド・ミュージックの香りのするオープニング。トラディショナルな雰囲気ながらもエレクトロニクスなスパイスを効かせているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=K0dDSRbpRHQ

「Um So」
Carlinhos Brownらしいリズム感覚が魅力の1曲。なかなかパワフルです。
https://www.youtube.com/watch?v=ZTSd9AvKpaE

「Fora Da Memoria」
MPBらしい哀愁チューン。Marisa Monteの艶やかなヴォーカルとArnaldo Antunesのヴォーカルの組み合わせが絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=R4naHJKHl7A

「Alianca」
ベテラン勢ならではの味わい深い語り口が印象的です。腹に沁みてくる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=moINq-uxPtY

「Trabalivre」
Carlinhos Brownの活躍が目立つ僕好みのトラック。開放感のある音宇宙が広がっていきます。
https://www.youtube.com/watch?v=5PDPYTKM_Vc

「Baiao do Mundo」
バイーア・モードのブラジリアン・フォーキー・グルーヴといった雰囲気ですね。自然体な感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=GeEZUk4lpSQ

「Anima」
タイトルの通り、精霊が宿っているかのような、厳かな音世界が展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=7_X_w2Xdm4g

「Feliz e Saudavel」
僕の一番のお気に入り。ポジティヴ&ピースフルなヴァイヴに包まれた1曲。緩急も含めて、このスーパートリオらしい雰囲気を楽しめると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=5LAzl0BKZWg

「Lutar e Vencer」
戦いと勝利をタイトルにしたトラック。そのせいかヴォーカルも力強いです。Dadiのシタールによるアクセントがいい感じ!
https://www.youtube.com/watch?v=LWCMtdEa3lM

「Os Peixinhos」
Carminhoをフィーチャー。ラストは水の中のMPBとでも形容したくなるドリーミーな雰囲気で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=-hyyThEKafM

Tribalistas『Tribalistas (2002)』(2002年)
Tribalistas

Marisa MonteCarlinhos Brownの過去記事もチェックを!

Marisa Monte『Marisa Monte(MM)』(1989年)
マリーザ・モンチ

Marisa Monte『Mais』(1991年)
Mais

Marisa Monte『Verde Anil Amarelo Cor de Rosa e Carvao(Rose and Charcoal)』(1994年)
ローズ・アンド・チャコール

Marisa Monte『Barulhinho Bom(A Great Noise)』(1996年)
Great Noise

Marisa Monte『Memorias, Cronicas e Declaracoes De Amor』(2000年)
アモール、アイ・ラヴ・ユー

Marisa Monte『Universo Ao Meu Redor』(2006年)
Universo ao Meu Redor

Marisa Monte『Infinito Particular』(2006年)
Infinito Particular

Marisa Monte『O Que Voce Quer Saber De Verdade』(2011年)
あなたが本当に知りたいこと

Carlinhos Brown『Alfagamabetizado』(1996年)
Alfagamabetizado

Carlinhos Brown『Bahia Do Mundo, Mito E Verdade』(2001年)
Bahia Do Mundo-Mito E Verdade

Carlinhos Brown『A Gente Ainda Nao Sonhou』(2007年)
Gente Ainda Nao Sonhou (Dig)
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2021年10月10日

Quickly, Quickly『The Long And Short Of It』

21歳の新鋭トラックメイカー☆Quickly, Quickly『The Long And Short Of It』

録音年:2021年
ez的ジャンル:Z世代系アングラHip-Hop
気分は... :Hip-HopなのにSSW的!

新作から、新鋭トラックメイカーQuickly, Quicklyの3rdアルバム『The Long And Short Of It』です。

Quickly, Quicklyは、オレゴン州ポートランド出身の21歳のトラックメイカーGraham Jonsonによるソロ・プロジェクト。

これまで『Quickly Quickly, Vol. 1』(2017年)、『Paths』(2018年)といったアルバムをリリースしています。

Graham Jonsonはさまざまなジャンルの音楽から影響を受けているようですが、特にStones Throwのカタログを愛聴し、中でもMadlib(特にQuasimoto名義)がお気に入りのようです。

3rdアルバムとなる最新作『The Long And Short Of It』は、エレクトロニカの名門レーベルGhostly Internationalからのリリースとなります。

基本的にGraham Jonsonは、すべてのプロデュース、ソングライティング、アレンジ、ヴォーカルを手掛け、ドラム、キーボード、ギター。エレクトロニクスとほぼすべての演奏を一人で行っていますが、Micah Hummel(ds)、Elliot Cleverdon(strings)、Hailey Niswanger(sax)という同じZ世代のミュージシャンも参加しています。

トラックメイカーでありながら、シンガーソングライター的なセンスを感じるトラックが多いのが本作の特徴だと思います。また、ヴォーカル入りトラックが殆どなので、Hip-Hop好きの人以外でも楽しめる1枚だと思います。

覚醒的エレクトロニカ・サウンドが展開される「Phases」、インディー・ロック×エレクトロニカ×ネオソウルなクロスオーヴァー「Shee」、アンビエント&サイケデリックな「Leave It」、ピアノをベースとした美しい「I Am Close to the River」、SSW的なフォーキーHip-Hop「Everything is Different (To Me)」あたりが僕のオススメです。

秋の季節が似合うHip-Hop作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Phases」
詩人Sharrif Simmonsをフィーチャー。さらにMicah Hummel(ds)、Elliot Cleverdon(strings)、Hailey Niswanger(sax)も参加しています。Sharrif Simmonsが即興で書いた宇宙的実存主義をテーマにした詩の朗読×コズミック・ジャズな序盤に続き、ドライブ感のある覚醒的エレクトロニカ・サウンドが展開されます。この格好良すぎるオープニング・トラックを聴けば、Quickly, Quicklyの才能が一発で分かるはず!
https://www.youtube.com/watch?v=slo4B3jcsIE

「Come Visit Me」
甘く切ないラブソング・トラック。寂しげなヴォーカルと哀愁メロウ・サウンドが胸に沁みてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=kzJK8r0zJ7o

「Interlude」
タイトルの通り、美しいインタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=53AKSlknurU

「Shee」
インディー・ロック×エレクトロニカ×ネオソウルなクロスオーヴァー感覚が魅力のトラック。Grahamのファルセット・ヴォーカルがなかなかいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=MC__q3aU_T0

「Leave It」
前半のリズミックなトラックに途中からアンビエント&サイケデリックなエッセンスが加わります。もの凄いパワーで音世界が広がっていく感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=pfEDt5ypLHc

「I Am Close to the River」
ピアノをベースとした美しいトラック。Elliot Cleverdonによるストリングスも加わり、トラックメイカーというよりシンガー・ソングライター的な1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Ka_CDECcx5s

「Feel」
SSW的なセンスとトラックメイカー的センスを調和させたようなトラックです。何処となくフォーキーな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=IAmNV-vmKIM

「A Conversation」
ピアノによる美しいインタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=EdSfkWr5utA

「Everything is Different (To Me)」
SSW的なフォーキーHip-Hopに仕上がっています。ストリングスも配した終盤の美しいサウンドの広がりにも魅せられます。
https://www.youtube.com/watch?v=z_RFTrb-GyQ

「Wy」
このトラックもSSW的な語り口が印象的です。温かみのあるエレクトロニカ・ワールドが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=pYjGU2uH970

「Otto's Dance」
ブラジル音楽からも影響を受けているというGrahamの音楽性を伺える、ブラジリアン・フォーキーなインストでアルバムは幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=dIaMxFq54hM
posted by ez at 03:35| Comment(0) | 2020年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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