発表年:1993年
ez的ジャンル:ジャンル超越系女性ベーシスト/ヴォーカリスト
気分は... :凄みがある音楽・・・
今回はジャンルを超越した音楽性でシーンにインパクトを与えてきた女性アーティストMe'Shell Ndegeocelloのデビュー・アルバム『Plantation Lullabies』(1993年)です。
ワシントンD.C.育ちのアメリカ人ベーシスト/ヴォーカリスト/ソングライターMeshell Ndegeocello(Me'Shell Ndegeocello)について、当ブログで紹介したのは以下の3枚。
『Bitter』(1999年)
『Comfort Woman』(2003年)
『The Spirit Music Jamia: Dance of The Infidel』(2005年)
このデビュー・アルバムはMadonnaが設立したWarner傘下のレーベルMaverickよりリリースされました。
アーティスト名、アルバム・ジャケ、女性ベーシスト、多様なジャンルを飲み込んだサウンド、すべてにおいてインパクトがありましたね。
メイン・プロデュースは元Scritti PolittiのDavid GamsonとMe'Shell Ndegeocello自身。
それ以外にBob Power、Andre Bettsがプロデュースを手掛けたトラックもあります。
レコーディングにはMe'Shell Ndegeocello(vo、b、add instruments)以下、
David Gamson(ds)、Screaming Headless Torsos、Hasidic New Waveなどの活動で知られるDavid “Fuze” Fiuczynski (g)、Wah-Wah Watson(g)、Joshua Redman(ts)、Geri Allen(p)、Bobby Lyle(p)、James Preston(p)、Andre Betts(drum prog)、Luis Conte(congas)、Bill Summers(quica、hands、shekere)、Byron Jackson(back vo)、DJ Premier(turntable)等がレコーディングに参加しています。
当時はHip-Hop寄りのR&Bとして聴いていましたが、改めて聴き直すと、Guru『Jazzmatazz』に通じるジャズ・テイストも大ですし、レゲエのエッセンスも取り入れた彼女のクロスオーヴァー感覚も楽しめます。
シングルになったのは「Dred Loc」、「If That's Your Boyfriend (He Wasn't Last Night)」、「Outside Your Door」、「Call Me」の4曲。
個人的には格好良いベースのファンク・グルーヴ「Shoot'n Up and Gett'n High」、Guru『Jazzmatazz』に通じる「Step into the Projects」、「Soul on Ice」、「Picture Show」という3曲、レゲエ感覚のクロスオーヴァー「Sweet Love」、DJ Premier参加のグルーヴィーHip-Hop「Two Lonely Hearts (On the Subway)」あたりがオススメです。
改めて、このデビュー作の凄みを実感しました。
全曲紹介しときやす。
「Plantation Lullabies」
Me'Shell Ndegeocello/Bob Powerプロデュース。タイトル曲はアルバムのプロローグ的な短いインスト。
https://www.youtube.com/watch?v=qVk5SQqrVYc
「I'm Diggin You (Like an Old Soul Record)」
David Gamson/Me'Shell Ndegeocelloプロデュース。疾走感が魅力のファンキー・グルーヴ。ファンキーであってもクールなのが彼女の美学かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=Wu_Vdj5zdEc
「If That's Your Boyfriend (He Wasn't Last Night)」
Andre Bettsプロデュース。2ndシングルとしてUS R&Bチャート第20位となっています。
Lafayette Afro Rock Band「Hihache」をサンプリングしたビートに乗って、彼女のベースが躍動するファンク・チューン。ラップ調ヴォーカルのせいもあってHip-Hop的なアプローチが目立ちますが、ジャズのエッセンスも効いていてジャズ×Hip-Hopな魅力がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=UpdzEpGIqtY
「Shoot'n Up and Gett'n High」
David Gamson/Me'Shell Ndegeocelloプロデュース。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。彼女の格好良いベースを堪能できるファンク・グルーヴ。Wah-Wah Watsonのギターとの絡みもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=vALGpTQFhNs
「Dred Loc」
Andre Bettsプロデュース。1stシングルにもなりました。Me'Shell自身のラップを交えたクールなミディアム・グルーヴ。彼女のベースがしっかり目立っているのがいいですね。改めて聴くと、R&B、Hip-Hop、ジャズに加えて、レゲエな隠し味も効いていて彼女らしいクロスオーヴァー感を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=H8ftyYs0DB8
「Untitled」
David Gamson/Me'Shell Ndegeocelloプロデュース。つなぎの小曲ですが、雰囲気があります。
https://www.youtube.com/watch?v=_OzzgtBqyPI
「Step into the Projects」
David Gamson/Me'Shell Ndegeocelloプロデュース。Joshua Redmanのサックスが印象的なアーバン・ファンク調のジャズHip-Hop。かなり僕好みの仕上がりです。Me'Shellのスムーズ・ラップもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=wwnatq3PROY
「Soul on Ice」
David Gamson/Me'Shell Ndegeocelloプロデュース。テンポのいいジャズHip-Hop。本作と同じ年にリリースされたGuru『Jazzmatazz』とシンクロするトラックですね。勿論かなり僕子のみです。
https://www.youtube.com/watch?v=H6UucZBGc-s
「Call Me」
David Gamson/Me'Shell Ndegeocelloプロデュース。4thシングル。当時のUKアシッド・ジャズあたりとも呼応しそうなジャズ・ファンク。ラップ調ヴォーカルも含めて、意図的に多様なジャンルをクロスオーヴァーさせるのではなく、自然体で音を奏でればクロスオーヴァーしている感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=qw6zr9YHVpQ
「Outside Your Door」
David Gamson/Me'Shell Ndegeocelloプロデュース。3rdシングルにもなったミディアム・バラード。派手さはありませんが、ジワジワくる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=1VlCQl6jzgA
Brian McKnight「Anytime」、House of Jazz「Lose My Mind」のサンプリング・ソースとなっています。
Brian McKnight「Anytime」
https://www.youtube.com/watch?v=A1kzG9Ld1kI
House of Jazz「Lose My Mind」
https://www.youtube.com/watch?v=QspR2bVuVdI
「Picture Show」
David Gamson/Me'Shell Ndegeocelloプロデュース。アーバンなジャズ・ファンクはキャッチーな仕上がり。UKジャズ・ファンク好きの人が気に入りそうな感じですね。
https://www.youtube.com/watch?v=03W8Alen-p0
「Sweet Love」
David Gamson/Me'Shell Ndegeocelloプロデュース。レゲエのエッセンスを取り入れたトラック。モロにレゲエじゃなくてクロスオーヴァー感覚で聴かせてくれるのが彼女らしいですね。10年後の『Comfort Woman』(2003年)の登場を予感させてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=M2QzkHcsCK0
「Two Lonely Hearts (On the Subway)」
Me'Shell Ndegeocello/Bob Powerプロデュース。ラストはDJ Premierも参加したグルーヴィーなHip-Hopトラックで締め括ってくれます。生演奏Hip-Hopにプリモのターンテーブルも加わり、盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=V1AyvpQZUVI
Meshell Ndegeocelloの他作品もチェックを!
『Peace Beyond Passion』(1996年)
『Bitter』(1999年)
『Cookie: The Anthropological Mixtape』(2002年)
『Comfort Woman』(2003年)
『The Spirit Music Jamia: Dance of The Infidel』(2005年)
『The World Has Made Me the Man of My Dreams』(2007年)
『Devil's Halo』(2009年)
『Weather』(2011年)
『Pour une Ame Souveraine: A Dedication to Nina Simone』(2012年)
『Comet, Come to Me』(2014年)
『Ventriloquism』(2018年)